表裏ダンガンロンパ ~共通とすれ違いの物語~   作:炎天水海

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 すっかり忘れてました(おい)
 今回の7部屋目に関してはpixiv推奨回で、携帯から打ってるために遅くなるっていう()
 一応こちらはAとなっており、Bもありますが内容はほとんど変わりません。
 さてこの三章クロは……皮肉まみれだと思います。


第三章 非日常編 見えずの膨張7部屋目 A

 注意 

 

 これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。 

 本編とは異なる設定が多々あります。 

 あと主の文才は期待しないでください。 

 

 それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。 

 

 補足 

 渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。 

 例:直樹→ 直樹(トン)

 他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。 

 なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。 

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 学級裁判、再開

 

 

 

 

 *****

 

 国門からの衝撃的な一言。犯人は男しかあり得ない? 一体どういう……

 矢崎「どうしてそんな結論が出るんだい? いくらなーんでも」

 国門「いいや。これは事実だ。だがここで言ったとしても意味はない。犯人の口から質問されなきゃ意味ねぇんだぜ」

 今こうして言ったことが犯人にもバレてるわけなんですがそれは。

 国門「それよりも、今はアリバイなんかよりも密室について話してぇんだぜ。ほんの些細なことでもいい。密室を解く鍵は必ずどこかにあるはずなんだ」

 それは確かにそうだ。けれどそれがわかれば……いや、待てよ……?

 直樹「近衛くん!!」

 近衛「わわわ、わたくしでございますか?」

 直樹「近衛くん、君たしか捜査のときあの扉を塞いでいた棚に見覚えのあるって言ってたよね? あれどういうこと?」

 数回の瞬き。きょとんとするとうーんと悩み腕を組んだ。

 近衛「Ⅲ棟が開放されましたとき。ほら、直樹殿もいらっしゃったときでございますよ。ダグラス殿と渡良部殿と棚を移動したあのとき」

 あれか。

 近衛「あれは結局扉の横に設置致しました。ですがその棚は足が四つでございましたので……現場の棚は直接床についておりました。そのため違うと存じた次第なのでございます」

 持ち上げるとかなんとか言ってたからか。けど扉下の隙間を見ても部屋の様子は全く見えなかった。あの棚は完全に床についていた。

 玉柏「なあ、その棚はもしかしてその時の棚だったりしないのか?」

 渡良部「ちょ今の話聞いて」

 玉柏「話を最後まで聞けって。そうじゃなくてな。四つ足の棚なんだろ? その足は切り落とすことができるんじゃないのか? さて、ここまで言えば誰かさんは気づくんだろうな」

 遠回しに振ってきたぞおい。四つ足を切り落とすことができた。でもその切り落としたといえる証拠はどこに? ……あっ

 直樹「それもしかしてこの木のこと言ってる?」

 私は持っていた四角の木をみんなに見せた。

 巡間「これが棚の足だと言うのか? そんなわけ……」

 直樹「多分なんだけどね」

 国門「………………いいや、多分じゃねぇな。確実にそれは棚から切り落とされた足だ」

 灰垣「ほう? なぜそう言えるんじゃ」

 国門「よーく見てみりゃあわかるぜ」

 そういえばこの木一つだけ引っ掛かっていたことがあった。……ああそういうことか。

 直樹「言われてみれば……国門くんの言う通りだ。近衛くんこれよく見てみて」

 投げたら危ないから矢崎に近衛へ回すように言った。そのとき矢崎も何かに気づいたみたいだった。

 直樹「この木をよく見てみると少し荒くない?」

 近衛はモノクルを動かしてふむと木を見つめ指でその部分をなぞった。

 近衛「この一辺……とはやや違いますがとりあえずここ凸凹しておりますね」

 直樹「そう。結構しっかりしてる木だから手でやるのはかなり力が必要だし……何かしらの道具を使って飛ばしたとかそんな感じなんじゃないかな」

 切り落とすとはまたニュアンスは違うけれど、そう思うのが自然かもしれない。

 国門「それじゃあこの他に何か気になることはなかったか?」

 灰垣「そういえばじゃが……」

 今度は灰垣が何かを言いたげだ。

 国門「なんだ?」

 灰垣「コンサートホールで捜査しておったが、ドラム2つが倒れておったの。犯人が使ったかもダグラスか橘が使ったかも知らないがな」

 湊川「それってどこにあったの?」

 灰垣「コンサートホール四階側の扉付近じゃな。それとコードが少し乱れていた気もした。あああとじゃがビリヤードの棒が折れた状態で見つかったわい」

 巡間「さっきから思うんだが、あの棒の名前はキューだ」

 あの棒そういう名前なのか知らなかった。

 直樹「そういえば二階の宮原くんのポーチの金槌もなくなってなかったかな?」

 矢崎「もしかしてあれ宮原くんのだったのかい。直樹ちゃんたちが捜査したあとに見つけたんだけどね。それ一階のピアノの中になーんか入ってたよ。あとは……血まみれの包丁も」

 ピアノの中!? いや、確かに証拠隠滅するには丁度いい場所かもしれないけどそうじゃない。

 国門「…………他には?」

 玉柏「ぐしゃぐしゃのガムテープ。こいつが外に落ちてたな」

 国門「なるほどだぜ。こんなものか?」

 国門の問いに対し私たちは黙る。密室を解く鍵はこれぐらいか。

 金室「これで密室が解けるんですか?」

 玉柏「ああ。これならだいたいはいけるんだと思うな」

 巡間「一つ気になるのだが、犯人は棚の足を切るとき鋸とは使わなかったのか?」

 直樹「ちゃんと鋸を使ったはずだと思うよ。三階の控え室に鋸とか入ってたんだ。四階で使ったあとにでも元に戻したんじゃないかな」

 

 

 棚の四本足、乱れたドラムのコード、マスターキー、ビリヤードのキュー、金槌、血まみれの包丁、ぐしゃぐしゃのガムテープ、鋸、消えた鍵。

 

 

 犯人はどうやって密室を作ったか。まず五階は多分私の考えた通り。けど手順が違ったのだろう。

 五階の扉を閉め鍵をかけ、棚をおいてドアノブに引っ掛かるようにトランプを置く。こうすれば簡単にできる。

 次に四階。図としては鍵の閉まった四階の扉の内側に棚が置いてある。そして二本の鍵が四階内にある。

 そして三階。三階は単に鍵を閉めただけ。

 

 あれ、なんでだろう。わざわざ『あれ』があるのにこんなことする必要があるのか。

 

 

 直樹「ねえ、みんな。密室について一つ気になることない?」

 金室「気になることですか?」

 灰垣「別にないじゃろ。どうやって作ったか以外に何かあるのか?」

 渡良部「ていうか、わざわざマスターキーあるなら『あんな密室作る必要なくない?』 とっとと始末してしまえばそれで」

 直樹「その訳に賛成だ!!」

 渡良部「へっ!?」

 渡良部は驚いて目を見開いた。けどそうなんだ。

 直樹「マスターキーがあるなら、『凝った密室を作る必要はない』。五階の鍵を閉めて三階四階の鍵をカジノ内に放って、持っているマスターキーを使って三階まで鍵を閉めればそれで完了。あとはマスターキーを始末するだけ。たったそれだけの『単純な作業』なのに、あんなことをする理由があるなら?」

