表裏ダンガンロンパ ~共通とすれ違いの物語~   作:炎天水海

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 どうもこんにちは、こんばんは、おはようございます。炎天水海です。
 今回の被害者たちのうち、片方は予想出来ていた方が多く、もう一人は「?????」ってなっている方がいらっしゃったようで。基本的に嘘はついていないつもりですが、まあなにが起こるかわからないですね。
 分かれ道5部屋目です。発想力、大事ですからね。ちなみに裁判自体は書き終えています。やはり、今まで以上にしんどみが高いです。地味な二章とは比べ物にならない。書いててしんどくなってました。




第三章 非日常編 分かれ道5部屋目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ______

 

 

 

 

 

 「翻訳家っ!!」

 

 「!!」

 

 「俺は……てめぇらの、仲間でいられてるか……?」

 

 「……………………当たり前だよ……」

 

 「……っ……わりぃ。変なこと聞いた……」

 

 

 

 

 ______

 

 

 

 

 

 

 ピンポンパンポーン!!

 

 

 

 

 

 『死体が発見されたであーる!! 一定の捜査時間の後ォ、学 級 裁 判 !! を開くであーる!! ヒヒヒ、ヒィァッハッハッハッハッハァ!!!!!!!!』

 

 

 

 自分が仲間であることをずっと気にしていたであろう君がどうして

 

 

 殺されているの?

 

 

 

 *****

 

 

 注意 

 

 これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。 

 本編とは異なる設定が多々あります。 

 あと主の文才は期待しないでください。 

 

 それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。 

 

 補足 

 渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。 

 例:直樹→ 直樹(トン)

 他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。 

 なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。 

 

 

 *****

 

 「ど、どうして……!?」

 「どうしても何もないっ!!」

 国門が怒鳴る。その顔からは怒りが滲み出ていた。

 「お前ぇら、…………なんで二階に来なかったっ!!!? 早ければ……こいつを、助けられたかもしれねぇのに!?」

 「そんなこと言ったってねあんた!? ダグラス(ドラ)が朝からいなくて心配になって、みんなカジノにいるかもって非常階段使って……っ」

 「……まさか運命ダイスか? それが言い訳か!? ふざけるな!! だから言ったんだぞ!! 僕らの隙をついて殺るかもしれないやつが現れるってな!!」

 「そこまでだ」

 ふと聞こえる声に私たちは振り向いた。玉柏だ

 「そんな不毛な争いしてる暇なんてないだろ。他とは違ってここの二階の廊下は狭いし人が集まれば捜査困難なのもわかるだろ。貴重な捜査の時間を無駄にするな」

 「くっそ……どういうことなんだよ……」

 

 

 

 ピンポンパンポーン

 

 

 

 『あァ、オマエラァ!! 一度Ⅲ棟コンサートホール内に集まるであーる!!』

 

 

 

 ブツン

 

 

 

 突然アナウンスが鳴ったかと思えばコンサートホールに集まれとの指示。一体何をする気なんだ。

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 コンサートホールに全員が集まる。全員にダグラスと橘の死を告げると、驚き絶句される。そうだろうなとは思ったけど。特に……橘に関しては。しばらくするとモノヤギやって来た。ダグラスのコスプレである。湊川がそれから目を逸らしていた。

 「揃ってるであーるなァ? では早速説明するであーる!! まずゥ、今回二人の被害者が出てしまったであーるなァ? それについて少し補足するであーる」

 「補足ですか?」

 「今オマエラの電子生徒手帳にィ簡単な表を送ったであーるからそれをよく見てみるであーる」

 よくわからないけどとりあえず見てみる。

 

 

 

 

 

 一番最初に発見された被害者をA、二番目に発見された被害者をBと仮定する

 

 

 ・もしAがB(BがA)に殺され、そのB(A)が別のクロCに殺された場合Cがおしおき

 

 ・AもBもクロのCに殺害されたらCがおしおき

 

 ・AをクロCが、BをクロDがそれぞれ殺害した場合、CとD二人ともおしおき

 

