発明少女にとりちゃん   作:N-SUGAR

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第十九作 サイコロット

第十九作:サイコロット

開発責任者:河城にとり

 

にとり「ついにできたぞ!」

 

山如「おかしな話だねェ」

 

にとり「おっと!おかしな話など何もないね!なるべくしてなった結果だよ!」

 

たかね「そりゃあつまり、イカサマをしてるってことじゃないのか?さっきからどんどん一人勝ちしやがって、怪しいと思ってたんだ」

 

にとり「仮にしていたとしてもルールに記載されているようなイカサマはしていないし、バレてないイカサマなんてのはもっとイカサマじゃない!」

 

布都「もうほぼイカサマをしている宣言みたいなものじゃろ。まァ、だいたい予測はつくが」

 

山如「賭場で目に見える不正が行われているのを見過ごすわけにはいかない。そこな道士のお方。宜しければそこの河童さんのイカサマを教えてはくれないかい?」

 

布都「厳密にこう。とは言えんが、大方、チンチロリンの手番の度に引いている、そのお(・)み(・)く(・)じ(・)が原因じゃろうなぁ」

 

山如「やはりそれかい?験担ぎに御籤で運勢を測るなんて言うから見逃してたけど、その御籤がなにか悪さをしていたと?」

 

にとり「で、出目の操作なんてこすい真似はして無いぞ!?現に私は、堅実な賭けをしているだけだからな!」

 

山如「そうだね。サイコロの出目自体は。べつにとやかく言うほどのことはない。強かったり弱かったりだ。だが、賭け方があまりにも堅実すぎる。強い目が出る時に大きく賭けて、弱い目が出るときは確実に抑えている。まるで、次に出る目を予め知っていたみたいに」

 

にとり「そう!いや!どうかな!?そうかもしれないし、違うかもしれないよな!?」

 

たかね「自分の発明品の内容を自慢したくて仕方なくなってるじゃないか。実際そうなんだろ?いいからゲロっちまえよ」

 

にとり「へっへーだ!そうは問屋が卸すもんかい。今日の稼ぎでこの発明の元を取らなくちゃいけないんだから!」

 

布都「もうそれはほぼほぼゲロってるじゃろ。まぁいい。お主が説明せんなら我が説明してやる。それ、次にお主が出す出目を占う卜占じゃな?しかも、引いた結果で次の運勢を操作するタイプの。やってることが風水のそれと同質じゃから、我が一目見れば大体何やっとるか一目瞭然じゃぞ?」

 

にとり「うぐっ!ちっ!なんで妖怪の山の賭場に今日に限って道士なんかがいるんだ!そうだよ!コイツはサイコロットといって、風水の理論を応用して運勢を一時的に固定化する籤さ!引いた籤に書かれている数字がそのまま、引いた奴が次にサイコロで出す出目になるって発明品さ!」

 

山如「成る程。つまり、出目のカンニング行為と。これは、にとりは出禁決定かしらね」

 

たかね「はっ!ザマァないね!」

 

にとり「ちょちょちょ!待ってくれよ!出目の操作ならともかく、私がやってるのは運勢操作だ!運勢を操作したら出禁なんてルール、この賭場には無かったはずだろ!?」

 

山如「まァ、さすがにそんなデタラメなルールは設定しちゃいなかったけどね。なら、今から付け加えるよ。ウチの賭場じゃあ、出目の操作もカンニングも、運勢の操作もカンニングも禁止する。金輪際、そいつのここでの使用は無しだ」

 

にとり「うっ……!まぁ、それならしょうがないか

……」

 

布都「いや、それは今回のチンチロリン勝負以降からにするというのはどうじゃろう。今回に限っては、それの使用あり、ということでひとまず続けてみては?」

 

たかね「おい!?何言ってんだよ道士様!せっかく暴いたイカサマを使い続けさせるなんて!」

 

山如「何か理由でも?」

 

布都「なあに、賭場主の姐さんや山童のお嬢ちゃんの悪いようにはならんよ。河童も、それでどうじゃ?」

 

にとり「え、いや。そりゃあ、こっちとしちゃ願ってもないことだけど、なんか、いやな予感が」

 

布都「よし!じゃあ再開じゃ!」

 

にとり「ちょっ――!?」

 

〜数刻後〜

 

にとり「――な、んだと……!?」

 

たかね「にとりの奴、全然勝ってないな、というか、さっきから弱い目しか出ていない」

 

山如「いくら次の出目が分かっていても、こうも弱い目しかでないんじゃあ勝ちようがない。道士さん?これはアンタの仕業かい?」

 

布都「いいや?我は何もしておらんよ。これは、河童の自(・)業(・)自(・)得(・)じゃ」

 

にとり「ど、どういうことだよ!?」

 

布都「固定化だろうがなんだろうが、何の犠牲もなしに運勢の操作なんぞできるもんかい。運気の流れを操るということは、それ即ち、どこかから運気を引っ張ってくるということじゃ」

 

たかね「どこかから運気を引っ張ってくる?じゃあつまりそれって……」

 

布都「そう、この河童は知らず知らずのうちに、未来の自分から運気を引っ張り込んでいたんじゃ。つまり現状の有様は、河童の運気が底をついたが故に起こっている必然に過ぎん」

 

にとり「なん――だと」

 

たかね「あはは!こりゃ傑作だ!まさに自業自得じゃないか!さ!続けよっか!」

 

にとり「嫌だよ!負けると分かっている賭けなんかもうするもんか!それより布都さん!私の運気はどうなっちゃったの!?戻るのこれ!?」

 

布都「このままだと運気が戻るにはしばらくかかるかもな。我が戻してやらんこともないが」

 

にとり「できるの!?お願いします!」

 

布都「当然有料じゃが、お主、まだ金はあるのか?」

 

にとり「す、素寒貧だよ……」

 

山如「文字通り、身を持ち崩してまでギャンブルなんてするものでは無い、というわけだねぇ」

 

たかね「賭場主のアンタがそれを言うのかい?」

 

 

第十九作:サイコロット 差し押さえ

駒草印

 

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