 玉柏「『二重の密室を強調するため』……とかだな」

 直樹「そう。けどそれでもわざわざ面倒なことをしなくてもよかったはず。だって鍵を閉めて始末すればいいんだから」

 しかし犯人はそうしなかった。大掛かりな密室を作る必要があった。理由が必ず存在する、はず。例えば……

 直樹「例えば……マスターキーが四階にあったとかね」

 近衛「それって……まさかっなくなったのは

マスターキーではなく『三階の鍵』だと仰るのでございますか!? 札はついておりましたよ?」

 直樹「マスターキーに札を付けられるなら付け替えは簡単だし誤魔化せるよ。それによく考えてみてよ。私たちは今この裁判でモノヤギから言われるまでマスターキーの存在を知らなかった。マスターキーの存在が浮かび上がったけれど、なくなったのはマスターキーだと私たちが思い込んでいるとしたら?」

 灰垣「……あの密室は強調ではなく、『鍵の行方を錯覚させるため』ということになるのか」

 直樹「多分ね。そして犯人はここで重大なミスを犯した」

 巡間「ミスだと?」

 そう。ほんの些細なことだけどすごく大きなあの存在を……したから。

 国門「金庫か」

 直樹「それ。だって私があのとき見た金庫の中身は『空っぽ』だったんだから」

 矢崎「空っぽだとどーんな問題があるんだい?」

 玉柏「そこには何かがありましたっていう証拠になるからだな。わざわざ四桁の数字を入れなきゃ開けられない金庫だ。何か入っているのは当然だろうが。ここにおいて問題なのは中身の『重要度』。もし金庫の中身がちっぽけな、例えば将棋の駒だとしたら?」

 矢崎「ああ取らないね」

 玉柏「だろ? でももしそれが極端な例でいうと『校則違反一回免除券』とか『外に出られますよ券』とかなら取るだろ?」

 すっごい極端だけど確かに取るはそれ。

 玉柏「金庫の中身がマスターキーだった。それも二階三階四階と同じ形状の。そうでなきゃ札は付け替えられないしな。そしてそれを犯人は取った。つまり中身が重要だったことになる。けどそのあと犯人は中身に何か入れておけばよかったな。そうすれば少なからず誤魔化しが利いただろうに」

 きっと犯人は余裕がなかったんだろうな。けれどなぜ犯人は二人も殺す必要があったんだろう。

 渡良部「知った風に言うけどマスターキーかどうかはわからないでしょ」

 玉柏「俺はあくまでも勘で動くんでな。それにマスターキーを見なくてもⅢ棟の鍵なら同じ形状してるのが多いし、多分ここもそうなってたんだと思う」

 渡良部「そういうもん?」

 玉柏「そういうもんだな」

 確証はないけれど……私もそうだと思ってるし。

 

 直樹「さて、そろそろ密室について解こうと思うんだけど…………これは私にはできない」

 渡良部「はぁ!?」

 金室「な、何をいっているんですか!!」

 まあ驚かれても無理ないけど……正直私の頭でこれを解ける気がしない。

 直樹「だからね。専門家たちに任せようと思うんだ」

 巡間「専門家……たち?」

 私はくすりと笑った。そして私は二人を見た。

 直樹「頼んだよ、玉柏くん、国門くん」

 名指しされた二人は一瞬こちらを見て。そして二人はニヤリと笑った。

 玉柏「おーけー相棒」

 国門「任されたぜ」

 二人なら、この密室を解ける。私はそう確信しているんだ。私は常に持ち歩いている鷹山のノートの何も書いてない一番後ろを開いてメモの用意をする。今さらながら前回もこういう風にまとめておけばよかったのかもしれないと少し後悔した。

 玉柏がタバコを出して火を着けた。二人が地獄から現れたかのような挑んだ表情を浮かべていた。吐き出された煙が始まりの合図だった。

 

 

 ていうか、ここ禁煙じゃないのかよ。レイヤーギなんか言いなさい

 

 

 

 

*****

 

 ※ここでは玉柏sideをお送りします。国門sideは次話をご覧ください

 

 

 相棒に任されたからにはやらないとな。さてと、どこから手をつけてやろうか。

 玉柏「大前提として、直樹の言った五階トリックは確実。これはもういじる必要はない」

 国門「同感だ。あれで充分。問題は四階密室を作り出したかだが……まず鍵に関しての話をするか」

 玉柏「だな」

 鍵について今までの話でわかることは……

 玉柏「ダグラスの左手には三階の札のついた鍵、これはマスターキーだろうと思われるんだな。それと四階の鍵はだいたいカジノ内中央あたり」

 湊川「四階の鍵は確実に四階内なのよね?」

 玉柏「そうじゃないと三階の鍵閉められないからな。で今その四階の鍵出たけどな、それはドアの下から投げ込まれたんだろうと思う」

 矢崎「根拠は?」

 玉柏「あの扉、5cmくらい下に隙間があるんだよ」

 国門「普通の扉はそんな隙間ねぇのにおっかしい構造してんねぇ? けど鍵閉めたあとに下から鍵を入れれば密室は容易だろうぜ」

 まあ確かに普通の扉は1cm2cm程度だからな。けどこの動作以外に犯人は棚を扉の前におき、さらに足まで切り落とすという暴挙にも近いことをした。

 国門「ここで鍵については一度置くぜ。まだ話すことがあるが、実際問題なのは鍵よりも棚。扉が外側から『押す』タイプだから一体どうやったらあんなのが作れるのかって話だぜ」

 ……さすが弁護士。裁判の流れを組み立てるのがうまいと言ったところか。これは、捕まったときが恐ろしいな。

 玉柏「棚の中身はなし。つまり動かすのは一人でできなくはない状態にはしていたことになる」

 近衛「わたくしどもが動かしたときは三人がかりでございましたが、個人的意見を申し上げますと一人で動かす場合は棚そのものがやや重いという理由がございますので少しずつずらすような動かし方になるのではと存じます」

 一人だとずらす感じか。ということは持ち上げるのはきついのか。

 直樹「それって下からこう……引っ張るのもきつい感じ?」

 近衛「滑車を用いることで多少なりとも楽にすることは可能だとは存じますが、そんなものどこにも……」

 いや、あったな。

 玉柏「それじゃあ盗めねぇぞ!! 近衛、ちゃんとあっただろ。ドラムってやつがな」

 近衛「あ、それでございましたか!?」

 本気で忘れてたのかよ。どうもこいつは少し天然混じりなのが困りもんだな。

 玉柏「楽に動かせたかどうかは別だけどな。あれは滑車じゃなくてあくまで延長コード」

 湊川「けどどうやって引っ張るのよ。力がない人は犯人から外れるのかしら?」

 向こうのほうからチッチッチッという音が聞こえる。国門が首を横に振りながら。

 国門「そんなんで裁けねぇぜ!! 確かに力がいる作業かもしれねぇがドラムが巻き上げることのできる延長コードであること、棚の中身が空であること、これらを考えれば時間がかかっても力のないやつでもできるぜ」

 まあ、そうだろうな。犯行時間は死亡推定時刻からすると夜中だろう。

 国門「それとあくまで憶測だが、そうするために試したのかもしれねぇぜ。無理だとわかったら無闇やたらとやるよりも、犯人が扉にギリギリ出入りできる範囲のところに四つ足を切り落とした棚をおいておけばそれだけでも充分だ。鍵は斜めから入れる感じにすればいい」

