二章です。でもまあ地味な章です。絶望濃度は高くないかと思われます。それでも最後までお付き合いいただきたく思います。
2018.9/2
一部文章追加しました。
第二章(非)日常編 穴空きの1部屋目
注意
これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。
本編とは異なる設定が多々あります。
あと主の文才は期待しないでください。
それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。
補足
渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。
例:直樹→
他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。
なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。
*****
~幕間~
ある人は「もどかしい」です
ある人は「従って」います
ある人は「見て」います
ある人は「見られたく」ありません
ある人は「守って」いました
ある人は「忘れて」います
ある人は「苛立って」います
ある人は「引っかかって」います
ある人は「たえて」いました
ある人は「保って」います
ある人は「潜んで」います
ある人は「強がって」います
ある人は「縛られて」います
ある人は「できなくなって」います
ある人は「恐れて」います
ある人は「不安」です
誰がどれに当てはまるか?
それは彼らのみ知ること
そしてこれが正しいとは限らない
と、いうことも
お忘れなきを
*****
モノリュウのお告げ
最近よく耳にするが
将来人間の職業が減るそうじゃないか
なぜか?
科学技術が発達したからだろう
しかしだ
働きたくても働けぬモノが出る
そのとき彼らはどうなるのだろうな
人間の職業の有無は
どうなるのだろうな?
余にとっては他人事にしか過ぎんが
*****
第二章「『せんじょう』あるも『せんし』なし、『せんし』あるも『せんじょう』なし」
*****
あの日、戻ったあとは昼過ぎであった。冷めた朝食を温め直して昼食にし、そこからはみんな一人で過ごした。あんなことが起きて、仲間が目の前で死んで、自分たちは一人で考える時間が必要だった。
江上はどうしても出たかった。コロシアイがよくない罪であることもしっかり理解していた。だが、コロシアイへの道へと引き込んだのは誰か? 私たちだ。私たちが写真一つなんてことないという風に思ったが故に、彼女の感情は爆発してしまったのだ。鷹山を、殺させてしまった。もしかすると私たちのせいではないと思う人もいるだろう。だが私にそんなことを思う筋合いはない。みんなで出ることを誓ったのならば最後までその責任は背負わなければならないのだから。
ベッドの上で、何度も、何度も、あのときと同じ光景を思い浮かべる……
無情で残酷な死よ
なぜお前は私たちの前に立ちはだかるのか
ああ眠い
もう寝てもいいだろうか
まだ……
はやいのに……
体がだんだん重くなって……
私の記憶はこうして途切れた
*****
6日目
アナウンスが聴こえない。時計の針は……七時半を指していた。……どれだけ寝ていたのだろうか……夜何も食べていない。それなのにこの時間……遅すぎる……けど気分がまだ優れない。汗をかいて目覚めが悪く気だるい。体が妙に重い。また寝そうだ。だがそれはみんなに迷惑をかけるだろう。……ならシャワーでも浴びるか。少し遅れてもまあ平気な言い訳にはなる。サッとシャワーを浴び体を拭いて着替える。
……なぜだろう。スッキリさせたつもりなのにそうならないのは。ああそうか「つもり」になっているだけか……暗い気分になるのはどうやら収まらないらしい。皮肉だ。
***
食堂に行くとテーブルいっぱいに料理が並んでいた。そして湊川が至極眠そうにうとうとしており今にも寝そうだ。
「湊川さん? 湊川さーん??」
「…………」
仕方ない。自分の眠気覚ましも兼ねて……はぁ
「起きろやおらぁ!!!!!!」
「ッッふぇ!? えっ!? な、なに!? なに!?!?」
「あ、起きた」
「『あ、起きた』、じゃないわよ!! びっくりしたぁもう!!」
湊川の反応が面白い件について(やめい)。
「全く……でも二番目が直樹さんなんだね」
「え? 二番目?」
そういえば確かにダグラスや近衛がこの場にいない。
「前みたいに近衛くんが用意したんじゃないのかな?」
「前みたいって言われても知らないけどね、でもざっと周り確認してみてもどこにもいなかったよ……けどそれならなんでここに料理がおいてあるのか……疑問じゃない?」
言われてみればそうだ。今の発言からして湊川は料理を作った人じゃない。今来たばかりの私ももちろんのこと。……なら誰だ? 誰が作ったんだ?
