表裏ダンガンロンパ ~共通とすれ違いの物語~   作:炎天水海

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 番外編挟もうと思って全然書けなかったです。すみません()
 そんなわけで表論は四章へと進んでいきます。そろそろ表論の根幹も見えてきそう? 秘密や記憶を明かせてない子もまだまだいるのでこのあとどうなっていくかお楽しみくださいませ。


 では鶴亀1部屋目。長生きしたくば『ツルツル』飲まずによく『カメカメ』




第四章 転がる骰にゃ影潜む
第四章(非)日常編 鶴亀1部屋目


 注意 

 

 これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。 

 本編とは異なる設定が多々あります。 

 あと主の文才は期待しないでください。 

 突然視点が変わることがあります。

 

 それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。 

 

 補足 

 渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。 

 例:直樹→ 直樹(トン)

 他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。 

 なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 __________

 

 

 

 

 ある人は「もどかしい」かった

 その人は「目指して」います

 

 ある人は「従って」います

 

 ある人は「見て」いました

 その人は「溶け込もう」としています

 

 ある人は「見られたく」ありませんでした

 その人は「隠して」いたのでした

 

 ある人は「守って」いました

 

 ある人は「忘れて」いました

 そして「抱えて」います

 

 ある人は「苛立って」いました

 その人は「疑って」いました

 その人は「弱かった」のでした

 

 ある人は「引っかかって」しまった

 

 ある人は「たえて」いました

 

 ある人は「保って」います

 

 ある人は「潜んで」います

 その人は「動き出そうと」しています

 

 ある人は「強がって」います

 だんだん「脆くなろうと」しています

 

 ある人は「縛られて」います

 

 ある人は「できなくなって」いました

 もはや「侵されて」きています

 

 ある人は「恐れて」いました

 その人は「大事に」したかった

 それはそれは変わらぬ「想い」で

 

 ある人は「不安」でした

 もうその心配はありません

 

 

 _________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***とある場所にて***

 

 

 

 ビリリリリリリリリリリッッッッッッ!!!!!!!!

 

 「ぐああああああっっ!!!!」

 

 ドサッ……

 

 「よくも……裏切ってくれたなぁ……?」

 

 「ぐっ……くそっ……」

 

 「もちろん貴様に言っても意味のないことなのはわかっている」

 

 「な、ならなぜ」

 

 「なぜ? それを見張るのが貴様だろう」

 

 「ぐ…………」

 

 「引き続き頼むぞ」

 

 「……くそ……」

 

 「すべてを裏切った」

 

 「………………っくそぉおおおおおおお!!」

 

 「『裏切り者よ』……フフフ……ふははははっ!!!!」

 

 

 ***

 

 

 

 お願いだ

 

 

 生きてて

 

 

 あなたが生きててくれなきゃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       “__を壊せない”

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 モノリュウのお告げ

 

 

 

 サイコロ

 

 

 定義上それは

 

 

 六面ダイスのことを指すようだ

 

 

 四面や八面、十二面あろうとも

 

 

 『サイコロ』は六面

 

 

 ダイスと言えば幅は広がる

 

 

 ところでダイスは

 

 

 英語表記だと『dice』

 

 

 これは複数形なのだが

 

 

 原形に戻すと

 

 

 『die』だと知っているか?

 

 

 『死』と同じなのだ

 

 

 おもしろいだろう?

 

 

 この1単語から

 

 

 複数の意味をもたらされるというのは

 

 

 何故か?