 玉柏「犯人が男しか有り得ない……国門は確かにそう言った。正直な話俺、灰垣、近衛、巡間、国門の中で力のないやつなんているようには思えないしな」

 渡良部「ストップ。国門(イッツー)は第一発見者。直樹(トン)のあとに私が見つけてアナウンスが鳴ってるから国門(イッツー)は犯人じゃないんじゃない?」

 つまり四人の中に犯人がいるってわけなのか。まあ今はそこに重点を置くときじゃない。一人だけ随分と『あれ』なのが気になりはするがな。そこは相棒さんにお任せだ。

 直樹「結局のところドラムのコードを使って下から引っ張った……ってことでいいんだよね?」

 玉柏「ああ。おそらくな。扉を開けた状態にして、ドラムのコードを取り出す。しっかりと四つ足のうちの一本に結びつけてから扉を閉めて引っ張る。こんな感じだろうな」

 灰垣「む? 待て待て。ドラムは二個使ったはずじゃ」

 国門「あ、すっかり抜けてた。ドラム二個使わないと棚の位置おかしくなっちまうぜ」

 俺も忘れてたなそれ。

 金室「少しまとめましょうか。その方が進めやすいでしょうし」

 直樹「それじゃあ少しまとめたものをざっと読み上げていくよ」

 直樹がこれまでのことをノートにまとめてくれていた。それを読み上げていく。

 

 

 ・四階内にある鍵はダグラスの手にはマスターキー、中央辺りにあったのが四階の鍵

 ・現時点で三階鍵行方不明

 ・四階の鍵は扉下から投げ込まれた

 ・棚の中身は空

 ・ドラム2つのコード使って棚を扉の前においた

 

 

 直樹「こんな感じ?」

 玉柏「だな。サンキュ」

 ここまで来ると密室がどうやって作り出されたのかがよくわかってくるな。まだ使われていない気掛かりはキューとか金槌とかか。まあこれくらいなら…………ああ。解ける。ほどけていく。村雨のように晴れて、日が見えてくるような……

 玉柏「フックックック……おもしれぇな」

 笑ってやった。これから解く謎に対して。

 玉柏「ドラムのコードを棚の足2つに結びつける。これは扉側の2足だろうな」

 金室「カジノ側ではコードを戻すことができませんからね」

 玉柏「それとなんだが、あの後ろ足は密室を作るとき扉を閉める前に鋸を使ってギリギリまで切っておいたんだと思うな」

 国門「そして扉を閉めて鍵をかけ、棚を扉に引き寄せて鍵を下から投げ込み、金槌で足を吹き飛ばした……ってところか。この時、一度二階へ寄って宮原の金槌をとったことになるぜ」

 矢崎「んー金槌の持ち手の長さで足を吹き飛ばせるなーんてとても思えないけど」

 玉柏「そのためのキューだ。ガムテープでがっちり固定してやればあとは下から通すだけだ」

 矢崎「そういうことかい」

 勢いをつければ確実に外せる。

 巡間「だが前足はどうなるんだ? これは鋸で落とすにも困難だろう」

 玉柏「いいや、そんなことはない。あの足の長さはどれくらいか誰かわかるか?」

 誰でもいい。目測でもいい。

 湊川「見せて……多分……4cmくらいだと思うわ」

 よし、これでいい。幸いみんなに回して見せてくれたからいい感じに確認が取れた。

 玉柏「ありがと。ということは犯人は完全に棚で封じた扉の下から鋸で切ったってことになるな」

 国門「これも少しだけ余すように切ったんだろ? んで金槌で吹っ飛ばした。そうでなきゃ四つの足がうまいこと中に入ってくれねぇもんな」

 狂いはないはずだ。

 国門「まあ吹っ飛ばしたとはいえ、後ろ側の足ほど飛びはしなかったみてぇだぜ。扉側二つの足は棚に近い位置にあったわけだし」

 灰垣「…………これで、四階の密室は完成したのか」

 玉柏「ああ。そして四階で使った鋸、キュー、ドラムを三階のコンサートホールに戻すとしくは始末。キューについた金槌はガムテープを引きちぎってな。三階の鍵を閉めて包丁を持ち出し、一階まで降りる……そして包丁と金槌をピアノの中に入れた。んでⅢ棟出たときに金槌を固定していたガムテープが落ちた……」

 これで、完全密室の出来上がりだ。あとの問題は三階の鍵のありかだがな。

 近衛「しかしながら三階の鍵はどこへ」

 ……ん? そういえばこいつらは気づいてないのか? なくなってたら普通気づくはずなのに……そうかそういうことか!!

 玉柏「なあお前ら。直樹が言っていた金庫のミスあるだろ。犯人はそこでもうひとつ重大なミスを犯していたんだ」

 直樹「重大なミス?」

 玉柏「直樹、コンサートホールでなくなったのはさっき挙げられたやつだけじゃなかったんだよ。お前それには気づいているんだろ? 犯人は心の中でほくそ笑んでいるかもしれないが、これがとても重要なカギとなる。鍵がなくなった理由もすべて片がつくことになるんだ!!」

 あとは直樹に考えさせればいい。こいつは……しっかり推理できるんだから。考えさせれば答えを導くことができる。そう、信じてる。相棒だから。

 直樹「もしかして……もしかしてだけど……溶かした? ガスバーナーで……」

 さすがだな。

 玉柏「ああそうだ。ガスバーナーでドロドロに溶かしたんだ。そしてそれを……金庫の中に入れた」

 湊川「ええええ!?!?」

 巡間「が、ガスバーナーでそんなことできるわけ」

 矢崎「いいやできるね。あそこのガスバーナーは新品のを使ったし、そこまでながーい時間使ったわけじゃないから時間かかっても溶かすぐらいは容易いと思うよ。目を保護したほうがいいんだけど、そーんなものどこにも見当たらなかったし、あったとしてもダグラスくんのサングラスくらい。けどそれは四階内にあったまんまだったのを湊川ちゃんから聞いた。つまりそういう身の危険を顧みてなかったんだね」

 へえこれはおもしろいことを聞いた。

 直樹「金庫の中の凸凹は鍵が溶けてできたもの。そう考えられるね」

 灰垣「じゃが……一晩で固まるのか?」

 国門「固まるには固まるぜ。だがⅢ棟の特徴を考えればすぐに固まっただろうぜ」

 Ⅲ棟の特徴といえばあれだな。

 直樹「それは寒いってことだよね。Ⅲ棟が」

 湊川「そういえばあそこ随分寒かったわ……」

 国門「理由はわからねぇけどあの寒さが及ぼした影響はまだある」

 巡間「……死体か。ダグラスくんの死亡推定時刻が夜中となっている。非常に曖昧だが、今の話を聞けば納得だ」

 …………そろそろ潮時だな。

 玉柏「さてと。ここぐらいが密室の影響だろ。あとは相棒に任せるな」

 急に投げるなって顔されたが気にしてやらん。あとはどう犯人を追い詰めるかなんだ……!!

