表裏ダンガンロンパ ~共通とすれ違いの物語~   作:炎天水海

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第二章 非日常編 見定め7部屋目

 注意 

 

 これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。 

 本編とは異なる設定が多々あります。 

 あと主の文才は期待しないでください。 

 

 それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。 

 

 補足 

 渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。 

 例:直樹→ 直樹(トン)

 他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。 

 なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学級裁判、再開

 

 

 

 

 

 

 

 

 トリック説明のために私は橘から借りた道具を使って説明を始める。

 直樹「まず始めにスプーンを空の瓶に入れる」

 カランと軽い音が響く。

 直樹「次に砂糖を今のやつの中に入れる」

 瓶の半分程度まで入れる。

 直樹「入れたら今度は毒、今回はコーヒー豆を入れる。これで完成だよ」

 一見してみればただの二層の瓶。

 矢崎「? それが砂糖だけを取り出すトリック?」

 国門「……ああ、そうかそうか。見たことあるなぁそれ」

 阪本「ていうか見たばっかりなんじゃない?」

 そう見たばかりなんだ。

 直樹「この状態だとわからないかも知れない。けれど中身を下からスプーンで掬うようにしたらどうなると思う?」

 湊川「それは、砂糖も毒も一緒に取れるでしょ」

 灰垣「わしもそう思っとったが」

 みんなそうだろうという風に言ったり頷いたり。私は下からスプーンを掬った。

 

 

 

 

 

 

 すると……

 

 

 渡良部「えっ!?」

 金室「っ!!!?」

 近衛「なんと……」

 スプーンの上にはコーヒー豆は一粒もなく、砂糖だけが取り出された。みんなが驚き目を丸くした。

 渡良部「なに!? 何したの!?!?」

 何をしたもなにも掬っただけだよ。

 直樹「さっき見せた状態で下から掬おうとすると砂糖だけが取り出せる。下に砂糖を入れて置くことで上に入れた毒を一度だけ回避することが出来るんだ!!」

 ダグラス「だ、だけどミス直樹!! そんなトリック普通浮かばない!! 一体どうやって……」

 そう浮かばない(・・・・・)。けど所詮浮かばない(・・・・・)だけ。浮かばなくてもこのトリックを扱えるチャンスはあったんだ。

 直樹「普通は(・・・)ね。でも、巡間くんなら見覚えがあるんじゃないかな。あのときさらっと教えてくれたよね。私は覗いた程度だったけれどちゃんとその方法も文章で書かれていたし」

 巡間は一瞬どのときだと悩んだけれどすぐに思い出してくれたようだ。右手が少し踊ったが裁判席について、左手はデコに当てる。

 巡間「Ⅱ棟開放のとき、薬学室にいたときか。薬学書にあった物騒なところを読んでいたんだ」

 湊川「薬学書に物騒なこと書いてあるの???」

 私と同じツッコミしてる。

 直樹「書いてあったんだよ。みんながこのトリックを使える可能性は充分あった。それに、このトリックを使ったとき砂糖だけを取れるのは一度だけ……今やったこの一回だけなんだ」

 瓶に砂糖を入れて上から掬えばコーヒー豆が混じった。またそれを戻して今度は下から掬おうとしたけれど、またコーヒー豆が混じる。こんな風にとみんなを見る。

 金室「そんなトリックがあったのですね……これは毒殺するのも手順さえ違えなければ容易なものに……」

 直樹「あと橘くんも多分だけど無意識化でこのトリックを使っていたんだ」

 橘「は?」

 隣で睨まないで。

 直樹「お菓子作ってたでしょ。そのときに今のやり方でやっていたコーヒーと砂糖を混ぜていた」

 橘「…………そうだったか」

 間近でこれを見ていた私と国門と阪本も特にわかる。二人もそれに気づいていたみたいだし。

 玉柏「ま、この砂糖だけを取り出すトリック、犯人は毒を掬わずに済むよな。犯人が自ら行った行為だろうな」

 そしてそれを自分のやつに入れて、二回目の毒入りを宮原に出せば犯人は毒を受け取らない。

 国門「けどよぉ?」

 国門がまた口を開く。

 国門「仮にそのトリックが失敗したらどうするんだ? そんなことになったら本末転倒だぜ?」

 矢崎「例えば?」

 国門「下から掬うのに失敗して毒まで取り出したとか。誤って砂糖を瓶に入れてそれだけを取り出せなくなったとか」

 有り得なくはない話だけれど、実は些細な証拠がその可能性を低くしている。

 国門「それにある意味ハイリスクなことをしなくても良かったんじゃあねぇかぁ?」

 ハイリスクじゃなければこのトリックは成り立たない。犯人はその不安もあったはず。

 直樹「そう。これはハイリスクなトリック。自分に毒が入るかも知れないっていう恐怖と不安でいっぱいなはずだった。けれど、それをある保険をかけることで少しでも逃れようとしたんだ」