 ・A (B)が二人のクロCとDに同時に殺害された場合、CとDのうち提案もしくは教唆したほうをクロとしておしおき。そしてB(A)がCとDに同時に殺害されたらこちらも提案もしくは教唆したほうがクロ。

 もしB(A)を別のクロEが殺害したらEもおしおきされるし、CとDのどちらか単独で殺害したら殺害したほうがおしおきされる。

 

 

 

 

 随分と複雑だ。けど確かに二人犯人がいるかもしれないんだ……

 「おい、前お前ぇは実行犯がクロとしておしおきされるって言ったぜ? この最後の項目はどうして教唆したら犯人になる? 罪が多くなるからという理由か?」

 「わかってるなら聞かなくてもよかったであーるよォ。今国門が説明した通りの理由であーる」

 罪が多くなるから二人で一人を同時に殺害した場合おしおきされるのは教唆犯なのか……

 「補足はそれぐらいであーる。裁判までに校則に追加しておくであーるからなァ!! そしてこれが今回のモノヤギファイルっ!! 二人被害者がいるからァ二人分あるであーるよォ!! では解散ッ!! 捜査をするであーる!!」

 そういってモノヤギが姿を消した残された私たちはどうするかを決めることに。

 「あの、一つ前提として考えていただかなければならないことがございます」

 近衛がゆっくりと手を挙げる。なんのことだろう。

 「この事件は……二重の密室殺人でございます。コンサートホールに入るとき三階の鍵がかかっており、さらにカジノの鍵もかかっておりました。しかも鍵は未だ行方不明のままでございます……こんなこと出来るわけがないと存じておりましたが、今起きてしまった。これを踏まえた上で少し考えながら捜査していただければ裁判中少しだけ楽になるのではないかと。無理に考えろと言うつもりは到底ございませんので何卒ご協力を……」

 頭を深く下げて私たちに願い出た。二重の密室殺人。そうだこの事件はとても難解なものになる。この密室……犯人はどうやって作りあげたのか……考えなきゃ。少しでも

 「頭をあげるんじゃ近衛。わかっておる。皆で協力して事件を解決に導かねばならん」

 「そうですね。難しい裁判かもしれませんが頑張って乗り越えなければいけませんから」

 「ありがとうございます」

 礼をして、そしてこれからについて話すことになった。

 「私はさっき湊川くんとダグラスくんの検死をしていたからこのまま続けよう」

 「犯人を見つけなきゃいけないもの……ダグラスくんのためにも」

 「あたいは橘くんを見るかい?」

 「いや俺がいく。矢崎は普通に捜査を頼む。国門お前も捜査してくれ」

 「そのつもりだぜ。というか少し落ち着きてぇんだ」

 国門の眉間には今まで以上に皺が寄っている気がした。

 「とりあえずここでのさばっても仕方ないじゃろうて。捜査開始じゃ」

 

 

 ***

 

 

 

      **********

         捜査開始

      **********

 

 

 

 

 「あとからそっち行くよ」

 「わかった。検死終わったら俺もついていくことにしよう」

 さてとまずはファイル確認っと。

 

 

 モノヤギファイル3-1

 

 被害者:超高校級のディーラー「ダグラス・レッドフォード」

 死体発見現場:Ⅲ棟四階カジノ内

 死亡推定時刻:夜中

 死因:頭部を殴られたことによる脳挫滅。即死

 補足:喉に切られた痕あり

 

 

 

 

 脳挫滅? 脳挫傷となんの違いがあるんだろう。それに……夜中って……えっと次に橘くんのファイル……

 

 

 

 モノヤギファイル3-2

 

 被害者:超高校級の杖術家「橘実琴」

 死体発見現場:Ⅲ棟ニ階控え室

 死亡時刻:さっき

 死因:腹部を刺されたことによる大量出血

 補足:刺された場所がやや右より

 

 

 

 

 は? さっき? さっき死んだの? っ国門くんのいう助けられたかもしれないはこのことだったんだ。けどなにこの曖昧な時間。今回の事件は完全に夜中に起きた事件なのか?