 

 

 *****

 

 ※視点が直樹に戻ります

 

 

 二人に任せてよかった。これで二重の完全密室の謎を解くことができた。スゴイフクザツデモウアタマイタインダケド

 灰垣「ふむ……ではなぜ橘はⅢ棟へ行ったのじゃ?」

 橘がⅢ棟へ行く理由……多分これかもしれない。

 直樹「見回りじゃないかな」

 渡良部「あいつが見回り?」

 国門「橘は橘なりの信念があったんだぜ。夜に殺人が起こったら困るからって理由でⅡ棟とⅢ棟を見回りしてたんだと。だがⅢ棟に入った直後刺された。俺があいつの口から聞いた話だぜ」

 ふーんと渡良部はスカーフを撫でる。興味なしかい。

 湊川「ところでさっきさらっと流れたけど、包丁って血まみれだったのよね?」

 矢崎「そうだよ。その状態でピアノの中に入っていたんだ」

 湊川「……それってつまり、橘くんはそのときに犯人に殺されたってことになるのよね?」

 あ、確かに。

 金室「納得いきませんね……」

 直樹「というと?」

 金室「だってあの橘くんですよ? 彼が真っ正面から包丁を深々と受けるなんて思えないじゃないですか」

 ……正直嫌な予感がするんだけれど、ここでこの可能性を潰すこともできない……私は拳を強く握った。

 直樹「まさかの話。橘くんは引き当ててしまったんじゃないかな……」

 近衛「引き当てたとは……まさか」

 直樹「運命ダイスの『絶対に死ぬ番号』。これを」

 渡良部「う、運命ダイス……」

 近衛「しかしそれを確認することが今できましょうか? 橘殿の電子生徒手帳は今何処にも……」

 玉柏「お求めの品はこちらか?」

 通販か。

 金室「いつそれを」

 玉柏「捜査終了時に一回橘のところによって奪ってきただけだ。貸し借りじゃないだろ」

 まーたこの盗賊理屈つけて盗んだよ。

 玉柏「今日の振られた番号見てみるぞ。………………『00』」

 ゼロ……ゼロ……? え、まさかそれが絶対に死ぬ番号?

 近衛「…………最悪だ」

 突然、明らかに違うトーンの近衛が呟いた。

 近衛「ゼロ、つまり何もない。橘殿の運命が導いたのは……『フィアスコ』だと言うつもりで?」

 …………大失敗?

 モノヤギ「ヒッヒッヒィ……運命に左右されて見放されるなんてェ、ここ世界で生きる価値のないやつだったというわけであーるよォ? ポジティブにも……ネガティブにも左右されるなんてなァ? 実に滑稽であろう?」

 近衛「バカにするじゃないっ!!!!」

 渡良部「近衛(このえ)!!!!」

 近衛の声が荒くなるのを渡良部があだ名で呼ばないことで制止させる。

 渡良部「落ち着いて。今のモノヤギの発言でふぃあなんちゃらが影響して、その番号が00であることもわかった。だからダメ。モノヤギに歯向かうのはあいつの思うツボだよ」

 近衛「渡良部殿……」

 制止をおとなしく受け入れ、それでもモノヤギを睨む視線は後ろからでも鋭くなっているだろう。

 ちなみに『フィアスコ』は野心的な企てが滑稽な結果で終わるものを指している。この意味から沿うと橘は別に何も企てたようには思えない。モノヤギがそういう風に仕組んだのかもしれないけど。

 近衛「お見苦しい姿を晒して申し訳ありませんでした。それと少し気になる点がございましてそのご指摘をさせていただきたく存じます」

 謝罪とともに気になる点があるという。どこのことだろう。

 近衛「絶対に死ぬ番号……とモノヤギは仰いました。しかしこれは即死というわけではない、という認識でよろしいのでございますね?」

 国門「それは間違いないぜ」

 即答かよ。

 国門「橘は…………夜中に刺された。ダグラスを殺したあとの工作後に……包丁を持った犯人にっ!! だがあの男は!! それで死ななかった。俺が橘の死を目の前で見たんだ、嘘なんかじゃねえ!!」

 国門が何か焦っているように見えるのは気のせいかな。冷や汗が流れているように見える。

 近衛「その確認が取れただけでも嬉しい限

りでございます」

 金室「あと、もうひとつ気になることいいですか? 橘くんって……結構背高いですよね。たとえ絶対死ぬ番号を引き当てたとしても、なぜ防がなかったんでしょうか?」

 直樹「確かにそれは一理あるね……」

 うーん。何でだろう。…………彼は警戒心が高いから身長とかで見えなかったなんてことは多分ないだろうし。防げなかった? 運命ダイスで? その可能性がある。けどそこよりも気になるのが深々と刺さった包丁。これが引っ掛かる。犯人は橘が来ることを知っていた……それなら構えることができる。けどあの狭い二階廊下……いや狭いからこそ逃れられないのか。ん? 狭い? そういえば……

 直樹「ごめん、ちょっと考えてるときに別の解決することが出ちゃった」

 いいですよと言われて話を続けた。

 直樹「二階ってさ、なんか、廊下少し狭くない?」

 巡間「確かに狭いが……」

 直樹「Ⅲ棟は円柱型のテレビ局のような構造をした建物でⅠ棟Ⅱ棟に比べたら断然広い。ここまではいいと思うけど……少し思い出して欲しい。三階のコンサートホールってすごく広く感じない?」

 湊川「そうね。確かに広いわ」

 直樹「そして四階のカジノ、五階の仮眠室も広い」

 渡良部「広いね。まあ五階は階段あるから少しだけ狭く感じるけど、それでも全然大丈夫だし」

 五階の狭さは仕方ない。けど

 直樹「二階ってさ、控え室広いのに廊下狭いんだよね」

 灰垣「ふむ……確かに今の今まであまり気に止めてなかったがそうじゃな」

 直樹「その理由が確かにある。なんだと思う?」

 で、ここまで言うと建物を隅々まで探していた人が反応するんだよね。

 国門「『非常階段』、こいつのことを言ってんだろ?」

 直樹「そう。非常階段」

 近衛「非常階段には特に異常はございませんでしたが」

 巡間「それが一体どうしたというんだ?」

 国門「非常階段は建物『内』にある。それは一階から三階へと行ける。そう、二階をすっ飛ばすことができるやつ……建物外をぐるっと見渡して見たんだけどよ、なんてこった!! なーんの変哲もねぇときたよ!!」

 玉柏「口調なんとかしろ騒々しい」

 全くだ。

 国門「外側が本当に何もなくて非常階段が確実に中にあると把握したわけだぜ。だがよぉ、それはつまり必然的に『二階が狭くなる』ってことを示していたわけなんだ。そりゃそうだろ? ぐるりとなっている階段で狭くなるってぇのはよぉ」

 非常階段は二階の動きを狭めることにも繋がる。あまり情報は少ないけれど、ここで解決させたかったんだ。

 あとなーんか引っ掛かる発言をしていた人がいるんだけど、その人さっきからずっと自分を守るような発言をしている。もしかすると……

 直樹「今のことを踏まえてさっきの金室さんの質問に答えるんだけど、多分橘くんは……防がなかったんじゃなくて『防げなかった』んじゃないかな」

 矢崎「防げなかった?」

 直樹「あそこの廊下は橘くんが杖を振り回すにはギリギリで大きく振り回そうとすると壁に引っ掛かるんだ。でもそれだけじゃない。そしてこれが犯人を示すかもしれない。だって……君はずっと保身的になってるから」

 今回の連続殺人事件の犯人……それは

 直樹「そうでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直樹「巡間くん。君しかいない」

 巡間「……私だと?」

 私は頷いた。

 巡間「なんともバカバカしいことを言う。私が保身的だと? そんなもの全員同じだろう」

 直樹「いいや違う。巡間くんは上がった話題にまるで触れてほしくないような発言が目立っていたよ」

 巡間「そんなので私が犯人だと決めつける気なのか?」

 巡間が至って冷静に発言していく。自分が犯人でないと強く出ているみたいだ。

 直樹「一旦話を戻すよ。巡間くんなら襲えた理由について。それは圧倒的な身長差だ」

 玉柏「橘の身長は俺の身長よりも若干低い位だな。まあ180はいってるだろうな」

 金室「ですが、巡間くんの身長は……確か鷹山さんのより低かった記憶です。……150もないのでは?」

 巡間「………………ああ。私の背丈は150もない。だがそんなことどうだって」

 どうだっていいってことはない。大切なことだ。

 直樹「その訳を覆す!! 橘くんの腹部には深々と刺された傷が残っていたんだ。これは完全に不意討ちで橘くんを襲ったことになる。つまり犯人は凶器の包丁をしっかりと構えたはずなんだ」