 

 

 それはきっと

 

 

 余らの世界の影に潜んでいるのが

 

 

 理解し難い世界の理が

 

 

 存在するからかもしれない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第四章「転がる骰にゃ影潜む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 15日目

 

 目が覚めるとそこは橘の部屋だった。そうだ、俺はここで酒を一本……まあ缶だが……を煽ってそのまま寝落ちた。柄にもなく泣いていたってな。やるせなさに背中が重くなる。しっかし少し頭痛いな。たった一本で二日酔いしたか? まあ別にいっか。そうだ、直樹のところから盗ってきたこいつら置き忘れてたな。っと……

 

 ……………………

 

 

 「せめて、そっちで幸せになってくれ」

 俺は一度自室へ行って着替え、Ⅲ棟に手帳を置き、食堂に向かった。

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 食堂に行ってみたが誰もいない。どういうことだ。厨房に寄ってみたがまあそっちも。昨日あんなに泣いてたからか。あいつらちゃんと寝てるのか……? 冷蔵庫の中を覗いてみたが特に作りおきしたような雰囲気はない。全くしょうがないやつらだな。作ってやるか。シンプルに和食でいいよな。

 気配を感じる。誰かがこっちに向かってきているのか。

 「おはようございます」

 「ん、おはよう。金室か」

 「ええ。近衛くんが今みんな起こしてますし、もう少ししたら来ますよ。あれ、国門くんはいないんですか?」

 「国門? 見てないぞ?」

 「トイレにでも行ったのですかね。いえ、部屋にいなかったのでもしかして先に行ったのかと」

 あいつのことだから、あまりそこは気にしなくても大丈夫だろうがな。

 「ほう……ま、そのうち来るだろ。それよりそこの味噌汁注ぐの手伝ってくれるか」

 「ええ」

 返事をしたが金室はそのまま手に汁をちょっとだけ垂らして舐めた。

 「……個人的にほんの少しだけ味噌欲しいです」

 「……すまん」

 査定してきたよ。全く。

 「ですが……」

 今度はなんだ。

 「なぜでしょう……この味……まるで誰かに手を差し伸べるような」

 「どんな味だよ。手を差し伸べるような味って……」

 「わかりません。そう思ったのですから」

 正直なところは褒めたいんだが、どうも苦手だな。

 そんな適当なことを話していたらみんながぞろぞろ起きてやって来た。昨日服を変えられた三人は元の服に着替えていた。って直樹のその髪の毛なんだ。山姥か。

 「すみません、朝食まかせてしまって」

 「気にすんな。昨日のこともある。無理させすぎても仕方ないからな。たまにはやらせてくれな」

 「ありがとうございます、玉柏殿」

 あのとき以外、こいつばかり食事担当になってもらってるからな。負担を少しでも減らしてやらないと。

 「……お前さんの目はあれじゃな。まるで子どもを見てるみたいじゃな」

 「子どもを見てるみたい? バカ言え。犯罪者が何で」

 「あ、でもわかるかも」

 直樹まで!?

 「あまり干渉しないけど、近所で優しく見守る人みたいで。それと手とか優しいんだよね。なんか、触れ慣れている感じがする」

 話題があったから良かったが、これ唐突だったら語弊が生まれそうだな

 「触れ慣れてるって……そりゃ、盗賊だから盗む物丁寧に扱うだろ」

 「んーそれとは違うんだ。けど説明できない」

 「はあ……?」

 思わずため息が出てしまう。呆れる。この手に何の意味もないだろう。包帯だって三人の仲間の証を刻んでいる。盗まなければ生きていけなかった俺の手が、そんなに優しいのか。直樹は繊細だからかなり気を使ってはいるのは確かなんだがな。

 「そういえば国門くんはまだなの? 遅くない?」

 「…………遅すぎじゃないか? 今は……8時か」

 誰もが思っている。遅いと。昨日は国門の部屋で全てを聞いた。そのあとのことは俺は知らない。だが聞いた限り全員が部屋で寝落ちてしまったんだろうな。

 「うち探して来ます」

 「えっ、けど」

 「このまま来ないで死んでたなんて洒落にもならないので」 

 頑として譲ろうとしないその瞳にどこか誰かと似たようなものを感じた。思わず俺は笑った。 

 「行ってこい」 

 一言そういったらそのまま走って食堂を出ていった。 

 「いいの?」

 「どうせ生きてるだろ。あいつ、しぶといところあるからな」 

 正直な話、敵には回したくない相手だ。しばらくしたところに金室が国門と戻ってきた。ただし国門は金室の肩を掴みふらふらとしているようだった。

 「国門くん!!」

 「よせ……頭に響いてしゃあねぇんだぜ……」

 頭に響いてる? 