 とりあえずざっと見たし、コンサートホールにいるからここから探索しようっと。灰垣が残って捜査していた。

 「直樹よ、ドラムってあんなところにあったか?」

 「え? どこ?」

 「あそこじゃよあそこ」

 灰垣が指差すところは四階に側の扉付近。ホントだ。しかも2つもある。

 「コードもだいぶ乱れておるな。なんのために……ん? あそこに何か見えるぞ……?」

 チラリと席のほうを見た灰垣がなにかを見つけたようだ。

 「目良いね!? なに見つけたの?」

 「行ってみないとわからん」

 そういって見つけたというもののところへといくとそこには真っ二つに折られた棒があった。これってまさか

 「これ巡間くんがビリヤードで使っていたやつだよね?」

 「はぁ……しかしなぜここにおいてあるんじゃ? カジノではなく。巡間がこんなことをするとも思えんし」

 折られた棒……ドラム……んー? なんだろう……

 

 

 ***

 

 

 コンサートホール内の控え室に入ればいろんなものが並べられていた。けどあんまり変わりなさそう……ていうかあんまり見てなかったけど、トンカチとか鋸とかこういうのおいてあるんだなぁ。すぐに道具をどうにかできるようにするためなのかな。ガムテープもおいてるし。きっとそうなんだろう。あれ、なんか、昨日使った包丁とかガスバーナーとかいろいろ足りないような……? 楽器庫も見てみるか……ひえっごちゃごちゃしててわからない。でもめぼしいものは特になさそう。

 

 

 ***

 

 

 コンサートホールを後にして、まずは……二階行こう。玉柏くんが検死をしてくれている。ていうか検死できたのか。

 「玉柏くん、そっちはどう?」

 「ああ。ファイルの情報と一致したな。大量出血……ジャケットを見てみればこんなにも血がついていた」

 そういってそれを少し見せられた。うっとなって少し後退る。

 「見慣れないもんだよな。そりゃ。そうそう、そこに杖あるんだがな、なんでか片方の先端部分しか血ついてないんだ。あと左手には血が一切ついてない」

 「杖……初めて持ったけど意外と重さあるんだ」

 「軽すぎず重すぎずってところだな。しっかし……」

 玉柏の目が少し悲しみに溢れていた。彼はずっと見つめていた。

 「…………この、大バカ野郎が」

 そういってゆっくりと立ち上がった。

 「さてここはもう良いだろう。他探索するか」

 「……うん」

 返事をしたものの何でか素直な気持ちでは思えなかった。橘の死によって、私たちの中にあった緊張感がどこか行ってはいけない方向へと向かっているようで。

 「あでも待って。一応ここの捜査する」

 「わかった」

 といってもなにか変わったことがあるわけでもなさそうなんだよな。……うーん? あれこれって宮原くんのポーチじゃ……中を覗けば釘とかペンチとかドライバーとかいろいろ入ってた。けどなんか金槌見当たらない? 周りを探しても見付からないから誰か使ったままにして戻してないとか? それとも……

 

 

 ***

 

 

 三階をまた通って四階へと向かう。カジノに入るとやっぱりその惨状は凄まじいものだった。

 「これは……ひどくないか……争ったんだなこれは」

 「うん、そうみたい。瓶とかの中身が出てるし割れてるし……」

 「台までこんな倒れてるって……馬鹿力かこれは」

 「さあ……?」

 ひとまず立ち往生するわけにもいかないからその場から離れ

 

 コツッ

 