 国門「そうするとどうだ? 身長の低いお前ぇなら高身長の橘を視界から外れるように低姿勢で刺すことができるんじゃあねぇか?」

 巡間「身長が低いから……低姿勢で刺せるか……本当に……」

 呆れながら首を横に振る。

 巡間「なんともおかしな推理をしてくれる。いいか、Ⅲ棟の構造を理解しているだろう? あれは円柱型の建物。つまり迫ってくる様子は必ずわかるんだ。仮に私が橘くんを狙っていたにしても、彼が気づかないわけがない。身長云々よりもそこが説明出来なければ納得出来ないぞ?」

 っ、ちょっと痛いところをついてきた。確かにそうだ。角から襲えば隙を狙えて簡単に刺せるかもしれない。けどたとえあそこが狭い廊下でも運命ダイスが振られていたとしても、橘なら対抗できたはずなんだ。

 そしてここで声をあげたのは……玉柏だった。

 玉柏「確かにお前の言う通りだ。建物の影響もあり対応はできたはず。だがな、身長? 建物? そんなじゃない。もっと身近で確実に橘を襲ったと証明できるものがある」

 身近で、証明できるもの……?

 巡間「……なんだというんだそれは」

 玉柏「わからないのか?」

 ダンっと席を叩く音が響く。メガネをくいっと上げてニヒルに笑う。うん、あんたのその笑い方慣れないな。

 玉柏「杖だよ、杖。橘のずっと持っていた杖だ」

 湊川「杖? 杖が何の証拠になるの?」

 玉柏「杖のことを思い出してくれ。あれはな……杖の『片方の先端以外何にもついてなかった』んだよ」

 そういえば……血は回りについてなかったっけ……!!

 直樹「そうか!! わかったよ!! もし橘くんが杖を構えたりしたら返り血がつくんだ!! 橘くんの杖は常に左側のベルトループにある……そしてモノヤギファイルの補足を見ても刺されたのは右側……これは杖を構えたら絶対に血がつくよ」

 渡良部「杖の先端について血は……移動するときに使って、下に落ちた自分の血についたわけなんだ。控え室に移動してずっと……ジャケットで止血してたの? バカじゃん……」

 これで少しは動揺するかと思った。けど、巡間は至って冷静に私たちを見るだけだった。

 巡間「やれやれ……それだけか。あのな、君たちのこの議論の前提は橘くん殺害だけでなく、ダグラスくんも含むものとなっているのだろう。しかしだ、君たちからしてみたら橘くんのは解決できたにしてもダグラスくんについては何も解決なんてしていないことがわかるか? 今回殺害された二人とは私と20cm以上もの身長差があるだろう。そして君たちは言った。『ダグラスくんと犯人は争った』と。争った? 私が? こんなにも体格差があるというのにか? 到底できるわけがない。私が負けるのは目に見えているだろう」

 そうだけど……そうだけど……そういう細かいところに気づけるのか……

 国門「いや、争ったし事実勝っているぜ。なんでカジノに行ったかは知らねぇが、そこにはたっっっっくさんの凶器があった!! 瓶!! キュー!! 椅子!! 台!! その他諸々!! 投げさえすれば……いい脅しだぜ」

 巡間「…………」

 国門「それによぉ、投げられたら当然足場なんてぇのは不安定になる。いつ倒れたっておかしかねぇよ。んな状況下で先に倒れたのがダグラスだったら納得もんだろ? そこを狙って瓶を振り下ろして殺害。そして保険として首に傷をつけて血を流させる。簡単な話だぜ」

 巡間はじっと国門を睨み付ける。腕を組んでまたやれやれとため息をつく。

 巡間「そんなもの……私でなくとも出来るだろう……なぜ私と限定した言い方をするんだ。私は何も知らないし犯人ではない。しかも私はなぜカジノに行った? 行く意味ないだろう」

 矢崎「ビリヤードとかしたかったんじゃないかい? 特技披露のときとても楽しそうにやってたからね」

 巡間「っ……それにしてもだ、私はやってないとしか言えない」

 かなり呆れている。けど……少し前に不自然な発言が一ヶ所あった。

 直樹「え、じゃあなんで紙に書いてるってわかったの?」

 巡間「……は?」

 揺れた。

 直樹「巡間くん、なんでⅢ棟の鍵の扱いについて『紙に書いてある』って言ったの? あれってモノヤギから知らされているはずだよ」

 巡間「そ、そんなこと言った覚えな」

 渡良部「自分の発言に責任持ったら? 私も人のこと言えたものじゃないけど。あんた間違いなく言ってたよ」

 明らかな動揺を見せ始めた。これは追い詰められるかも。けど……なぜだろう……この事件……嫌に背筋が凍るような真相があるような……

 直樹「なぜ巡間くんが紙に書いてあるって言ったのか、それは難しい話じゃない。……君は『マスターキーの在りかを知っていた』。そうでしょ? そして金庫の中に説明書として紙があった」

 巡間「な、何を根拠に……!! それにあれは金庫に入っていて暗証番号を入れなければ意味ないだろう!!?」

 金室「そういえばその暗証番号……一体なんだったのでしょうか……?」

 私もそれはわからない。けど君ならわかるはずだと思う。私はそっちに目配せした。

 玉柏「暗証番号なんて簡単だ。あれはただ『出席番号』を入れればいい」

 近衛「出席番号を、でございますか?」

 玉柏「ヒントを思い出してみな」

 

 【ヒント】

 ・あなたの数字も大事

 ・被せ加えて順序よく

 ・同じ数字は次の桁とまとめて

 ・並び方を複数挙げよ

 

 玉柏「まず『並び方を複数挙げよ』ってところなんだがな……これだけだと身長、体重、胸囲、他いろんな並び方が現れてくる。ただこれだとわからない。でここで大事になるのが『あなたの数字も大事』……これはつまり自分自身にも番号があるってことだろ。自分にある数字……これは『出席番号』だと想定できる。俺たちは生徒だ。必ずそれがあるだろ。んで、意味ありげな『被せ加えて順序よく』だがな……なにも足し算引き算やれってことじゃない。これにはある人たちが隠されている。それは被害者と加害者だ。これは多分鷹山、江上、宮原、阪本の四人のことを指していたんだろうな。ということはこいつらの出席番号を死んだ順番から並べればいい」

 説明なっが。わかるけど、長い。

 矢崎「けどそれって無理じゃないかい? 出席番号を当てはめると」

 

 1 江上

 2 金室

 3 国門

 4 近衛

 5 阪本

 6 鷹山

 7 ダグラス

 8 橘

 9 玉柏

 10 直樹

 11 灰垣

 12 巡間

 13 湊川

 14 宮原

 15 矢崎

 16 渡良部

 

 矢崎「こうなるよね。6、1、14、5の4つだけど……あの金庫って四桁だよね? どーうやって開けるんだい?」

 玉柏「そのための『同じ数字は次の桁とまとめて』だ。61145で同じ数字なのは1。つまりこれをまとめてしまえばいい。足し算を知ろなんて一言も書かれていない。ここは素直に1で括ればいいだけだ。そうすれば」

 近衛「6145の金庫の暗証番号が浮かび上がるわけでございますか」

 巡間「ぐ……」

 もう、さすが盗賊。こんなのわからないよ。けど明らかに巡間の動揺を誘えた。

 