 ダグラス「保険?」

 なぜ普通のやつにしなかったのか。その謎を解く鍵がまさかここにあったなんて。

 直樹「『計量スプーン』だよ。小さじの二つの計量スプーン」

 国門「はぁ!?」

 近衛「もしや砂糖に混じったかもしれない毒を取り除く手段のために計量スプーンを用いることで、すりきりの砂糖を取ったということでございますか?」

 直樹「そう。下の砂糖の層にスプーンは埋もれているわけだからね。すりきりなら確実に砂糖を取り出せるって思ったんだよ」

 不自然にスプーンが4つあったのはそのせい。

 ダグラス「けど本当になんで」

 玉柏「裁判で解けなくさせるためなんじゃないか。トリック自体、ここをよく調べればわかる内容。だが内容がマニアックな上に見る人間は限られる。特に毒物なんて化学を取り扱うか巡間みたいな医療関係かぐらいしかいないだろ」

 渡良部「ふーん。なら巡間(ホンイツ)確実に犯人から外される(・・・・・・・・・・・)んだ」

 灰垣「え?」

 渡良部「え?」

 何か変なこと言った? みたいな反応してる。けど確かにそう考えれば巡間は違うか

 灰垣「なんで巡間は犯人から外されるんじゃ?」

 渡良部「極度の料理音痴だから」

 橘「料理音痴? それ本当なのかよ医者」

 巡間「……恥ずかしながらそうだ。私は料理が人一倍苦手……いや苦手以前の問題だ。何か料理をしようとすれば食堂厨房爆発四散なんて夢じゃないから」

 ナニソレユメニモミタクナイ。事故ってレベルじゃないよそれ。

 直樹「前聞いてた話だけど本当なんだね……確かよっぽどのことがないと厨房には行かないんだっけ」

 巡間「ああ。それに私はここに来てから一度足りとも厨房には入っていない。もっと言えばⅠ棟の休憩スペースのカウンターのところやカフェの裏(シンク側)にも入ったことがない」

 確かにその様子は私も見たことがない。

 近衛「ひとまず、これで一人の容疑は晴れたと認識して良いわけでございますね」

 あれ、待てよ

 直樹「……でも、もしかしてこのままじゃ犯人に近づく手掛かりってもうないんじゃ……」

 湊川「ええ!?」

 そうだ。今ある、わかっている証拠だけでは犯人に到底近づけやしない。

 玉柏「なら一度みんなの行動を取り上げてみたらどうだ? これなら少しでも犯人に近づけるかも知れないだろ」

 !! そうか。行動から推理すればいいんだ。ナイス玉柏。

 直樹「……それじゃあ。少しずつ、直訳していこうか」

 そのまま訳したほうが答えは出るかもしれないから。そこから推理すればいい。灰垣の証言と電子生徒手帳の時間とを合わせればなんとかいけるはずだ。

 直樹「まず朝はみんな食堂にいた。だよね」

 全員が頷いた。まあ周知の事実だけれど。確認はしておいて損はない。

 灰垣「わしは食堂に居った。ほぼ瞑想か電子生徒手帳を眺めていた。9:30から30分ほど近衛が食堂におったぞ。死亡推定時刻時点で近衛、渡良部、ダグラスが食堂に来ておったわい。それにここの三人はⅡ棟のカフェにいたと言っていたな」

 ダグラス「ミス湊川とカフェで話していたのさ。そのあとにミスター近衛と合流。Twelve o’clock には食堂さ」

 近衛「わたくしは食堂にいく前にランドリーで洗濯を済ませておりました。食堂から倉庫へ向かい、そこで賞味期限などのチェックをしておりましたところ宮原殿とお会いしましたね。少々お話を。その後はすぐにカフェへ向かいましたので」