 ようとしてなんか蹴った。

 「どうした?」

 「何か蹴ったみたいで……あった」

 それは正方形の木だった。少しだけ凸凹しているみたい。

 「台か何かの欠片かな?」

 「さあな。でも欠片にして随分デカイな」

 「そうなんだよね……ってあれ、あそこにもある」

 「? ん、そっちにも2つ」

 4つ? なぜ? とりあえずカーディガンに一つ仕舞っておこう。何かのヒントになるかもしれない。

 検死のほうどうなってるかを確認するために向かうと湊川と渡良部が棚を押さえて巡間が検死をしていた。

 「二人掛りで押さえてるの?」

 「瓶とか台とかのものがごちゃごちゃしちゃったせいで棚が倒れちゃうのよ」

 「一人じゃキツそうだったから渡良部くんを呼んだんだ。悪いな上の捜査してたのに」

 「いいよ別に。ダグラス(ドラ)が死んでツラいのは湊川(シャー)あんただけじゃない。わかってるしょ」

 「うん」

 「そっか。……って玉柏くん?」

 ふと玉柏のほうを見てみると……血の気の引いた顔があった。

 「え、ちょっと!?」

 「っすまん、吐き気が……」

 玉柏!? 止める間もなく玉柏は即座にその場を離れて四階を出た。

 「どうしたんだ一体……」

 「………………たぶん……」

 その先を言おうとして私は口をつぐむ。玉柏にとってあの死体は……きっとトラウマなんだ。言わないほうがいい。

 「ううん、それよりも検死はどう?」

 「ああ。特に目立ったものは見当たらなかった。首には切り傷。ただ左手にこれがあった。あとで三階に行くとき確認してきてくれるか」

 渡されたのは三階札のついた鍵だった。そういえば鍵に札ついてるんだっけ。

 「三階の鍵か……」

 「それとここの鍵もカジノの中央辺りに転がってた。本当にこれは完全密室事件だよ……」

 しかも二重ときたもんだ……

 「そうだ。巡間くん。モノヤギファイルにあったこの脳挫滅って? 脳挫傷と何の違いがあるの?」

 「脳挫滅は別名『頭蓋骨陥没骨折』。頭蓋骨の一部または大部分が粉砕されている。延髄、小脳など、深い部分まで脳が破壊されていることがほとんどなんだ。まず……助からない」

 「そんなっ……」

 「固い鈍器で頭部を殴られて今回は引き起こされたようだ。これは頭部への強力な物理的衝撃引き金となって起こる致命的な重傷なんだ。鈍器になるものはここにたくさんある……未開封の瓶とか……」

 目を逸らしたくなるほど恐ろしい。そんなことが起きたんだって直視するのがつらくなってしまう。

 「……サングラスは?」

 「湊川くんが持ってるよ」

 「少しひびが入っちゃってたけど……忘れたくないから……」

 「そっか……」

 湊川の顔が相当深刻で大丈夫なんて到底思えないし言えもしない。

 「っいった!!」

 「え、渡良部さんどうしたの!?」

 「ごめん、ここ押さえて……右目にゴミ入った……」

 渡良部と交代し棚を支える。意外と重量があるのを改めて知る。右目を擦り痛いといいながら左目で私たちの様子を見る。

 「こら、あまり目を擦ったらダメだ。目のいろんな構造物が影響を受けるし、他にもデメリットばかりなんだぞ」

 「そうなの!? 知らなかったわ……それなら眼帯とか……」

 「眼帯は眼球の保護または湿布をするためのものだから役に立つのか……? 覚えてないな……とりあえず水は近くにないから……瞬きを繰り返しなさい。そのまま涙の洗浄機能で異物を流すんだ」

 「ご、ごめん」

 巡間の指示に従い渡良部は目を瞬きし始める。

 「あと眼帯のことなんだが、なぜか眼帯は医務室にないんだよ」

 医務室なのに道具が揃ってないのか。これ如何に。

 「よし。あと変わるから。あ、上の捜査途中だからいい?」

 「わかったよ」

 なんかいろいろ不安なまま、私は五階のほうへと行ってみることにした。

 

 

 ***

 

 

 五階はそこまで荒れていなかった。そして……五階の扉前に棚があった。でも棚なんて置いてもここは内側から押して開けるやつなのになんで棚を……あれ鍵開いてる。しかもドアノブのすぐ下にトランプが箱ごと何個も積まれていた。もしかして……できるかも? 密室。