 ***

 

 巡間「そ、そんなもの……私でなくとも解けるだろう!! そもそも身長で私を犯人と決めるのも軽率ではないのか。しかもだ、さっき国門くんは犯人は男だけと言っただと? 意味がわからないだろう!!?」

 国門「残念。悪いが些細なことが男だけの犯人だと証明してくれるんだぜ」

 巡間「なんだと?」

 国門「ところで全員に聞くが橘はどういう風に人を呼んでいた?」

 橘のみんなへの呼び方……才能呼びだ

 灰垣「才能呼びが多いじゃろう。それがどうした?」

 国門「問題はそっちじゃねぇぜ。橘が遠回しに人を言うとき、遣い分けてたんだよ」

 玉柏「遣い分け…………あ、してたな」

 してた!? え、いつ……

 国門「『やつ』と『あいつ』……橘は男女で遣い分けてやがったんだぜ!!」

 男女で、遣い分け……? まさか……

 国門「男には『やつ』、女には『あいつ』、モノヤギモノリュウ以外しっかり区別されていやがった!! 思い出してみろよ!! 最初に動機をもらったときとか……」

 

 

 

 

 ______

 

 

 

 『関係ねぇ!! 俺はなぁ、一刻も早くあいつを……あいつを……!!』

 

 

 ______

 

 

 

 

 

 

 国門「今だからわかるが、これは多分江上のことを指してるはずだぜ。他にも」

 

 

 

 

 

 ______

 

 

 

 『ったりめぇだ!! そこにやつが、やつがいたはずなんだよ!!』

 

 

 ______

 

 

 

 

 国門「これはダグラスと揉み合いのとき、このときのやつはF.T。きっとこいつぁ男だぜ。さらにだ。これはあとから聞いた話だが、橘がお前ぇらに宮原の死を伝えたときのこと」

 

 

 

 

 ______

 

 

 

 『詳しい話はあとだ!! 執事はそこにいんのか!? やつに握り飯作れって言っとけ!! いいか!! Ⅱ棟にさっさとこい!!』

 

 

 

 ______

 

 

 

 

 そういえば……明らかに違う……近衛のことをやつって言ってた。それだけじゃない。あのとき、橘と会話したときもあいつとやつが混ざっていた……まさかそんなことがあったなんて思いもしてなかった。

 国門「橘はあのとき俺にこう言った!! 『犯人はやつだ』と!! 今の法則を考えりゃあ犯人は男に限定される!!」

 巡間「そんなもの信じられるものか!! 橘くんのハッタリではないのか!?」

 国門「あいつはハッタリなんざ言わねぇぜ。そういう人間だ。なんだかんだであいつは俺たちに一度足りとも嘘をついたことがない」

 ……口が悪くてけど曲がったことが嫌いで不器用で私たちに協力してくれた。……彼の目に何が映っていたのか、何を見ていたのかはとても気になるところだけれど。

 巡間「ち、違う。私じゃない!! それなら、灰垣くんや玉柏くん、近衛くんだって犯人候補だろう!!?」

 灰垣「すまんが、わしの容疑は簡単に晴れるぞ。こいつで」

 巡間「っな!!」

 灰垣がジャージのポケットから取り出したのは……宮原の電子生徒手帳だ。それ持ってたのあんたかい!!

 灰垣「昨日は宮原の個室で寝ておった。電子生徒手帳を確認してもらえば23:00から今日の事件発覚のアナウンスがなるまでの間、わしがそこにいたと証明できる」

 咄嗟に電子生徒手帳で履歴を確認してみると確かに宮原の部屋が使用されたことを示していた。

 巡間「な、なぜそんなもの……いつから!!」

 灰垣「いつから? Ⅲ棟解放されてからずっとじゃ。貸し借りじゃないからセーフじゃろ?」

 モノヤギ「セーフであーる。そもそも貸し借りで一セットであーるからァ、貸すと借りるの契約が成立していなければァ校則違反ではないのであーる」

 灰垣「少し頭を捻っただけじゃ。もし夜中に事件が起きたときに自分の個室でないところを使えば確実に犯人から除外される。それもⅡ棟でな」

 自らアリバイを成立させるアイデアを思い付き、それが成功した。いろいろ伏線多いぞ今回。

 近衛「わたくしにアリバイなどございませんが……しかしこの手袋を見ていただければよろしいかと……」

 近衛はつけた手袋を取って見せる。手には傷一つなく、また手袋も汚れがなかった。……ただ彼の爪は私たちよりも小さく見えた。

 近衛「実はわたくしの手袋は替えがございません。これしかないのでございます」

 巡間「そんなもの仕舞ってやればいいだろう!!?」

 近衛「そうともいかないのでございますよ。今わたくしは手を見せましたが……正直自分の手にはコンプレックスしかございません。それを手袋をつけることで隠しております。これを外してわざわざ見せて殺したなどとなりうるでございましょうか? それに橘殿ならまだしも、ダグラス殿はこの事実を知っていらした。なのにダグラス殿は殺害された。わたくしが殺した理由があれならただのド阿呆でございますよ」

 話している間に手袋をまたつけて淡々と述べた。近衛自分の手にコンプレックスあったのか。けど一理ある。あとは……玉柏の証明だけだ。

 巡間「……っなら玉柏くんはなんだと言うんだ!?」

 玉柏「アリバイか……ああ昨日の夜直樹の部屋に邪魔したな」

 !? な、何嘘言ってるの……!?

 玉柏「ちょっと渡したいものがあってな。夜とはいえ重要なもんだったしそれを届けに行ったんだよ。そうだろ?」

 ハッタリ噛ましてきたぞおい。ていうか同意を求めるんかいっ!!

 直樹「そ、そうだね」

 金室「差し支えなければ何を渡しに?」

 玉柏「鷹山のノート覚えてるか。あれしばらく借りててな」

 ハッタリにとんでもないハッタリ噛ましてんるじゃない。ていうかそれ盗んだってことじゃん!!? なんでやねん!? いつも入れてるカーディガンに手を自然に見えるように入れたらあったよノート。でも盗んだんだなおい。

 矢崎「なーにも夜でなくてもよかったんじゃないかい?」

 玉柏「確かに昼間に渡したほうが確実だがな、夜に渡せばアリバイできる可能性が増えるんでな」

 ハッタリ盗賊が何を言うか。

 玉柏「あとそのまま泊まった」

 自分で自分の首絞めにかかるのやめろーーーい!!!?

 国門「は? え、ちょ、なぜ?」

 国門めっちゃ困惑してるじゃんッッ!!!! 少し口調迷子になっちゃってるじゃんッッ!!!!