 湊川「そうね。11:00ちょっと過ぎた頃に近衛くんが来たわ」

 証言を聞く限りこの四人に犯行はできないな。

 直樹「なるほど……私は国門と売店で話をして、そのあと物理室で湊川さんと、それから連行されて渡良部さんと話してた。あとは食堂で過ごしていたよ」

 渡良部「Ⅰ棟の個室だからね」

 国門「宮原にはお前と話し終えた少しあとに会ったぜ。布を持っていってたよ」

 布? 何に使う予定だったんだろ。まあ彼のことだし

 湊川「宮原くんは午前中部屋で何か作ろうとしていたみたいよ。多分それの材料だと思うわ」

 橘「なんでんなもん知ってんだ」

 湊川「朝食終わりにすぐ聞いたのよ。そのときにお昼に遅れるって話も聞いたわ」

 近衛「お昼の遅れについてはわたくしも存じ上げております。先ほど申し上げた倉庫でお会いしたときにでございますね」

 矢崎「あたいも売店に寄って国門くんにあったよ。植物図鑑をとって、そのあとは植物庭園にずぅーっといたよ」

 金室「うちはお茶をⅠ棟の二回で飲んでました。そうしているうちに国門くんがやってきましたね。死体発見のアナウンスがなるまで一緒でしたよ」

 国門いろんな人と会いすぎでは。

 国門「んまあ、そうだ。俺たちはお互いが犯人じゃあねぇって言える証人だぜ」

 けど犯人ではなさそう。

 橘「砂糖がそこで無くなっているのに気づいたのもそんときなのかよ」

 金室「ええ。全くありませんでした」

 阪本「ワタシは美術室2に寄ったあとはほとんど外にいた。玉柏が木の上で寝ているのを見てたよ」

 玉柏「寝ていたとは言えど、何回か外の出入りは見ていたからな? 矢崎は知らなかったが。宮原、阪本、渡良部、直樹、橘、巡間だな。それとカフェに行ってたやつら(近衛たち)も。ダグラス、橘、宮原は一回、それ以外はみんな二回ずつ見ていたな。んでその三人がⅠ棟に行ったのをみた途端に木から落ちた」

 最初から木の上で寝るなよ

 ダグラス「ミーたちもミスター玉柏が木の上にいるのは見たよ」

 湊川「というか、あのときドサッて音したのってあなたが落ちたときの音だったのね……」

 巡間「私は化学室にいた。11:00ちょっと前に一度美術室1のほうで彫刻を眺めてからまた化学室に戻ったよ」

 橘「俺は最初議論された通りだ。11:30に風呂場だ」

 これで全員の証言は聞いた。けれどこの中に犯人がいるという推理をうまくできない。どこにヒントがあるんだろう。どこにあるんだ……?

 玉柏「直樹」

 ふと玉柏に声を掛けられた。

 直樹「玉柏くん?」

 玉柏「今俺はおかしな発言をしたのに気付かなかったか?」

 ん? 玉柏くんの証言におかしなところが?

 玉柏「もう一度言おうか? いやお前ならわかるだろ」

 …………玉柏の証言を振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『寝ていたとは言えど、何回か外の出入りは見ていたからな? 矢崎は知らなかったが。宮原、阪本、渡良部、直樹、橘、巡間だな。それとカフェに行ってたやつら(近衛たち)も。ダグラス、橘、宮原は一回、それ以外はみんな二回ずつ見ていたな。んでそいつらがⅠ棟に行ったのをみた途端に木から落ちた』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『宮原、阪本、渡良部、直樹、橘、巡間だな。それとカフェに行ってたやつ(近衛たち)もな。ダグラス、橘、宮原は一回、それ以外はみんな二回ずつ見ていたな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ダグラス、橘、宮原は一回(・・・・・・・・・・・・)それ以外はみんな二回ずつ見ていたな(・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………わかったよ。おかしなところ

 

 

 

 そして、犯人だって示すものであることも

 

 

 

 

 

 直樹「……犯人、わかったよ」

 金室「本当ですか?」

 近衛「玉柏殿は自身の証言におかしな点があるとおっしゃっておりましたが、何もおかしな点などなかったように存じますが……」

 直樹「…………信じたくないよ……」

 矢崎「? 直樹ちゃん?」

 

 

