発明少女にとりちゃん   作:N-SUGAR

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第七作 ゴーストスピーカー

第七作 ゴーストスピーカー

開発責任者:河城にとり

 

にとり「ついにできたぞ!」

 

「なにができたのー?」

 

にとり「んー、なんと言うべきかなー。こいつはゴーストスピーカーと言ってねー。まだ何にも実験とかしてないから本当にちゃんと機能するかどうか分かんないんだけども、理論上はこいつを使えば通常姿が見えず声の聞こえない何者かとの会話が可能になるはずなんだ」

 

「ふーん。なんでそんなもの作ったの?」

 

にとり「いやあ、なんとなくだよなんとなく!決してこの前博麗神社でやってた百物語を聞いてから姿の見えない奴が怖くなったとかそういうことではなく!」

 

「あー。幻想郷って結構そういう奴いるもんねー」

 

にとり「そ…そう!幻想郷では今各勢力間の接触が急激に多くなってるからね!何だったら外や月の連中まで来る始末。つまり時代はグローバルなのさ!今までは接触が無かった連中との接触も時間の問題なってきた今!求められているのは、普段言葉の通じない者達との会話なんだよ!」

 

「あはは!怖かったよねー。私も聞いてたよ。阿求さんの百物語!」

 

にとり「いやだから!違うって言ってるだろ!私は世間の需要に応えたんだよ!」

 

「あはは!あなた面白いわね!…それにしても、よくそんなもの作ろうと思って作れたわね」

 

にとり「ああ、これね。いやだからまだこれがちゃんと機能しているのかは全然分かんないんだけど、発想の着眼点は前にちらっとだけ見た古明地こいしとかいう妖怪なんだよねー」

 

「へえ!そうなのそうなの!?」

 

にとり「うん。あいつは『無意識を操る程度の能力』ってのを持って他人から自分を認識させないようにすることができたわけだけど、詰まるところその無意識ってのが全ての大元なんじゃないかと私は思ったわけなんだよ」

 

「ほうほう!というと?」

 

にとり「認識できない妖怪やらなんやらって連中は、詰まるところ私達の五感の外側にいるわけだ。これを言い換えると、五感が私達の意識できる範囲ということになって、その外側は無意識の領域ということになる」

 

 

「えっと、…つまり、…どういうこと?」

 

にとり「例えば人間には、可聴域や可視領域という概念がある。聞こえる音と聞こえない音、見えるものと見えないものは生物学的にも物理学的にもちゃんと定義されているわけだ。だからこそ、聞こえないはずの音が聞こえる奴や見えないはずのものが見える奴ってのは、科学的に説明すればそういった五感の感覚領域が通常よりも広かったりずれていたりする奴のことを言う。私から言わせてもらえば霊感だの第六感だのってのは、こうした感覚領域の話の延長線上にすぎない」

 

「つまり、私が皆から見えないのはただ単に私の姿が皆のカシリョウイキってのにいないからってこと?」

 

にとり「声が聞こえなければ皆の可聴域にいない。もしくは一時的に他人の感覚領域を狭めている。つまりそういうことさ」

 

「それで、その機械はそのカンカクリョウイキって言うのを広げる機械なの?」

 

にとり「正確には可聴域だけを全範囲に行き届かせる機械、さ。ただ全範囲に行き届かせるだけだと音が煩くて聞こえたもんじゃないから、全音域の中から『声』に分類される音だけを選択して可聴域にアジャストするっていう方法をとってる。そしてこうやってヘッドホンの部分を耳に当てることで音を聞いて、マイクの部分でその音域に自分の声をアジャストして会話するってわけさ」

 

「ほえー。すっごーい!」

 

にとり「そうでもないさ。古明地こいしがいなかったら、私はこのマシンを開発しようとする気にさえならなかっただろうし」

 

「うぇっ!?どうしてどうして?」

 

にとり「感覚領域の限界ってのは何も生物だけにあるもんじゃない。機械にだって拾える音や光の限界はある。だから今までは『本当に見えない連中』って奴はその外側にいるんだとばかり思っていたから、こんなマシン作ってみようって発想がまずなかったんだ」

 

「その考えがどうして変わったの?」

 

にとり「聞けば、古明地こいしの能力。…私に言わせれば『自身の姿、または他人の感覚領域を変える程度の能力』が発現した理由は、自分の『心』が無くなったからだって言うじゃないか。だったらそれとおんなじことが機械に出来ないはずがないじゃないか!ってその時私は思ったんだよ。…つまり古明地こいしは、私に可能性という卵をくれたんだ」

 

「おおー。なんだかかっこいいね!」

 

にとり「はは、この言葉がかっこよくなるのは、作ったこのマシンの効果が本物だって分かったその時さ」

 

「うん!かっこいいよあなた!」

 

にとり「そう誉められると満更でもないね。………あれ?そういや私、今なにしてたんだっけ…」

 

「いやー!良いもの見つけちゃったなー!私の無意識を完全に克服するにはまだまだ全然だけど、これがあればどんな状態でも少なくともお姉ちゃんと会話位は出来るってことだもんねー。これ、私がもらってっても良いよね!」

 

にとり「ああ、いいよ。…んん?今私なに言って…」

 

「やったー!じゃあこれはもらってくねー!言っとくけど返さないからねー!またねー!」

 

にとり「………あれあれあれ!?私こんなところで何やってたんだ!?…うわ!いま20時かよ!?嘘だろ!?朝起きてからの記憶が全然無い!えっ、怖い!どうなってんだよ!?なんかの病気か!?」

 

 

第七作ゴーストスピーカー

お姉ちゃんにあげるね♡

古明地印

 

 

 

 

 

 

 

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