 でもそれ以外の特にヒントはなさそう。

 と次の瞬間キイィっと目の前で扉を開ける音が聞こえた。金室がやってきたのだ。ちょっとびっくりした。

 「あ、金室さん」

 「どうですかそちらは」

 今までのことを少し話すと金室がそうですかとうつむいた。

 「実は……昨日の夜中にダグラスくんに会いました」

 「本当?」

 「ええ。部屋を出て一階に行こうして。ただ他愛のない話をしていただけですし。まさかあのあと殺されていたなんて思いませんでした……」

 夜中に会ったのに、朝にはいない空しさ。これが本当に……

 「下にいる方にも少し話してきますね」

 金室と別れる。私は巡間に頼まれたことを試しにいくことにした。

 

 

 ***

 

 三階へ降りて鍵を確認してみた。……鍵の形はしっかり合った。これは間違いなく三階の鍵。どうやって……

 「はぁ……はぁ……」

 すぐ近くで呼吸を整える声が聞こえた。まさか

 「玉柏くん……大丈夫……?」

 「はぁ……はぁ……だ、大丈夫だ……悪い……」

 そんなこと言って本当は大丈夫じゃないくせに。私は背中を擦ってみる。抵抗することはなく、少し呼吸が落ち着いてきた気がした。

 「ほんと、悪いな」

 「今さら何言ってるの。そんなのお互い様でしょ」

 「……ダグラスの殺されかた、見たんだろ?」

 「うん……」

 「ダグラスの死に方な……俺の母さんとほとんど同じだったんだよ……見てられなくてな……」

 私は何も言えなかった。ただ語られることについて相槌を打つしかなかった。触れたら絶対に悲しませることになるから。

 「……そろそろ、本当に捜査しないと……」

 「無理すんな!!」

 「!?」

 「いつも言われてるから言い返しただけ」

 驚いたと目を見開かれてポカーンとしてるのに心の中で笑ってやった。やれやれとはにかみながら笑った彼は立ち上がる。

 「やるか。相棒」

 「もちろんだよ。相棒」

 

 次の瞬間

 

 「退けてくれ!!」

 猛ダッシュで国門が走ってきた。何々なにがあったの!? 私たちに見向きもしないで通りすぎる。

 「なんだあれ?」

 「……ランニング?」

 「ボケんな」

 ボケたかった。

 

 

 ***

 

 

 一階まで降りるまでに現状を玉柏にいろいろ説明する。眉間にシワを寄せて考え込む。

 「もし争ったなら抵抗したはずだよね?」

 「……抵抗できなかったかもしれないけどな。ダグラスは見た感じ筋肉があるほうではないみたいだしな」

 この盗賊の目どうなってるの。そうこうしているうちに一階について矢崎を見つけた。

 「そっちはどう?」

 「んー今のところ収穫はないね。けどここの金庫見てごらん」

 促されて見てみる。けど何も変わった様子はなさそうだけれど。

 「少し……歪だな」

 「直樹ちゃん、金庫の中触ってみて」

 恐る恐る触ってみると……ほんとだ。なんかぼこってしてる。

 「金庫って元からそんな感じなのかな?」

 「どうだろうね。けど普通はこうならないんじゃないかなぁ」

 不思議なことが増えるばかりだ。

 

 

 ***

 

 

 他に捜査する場所あるかなぁと考えてまた四階へ上がる。とその扉の前に近衛を見つけた。何か悩んでいるようにも見えるけど……

 「近衛くんどうしたの?」

 「直樹殿、玉柏殿。いえ……あの扉を塞いでいた棚をどこかで見たような気がいたしまして……どこだったのかなぁと……」

 「思い出せー思い出さないと脳細胞死ぬぞー」

 「変なこと仰らないでください!!」

 全くだよ私でさえ記憶曖昧なところ多いのに。

 「わたくし、昨日は特に何か特別なことをしたわけでもございませんでしたし……」

 「そっか……」

 「少し思い出すのに時間をかけてようと存じます。ちなみに非常階段の捜査を行っておりましたが、特に変わった様子はございませんでしたよ」

 「了解」

 