 本当に、信じたくないんだ。だってあなたはそんな人じゃないじゃん。そんなことするなんて、彼に殺意を持つだなんて思えないんだもの。

 

 

 

 

 だからお願い

 

 

 嘘だと信じた上で示させて

 

 

 ゆっくりその人の方を向いて

 

 

 もはや残酷にしか聞こえぬ宣言をする

 

 

 

 

 

 直樹「……今回の事件の犯人。阪本さん、あなたじゃない?」

 シーンと静まる裁判場。私と阪本の目と目が合う。

 阪本「…………えっ。どうしたの直樹? ワタシが犯人ってそんなわけ……」

 直樹「阪本さん。玉柏くんね、今はっきり言ったんだよ……|ダグラスくんと橘くんと宮原くん以外二回見ている《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》って」

 阪本「そ、それがどうしたって…………っ!!」

 直樹「美術室に行った後あなたは外にいたって証言した!! けど、玉柏くんが阪本さんを二回見たって言うのは仮にたまたまだったとしてもあまりにもおかしい!!」

 そう。おかしいんだ。……おかしいんだ……外にいたなら阪本さんは誰かの出入りを見ているはず。それに

 ダグラス「い、一体何が」

 直樹「阪本さんがほとんど外にいたなら、玉柏くんは何度も彼女を見ているはずなんだ。けれど二回しか見ていないってどういうことなのかな? 美術室2にいたから? いやずっとはいない。灰垣くん、美術室2のライトがついたのはいつか言ってもらっていい?」

 灰垣「そこは8:45~10:00までついておったな。それからは一度もついてない。蛇足ついでに、美術室の1のほうは巡間の言う通りじゃった。そこは五分で消えすぐに化学室のほうがついたぞ」

 その蛇足とても蛇足じゃないむしろありがたい。

 直樹「だから、あなたは実際外にいなかった。履歴にはその15分後に生物室のライトが付いていた。そのしばらく後に薬学室のライトが宮原くんと会う直前まで付いていたんだ。もしかして、これはみんなあなたが付けたものなんじゃないかな」

 阪本が片腕を抑えて震える。

 阪本「……違う。ワタシじゃ……ない……っ!! 誰かが他の誰かが……!! それに玉柏が犯人の可能性だってあるじゃん!!」

 直樹「それはないよ。まず誰かが付けた可能性、履歴から考えればⅡ棟にいる人たちはみんなそれは不可能だし、特に薬学室に関してはこのときちょうど玉柏くんが、風呂場に行こうとしている橘くんを目撃しているはずなんだ。それに12:00に玉柏くんは近衛くんたちを見たあとに木から落ちて腰を打ってる。湊川さんがそれを証言してくれたし、巡間くんも玉柏くんの容態を充分理解している。犯行に及ぶのは至難だと思うよ」

 玉柏「正直今も結構痛い」

 おい。椅子用意してやれよ

 阪本「……巡間が犯人から外れるっていうのも、理解できない。巡間は砂糖を取るだけならその場を四散させるなんてことはないはず……!!」

 巡間がもはや料理関係の場を四散させる前提になってるよ。

 巡間「12:15、私は化学室からⅡ棟から出ようとした。そしてこの時間風呂場からドライヤーの音が聞こえた」

 阪本「!!」

 橘「んだよてめぇ最初から証言しろや。そうだ。俺はその時間からドライヤーを使い始めた。結局乾き切らなかったがドライヤーを使っている間は何もできねぇんだよ。中途半端に乾いているのも何よりの証拠だろうが」

 玉柏「俺が巡間を見たのもだいたいその時間だ」

 阪本の額から冷や汗が流れる。不安と恐怖にまみれた。…………けれど、なぜかそれだけじゃない気がする。何か苦しんでいるような……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 湊川「阪本さんが犯人なわけないじゃないっ!!!!」

