発明少女にとりちゃん   作:N-SUGAR

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第八作 センシェアビリティ

第八作 センシェアビリティ

開発責任者:河城にとり

 

にとり「ついにできたぞ!」

 

さとり「やりましたね!」

 

椛「おーい。にとりさーん……って、うわっ!にとりさんが地底の(さとり)妖怪と一緒に!?………嫌な予感しかしない!」

 

にとり「嫌な予感とは失礼な。こちとらいたって真面目に研究作業をしてるっていうのに」

 

さとり「そうですよ。特に反社会的活動をしているわけでもないのに「最悪殺すしか…」なんて冗談でも思わないでください。失礼しちゃうわ」

 

椛「いや…。でもあなた達…。発明…、しちゃってるわけなんでしょう?」

 

にとり「そんなヒトの発明をまるで犯罪犯したみたいに言わないでよ」

 

椛「発明も時には犯罪ですよ…。にとりさんのなんかは特に」

 

にとり「そ…それは単に偶々最近椛に見せた発明品が危険だったってだけだろう!?私は普通に役に立つ道具だってちゃんと作ってるよ!」

 

椛「ほーう?私、つい数日前にあなたの発明品が原因で死にかけてるわけですけれど、それでもあなたの研究を警戒する必要はないと、そう言いたいのですね?」

 

にとり「し…死にかけてるは大袈裟だろう!?単に動けなくなっただけじゃないか!」

 

椛「あのあと山の危険物管理委員会から正式に第三種危険物認定受けておいてまだ言いますか!」

 

にとり「だ…、第三種認定だろ!?第一種とか第二種じゃないんだからまだまだ大丈夫さ!」

 

椛「更に悪いものと比べないでください!第三種って言ったらあなた、大天狗様の羽団扇と同レベルの危険物ですよ!?私みたいな下っ端じゃ一生触らせてもらえないレベル!」

 

にとり「う、…うーん。そうやって比べられると、我ながら結構凄いものを作ってしまったんだなあって、少し嬉しいような」

 

椛「自分で意図した結果でもないくせに威張らないでください!」

 

にとり「甘いな椛。発明とは時として偶然から生まれるもんさ」

 

椛「茶化さないでください!」

 

さとり「まあまあ、落ち着きなさい白狼天狗さん。その快眠マフラー?とやらは確かに危険な発明品だったみたいですけど、今出来たのはちょっとした玩具みたいなものですから」

 

椛「…いや、その前にですね。何がどうなったらにとりさんと貴女が一緒になって発明品を作るなんてことになるんですか…」

 

にとり「ああ、それね。私もよくわかんないんだけどさー。なんでもさとりさんの妹のこいしちゃんってのが私になんか迷惑をかけたらしいんだよね。私に全然そんな覚えは無いんだけどさ。無意識の間に?とかなんとか。…で、さとりさんがそのお詫びとお礼?とか言ってウチに凄く高そうなお酒をいっぱい持ってきたんだ」

 

椛「はあ…。なんだかすごく曖昧な説明ですが、…で、その後どうなったんです?」

 

にとり「その後、私としては身に覚えの無い迷惑のお詫びとやらで高いお酒を独り占めするのもなんだか座りが悪かったもんだから近所から河童達を呼んで、さとりさんとそのペットだっていう妖怪達と一緒になって宴会したんだよ。…で、そこで意気投合して盛り上がって、そしてその場の勢いで」

 

椛「揃って発明を始めたと?」

 

にとり「そうなるね」

 

椛「にとりさん。あなたその場の勢いが多すぎませんかね!?」

 

にとり「いやあ、でも大事だよ?その場の…ではないけど勢いってやつは」

 

椛「その勢いとやらで変なもの作られて苦労するのは大抵私なんですがねえ!」

 

さとり「まあ今回の発明が何か危険なものなようなら私が責任をもって持ち帰りますよ」

 

椛「いいえ、この山で作られたものの管理は原則この山で行うことになっていますので」

 