 

 ***

 

 

 ここで一度玉柏と別れた。三階、四階内の捜査をしたいらしい。四階について一人で大丈夫かと聞いたらダグラスに近づかないようにすればなんとかって言われた。不安だけど、信じてみることにした。

 さてどうしよう。他に捜査するべき場所はあるのかどうか……あ、国門くんと話してない。見つけなk

 「疲れた……」

 「いたよ目の前に」

 「はいぃ……?」

 国門発見。さっきからずっと走り回っていたらしくそのせいで息が随分と上がっている。

 「何Ⅲ棟中を走り回っていたの?」

 「ランニング」

 「うそつけ」

 「いや、ぶっちゃけ……頭スッキリさせたかったから……間違っちゃあねぇ……本命は……すこし、建物について気になることがあったから、なんだぜ……それを解決しないと、ってな……はぁ……」

 今この状態で聞くのは野暮だから座らせ呼吸落ち着くまで待つことに。落ち着いたころに尋ねることに。 

 「ねえ、どうしてあのとき二階に行ったの? それに……『どうなってる』ってどういう……」

 「…………ふう……長くなるから」

 頷いて隣に座った。

 「食堂には、誰もいなかった。変だと思ってⅡ棟を見たら……なぜか、宮原の個室が光ってたんだ……不思議だった。だって電子生徒手帳がないと開かないやつだから。それでⅢ棟の二階ならあるんじゃねぇかって……な……そして向かったら……床に血があった。そしてそれが控え室にあるってことに気づいた。入ったら……橘がいたんだよ。血を流したそいつが」

 

 

 

 

 ________

 

 

 

 「おい、これは一体どういうことなんだよ!?」

 

 「見りゃ……わかるだろ……俺はこれから…………死ぬんだ……」

 

 「バカかお前は!?」

 

 「バカで結構だっ!!!!」

 

 「っ……なぜ刺された……」

 

 「……へへっ、愚問だぞそいつぁ……単純な話だ。俺は見回りしてたんだ。んで、刺された。そしてもうひとりも……きっと殺された。誰かまではわからねぇけどよ」

 

 「…………どうして」

 

 「そういう『運命』だっただけ……ゴハッ!! グフッ!?」

 

 「お、おい!!」

 

 「……」

 

 「……っ?」

 

 「グゥッ……何も言わなくていい。頼む。俺を……俺たちを殺した犯人を……てめぇらで、暴いてくれ……やつは………………ずっと苦しんでやがるから」

 

 「言っている意味が理解できねぇぜ……」

 

 「ははは……いいんだよ、それで……」

 

 「ていうか巡間を呼んだほうが」

 

 「バカ言え……もう助かる状態でもねぇんだ。このまま自然にまかせて……俺は死ぬ」

 

 「……自分で言ったことを忘れたか」

 

 「さぁ……な………………1、3、6、5、1、5、6、1、3、5、6……覚えろ……」

 

 「? なんだ……その数字は……」

 

 「……ほん、やくかに……これを……伝えろ……裁判で……とうぞくが……りかいしてくれグハッグハッ!!!!?」

 

 「!! しっかりしろよたちば」

 

 

 

 ピンポンパンポーン!!

 

 

 

 『死体が発見されたであーる!! 一定の捜査時間の後ォ、学 級 裁 判 !! を開くであーる!!』

 

 

 

 「おい……うそだろ……」

 

 「やっぱり、ころされ……ちまったのか………………まもれなかったな…………嗚呼…………もっと……生きてたかった……なぁ……」

 

 「おまっ」

 

 「……かずえの……ために……つぐないの……ために…………きぼうのために……いきて…………たかったなぁ……?」

 

 「っ!! それは一体っ……!!」

 

 「じゃあな? ぜんぶ……たくすから……弁護士(くにかど)。………………犯人は……やつ……だ………………」

 

 「……っ!! ………………たち、ばな……、 橘? おい!? 橘!!? 橘っ!!!!」

 

 

 

 ________

 

 

 

 

 「そんな……ことが…………」

 「右肩を押してそのまま崩れるように死んでいった。僕はしばらく放心するしかなかった。だから今でもよくわかっちゃいねぇんだ」

 「それにその……番号? よくわからないんだけど……」

 「僕も同じだ。けど玉柏なら何かヒントを知っているかもしれねぇんだぜ。ってことはなにかしらの希望があるってこと」

 信じてみるしかないとポケットに手を入れる。何か……まさぐっているようにも見えた。

 

 

 

 

 ピンポンパンポーン!!!!