 直樹「嗚呼……夜までにらめっこしてらしくて届けたときにそのまま寝落ちたんだよ……」

 モウナルヨウニナーレ。

 玉柏「んなわけだ。ご本人様公認のアリバイだろ?」

 ムリヤリスギルソレハアリバイジャナイ。ココロナシカニヤッテワラッテルヨコノカクシンハン。

 湊川「……ってことは犯人は巡間くんしかないってことになるわね?」

 巡間「…………それだけか?」

 さっきまで動揺していた巡間が、否動揺はしているが、一言放つ。

 巡間「それだけか? 本当に? まだまだごり押しの域だろう?」

 正論だ。確かにこれだけじゃまだまだごり押し、押し付けの域。

 国門「んじゃそのごり押しとやらを真実にしてやろうぜ。直樹。俺一度お前に番号渡したろ」

 直樹「え、うん。確かにもらったけど」

 国門「それと玉柏、お前橘に何か言われたのかだぜ? お前ぇに振ればわかるって言われたことなんだが」

 玉柏「ああ。そういうことか。直樹、お前いつも鷹山のノート持ってるだろ? それ今あるか」

 直樹「持ってるけど」

 玉柏「読んでる最中に橘に少し貸してたんだ。何したかは知らんがな。それ見てみな。橘からのヒントがきっとそこにある」

 どういうことだろう。私はカーディガンから取り出して中身をまた一度確認する。見る度に間違いに目が止まり苦笑したくなる。そんな中、後半ページに見覚えのないものがある。

 

 

 ・・  ①④

 ・・  ②⑤

 ・・  ③⑥

 

 

 ●・ ●・ ●● ●● ・●

 ・・ ●・ ・・ ●・ ●・

 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・

 

 あ  い  う  え  お

 

 

 五十音、濁点半濁点のものもすべてが含まれた6つの点。これは……まさか

 直樹「てん、じ?」

 玉柏「へえなるほどな。あいつ、何かに使えるかも知れねぇもんを書きたいって言ってたしな。はあ……不器用なやつだよ全く」

 巡間「そ、それが一体何だという!!?」

 玉柏「こいつには一緒に番号も書かれていてな? で国門曰く橘から番号を教えてもらったんだとよ」

 巡間「バカな……そんなもの」

 玉柏がやってみなきゃわからないだろという顔で私にやれと目配せしてきた。

 直樹「…………了解、相棒」

 私はもらった番号を当てはめながらどこに何が浮かび上がるかを確認していく。番号は「13651561356」。これ数字による法則じゃなくて点字のことだったんだ……えっと……これをこうすると……こうなるのかな?

 

 136    5156   1356

 ●・  ・・ ●・  ●・

 ・・  ・● ・●  ・●

 ●●  ・・ ・●  ●●

 

 でこれに当てはまるのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直樹「は、ざ、ま。……巡間くん?」

 巡間「なっ!!?」

 巡間は驚き絶句する。

 国門「はっはっはっ!! 被害者からのダイイングメッセージ!! まぁさかこんなところとは思いもしなかったぜ。そりゃ興味誰も引かれるわけねぇなぁ!!」

 国門が高く笑う。特技披露大会のときに言っていた。手話とか点字でもいいけど誰も興味引かないだろうと。けど純粋な疑問で、何で橘って点字を知っていたんだろう。

 巡間「ぐっ、ぐぐぐ……」

 矢崎「このダイイングメッセージ……江上ちゃんのときよりも確実性高いね。だってそうじゃないと、あーんな正確に点字の五十音なーんて言えないからね」

 

 

 

 「どうやら診察が必要なようだなっ!!!!」

 

 

 

 表情を歪ませ蒼白しながらも、巡間は反論する。最後……なのかもしれない。けどどうしよう。……コトダマが、足りない。額から汗が流れるのがよくわかった。

 巡間「何がダイイングメッセージだ!! 国門くんが私に『罪を擦り付けるため』に、隠してきたものかも知れないだろう!! それになぜ私が彼らを、『二人を殺害する』のだ!? 理由が、『動機がない』だろう!!? わざわざこんな大掛かりな仕掛けを、しかもあんな『二重の密室』を!? 『咄嗟に出来るようなものではない』!! これは明らかに『計画的な犯行』だろう!!? 私はそんな計画なんてしていないし、そもそも殺人なんてしない!! 君たちは、私が犯人だという確たる決定的な証拠を持っているのか!? 『ダイイングメッセージ』ではない!! 『証言』でもない!! 『凶器』、『時間』、凶器とはまた違う『道具』、エトセトラ!! 私を犯人だと示す『決定的な証拠』があるのか!!!?」

 撒き散らされた反論、私に持たされたはずの刀が迷う。決定的な証拠。確かにない。無さそうに見える。じゃあなんだ? 咄嗟に行われた犯行? 不可能というわけではない。運命ダイスがあるから。でもそれはあまりあてにすることができない。だって『運』なんだから。なら他に何がある? 巡間を犯人だと認めさせる証拠……なにか、何か…………

 巡間「は、ははは、ない、だろう……? あるわけないんだ……見つかってないんだ……あるわけない……見つかるはずない……もう、『あけられることはない』んだ……ははっ、ははは」

 感情なんて籠られてない乾いた、いや、乾ききったような笑顔。何かに怯え、何かを恐れているような……なぜだ……なにか、なにかが引っ掛かる

 

 

 

 ……あけられる?

 

 

 

 

 

 

 …………………………

 

 

 突如、私の脳裏に最悪の可能性が過った

 

 

 一気に駆け上がる寒気

 

 

 鳥肌が止まることを知らない

 

 

 私は反射で体を押さえた

 

 

 そういえば……あんなことがあった

 

 

 少なくとも、二回は見てきた

 

 

 そして、聞いたんだ……

 

 

 『彼らの口から』

 

 

 思い出してきた

 

 

 今まで私が見てきた巡間の行動が

 

 

 何もかも、浮かび上がってくる

 

 

 そしてそれを____ない理由も理解できる

 

 

 コトダマ……入手

 

 

 残酷で

 

 

 狂気的で

 

 

 皮肉まみれな

 

 

 この裁判に

 

 

 終止符を

 

 

 

 

 

 

 

 

   「その表現を正しく翻訳する(切る)!!」

 

 

 

 

 

 

 【コトダマ】

 

 ○○を○たれた○の○

 

 ○○室にない○○

 

 

 ***

 

 直樹「ねえ……巡間くん……目を開けてよ」

 巡間「……………………は?」

 直樹「そのまんまだよ。目を開けて。それだけ。それだけで君は犯人かどうかが決まる」

 巡間「な、何を言って……私はこれが普通なんだ!! これ以上目は開かない!!」

 直樹「………………隠さないで。もう、隠さないで……」

 思いついてしまった推測、私は、これが真実だとしか思えなかった。紡ごうとするたびに胸が苦しくなってしまう。嫌だ。本当なら私だってこんなこと知りたくもなかった。けど、『一致しちゃった』んだ……っ!! 前を向いていられなくて、私は顔を伏せる形で……続ける

 直樹「一回目の裁判、君は橘くんの杖を止めるために右手を出して止められずに、左手で止めた。Ⅱ棟開放後の薬学室でどこかぎこちない動きを感じた。……あと自分で言ったよね、両利きで左に慣れようとしてるけど右が出ちゃうって………っ二回目の裁判、薬学書の話題が出たとき、右手で席に触れようとしたとき一瞬踊ってつかなかった。………………最近なんて、コーヒー淹れるとき溢しそうになったっけね……ビリヤードも…………そのとき何回かかすってミスしたっけ…………橘くんの遺体も……すごく、右脇腹に寄ってたみたいなんだよ………………」

 近衛「そ、それが一体どのような……」

 落ち着け、深呼吸をしろ、ねえ……うそだと言いたいのに嘘じゃない、はずなんだ………………

 

 