 目の前の湊川がうつむきながら叫んだ。

 湊川「直樹さん。阪本さんは犯人なんかじゃないわ!! だって……モノヤギはあのとき言っていたじゃないっ!!」

 っ!! しまった、忘れていた。

 湊川「『死体発見アナウンスが鳴る条件はクロ以外の三人以上が死体を目撃したとき』って!! 阪本さんは……見ているじゃない!! 死んでしまった宮原くんを……!!」

 これじゃあ、ダメだ。阪本はあのとき宮原を目撃しているしそのときにアナウンスが鳴っている。犯人が別の人ってことになるじゃないか。

 橘「いやちげぇな。藍染め職人は犯人だ」

 しかしそれを橘が冷淡に反論する。

 湊川「っ!! なんでよ!! あなただって……あの場にいたじゃない!!」

 橘「居たからわかんだよバカ野郎っ!! あのとき先に入ったのは藍染め職人、そん次に貿易商、そしてバレー部だ。多少の誤差すら見逃さねぇって言ったあのレイヤーギが、あいつが大工を目撃した時点でアナウンスは鳴ってねぇとおかしいだろうがよっ!!」

 言っていた。確かに言っていた……それに

 直樹「阪本さん。言っておくけれど、橘くんが犯人なら巡間くんの証言の説明がつかないし、私はずっと『渡良部さんと一緒だった(・・・・・・・・・・)』んだよ。それに湊川さんも近衛くんとダグラスくんとずっといたんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。」

 阪本「う、うそ……」

 直樹「……ねえ阪本さん、あなたはまだ犯人じゃないって言えるの(・・・・・・・・・・・・)?」

 阪本は歯を喰いしばる。これでいけるか

 

 

 「ふふ」

 不適に笑う声一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 国門「ふはははははは!!!!」

 国門が高らかに大声で笑っていた。

 渡良部「な、何がおかしいの!? 何であんたがそんな」

 国門「おかしなところだらけでねぇ? 犯人が阪本と決めるにはまだまだはえぇんだぜ」

 不気味に笑いこちらを見てきた。何かついてくる気だ。

 国門「直樹と阪本と湊川と灰垣は死体を見たときの誤差はあるにしても、だ。ほぼ同時に目撃してちゃあわかるもんもわからねぇ。意味ねぇぜ。それにお前らはまだある可能性を消している」

 ある可能性?

 国門「自殺した(・・・・)なんて線はどうよ? 今までの推理も何もかも違う。実は宮原が自らの命を絶った!! どうだ? これを覆せるような推理があるのか!? ええ!?」

 ほんっとに盲点を突くのがうまい。自殺の線。そうだ。

 宮原の死因は中毒死。毒によるもの。毒なら自分から含めれば誰にも知られずに死ぬことができる。あのトリックも手紙もフェイクにすればいいだけ。それに第一発見者である橘、彼が宮原を殴ったとしたらあの現場も納得がいく…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けどね。今自分の持っているあのコトダマを使うときがようやくきたよ。

 玉柏「直樹」

 直樹「うん」

 落ち着け。一つ深呼吸だ。

 

 

 

 そして

 

 

 

 

 直樹「その訳は通じない!!!!」

 

 

 

 

 

 

 論破する。その訳は間違いだと

 

 

 

 

 

 直樹「……阪本さん。私ね、ずっと気になっていたんだ。宮原くんはいつも自分のポーチを持ち歩いていた。……けど彼の死体にはそれがなかったんだ。じゃあどこにあるのかな?」

 阪本「!!」

 今回の場合、江上のときと違って持ち歩いているってことはない。だからそれ以外。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直樹「美術室に、釜に投げたんだよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 阪本「ッッッッ!?!?!?」

 直樹「美術室は阪本さん、あなたが捜査をしていた!! そのとき美術室に投げたポーチを藍染めの釜にいれた!! そのとき釜の中のあ藍が飛び散った……そうじゃない? これなら……真新しい藍染めによる床の汚れも説明できるよ」

 国門「ぐっ……」

 国門も反論してこない。真新しいということはつまり阪本がいた時間ではそれは無理があるということ。

 矢崎「ん? けど宮原くんの死んだ時刻の間に美術室にライトはついてないよね? どうやってポーチを美術室に投げたって言えるんだい?」

 直樹「今言った通り。投げたんだよ。ライトがつく条件はその部屋に人が入ったとき。外側から投げたならライトはつかないってことなんだよ」

 阪本「…………」

 そういう意味では阪本さんも盲点をよく突いてたも思うけれど……でもこれで、終わりかな。

 湊川「……っそれでも!! 阪本さんがそんなことするなんて……私は信じたくない!! 嘘よっ、こんなの全部嘘なのよ!!」

 けど湊川が今もなお反論してくる。もう私にはコトダマなんて残っていない。このまま意表を突かれたらもうどうすることも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 阪本「………………認めるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 湊川「えっ……? な、何言ってるのよ……嘘、よね……? 阪本さん……うそだよね……?」