さとり「あらそう。相変わらずこの山は排他的ね。じゃあ、頑張って」

 

椛「はあ…。まったく仕方ありませんね…。で?今回は一体何を作りやがったんです?」

 

にとり「だからさー。ヒトの発明をそんな何をしでかしやがったんだみたいな感じで言うのやめてよね。今回作ったのはこれ!その名もセンシェアビリティさ!」

 

椛「せんしぇ…。何なんですかそれ?名前の意味がさっぱり分かりませんよ。…まあそれは割りといつものことですが…」

 

さとり「五感(センス)共有(シェア)能力(アビリティ)を組み合わせた造語ですよ。一言で言えば感覚共有能力付与装置です」

 

椛「うん。分かんない」

 

にとり「要するにだね、こっちの発信機をAさん。こっちの受信機をBさんにつける。で、その状態でAさんに何らかの外的刺激が加わると、その感覚がBさんにも共有されるようになるっていう装置さ。Aさんが寒いと感じればBさんも寒く感じるし、痛いと思えばBさんも痛く感じる」

 

椛「はあ…。まあ機能は分かりました。…で、結局その装置は何に使うものなんです?」

 

にとり「分かんない。何しろ酒の席で思い付いた玩具だからねえ。私達にとって重要だったのは一緒に何かを作ることであって、結果的にそれを何に使うかなんて大して考えてなかったから」

 

さとり「所謂ひとつのコミュニケーション手段ですね。一緒に何かをすることで、人間関係…もとい妖怪関係が育まれるのです」

 

椛「なんてはた迷惑なコミュニケーション!」

 

さとり「しかしなんにだって何かしらの使い道はあるものです。たとえその場の勢いに乗せられて出来たものだとはいえ、これにだって何かしらの使い道はきっとありますよ」

 

椛「その場の勢いに乗せられちゃった人に言われてもなあ…」

 

にとり「へっへっへ、試しに椛の感覚を私に共有してやる!それ!」

 

椛「いや、まあ別にいいですけどさ…。…ん?まてよ?外的刺激を…共有?」

 

にとり「う、うがあああああアアアアアアアアアアア!!目が!!目があああああああ!!」

 

椛「ああ、やっばり外からの()()()も共有しますか…。私は山の監視のために常に千里眼を発動していますから、慣れない人がいきなり視覚を共有したら情報量の多さに目がやられちゃいますよ」

 

にとり「ひ…光刺激…。すっかり忘れてたよ…それ…」

 

さとり「私、今初めて読み取れるのが相手の心の『声』だけで良かったと思いました…」

 

椛「いやでも待ってください。視覚情報が共有できるのだとすると、その装置、結構使えるかもしれません」

 

にとり「椛が珍しく私の発明を肯定してくれた…。嬉しい…けど、素直に喜べない………。うう…目が……」

 

 

第八作 センシェアビリティ 要改良。

にとり印

古明地印

 

 

 

 




オリジナル設定 山の危険物分類法。

第四種危険物:要監視対象。定期的に山の哨戒天狗による現状観察を受ける必要がある。また、持ち主の勝手な変更や物品の貸与が認められない。(例、百鬼夜行絵巻レベルの妖魔本など)

第三種危険物:要管理対象。一定以上の権限を持つ管理者の手によって保管されなければならない。特定の理由によって元の持ち主では管理出来ないもの、または破壊することが困難な危険物などが対象となる。(例、大天狗の羽団扇など)

第二種危険物:要封印対象。妖怪の山に発生次第、排斥、破壊、封印のいずれかの処分が成される(例外あり)。使い方によっては妖怪の山を壊滅させかねない危険物などが対象となる。(例、緋想の剣など)

第一種危険物:対処不可能。妖怪の山での対処が事実上不可能であり、発見され次第各セクションに通達。場合によっては妖怪の山全体に避難指示が出される。
(例、【検閲により削除】など)


山の危険物取り締まり法令より抜粋。現行。
山の危険物管理委員会印
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