そんな疑問を抱いていたら、ダグラスがやってきた。髪を乱しとても眠そうである。
「ふわぁ……」
大きくあくびをしてとてもみっともない姿だ。
「おはよう」
「ん、good morning……」
全然good morningのテンションじゃない。
「……いつもならこんな遅くなることはないんだけどさ……眠りが深かった、いや深すぎたのほうが正しいかもね……」
遅くなるて。でも確かにダグラスは基本5時には起きると言っていたから、彼にとってはとても遅いのだろう。
そのうちみんながぞろぞろとやってきたがやはり橘は来ていない。そしてみんなして眠そうである。
「……眠い」
「そうね……体も重いし……」
みんな……同じのようだ。
「あれ、三人足りない……?」
「……何を寝惚けている。橘はわかる。けどほかはもう……」
玉柏はそれ以上何も言わなかった。
穴空きの席
そう今まさにここは
穴空きの食堂
穴空きのマンション
静かに食事が始まる。空気は、重い。
「ねえ、みんな」
沈黙は渡良部によって破られた。
「どうした?」
「……みんなはどう思ってる? 昨日の、
ハツ……江上のことか。
「どうってそんな……」
「いきなり答えられないなんてことはないと思うけど」
声のトーンが下げられた。当たり前だと言うように。
「まさか昨日考えてなかったなんて言わないでしょ? 考えてなかったらそれは
「渡良部さんそれはい、言い過ぎじゃあ……」
「こんなの言い過ぎに含むほうがどうかしてる。いい?」
食事の手を止めて彼女は腕を組み背もたれによしかかる。
「今回の事件、もちろん
誰も、渡良部の言い分に反論する者はいない。反論できない。
「美南は俺たちの態度がよくないって言っているのかな?」
「要約すれば
一言一言区切って強調する。はっきりと私たちに解らせるために。
「あんな目の前で、遺体を見たくなかった……コロシアイに捲き込まれたくなかった。でも、そんな弱気なことなんて言ってられない!! 目の前にある現実を受け止めなきゃいけない!! だから立ち向かわなきゃいけない!! ツラくても、私たちが出来ることは、今はもういない二人のために、ここから一刻も早く出ること!!」
そこまで考えていたんだ。いつも強気で自信家な彼女の弱いところ。目の前に突如現れた死体を最初に見た。コロシアイが始まったことをいち早く認識した人。それがどれだけ彼女の胸に頭に焼きついたことだろうか。
「渡良部殿、ご無理をなさらないでください」
隣の近衛が渡良部にハンカチを渡す。彼女はいつの間にか涙を流していたから。
「……ごめん」
ただ一言そう呟いてハンカチを受け取り彼女は自分の涙を拭いた。仲間を想っているからこそ流れる涙、そう感じた。でもこの涙は彼女だから流せるものなのかもしれないとも思った。一番最初にコロシアイが始まったことを認識したから。
*****
少し空気が変わり長いような食事が終わる。誰が作ったのか結局分からずじまいだった。しかしとても優しい味だった。食事が終わったにも関わらず気だるさが抜けないのか全員食堂に残っていた。
「元気がないであーるなァ? ここまで元気ないのはおかしくないであーるかァ??」
突然現れたモノヤギ。昨日、江上を処刑したモノだ。元気がない? なにを当たり前なことを。
「誰のせいだと……?」
「ヒィッヒッヒィ、まあそんなことはどぉーでもいいんであーるがなァ。今回はオマエラにお知らせがあるのであーる!! ……が、なんで一人いないんであーるかァ?」
「橘くんはいつもいないよ。いつも……一人……」
「メェー? まあいいであーる。オマエラァ!! おめでとうゥであーる!! 学級裁判を乗り越えたオマエラにィ、ご褒美があるのであーる!!」
ご褒美? こいつのご褒美をまともにご褒美だと思えないのは私だけだろうか?