 ゆっくり阪本は首を……横に振った。

 阪本「嘘じゃない。今回の犯人はワタシしか有り得ない……」

 湊川「そんっ……な…………」

 湊川は席で膝をついて無気力となり呆然とした。

 阪本「ごめん。ごめんね…………思い出して…………らいでごめんね…………みんな……」

 何かを呟きながらただただ謝り続ける彼女の、悲しい現実を受け止めることしか私たちは出来なかった。

 玉柏「……これが真実か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モノリュウ文書

 

 事件の真相ファイルその2

 

 これは前日の夜から始まったものだった。お風呂場のゴタゴタの後、宮原は犯人の部屋に小さな手紙を渡していた。それは宮原がゴタゴタで見つけたⅡ棟の秘密の部屋で話がしたいという手紙だった。犯人はこれを自分が殺されるかもしれないと感じた。

 

 

 犯人はそのときから入念な準備をしていた。彼を殺す方法を。このとき犯人は橘のコーヒーと砂糖を混ぜる仕草を思い出していた。それを使えるとも思って宮原を毒殺しようと考えた。

 

 

 翌朝、フリースペースにある砂糖の入った瓶やスプーン4本を盗み取った犯人は、朝食後美術室2で藍染めの確認をしながら犯行の流れをすべて振り返っていた。電子生徒手帳でⅡ棟のみんなの動きを確認しつつ犯人は生物室へと向かった。犯人の計画だと、すぐにトリックを仕掛けるのはリスクがあったからだ。ギリギリの時間までそこに留まり、約束の時間の少し前に犯人は薬学室に入った。

 

 

 ここで犯人はトリックの準備に取りかかった。そこにあった瓶も使って。だが犯人は青酸カリを入れるのに失敗し溢してしまった。それに犯人は気付いたはずだったが、おそらく時間が近づいてしまったのだろう。溢れてしまった青酸カリを犯人はそのままにせざるを得なくなった。使用した薬学室にあったスプーンを適当に投げてその場から離れた。

 

 

 約束の時間、犯人は手紙通り宮原と合流し秘密の部屋へと入った。お湯を沸かしている間適当に話していたりしていた。お湯が沸いて紅茶を入れるとき、犯人は自分の紅茶スプーンで砂糖のみを取った。計量スプーンを使って擦りきりにするという保険をつけて。そして宮原も砂糖を求めてきた。犯人はそのまま毒入り砂糖の入った紅茶を宮原に出したのだ。

 

 

 青酸カリは即効性の毒物。宮原はそれを飲み込んだ瞬間悶え苦しみ始めた。犯人はその様子に動揺した。自分自身が殺人を犯すということ今まさに行ったのだから。犯人は近くにあったやかんで宮原を殴った。中にあったお湯の重みで傷を深くさせたのだろう。宮原はそれで死ぬことはなかったが彼はソファに寝転んでそのまま息を引き取った。

 

 

 その様子を見た犯人はとあることに気づいてしまった。しかし後戻りは出来なかった。犯人はあの部屋がライトが付かないことをわかっていたのと他にいるみんなが降りてきて自分の行った殺人を悟られるかも知れないと感じたためその場に留まった。毒入り砂糖の瓶の蓋を閉めて二次災害を防ぎ、頃合いを見て犯人はその場から立ち去った。

 

 

 だが犯人はひどく怯えてしまった。そしてその怯えとみんなの予想外の行動パターンが計画のミスを浮かび上がらせることになってしまった。その一つがあの部屋の扉だ。犯人はそこから出るときそこを開けっ放しにしてしまった。それを風呂から上がってきた橘にすぐに気づかれるとは思わなかった。さらに予期せぬ玉柏の質問、死体発見アナウンスのタイミングについても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学級裁判、閉廷

 

 

 

 

 

 

 

 次回

 

 弱震の8部屋目

 

 

 

 




どうもおはこんばんにちは。炎天水海です。
今回の犯人は意外でしたでしょうか? 二章クロ、さる方にかなり気に入っていただいた子なので『あっ』てなってました。推しがいなくなると虚無感に襲われ、さらにリアルにも影響が出る。本当大変ですね(他人事見たく言うなし)
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