 「ふらふらしながらⅢ棟から歩いてきたそうです。全く阿呆ですか」

 「うるせぇぜ」

 「とにかく詳しい話はあとだ。動けないことはないんだな?」

 「ああなんとかな。飯は食うぜ」

 悪態はつくが飯はしっかりと食べる。全く。 

 「それで、どうして支えられていたの?」

 「……殴られた。昨日の夜に部屋から出て……Ⅲ棟に行ったらよ……背後からいきなり殴られたんだぜ……目が覚めたら仮眠室にいてよ、そこから戻ろうとして金室と」

 「そもそもなんでⅢ棟に…………」

 「………………」

 そのとき国門は黙った。 

 「……忘れた。なぜそこにいったのかを」

 「忘れたって……」

 「記憶喪失にしては随分じゃな」

 「仕方ないだろ。頭を思い切り殴られたんだから」

 「そのとき何か見たとかもかい?」

 「……そういえば、サイコロが投げられたような音が聞こえたような……?」

 サイコロ、俺たちを取り巻いたもの。実際はダイスなのだが。

 「まさか刺客の七なんてことはないですよね?」

 「わからねぇ。だがもしサイコロが関係しているならこれは明らかに刺客の仕業だと思うんだぜ」

 「根拠は?」

 「サイコロには見えねぇ七が潜んでいる。見ればわかるがサイコロの上下を足せば必ず七になる。見えないはずの七がよ」

 「まさしく『死角』ってわけかい」

 「だろうぜ。刺客は死角の世界からやって来たやつってことになる」 

 誰にも見えない死角の世界からやってきた『刺客の七』。本当にそうなのか? と俺は思った。

 「僕らはまだ知らないのかもしれない。ここにいる人が全てでない。第三者が潜んでいる可能性も考えておかなきゃならねぇぜ」 

 なるほど、第三者か。確かに捨てられない選択だ。 

 「とりあえずご飯食べなさい」

 「あ、はい」 

 でお前は金室に注意されるのかよ。

 

 

 ***

 

 

 飯食ってしばらく全員がその場で留まった。誰かがなにかを言いたそうにして吃り、また誰かが言おうとして吃る。その繰り返し。さっきまでの会話が嘘のように途絶えた。

 「なんか……話す気も失せちゃったわね」

 「…………ここも、広くなっちゃったなぁ……」

 かつて七人が座っていたところを眺める。虚しく閑散としたその場所を。

 

 

 

    ……………………………………………………

 

 

 

 「………………ホント……静か、だね」

 ……嗚呼、全くだ。だってもう……ここにいるのは九人になってしまったのだから。

 「ああああもうやってられません!!」

 拳で机を叩いて大きな怒鳴り声をあげ立ち上がる人一人。金室だ。

 「皆さん、少しばかり執着が過ぎませんか」

 「執……着……?」

 「少しお話をいいでしょうか」

 ドカッと座り直し腕を組んだ。金室らしくない。

 「確かにうちらは誰かにすがって執着します。人は誰かの支えなしでは生きられない。たとえ一人暮らしをしている者であっても、誰かの助けは必ずあります。しかし頼り過ぎるのは自己を失う危険な行為だと思います。自分を保たなければ、死にますよ」

 言葉に重みを乗せながら真剣に俺たちを見ながら語る。

 「なので皆さん、一度ここから出るという概念を忘れたほうがいいと思います」

 「はぁ!?」

 「ちょっと!!」

 「焦らないでください。何も絶対とは言わん。少し視点を変える。それだけのことです。出ることに執着すればそちらにばかり目がいき他をおざなりにしがち。ならば出るという気持ちを抑えて、ここに居ると真の意味で自覚すれば別の視点が増えるのではないでしょうか?」