「なんなの、そのご褒美って」
「ここはマンションン。すなわちィ!! 他の棟があってもおかしくはないィ」
「あっ」
ここは希望ヶ峰マンションⅠ棟……てことはまさか
「希望ヶ峰マンション
モノヤギはそういうとこの場から去っていった。以前金室が言っていたことが本当になるとは……って待て、通話機能てどゆことよ。伴って意味わからんわ。
「どうする? モノヤギの言うⅡ棟に行くのか?」
行かなければ話が進まないことはわかっている。が、進めば進むほど危険な道へ踏み込むことになることも忘れられない。
「……俺は行く」
先陣を切ったのは玉柏だ。
「俺は記憶がない。現段階でも思い出せては……いやこれは完全に俺のやば勘だな。まあそれが正しいのかどうかも確かめなければならないし、何より才能も気になる。この先にその手掛かりがあるはずだと俺は淡い期待をしている。そういうことだ」
一応、記憶がないんだっけ。でも玉柏は昨日の裁判を見ている限り、頭がとてもいい。その頭脳を生かした才能なのだろうか? 勝手な想像だが。
「なら言ってみようか。立ち止まり過ぎるのもよくないからね」
矢崎がのんびりと立ち上がり、みんなはどうするのかを尋ねた。
「……行くっきゃないでしょ。二人にまかせきりなのは私としてもイヤだから」
「僕もだ。まだここの真実を掴みきれていない以上探索は必要不可欠なことだし」
そうだというようのみんなが同意していく。私も同じだ。だからこの波に乗る。
「まあ……ミスター宮原はモノヤギからⅡ棟の存在聞いた途端飛び出して行ったけどさ」
「行動早すぎか!!」
マ ジ で い な か っ た
早 す ぎ る
*****
こんな調子で大丈夫かって?
大丈夫だ、問題だ
ゲッフンッッ!! さて、食堂もといⅠ棟から出てみると、その右側の空間が広がっていた。そしてそこに大きな建物が。これがマンションのⅡ棟か。Ⅱ棟前にある地図を見てみた。どうやらここは『芸術棟』らしい。うん、そこなんで動けるところじゃないんだろう。そんなツッコミは心の中だけに留めとこ。
「はあぁ、建物最っ高……!!」
テンション高いなこのお父さん。Ⅰ棟出たときにはⅡ棟前にいたのに早速ダッシュで建物の中入ってったぞ。待っていたのか? いや待ってる意味ないやん。
「地図によると……トイレとかは全階にあるから省くとして、一階は玄関と美術室1と2とその準備室、そしてお風呂もあるな。二階は物理室、化学室、生物室、植物庭園。三階は薬学室とカフェ。四階は女子の寄宿スペースで五階が男子の寄宿スペース。といったところか」
「しっかしデカイ柱があるんじゃなあ。三階以外」
「三階は大きな柱がなくて小さな柱ばかりなんだね」
「解放感を出すためじゃない?」
考え方人それぞれである。どのみち宮原が探索してくれていると思うので簡単な話は彼から聞こう。というか『芸術棟』って言ってるけどなんかすごい理系っぽいような棟な気がする。まあ風呂もあるしいいか。
「じゃあ……探索する?」
「しますか」
みんなそれぞれ探索を開始した。
*****
さて私はどこから探索するか。上から下へ行く感じでいいか。それなら五階からだ。男子の寄宿スペースだけどまあ一応。
……って早速ダッシュして先にⅡ棟に入っていった宮原発見。
「さっすがだなぁ!!」
なにがだよ。
「いやⅠ棟とあまり変わらないよね?」
「そんなの入ってみなきゃわからないだろ!?」
「いや私男子の寄宿スペース入れないわ」
「え、女子でも入れるよね?」
「いや確かに阪本さんと湊川さん入れていたけども」
「ならいける」
「いやどういう理屈だよ!!」
ツッコミのおかげでさらに目覚めるわ。まあいいとして、結局宮原が自分の部屋に一人で入っていったわけで。ちなみに、鍵は電子生徒手帳が代わりらしい。
……ん? なんだこの地図は。五階の見取り図なのはわかるがなにやらランプが点灯している。ちょうど宮原が入った部屋の箇所だ。ガチャッと扉が開く音が聞こえてまたガチャッと扉が閉められるとランプは消えた。
「どうだった?」
「ああ、シャワールームがなかったよ。きっとここにお風呂が完備されているからだと思う。それ以外はまあ多少模様替えされている程度でⅠ棟とあまり変わらなかったかな。まあそれでもいいけどね!! レイアウトが変わると目の錯覚で部屋が広く見えたり狭く見えたりするし!! あっ!! あと色彩心理学とかも利用するとなるとさらに効果的で……」
「長いわッッ!!」
まーたあのときと同じ現象起きた。このお父さんのマシンガントーク長いわ。
「ごめんごめん。まあそれはいいんだけど何か変わったことあった?」
「それなら、ここの見取り図あるでしょ? これがついていたんだ」
「……このライトがついていた? いつ?」
「宮原くんがへやに入ったとき」
ほうというように彼は腕を組み、左右交互にちょっと体を揺らす。
「ここの寄宿スペース、もしかしなくても部屋に誰がいるかわかるパターン?」
「そうだね……」
プライバシーとは一体なんだろか? いやここにいる時点でそんなこと関係なかったわ。
そういえば宮原といえば一つ気になることがあった。
「ねえ宮原くん。昨日大丈夫だった?」
「昨日?」
「ほら、裁判終わったあとになんかすごい頭抱えていたから」
裁判終了後、江上が頭を抱えて悶えた直後に彼も同じ現象に見舞われていたのだ。隣の阪本と金室には特に心配されていた。
「ああそれね……」
少し戸惑った様子で彼は周りを見渡し誰かいないかを確認し始めた。
「?」
「空はさ、俺が相手を呼ぶときにみんなの『名前』で呼んでるのはわかるよね?」
「まあ確かにそういわれてみれば」
みんなのことを名前で呼んでいる。
「それで昨日……頭を抱えて叫んだ
あれ?
