表裏ダンガンロンパ ~共通とすれ違いの物語~   作:炎天水海

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第二章(非)日常編 乱れる2部屋目

 注意 

 

 これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。 

 本編とは異なる設定が多々あります。 

 あと主の文才は期待しないでください。 

 

 それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。 

 

 補足 

 渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。 

 例:直樹→ 直樹(トン)

 他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。 

 なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。 

 

 *****

 

 とんでもないバカをやらかしたけどまあいいよ。脇腹擦りながら次探索しよう次。薬学室行こう。

 扉を開ければたくさんの薬品が並ぶ戸棚が複数目に留まる。そしてこの部屋には巡間がいた。医者だからか難しそうな本を読んでいたようだ。私が入ったと同時に彼は読んでいた本に栞を挟めて声を掛けてくる。

 「直樹くんじゃないか」

 「うん。さっきまで何を読んでいたの?」

 「これか? これは薬学書だ。薬剤師ほど詳しくはないがなかなか面白くてつい見いっていた」

 「きっとその系統の人にしかわからないような感じだよねそれ」

 「まあそうだ。でも正しく取り扱わないといけないから私としてはこれは重宝する」

 さすが医者、真面目に患者のことを考えている。

 「どこまで読んでいたの?」

 「ああ……ちょっと物騒なところを……」

 おい待て薬学書に物騒なこと書いてるの。

 「昔実際に起きた毒物に関する事件があるんだ。例えばトリカブトとフグの毒を使った事件とか、ヒ素を料理に盛って身内、親戚、近所の人などたくさんの人を手に掛けた事件とか、犯人だけ砂糖が取れるような状態に工夫された毒殺事件とか、幼いながら薬に興味を持った少年が身内を殺害したとか……いろいろな毒物に関する事件が載っている」

 「うわぁ毒殺事件結構多い……」

 「どれも悪質な事件だ。ここにある薬品も」

 そういうと彼は棚を開けて二種類のビンを取り出す。片方は液体で片方は粉のようだ。

 「この粉は『カンタレラ』。この液体は『ヒ素』」

 「うわっさっき言ってた身内とかいろんな人を殺害したやつ!?」

 「恐ろしい毒だ。本当に。でもヒ素だって立派な薬の材料の一つになる。それにヒジキとかの海産物あるだろう? あれにも有機ヒ素として含まれている。まあ毒性はないんだがな」

 「ほあぁ……」

 うん、私にはやっぱり理系向いてない。さっっっっぱりわからない。 

 「無理して覚える必要はないからな? でも本当にこの本は使えるな。勉強になる」

 「勉強熱心だね」

 「人を救える可能性が高い職についた者の因果ということだ。私は一切『苦』だと思ったことはないよ」

 さすがは医者。今までにたくさんの命を救ってきただけはある。小さな大物とはこのことだろうか。

 

 

 

 

 なぜだろう

 

 

 

 彼の動きがどことなくぎこちなく感じてしまうのは

 

 

 

 ***

 

 三階の探索を終えた。二階へいざ参らん。こんなノリでいかないとちょっと自分が保てない気がした。おかしい? いつものことだよ気にしちゃダメ。

 化学室に行ってみるか。そんなわけで化学室へ。やはり薬学室とはまた違ったたくさんの薬品が並べられている。ボンベとかもあるのか。

 ん? 化学室の中に小さな部屋発見。ここの部屋はなんだろうか? ドアノブに手をかけて開けてみる……

 

 

 !?!?!?

 

 

 「ゲホッゲホッ!?!?!? た、タバコくさっ!?!?」

 ちょちょちょちょちょ!?!? なんで!? なんでタバコ!? タバコなんてここにあるの!?

 扉を開けた瞬間に鼻につくタバコの臭い。私はタバコの臭いそこまで得意じゃないからすぐに口元を押さえた。すると……

 「……面倒なことを……」

 ものすごく呆れてながら電子生徒手帳片手にタバコを吸う玉柏の姿があった……呆れたいのこっちだよ、面倒言うてこっちも面倒だよ……

 「なんでタバコ吸ってるの……」

 「いいだろ。常に持ってても厨房だと近衛いるから吸うにも吸いづらいし、未成年のお前らの前でも吸うのは気の毒だし……」

 「……へ? 玉柏くんもしかして」

 「二十歳だな」

 

 

 

 

 

 

      …………………………

 

 

 

 

 

 

       今日の午前だけで

 

 

 

       いろんなことが

 

 

 

         同時に

 

 

 

 

        起きすぎて

 

 

 

 

 

  >>>全く頭がついていってない<<<

 

 

 

 

 