 「例えば?」

 「例えば……そうですね……」

 金室は少し悩む素振りを見せる。

 「裏切り者、そんな存在がいてもおかしくないかと」

 その言葉に一気に空気が冷えた。俺も思わず顔をしかめた。

 「現に今『刺客の七』なる存在が現れています。それは、その人にとって何か不都合や策があると見るのが妥当では? もしくは刺客の七と裏切り者は同一の存在とか」

 ……確かに、刺客の七が裏切り者と考えてもおかしくはない。本当に裏切り者がいるかどうかは別だがな。

 「まああくまでも提案程度ですし、強制力はありませんから。ただ少し視点を変えてみるのもいいかなというだけです」

 「でもだからって」

 「いや、僕は賛成だ。確かに有り得なくはねぇ推理。これだけコロシアイがうまく進んでるんだ。何かあっても不思議じゃねぇぜ。さっきの第三者のほうもだが、それこそここにいるかもしれない裏切り者の存在も否めない」

 目的を分割すれば多少なりともマシか。それなら俺も乗るか。他はまだ悩んでいるみたいだな。

 「この話は本当に念頭に置く程度で構いませんので。以上です」

 やや早口だったのは、気のせいじゃないだろう。焦ってるんだってよく判る。

 「んじゃ、僕からも一ついいか」

 国門は少し回りを見渡すと話始めた。

 「僕の中にいる『人格』がもう8割の段階まできている」

 「8割?」

 「それってつまり、国門くんの制御がもう行き届きにくいところまで来ちゃってるってこと!?」

 直樹が噛みつくように尋ねると静かに国門は頷いた。

 「今2割をうまく使って本来の自分を保ってる。いや保ててもないか……だけどもし次の裁判を乗り越えたなら、僕は……人格をそいつに取られる」

 思わず唾を飲み込んだ。

 「前回の裁判で阪本を弁護士として多少なりとも弁護しようとした……がまあ迷惑かけてただろ。それにあのあとの発言で僕はひどいことも言った。今さらだけど、この場を借りて謝らせてもらう。悪かった」

 国門は頭を下げて謝った。

 「これはお前に対する謝罪なんじゃないか? 湊川」

 「えっ?」

 こいつは知らない。ダグラスと先にあそこから立ち去っていたから。矢崎がかいつまんでそのことを湊川に伝えれば、そんなことがと驚いていた。だがすぐにあいつは微笑んだ。

 「んーん。いいわよ。気にしてないわ。私は……阪本さんたちの想いを背負う義務がある。すごく気負う感じだけど、ダグラスくんがいなくなって、橘くんの言葉で目が覚めたわ。自分に素直になってみようって思えたから」

 懐かしむように湊川は微笑んだ。そいつの目は前よりも、迷いが晴れている気がした。

 「それが懸命だ。悪い。話を戻すと今回の裁判……今日起きてみたら後半辺りがうまく思い出せないんだ」

 「さっき殴られたからその影響……いや、にしても変だよね……」

 「……もし、これが僕の人格の仕業だとしたら? 徐々に薄れる記憶がその人格に奪われているとしたら? 自分が自分でなくなっていくんだよ。僕はこれから何をしでかすか、自分のことでありながら自分でわかっていない。それに最近、この人格が本当に自分の中に存在していたかも怪しく思えてきた。けどそれよりも怖いのは橘の言っていたことが本当だと思っていたことの一部が嘘だったとしたら。これは僕に限らず、みんなそう」

 ……まさか、あいつの言っていた俺の才能に関することって嘘かもしれないってことなのか? だとしたら本当に俺は何者だ?