「今でも若干頭が痛い。
私に、指を指す。
「
………………
んうぇぇぇぇええええ!?!?!?
「でも今までお前を名前で呼べているしまだ今は平気。昨日みたいに激しい頭痛が起きるようなことにはなっていない。でも間違いなくはっきりとしているのは俺は
記憶……江上を名前で呼べない宮原。一体なぜ? なんとなく昨日の橘の行動から……いやでもまだよくわからない。
「ああなんで空も
ちょっとだけニヤリとわらい耳元で囁いた
「昨日のあれで思い出したんだ。空に……………………」
……………………
ッッ!?!?!?!?!?!?!?!?
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「嘘じゃないからね。お前の記憶を取り戻していけばさらにわかると思うよ」
とととととととととととととんでもななななななないことををををををききき聞いたたたたたた
こんな調子で大丈夫かって?
大丈夫だ。大問題だ
よし私落ち着け。深呼吸だ。
「……ふぅ…………えぇ……嘘でしょ……これって……」
「まあ複雑な気持ちになるのはわかるから。下の階で何か飲んできたら?」
「じょ、女子の寄宿スペース見てから行く……」
「あはは……」
困った笑みを浮かべて宮原はさらに探索を進めた。私はというと彼から聞いた衝撃的真実に頭を抱えてそれを脳内で無限ループさせていた。下降りろよ。
*****
こんな調子で大丈夫かって?
大丈夫だ。大大大問題だ
ゲッフンッゲッフンッッ!! ええ複雑な感情を抱きつつ四階に来た。そこでは矢崎がのんびりしながら探索していた。
「矢崎さん、何か見つけた?」
「ん~? そうだね。直樹ちゃん、電子生徒手帳の地図を開いてくれるかい」
言われるがままに電子生徒手帳の地図を開く。
「今からあたいが部屋に入るからよーく見てるんだよ」
矢崎は扉を開け自分の部屋に入る。すると地図に点が現れた。ちょうど矢崎の部屋である。四階にある地図も確認したが同じくライトが点灯している。部屋から矢崎が出てくると手帳の地図の点は消え、四階の地図のライトも消えた。
「どうだった?」
「矢崎さんが入った部屋のところに点が出ていたよ」
「そうだね。つまりⅡ棟の寄宿スペースは誰か部屋に入ったら点が着くってことなんだよね」
電子生徒手帳でも確認できるのか。さっきの宮原とのやり取りを話すと矢崎は納得したように大きく頷く。
「なるほどね。だからこれになーんかライトがあるんだ。きっと宮原くんの考察は正しいと思うよ」
確かにこれは確定させていい内容だろう。
「まあ一応宮原くんと確認しておくかな」
「そのほうが確実だからね」
***
よし、これで一段落もしてないわ。だからカフェ行く。薬学室もあるのだが落ち着きたいから先にカフェだ。中に入るとこれは広いと言うしかない。まじで広い。解放感が半端ない。カフェには国門がカフェにある雑誌を読んでいた。そしてなんと朝からいなかった橘もいた。彼もコーヒーかなんか飲みながら資料を読んでいる。私が入ったのに気づいたのか国門が声を掛けてきた。
「コーヒーでも飲みにきたのか?」
「まあそんな感じ。頭の中で整理仕切れていないことがいろいろあって……」
「なるほど。そうだ、昨日は悪かった。あんな風になってしまって」
裁判のあれか。
「いいよ気にしてない。確かにヤバいとは思ったけど……」
「だよなぁ……」
自分でもわかっているのに直すことができない。今後国門が生き残っている状態で裁判が進めばどうなるか。自衛できるとは言っていたものの心配である。
「……またカレンダー?」
「それはさっきみた」
見たんかい。
「でも俺が今みてるのはこっち」
そういって彼が手に持っていた雑誌を見せてきた。希望ヶ峰学園の雑誌のようだ。写真付きで卒業生や今入学している生徒などが写っている。また最新の雑誌には私たちも写っていた。なんか、ちょっとこそばゆい。
「……おかしいと思わないか?」
「え?」
待て、この雑誌のどこがおかしいのだ。
「いや雑誌は別におかしくはないんだ。おかしいのは僕たちの記憶のほう」
「どういうこと?」
「……この件はあとで話す。みんなの前でのほうが話がはやい」
……彼の言うおかしな点とは一体なんなのだろうか?