 「二十歳? え? 大人の階段に片足突っ込んでいるってこと???」

 「そうだ。酒も飲めるぞ。久しぶりに芋焼酎とか飲みたいな」

 「未成年の前でんな話するんかい!!」

 「乗ってきたのお前だろ」

 「そうだけど」

 「ここの探索は済んでるし、他の奴らも二階の探索は済ませてる。風呂辺りにでも行ったらどうだ? どうせ今日からみんな入るんだろ」

 「まあ……確かに……」

 「下見ぐらいしておきな。ああ安心しな。俺は裸に興味ないから覗きなんてしない」

 「女子の前でそんなこと言わない!!」

 「だって俺狼よりも鷲の方がいい」

 「誰もこの人を動物に例えたらとか好みの話してないから!!!! ていうかタバコ吸うのやめろぉぉ!!!!!!」

 なんか今日もう持たない気がしてきた

 

 *****

 

 

 こんな調子で大丈夫かって?

 

 大丈夫だ。大大大大大大問題だツッコミ疲れた

 

 

 廊下出たら確かにダグラス、灰垣、金室が廊下を出るのが見えた。つまりはそういうことか

 玉柏の言う通り一階に降りて風呂場の方へ。渡良部と近衛がいるようだが何やら様子がおかしい

 

 |д゚)チラッ

 

 「これは……」

 「いや間違いないよね? 間違いないよね?」

 「間違いないと存じますが、これは、あの」

 「執事ってそういうところ見慣れていると思ってたんだけど?」

 「渡良部殿、わたくし高校生でございますよ? そんな不順行為に興味は抱くことはこざいません」

 「それはそれで問題じゃない?」

 「いえ今はまだよろしいのでございます!!」

 

 うん

 

 「何の話だよ!!!!????」

 「直樹(トン)!?!?」

 「な、直樹殿!? い、いかがなさいましたか?」

 「いや玉柏くんに言われてこっちの探索しようと思ったよ!? 思ったけど!? 二人して何の話してるの!? なに!? 見た感じ更衣室は分かれているみたいだからそれはいいとしても、お風呂が混浴みたいなそんな感じなの!?!?」

 「………………」

 「………………」

 えっ何で二人して黙るの? え? まさか?

 「……ドンピシャ???」

 「はい……」

 「そうだけど……」

 「せめて嘘であって欲しかったよ!! 確かにそれは近衛くんちょっと問題あるけど!!」

 「なにゆえ!? いえ良いのです!! お嬢様とのお約束もございますし……」

 そういえば近衛はあまり自分のことを語らない

 「……えっと、差し支えなければ近衛くんのお嬢様ってどんな人なのか教えてくれる?」

 「お嬢様でごさいますか?」

 「あ、それは私も気になる。近衛(リーチ)の仕えている人のこと少し知りたい」

 女子二人からの視線を受けて、近衛は少々後退りをしたが逃げ場のない状況のためか彼はモノクルをクイッと上げて話した

 「わたくしの仕えているお嬢様は、とてもやんちゃで、しかし大変世話好きで、何時もわたくしたち執事やメイドのお手伝いをしたいと仰ってくれる……そんな方でございます。その姿はとても可愛げがありいつもお屋敷ではわたくしたちを和ませてくれる存在でございました」

 「へえ、今そのお嬢様は」

 「……生きておりますよ」

 「ホント!?」

 「いえ、確信があるわけではございません。ですが……信じたいのでごさいます。そうでなければ……わたくしは……約束を果たせず……死んでしまいます……伝えたいことを……伝えたい。あの方に……この気持ちは一体、何なのでございましょうか?」

 ふいに彼の顔が暗くなる。彼の言う『約束』とは一体何なのだろうか?

 「おっと、そろそろお昼ではございませんか。先に失礼いたします。すぐにお昼の用意を致しますので」

 電子生徒手帳を取り出して時間を確認した彼はそう言うと足早にお風呂を出ていった。

 「あ、直樹殿」

 廊下からひょっこり顔を出してふいに名前を呼ばれた。

 「ご無理はなさらないでくださいね?」

 「え? う、うん」

 突然どうしたのだろうか? まあいいか。私と渡良部は顔を見合わせてゆっくり戻ることにした。ん? 渡良部の目に不安感が宿っている気が……

 「なんだろう……私のこの胸が締まる感じ……?」

 「渡良部さん?」

 

 *****

 

 「そういえば渡良部さんっていつからゲーム好きなの?」

 「小さい頃から。親がギャンブル大好きだったから。ていうか親二人ともギャンブル依存症」

 「ギャンブル依存症!?」

 うわお……渡良部さん大変だったんじゃ

 「この話、話すとすごく長くなるから今日はお預け。いい?」

 「うん、とりあえず渡良部さん大変だったんだろうなぁって思っておく」

 「そうして」

 

 プルルルル!!!!