 

 

 

 

 『そろそろォ……捜査を終了にするであーる!! オマエラァ!! 噴水前に一度集まるであーる!!』

 

 

 

 

 ブツッ……

 

 

 

 来ちゃった……

 「始まるわけか」

 「ねえ、ずっと気になってるんだけど。最近ずっと口調裁判時ばかりじゃない?」

 「…………裁判を重ねるごとに、そうなってるんだぜ。そろそろ……本格的にヤバい」

 制御が利かなくなるってことなのか。

 「ああ余計なことついでだけどよ、密室事件は一応得意なほうだぜ」

 「ほんと!?」

 「あくまでも『一応』って話だ。今はまだ情報が足りない。それに……密室意外にも気になることは山ほどあるし」

 「…………証拠はある。これをどう暴いていくか……」

 「詰め込みすぎるのもよくないぜ。柔軟にやらなきゃ固定視点は危険だぜ」

 「……行こう」

 私たちはそのまま外へと向かう。その道中、灰垣が念珠を持っているのを見つけた。……きっと祈ってるんだって。

 

 *****

 

 外へ出るとなんかから解放された気分になった。そうか。今までずっとアルコールやらの匂いがきつかったのか。あの一瞬で慣れたの私? いろいろダメじゃん。でも……正直捜査前に着替えたい気持ちはある。四階べちゃべちゃだったし……靴の換えは一応二足あるから今履いてる分含めて計三足。ここにいる限りヘビロテ確定なんだけど三足で足りない気が……いやその前にみんなで出られればいいのか。

 「おい直樹」

 「あ、玉柏くん」

 玉柏の顔色は……いまいち。やっぱり無理して近づいたんだな。けどそれを悟られないようにしてる風にも見えた。

 「首尾は?」

 「まあまあ?」

 「そうか……っと!? なんだこれ?」

 玉柏がなにかを踏んだらしい。それはガムテープだ。ぐしゃぐしゃの。

 「なんでこんなのが外に?」

 「犯人が始末し忘れたんだろうな。間抜け……とは言えないんだよな……このトリックは。解くのに時間が必要なんだから」

 ダグラスと橘。二人の被害者を出したⅢ棟の二重密室殺人事件。これを……私たちは解決できるのか?

 

 そして私はこのとき、なにか、深い、深い、恐ろしいものを感じた気がした。

 

 

 

 

 

 次回

 変幻6部屋目

 

 

 

 

 

 

 

 __________

 

 

 

 

 ある人は「もどかしい」かった

 その人は「目指して」います

 

 ある人は「従って」います

 

 ある人は「見て」いました

 その人は「溶け込もう」としています

 

 ある人は「見られたく」ありません

 

 ある人は「守って」いました

 

 ある人は「忘れて」いました

 そして「抱えて」います

 

 ある人は「苛立って」いました

 その人は「疑って」いました

 

 ある人は「引っかかって」しまった

 

 ある人は「たえて」いました

 

 ある人は「保って」います

 

 ある人は「潜んで」います

 

 ある人は「強がって」います

 

 ある人は「縛られて」います

 

 ある人は「できなくなって」いました

 もはや「侵されて」きています

 

 ある人は「恐れて」いました

 その人は「大事に」したかった

 それはそれは変わらぬ「想い」で

 

 ある人は「不安」でした

 もうその心配はありません

 

 

 _________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある○の○は○○が○○です

 

 

 

 

 

 

 

 

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