***
コーヒーを淹れて飲む。ふぅ、落ち着く。
さて一応一か八かみたいな感じはあるが橘からも何か情報が得られるだろうか。
「橘くん?」
「…………」
反応なし。そうとう資料を読み込んでいるようだ。
「……ディーラー?」
「え?」
ボソリと呟かれたダグラスの才能。思わず反応していた。
「おい、翻訳家。てめぇはこいつが誰に見えんだ?」
私の存在には気づいていたみたいだ。私に目の前の席に座るよう促してから彼は読んでいた資料を見せてくれた。
そこには確かにダグラスとおぼしき雰囲気の長髪の男子がカードを切っていた。
「ダグラス……くん?」
「てめぇもそう思う……か」
「仮に彼がダグラスと仮定すると今とはちょっと違うね」
「髪の毛を一本でまとめている上、蝶タイじゃなくてネクタイ。そしてサングラスを掛けてねぇ」
私たちの知るダグラスはサングラスを掛けている。頑なにその下を見せようとしない。なのにこの資料ではそのサングラスを掛けていない。しかも、しかも……
「『
「ざっとこいつを見りゃ、こんときはまだ見せられたんだろ。でなきゃサングラスを外している理由がわからねぇ」
「サービス、にしては……何か違うし……」
うーん、ダグラスに関する謎が増えた。元々サングラスの影響もありミステリアスな彼だがそれを含めても、だ。
「……………………は?」
「え?」
「てめぇちょっと黙ってろ」
なんだどうした何があった。資料をバッと取り上げ彼自身しか見えない状態になる。嗚呼自分の頭の中ではてなが浮かんでいるなぁ。
バアアンッッッッ!!!!
橘が資料を叩きつけ驚いた表情で目を見開いた。とはいえ顰めっ面は相変わらずなのだが。
「……おい……生きてんのか……? やつは……生きてんのか??」
やつって誰だ。
「……いや、確かに……いや……なんでだ……なんでこうも思い出せねぇんだ!?!? くそったれがァァア!!!!」
うん。
「うるっさいわぁ!! ここはカフェでしょうが!! ちゃんと周り考えんかぁぁあ!!」
私は近くにあった分厚い資料を持って橘の頭目掛けて振り下ろす。
ゴッ!!!!
ドスッ!!!!
「グオッ!?!?」
「ガッッ!?!?」
ちょ、右脇痛い……杖ェェエ……そしてどうやら橘も頭を押さえている。
ええ何が起こったかと言いますと……私が橘に向かって資料を振り下ろしたと同時に橘も素早く杖を抜いて私の脇目掛けて当てたというわけで。
結論:クッソ痛いです
「君たちバカなのか? 正論言ってるはずなのに直樹も橘とやってること変わってないぞ?」
一部始終を見ていたらしい国門に一言めちゃくちゃ冷静に呆れられながらそう言われた。すまねぇ、すまねぇ……
いろいろあってカフェの探索は終わったが、これは休めてないな。最初しか休めてないまる
今さらだけど橘とまともに話したのは今回が初めてかもしれない。
*****
to be continue……