 

 突如、私の生徒手帳が鳴る。そういえば朝にモノヤギが通話機能を入れたって言っていたからまさか……? 電話に出てみる

 「はい、直樹です」

 「ブフッ!!!!」

 なんか吹かれた

 『な、直樹さん!? 今すぐ来れる!?』

 「み、湊川さん? どうしたのそんなに慌t」

 『ダグラスくんと橘くんの二人が喧嘩してるのよ!!』

 「なんで私に連絡した!? ていうか今みんなそこにいるの!? どこ!?」

 『食堂よ!! 近衛くんから聞いたけど、渡良部さんと一緒なんでしょ!? あとあなたたち二人だけだから早く来て!!』

 「え!? わ、わかった!!」

 

 

 

 ブツッ……ツーツーツー……

 

 

 

      まずい状況になった

 

 

 

 「渡良部さん、今すぐ食堂にダッシュ」

 「ダッsy……」

 「Ready Go!!」

 「え、ちょ、はやっ!?!?」

 「余所見なんてできるかぁ!!!!」

 「あんた変なスイッチ入ってるせいでおかしくなってない!?!?」

 それは多分朝からです

 

 *****

 

 通話機能便利かよ

 

 裏口から食堂に入る。その方が早いから。はいそこ、今まで私たちが裏口の存在を忘れてたなんて言わないの

 「はぁ、ごめんっ遅れた!!」

 「ちょっと、はやい、待ってよ、ゼエ……ゼェ……」

 「直樹さん!!」

 入ったら湊川の言うとおりの状況で……橘がダグラスの胸ぐらを掴んで問い詰めている。付近に宮原が倒れていて阪本が側にいる感じだ。

 「宮原大丈夫?」

 「あ、ああ、大丈夫。ありがとう莉桜」

 宮原はお腹(具体的に言えば鳩尾辺りだろうか)を抑えているようで恐らく橘に攻撃されたのだろう。

 「てめぇ!! 知ってんだろうが!!」

 「だからそれは一体何なのさ!? 何をミーが知っているのさ!?」

 何かをダグラスから聞き出そうとしている? けれど何を問い詰めているかがさっぱりだ。

 「しらばっくれんじゃねぇ!! わかってるはずだろうが!! 『森の恐怖』の事件を!!!!」

 『森の恐怖』? 突如橘の口から出された謎の事件。

 「っ!? ヴッ……!?!?」

 しかしそれはダグラスも知っているようだ。事件の名前を聴いた途端に驚いた様子で顔を歪ませている。

 「ユー……は……知って……いるのかい? あの……事件を……?」

 「ったりめぇだ!! そこにやつに、やつがいたはずなんだよ!!」

 「頭が痛い!! 叫ばないで!! そして誰なのさやつって!?」

 「『F.T』だ!! わりぃがイニシャルだけしか思い出せてねぇ!! だがやつが『森の恐怖』に間違いなく関与してんだよ!!」

 『F.T』……人であることは間違いなさそうだが誰だ。しかし、思い出せていない、とはどういうことだろうか。

 「二人とも、やめてくれますか。こんなところで大きくみんなを騒がせているなら、少しくらいうちたちに何かしらの情報共有して欲しいです」

 言われて橘は渋りながらダグラスを突き飛ばすように離した。ドカッと食堂の椅子に座りカフェで持ってきたであろう資料を広げる。

 「これは?」

 「『森の恐怖』についての資料。そしてディーラー、あんたの素顔も載っている」

 「!? うそ!? ま、まさかミーの……」

 「知ってる。てめぇのサングラスの下が一体どうなってんのかな」

 あれ『森の恐怖』の資料かよ。字全っ然読んでなかった。

 「そろそろ見せたらどうだ? てめぇが目を隠す理由は前に聴いた。が、この資料見たらどうもそうじゃねぇ気がしてならねぇんだよ」

 「やめて」

 「お辞めください、橘殿」

 渡良部と近衛が口を開く。橘は二人を静かに睨み付ける

 「ダグラス(ドラ)をそんなに責めないで。責められることは何もしてないし、何よりその事件は多分だけどダグラス(ドラ)の傷にもなっているから」

 「ダグラス殿はわたくしたちに何か悪いことでもしましたでしょうか? いえそんなことはございません。彼のサングラスの下については渡良部殿と共に存じておりますが無理に晒す必要もないと存じます」