 直樹「………………巡間くん、君はさ……『右目がない』んでしょ?」

 渡良部「はいっ!?」

 湊川「え」

 灰垣「なにっ!?」

 国門「はあぁ!?」

 矢崎「なんでっ」

 近衛「そんなまさかっ!?」

 金室「う、うそですよね?」

 玉柏「うそ……だろ……っ」

 誰一人として予測できず声をあげる。でも、今までの行動から考えられるのは……

 巡間「や、やめろ……な、なぜっ」

 直樹「そう思うしかないんだ!! そうとしか考えられないんだ!!」

 自分の視界が歪み始めた。私は我を忘れそのまま吐き出すしかなかった。

 直樹「君は!! 何かの事情で……例えば目にゴミが入ったとか……そういうので瞬きして、ない右目をダグラスくんに見られたからダグラスくんを殺すしかなかった!! そして、密室を作って護身として包丁を持って二階を通ってⅢ棟から出ようとした!! そのときに誰かがいることに気づいて構えて……そのまま勢いで刺したっ!! そのまま一階へ降りてピアノの中に入れてもう一つ持ち出していた簡易ガスバーナーで鍵を溶かして出ていった!! そしてこの時……ガムテープが外に落ちていたことに気づかなかった……そのまま部屋に戻って寝て、早起きして誰かがどちらかの死体を発見するのを伺った!! そして私たちと合流した……!!」

 脳が責めたくない、責めたくないと言っている。それなのに吐き出す言葉は逆のことを差す。そんな矛盾を抱えても、自分の意思じゃ止められそうになかった。

 巡間「っだからこれは計画的な」

 直樹「運命ダイスがある限り!! 咄嗟に密室を作れる可能性だってあるんだっ!!!!」

 巡間「…………っ、違う、違う!! 私じゃ、ないっ!!」

 右目を押さえながら必死に違うと抗議する彼を見ていられなかった。これで、最後にさせて……

 直樹「巡間くんはっ……『森の恐怖』で右目を撃たれた男の子……そうなんじゃないの……?」

 巡間「ひっ……」

 直樹「ダグラスくんの言っていた男の子のこと覚えてるよね? これ、言い方から考えて完全に子どもなんだ。……ダグラスくんの目にはその子がそれくらいに見えた。巡間くん、今の君の身長は150も言ってないんだよね? ってことはいつなのかまで具体的にはわからないけど、当時は今の身長よりも……もっと、低かったんじゃないの?」

 巡間「や、やめ……」

 直樹「隠そうと思っても隠せない……なぜなら『医務室には眼帯がない』から」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もうやめてくれぇええッッッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 巡間が裁判場内を反響させるほどの大声で叫んだ。私は涙を拭いてしっかりと、彼を見つめ直した。

 巡間「もうっ……やめてくれ……もう……いやなんだ……」

 彼の左目からボロボロ流れる涙。ゆっくりと開かれた初めてみたその瞳。童顔の巡間らしく幼い子どもを見ているようだった。

 巡間「わた、しが……わたし、は…………ま……た……」

 ゆっくりと右目から手を離すとそこには

 

 

 巡間「またっ…………撃たれてしまったのか……っ」

 

 

 

 

 

 右目の眼球がない、ただ顔の内側の筋肉や血管が見えている、怯えた少年がいただけであった……

 

 

 *****

 

 

 モノリュウ文書

 

 

 事件の真相ファイルその3

 

 

 この事件は運命ダイスによって左右された、突発的な連続殺人事件である。ダグラスはカジノの掃除をしないと寝られず、夜中に起きてⅢ棟へ向かう。このときたまたま起きてきた金室と出会っていた。

 

 

 一方犯人もまた、たまたまビリヤードをするためにカジノへ行っていた。そこにダグラスがカジノにやってきた。特に気にもしなかったがここで犯人にアクシデントが起きてしまう。目にゴミが入ってしまったのだ。さらに左目を擦っているとき反射で右目を開いてしまい、それをダグラスに見られてしまった。犯人はひどく怯えてダグラスを攻撃し始めた。台を使って逃げ道をなくし、その場にあるものを何度も投げつける。ダグラスはその場から逃げることが出来ずずっと犯人からの攻撃を避けるのに精一杯でついに追い込まれてしまう。不運なことに足元が不安定であったためにダグラスは転んでしまい、そして頭を瓶で殴られ即死してしまった。犯人はダグラスの首を切り血液を流させ、そして棚を倒して現場そのものをぐしゃぐしゃにして、そして密室を思い付く。

 

 

 まず五階の仮眠室に移動した犯人はその場にあったドアノブよりも低い横長の棚を扉の前に置いた。そして手ごろなトランプをいくつもドアノブの下におき内側から大丈夫かを確認。場所を確認してトランプを取り、扉を全開にしてからさっきトランプを置いたところに置き直して扉を閉める。こうして外側から開けようとしてもトランプが阻害して引っ掛かるようにした。

 

 

 次に四階の密室。これを作るために道具を色々と持ち出した。二階からは宮原のポーチから金槌を、三階からはドラム2つと鋸とガムテープを、そして三階四階の鍵、金庫の中から取り出したマスターキーを。以前近衛たちが四階扉横に置いた棚の中身を出して扉前に引きずるように移動させる。そしてドラムのコードを扉側に向いている棚の足に縛って外側から引っ張れるようにした。後ろ側の足は鋸でギリギリまで切る。そしてカジノ内にあったビリヤードのキューを持ち出す。次の三の札が付いた三階鍵から札を取ってマスターキーにそれをつけた。それをダグラスの左手に握らせた。そして密室本格的に完成させにかかることになる。

 

 

 犯人が通れるほどの隙間が出来るように棚をギリギリのところまで扉に近づけて四階から出る。鍵を閉める前にドラムのコードを引っ張ったり巻いたりして扉に棚を近づけさせる。近づけたら扉が開かないことを確認してからコードを外し鍵を掛け、扉下から四階の鍵を投げ入れた。次にビリヤードのキューに金槌をガムテープでガッチリと取れないように固定する。これを扉下に入れて切り込みを入れた足目掛けて思い切り振って足を落とした。両足落としたあとに、鋸で手前の足をまた同じようにギリギリまで切る。そして後ろ足と同じ手順を踏む。最後に落とした足で金槌が挟まるが、そこまで取るのに時間はかからない。

 

 

 一つ目の密室を完成させた犯人は三階へと降りて使ったドラムや鋸やガムテープを元に戻した。ここで犯人は簡易ガスバーナーと包丁を持ち出す。三階の鍵を閉めて、二階へ降りる。ところがここでもアクシデントが起きてしまう。

 

 

 そんなことを知るよしもない橘はコロシアイが起きないように見回りをしていて、ちょうどⅡ棟の見回りを終えていた。Ⅲ棟へと入り一階の見回りを終えて二階へと上がったときだった。犯人が誰かが近づいてくるのを察知してしまった。そこで犯人は持っていた刃物を構えて足音のあるほうへと走りそして橘の腹部を捉えた。このとき橘には運命ダイスが振られていたこと、さらに二階の廊下が狭いというところから杖で攻撃することが出来ずそのまま膝をついてしまい、犯人は逃走。橘は杖を使って控え室へと入りジャケットを脱いでずっと止血することになる。

 

 

 逃走した犯人はピアノの中に金槌と血まみれの包丁を入れた。そして金庫の中に鍵を入れて簡易ガスバーナーで溶かす。金庫は完全耐熱でどんな高い温度になっても溶けることがなかったからそのまま鍵を溶かすことができた。そして犯人はガスバーナーを回収。そのままⅢ棟出た。このとき犯人はミスをしていた。ガムテープの始末をせずに出ていってしまいさらにそれが外に落ちてしまったのだ。

 

 

 一方橘はずっと生きていた。朝までずっと止血をしていた。朝になってそろそろ力尽きようというころに国門に見つかる。橘は国門に教え、そして犯人はやつだと遺しそのまま息を引き取ったのである。

 

 

 *****

 

 

 学級裁判、閉廷

 

 

 *****

 

 

 次回

 なく8部屋目

 

 

 

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