 「よそのくだらねぇご託はいらねぇ!! やめろや。じゃねぇと本気でてめぇはここで生きられねぇ。アホ抜かす暇あんならさっさと見せろよ」

 冷たい殺気が私たちを襲う。

 「…………」

 ダグラスは渡良部と近衛に守られつつも橘の話にも耳を傾け悩む。腕を押さえ何かに怯えるような素振りをみせる

 「……いいさ」

 彼は悩んだ末にみせる選択を選んだ

 「ダグラス殿!?」

 「今ミスター橘に言われるまで全くなかった『森の恐怖』の記憶が甦ったよ。サングラスはとる。けどすぐに掛けさせてもらう。説明はそのあとさ」

 そういうがはやいか彼はサングラスを外した。目を瞑ったままの彼の素顔が現れる。そして

 

 

 眼が開かれる

 

 

 ***

 

 

 

 整った顔立ち

 

 

 

 どこかに傷があるわけでもなく

 

 

 

 純粋にかっこいいと思えるそんな素顔

 

 

 

 サングラスによって隠された目は

 

 

 

 綺麗な目であった

 

 

 

 思わず見いってしまいそうになる

 

 

 

 右目は黄色、左目は青

 

 

 

 

 

 オッドアイ

 

 

 

 

 

 

 

 「オッド……アイ?」

 「正式には虹彩異色症。日本では金目銀目とも呼ばれているやつさ」

 ダグラスは本当にすぐにサングラスを掛けてしまった

 「さて、説明だね。『森の恐怖』はとある森のお屋敷で起きた大量殺人事件のことさ。そしてミーはそこの屋敷で行われたゲーム大会でディーラーを務めていた」

 大量殺人事件……

 「……その頃ミーはこの目を隠していなかった。誰かに疎まれることもあったけど、別にただ目の色が違うだけで差別する理由なんてないって思っていたから、特に気にしなかったのさ」

 「But ……この事件はミーを、いやそこの参加者全員を脅かすものになってミーはサングラス(これ)をつけることになった」

 「……どういうことです?」

 ダグラスはその場で胡座をかいて語る 

 

 *****

 

 始めからもう一回説明するよ

 あの日、ミーはお屋敷のオーナーに仕事を依頼された。それは『森にある私のお屋敷でパーティーがあるからそこのゲーム大会でディーラーをやれ』っていうものだった。フリーのディーラーだから依頼があればそこに行ったり、一定期間カジノで働いたりなんてこともあったから、特に何も気にせずその仕事を承諾したのさ。

 当日、ディーラーに必要な道具一式を持ってお屋敷に行った。何の変哲もない普通のお屋敷だった。大人から子どもまでいた。そしてパーティーは始まった。最初は普通に盛り上がっていたよ? 誰も変な動きをしていなかったし怪しくもなかった。

 始まってから三時間くらい経ったころだったかな。突然、お屋敷が停電した。悲劇の始まりだった。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 『な、なんだ!?』

 『て、停電か!?』

 『落ち着いてください!! 今ブレーカーを上げるよう言っていますのでその場で待機を!! 机付近にいる方はそこにあるライトをつけてくださいませ!!』

 小さなライトがついた…………そのときだった

 

 

 

 ドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 突如響くマシンガンの音

 

 

 

 

 

 パリンパリン!!!!

 

       グシャッグシャッ!!!!

 

             ドーンドーンドーン!!!!

 

 

 

 

 

 

 同時に落ちたり割れたりする道具やガラス

 

 

 『キャアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 一人の女性が叫んだ

 

 

 

 

 

 バァンッ!!!!

 

 

 

 

 

 その声は銃声とともに掻き消され

 

 

 

 

 

 ドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 バァンバァンバァンバァンッッッ!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 鳴りやむことのないテロに

 

 全員どうすることも出来なかった

 

 机の下に隠れたり、カウンターや死者を盾代わりにしていたり、それぞれだった

 

 敵の姿は一切見えない

 

 けど誰かがこちらに向かってくる様子はなくて

 

 ミーはカウンターを盾にその場を凌ごうとして

 

 

 

 

 バァアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 『ウワァァァァァァァアア!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 刹那、ミーの目の前……いや反対側だったけど……

 

 一人の男の子が片目(・・)を撃たれた

 

 驚くことしか出来なくて

 

 彼はなんとか身を隠したけど痛みで悶絶する声が何度か聴こえた

 

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 不気味に銃声が止んだ

 

 

 

 

 コツッコツッコツッ……

 

 

 

 

 複数の足音がだんだんだんだん

 

 こちらに向かってくる

 

 足音の主がオーナーに向かってこう言った

 

 

 『バイアイはどこだ?』

 

 

 ミーはその言葉を聴いてゾッとした

 

 もしかしてミーを狙うために

 

 やつらはここに来たんじゃないかって

 

 

 『バイアイ』……つまり『オッドアイ』

 

 

 『そいつがいれば金儲けできる』

 

 

 『どこだ? そいつはここにいるはずだ』

 

 

 『どこにもいないわけがない』

 

 

 『はやくしろ。さもなくば貴様の命はない』

 

 

 目的は金儲け、よくある話だけれど

 

 ここまでひどい惨状にするとまでは

 

 生き残ることができた人全員

 

 当時誰一人として思ってなかった

 

 オーナーは頑なに

 

 

 『そんな人はいない』

 

 

 と抵抗した

 

 

 『教えないか』

 

 

 ミーを守ろうとしたのか

 

 それとも他にいた

 

 ミーと同じ人を守ろうとしたのか

 

 どちらかなんてわからない

 

 少なくともそんなことを

 

 考えている余裕はなかったから

 

 

 

 

 スチャッ……

 

 

 

 

 

 『終わりだ』

 

 

 オーナーに告げられた残酷な死

 

 ミーは怯えることしかできなかった

 

 何もできなかった

 

 そして

 

 

 

 

 

 

 バアァァァァァン……!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

 

 

 

 二つの銃声が響いた

 

 それからミーの意識は途切れた

 

 目が覚めたときには

 

 病院のベッドで寝ていた

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 『森の恐怖』について語られ食堂は一気に静まり返った。そんな事件があっただなんて

 「あれから人前で目を出すのが怖くなった。またそのときと同じことが起きるんじゃないかって……人の視線も苦手になってさ」

 震える声。それは事件に関わった彼だからこそ分かる恐怖。森の屋敷で起きたテロ。まさに『森の恐怖』なのであった。

 「皮肉な話さ。突如『戦場』になったところには『戦士』なんていなくて。例え『戦士』がいてその人が死んだ、つまり『戦死』だね。『戦死』したとしても、それを洗ってくれる『洗浄』場はどこにもないんだからさ……」

 言い方がうまいというかなんというか。でもそれは紛れもない事実だったに違いない。

 「話はわかったけど、それが何で橘と関係しているの? それに『F.T』って? 『森の恐怖』と何の関係があるの? さっき関与しているって言ってたけど」

 阪本の疑問は最もだった。

 「……やつはそれを終結させた。平たく言えばディーラー、てめぇとその関係者を助けた人間だ」

 「…………What?」

 「……ッチいちいちいちいちムカつくなてめぇ!!」

 ガタッと椅子を飛ばしながら立ち上がりダグラスの胸ぐらをふたたび掴む。

 「今の話聞く限りじゃ本当にやつのことを覚えていないみてぇなのは認める。けどな!! 俺たちを守ったやつ(・・・・・・・・・)を忘れるってのは許さねぇぞ!!?」

 ……はい?

 「えっ、待ってよ。それどういうことなの?」

 「私たちを守った……?」

 反応に困る私たちに逆に橘も驚きの顔を見せた。

 「……は? ……てめぇら、本気で言ってんのか? 『F.T』は俺たちを守ったやつなんだぞ? なんでてめぇらはそんなことも忘れているんだよ!!? 思い出せていねぇんだよ!!? 同じ『超高校級』の才能を持った仲間だろうが!!!?」

 仲……間……?

 「それになぁ!! 俺たちは希望ヶ峰に…………アッ……希望……ヶ……峰に…………アッアア……グアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 手を離し、橘は雄叫びを上げて床に倒れ伏す。雄叫びは食堂全体に轟き全員耳をふさいだ。頭に響く。

 「全く橘はしゃべりすぎであーる」

 「……ッツモノヤギィィイイイ!!!!?!!!!?」

 恨むように睨み付け恨むように名を呼ぶ。

 「そこまでしゃべられたらァ、ワレもおもしろくないのであーる。記憶も、感情も、世界も、ここではワレが管理しているのをォ、オマエラは忘れているのであーる」

 「っざっけんな!!!!!! てめぇのせいで……てめぇのせいでっ……!!」

 「ワレのせいにするであーるかァ?」

 コツコツと蹄の音を響かせて橘の前に立ちはだかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オマエが殺したも同然なのに(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 くそったれが

 

 地獄に突き落とされたような絶望感

 

 てめぇに俺の何がわかる

 

 てめぇは俺の○○をすでに

 

 殺している(・・・・・)くせしやがって

 

 てめぇのその面が腹が立つ

 

 てめぇが余計なことさえしなければ

 

 俺は

 

 あいつを……

 

 おい

 

 なんで

 

 何も出ない

 

 なんで

 

 声が出ない

 

 なんで

 

 何も伝えらねぇんだ

 

 頭がいてぇ

 

 何も伝えらねぇ自分に腹が立つ

 

 わざわざ朝一から

 

 誰もいない朝から調べたってのに

 

 ちくしょうがぁ……!!

 

 

 *****

 

 「ヒィッヒッヒッヒッヒィ……愉快愉快ィ!! ではワレは失礼するであーる」

 モノヤギの言っていることは事実に近い。なぜなら、あのとき江上を突き放したから。

 ……でも何か意図があったとしたら? あのとき橘はなんと言ったか? 江上を押した、あの瞬間、彼はなんと言ったか?

 

 

 

  『だったら思い出させてやるよ!!』

 

 

 

 まさか橘は私たちの知らない情報をたくさん持っている? それなら、今モノヤギによって……どう表現すべきか……制限? 抑制? どちらでもいい。どちらにせよ、そういうことで口に出すことを抑えつけられたのなら説明がいく。

 「くそったれがぁ……」

 悪態をつくのも無理はない。しかしそれでも彼のやっていることは少し強引過ぎる気もしている。

 「はあ……ちょっとだけ……僕たちの記憶に関することが疑問として浮かんだ気がする」

 溜め息つきながら首に手を当て国門は私たちに近づいた。

 「なーんなんだい? それは」

 「説明するよ」

 

 *****

 

 「まずこの資料を眺めて欲しい」

 カフェで取ってきたであろう資料がテーブルに広げられる。

 「これは……」

 「これ、希望ヶ峰学園の雑誌?」

 「そう。で、これを見たあとに君たちはなにか不思議に思わないか?」

 不思議に思う箇所……さっきも彼はいっていたが私たちの記憶がおかしいと言っていた。しかし全くわからない……

 「国門(イッツー)の言いたいことわかったかも……」

 「本当か!?」

 「多分だから、そこ注意。でも私の想定する中だと、不思議なのは雑誌じゃない。不思議なのは私たちの記憶のほう」

 「やっぱりそう思うか」

 「うん」

 「ワタシもわかったかも……」

 渡良部と阪本は何かに勘づいたようだ。国門と同じ意見で。

 「ねえ、希望ヶ峰学園に入学するって決まったらみんなどうする?」

 「そりゃあ希望ヶ峰学園について調べるじゃろ」

 「ええ。下調べなしに来るのは不安もありますから」

 確かにそうだ。私も調べて希望ヶ峰に入学したから。別に何も不思議ではないはずだ

 「そう、今の灰垣(ロン)金室(イッパツ)の反応が普通。けど、ここからが本題」

 「もし下調べしたなら希望ヶ峰学園のことだから超高校級の才能を持った人の名前を載せているから誰が入学するのか把握できると思う。じゃあ最初にここで出会ったときに、みんなはどう感じたの?」

 最初に会ったとき……確か……

 「『こんな人がいるのか』みたいな感じだったかな。『見た目からは想像もつかない』とか……」

 「『この人こんな才能持っているんだ』とかも考えたかも」

 「……それが、どういうことかわからないか?」

 どういうこと……か……? …………待てよ……

 「なんで下調べしたはずなのに、何で相手のこと何も知らなかったんだ? あれ、見たよね? あれ……待って……見たっけ……???」

 「確かに……特徴的な人なら『あなたがあの才能の人ね』みたいになってもおかしくないわ」

 「けどそれが自己紹介時点でなかった。誰も不思議に思わず自然と受け流されていたんだ」

 「まさか俺たちの記憶のほとんどが失われているってこと? 家族とか過去とかの記憶の一部を残して?」

 「少なくとも僕はそう考えている。現に今ダグラスの言った事件、僕は知っていてもおかしくないはず。にも関わらず覚えていない。今聞いて初めてあったかもしれないっていう程度になった」

 確かに三人のような疑問点に納得がいく。では一体なぜモノヤギは私たちの記憶を消したのかにも疑問かいくが、コロシアイさせるために余計な記憶を消したと考えれば不思議ではないかも知れない。

 「ではもう一つ気になる点とは?」

 「え?」

 「いえ、先ほど国門殿は『まず』と切り出しておられましたので、まだ何か話すことがあるのかと存じまして」

 わお、よく人の話を聴いているなぁ。思考が追い付かないや。

 「言ったな。で、もう一つ気になることは……これも記憶についてだ」

 「どういう感じじゃ?」

 「橘、君はなぜ江上の肩を押して思い出させることができたんだ?」

 「…………」

 「それだけじゃない、宮原。君も同じでなぜ江上が名を呼ぼうとしていた。けど呼べなかった。なんでだ?」

 「確かにそれは考えたよ」

 「それと今のダグラスも同じ……そうだろ?」

 「Yes. 」

 「また全員に共通して……モノヤギからコロシアイの動機としてもらった一枚の写真。これは僕たちの記憶を取り戻した要因になっている。そして記憶が戻る際にほぼ必ず起きるのが頭痛。頭痛が起きることによって記憶を取り戻すことができる、それは誰かの行動や発言が元になっておきている」

 「でもなーんでそうなるのかな?」

 「可能性としては、記憶を少しずつ取り戻させることで、僕たちの外に出たい欲求を膨らませてコロシアイを起こそうとしているというところだと。確証はない」

 「十中八九そうだろ。コロシアイ生活の中だからこそその理由が成り立つ」

 「でも一応いっておくと、必ずしも頭痛で引き戻されるとは限らない。今までたまたま頭痛になづた直後に記憶を取り戻しただけかも知れないから。そして僕の中で今最悪のケースが脳裏を過っている」

 「…………というと?」

 「今の僕たちが僕たちでないこと。今の僕たちの姿が本来の僕たちの姿でないこと」

 自分が自分でない。それはつまり……つまり……あれ、どういうことだ?

 「謎はまだまだあるってことかぁ……」

 二つの不思議な点、疑問点。これらは一体これから、どう私たちの行動に作用していくのか。

 ああ頭の中がごちゃごちゃしている。考えるのが面倒になってきた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ……

 

 

 

 

 おか……しいな…………

 

 

 

 

 

 体……熱いや…………

 

 

 

 

 

 …………目眩もする……

 

 

 

 

 

 

 …………視界が……

 

 

 

 

 

 

 ……………ぼやけ…………て…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 朝の時点ですでにみんなの調子は悪そうだったが、特にあいつは二階で会ったときから、そうとう疲れたような雰囲気があった。タバコのにおいに刺激されたのか、あるいはその前からなのか、理由はわからないが。今の今まで無理して笑顔を作っていたような気がした。無意識なら余計にたちが悪いが。

 いつも誰かのボケにすぐさま反応してキレのあるツッコミを入れて、それは俺たちにとってもある意味平和の象徴といってもいいくらいだった。まあコロシアイは起きてしまっているが。けどそれでもだ。俺たちにとっては大事な存在だ。仲間として。

 そいつが今、一瞬ふらついた気がした。立ち眩みかと思った。が、よく見れば少し顔が赤い。今にも倒れそうだ。

 体が勝手に動いていた。俺はとっさにその人のところまで行った。そしてあいつは案の定倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドサッ……

 

 「おっと!?」

 「な、直樹さん!?」

 「直樹!?」

 突然倒れた直樹を俺は間一髪で抱き抱える。

 「はぁ……はぁ……はぁ……」

 息が荒い……手をデコに当てれば熱がある。汗もダラダラかいている。ホントにバカなことを。まあ俺たちが無理させすぎたのかもしれないから責めるのも違うな。

 「熱あるな。ったく無理するな。今日はゆっくり休め。あとはまかせな」

 「ご、ごめん……」

 「謝るな。むしろこっちこそ無茶させすぎた」

 「じ、自分で歩く…………」

 「バカ言うな。また倒れられても困る。運んでやるから大人しくしてな」

 まあ状態が状態だからお姫様抱っこになるのは許して欲しいが。

 「巡間、医務室に連れて行くぞ」

 「ああ。私も直樹くんの容態をしっかり確認しておきたいから」

 「わたくしは直樹殿のために別で昼食を用意致しましょう」

 「玉柏(ツモ)、あとで呼んで。私もそっち行く」

 「了解」

 個室以外の故意の就寝を禁止しているこのマンションで今ここで直樹に寝られたら困る。負担を掛けないようにかつ、なるべく急いで医務室に運ぶことに。

 

 *****

 

 

 ピピピピ!!!! ピピピピ!!!!

 

 

 「はい……」

 「ん……」

 「……はぁ……はぁ…………」

 「熱計り終えたんだからもう起き上がらなくていい。寝ときな。…………巡間、どうだ?」

 「37度4分……ふむ、ここでの生活がストレスとなっていたのだろう。熱は高いが少し休めば大丈夫、けど今日は安静だ」

 「そうか。それならよかった」

 「ホント……ごめん……」

 「だから謝るなって」

 医務室で直樹を寝かせ、濡れたタオルをデコに当ててやる。やはり今までのストレスが溜まっていたか。……昨日は鷹山と江上の死に直面している。体調がうまくコントロールできなくなっても不思議じゃないか

 「玉柏くん、少し待っていてくれないか。一応薬学室のほうからいい風邪薬取ってくる。なにかあったら電話してほしい」

 「了解。行ってこい」

 いなくなるのを眺めてから再び直樹のほうに向き直る。

 「具合は?」

 「さっきよりは少し……でもちょっと暑いかな……」

 「脇下にタオル挟めるか?」

 「お願い……」

 「んじゃ失礼、ちょっとだけ腕挙げろ」

 タオルを挟めてまた布団をかけてやる。気持ちよさそうにまぶたを閉じ、ゆっくりと息をする。今までの直樹とは多い違いだな。

 「気持ちいい……」

 「そうか、よかった。しばらくはここにいるから、何かあったら言えな?」

 「うん、ありがとう……」

 テンションに大きく差があるから、ちょっと調子狂うな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      『いつもありがとう』

 

  『無理して倒れられるのは勘弁だぞ~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 !?!?!?!?

 「ど、どうしたの?」

 「えいや、なんでもない……」

 なんだ、今のは……フラッシュバックか? 仮面で顔の一部を隠したあいつらは何者だ? 俺はどこにいた? どこに?

 「……そっちも、無理しちゃダメだから……ね?」

 病人に言われると重みが……けど事実、無理し過ぎで倒れるのは俺からも願い下げだ。早く俺の記憶を取り戻したい、取り戻さなければならない。検討は付いている。部屋にあった「アレ」。間違いなく俺の才能に関わる重要なブツ…………ん?

 いやもう考えるのはやめにしよう。ちょっと本取るか……

 「……どこいくの?」

 「ん? いや、ここの本を取るだけだぞ?」

 「そっか……」

 「もしかしていなくなると思ったのか?」

 「……そう……かもしれない……自分でもわからないや……」

 

 *****

 

 

 

 『自分でもわからない』

 

 

 

 『けど、貴方にいなくなられたら困る』

 

 

 

 『ボクたちにとって大切な存在だから』

 

 

 

 *****

 

 ……っ……またか。また……けど、なんというか……

 「そろそろ眠気がキツいや……」

 直樹は似てるのかなと、見た目は明らかに違うが俺の隠された記憶にいるあいつと……

 「なら寝とけよ。まだいるから。ここでの就寝は禁止されてないって校則に更新されているし、安心して寝な、な?」

 「うん、ありがと……おやすみ……」

 「おやすみ」

 

 

 いつもありがとう。お前が元気であるだけで、俺たちは救われるから。俺自身は救われている気になっているだけかもしれないが。どうか明日は元気でいてくれ。

 

 *****

 

 スースーと寝息を立てながら直樹は眠りにつき、俺は医務室の本を読み漁る。そこで『森の恐怖』についての文献を見つけた。

 ……ダグラスが言っていた断片的な内容が載っていた。生存者97人、うちの軽傷11人、重傷86人、死者564人、か。結構な人数いたんだな……計661人。誰一人無事では済まなかったのか……

 他にも『幸福万歳』を謳う死神のような殺人鬼や謎の三人組の文献も載っている。随分と物騒な記事。

 幸福を謳う者は多種多様な殺し方をしている連続殺人鬼。現場には必ず『幸福万歳』という文字が残されるためその殺人鬼は『地獄の幸福者』と呼ばれている。

 謎の三人組は仮面とマントで身を包み夜の街を駆ける者たちらしい。らしいというのは記事の内容が少なすぎるから。

 

 

 

 ガチャッ

 

 

 「遅くなった」

 「直樹(トン)~起きてる~?」

 「シー、今寝てるんだ。少し静かに」

 巡間が戻り渡良部が直樹用の昼食を持ってきた。でも渡良部、病人いるから大きな声を出すなよ。

 「おっとごめん」

 「失礼。薬はここに置いておく。食後に飲むように言ってもらえるか? 私はまた少し薬学室へ行く用事があるから」

 「わかった。渡良部も直樹の食事運びありがとう」

 「当然のこと。ていうかそろそろあんたも自由にしたら? 交代するよ」

 「そうだな。んじゃあとは任せることにする。起きたらお前と交代したって言っておいてくれな」

 「了解」

 本を本棚にしまい巡間と医務室を出る。それから別れて外に行く。

 

 

 噴水近くのベンチに座りポケットからタバコとライターを取り出して火を着ける。吸って吐き出して、煙に巻かれながらぼんやり空を見上げる。

 

 

 

 ああ高いところに行きたい

 

 

 屋上からの眺めは最高だろうな

 

 

 夜ならもっと最高だろうな

 

 

 まだ昼間だっての

 

 

 アホなことを考えるな

 

 

 ……………………

 

 

 駆けたい

 

 

 風に吹かれながら

 

 

 ……………………

 

 

 なぜ駆けたいなんて思った?

 

 

 無意識だった

 

 

 俺の才能…………

 

 

 …………まさか……

 

 

 俺の検討通りか……?

 

 

 こいつを見ることを俺の頭が拒んでいるのも

 

 

 俺の才能が隠されているからなのか?

 

 

 だとしたらいつ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    この包帯を解くことができる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          to be continue……

 

 

 

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