 正直今俺はこの『盗賊』だって認識が定着している。

 「記憶のすれ違い、人間関係の交差、嘘と真実が混ざり合うこの空間そのものも謎に思えてくる」

 「言われてみればそうじゃな。現にわしらはマンションに来る前からの同級生。さらに言うならば、江上と橘、直樹とそのお相手さん、玉柏のそのお仲間さん。昔からの知り合い関係がいたにも関わらず、記憶の欠如で悲劇は起きた。しかも振り返ればわしらの記憶は操作されているらしいじゃないか」

 「……もうわかんない。異世界にでもいるみたいじゃん……二次元じゃないのに」

 不覚にも、渡良部のその一言ですぐにゲーム好きの三人組を怪しんでしまった。確証はない。いくら俺がほとんど勘で動くとは言え、さすがにこれはこじつけにも程がある。

 「仮に異世界だとしたらいろいろ納得いくところも増える。でも現実はそんな甘くはないだろ」

 「そもそもどのようにして異世界にという問題もございます」

 ああもうやたらとこんがらがることばかりだ。二次元? 異世界? そんなの知らない。昼寝したい。

 「やめだやめだ!! 話題が多すぎる!! 今わからないことをさらにわからなくさせると脳がパンクするだろ!! この考察はもう少しあとにしような!!」

 無理やり話を終わらせた。面倒臭い。あんだけの話題をどうしろと言うんだ。

 しばらくの間、沈黙が訪れる。ちょっと言い過ぎたか。こいつらには申し訳なく思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「興味深いであーるなァ?」

 「黙れい」

 「このコスプレヤギ」

 「イヤミヤギ」

 「金でも食っとけ」

 「食べないであーる!!」

 「えっ、硬貨食べれないの……!!?」

 「余計食べないであーる!!」 

 なんだよしんみりしたと思ったらモノヤギに対するこいつらの妙な団結力は。橘のコスプレをしたモノヤギがため息をついた。 

 「いやそんなことよりィ……ワレはお知らせのためにここにいるであーる」

 「どうせⅣ棟のことだろ」

 「ピンポンピンポーンンン!!!! Ⅳ棟解放のォお知らせであーる!! 別名運動棟!! 体を動かしてストレス発散するといいであーる!!」 

 キャッチフレーズがそうくるとは思ってないな。 

 「ではではァワレはこれで失礼す」

 「待て」

 その場を去ろうとするモノヤギを国門が止める。 

 「……何であーるかァ?」

 「お前、あれはどういう風の吹き回しだ。なぜ僕に昨日」

 「何も言うな。言わなくていい。これはワレの……いや、やめておこうか」

 時折気になる。こいつの本心が。ヤギごときに心があるのかという問題だが。少なくとも俺たちに何かを隠しているのはわかる。前みたいに。 

 「資料室がⅣ棟にあーる。そこで調べればァ、何か見つかるかもであーるなァ」

 「……モノヤギからそう言われるとなんか怪しいねえ」

 「………………これで、本当に良いのであーるか……?」

 その後ろ姿はどこか、が宿っているようにも見えた。そのままモノヤギは立ち去っていった。

 「何なんじゃ一体」

 「さあ……」

 俺たちに謎を残すモノヤギ。不思議とその背中が大きく見えた。

 「…………」

 「あの……」

 恐る恐る、湊川が手を挙げた。

 「どうした」

 「少し、あやふやになっちゃったし……けどはっきりさせたいから……いいかしら」

 全員の視線がそいつに向いた。湊川は胸に手を当て息を吐いた。こうして話すのは二回目か。

 「背負って前に進むだけじゃ甘かった」

 その発言に少し肩が震えた。

 「本当に背負うって何なのかしら。前に進むって何なのかしら。私はそれが曖昧だった。いえ、足りなかった。橘くんの遺した音声を聞いてやっと。私は昔から少し気負うことばかりしてたの。上手くいかないことを背負いすぎて、本当の自分を見失って。どれが本当の私でどれが嘘の私かわからなくなっていた。大丈夫なんて言って、本当は一番大丈夫じゃないみたいなのザラだったのよ」

 胸に当てた手が服をギュッと握りしめていた。

 「私は弱い。きっと誰よりも。現実から目を背けるばかりで、前に進むなんていって全然進んでなかった。あの話を聞いてブツリって何かが音を立てて切れた。多分昔からの呪縛から解放されたのかなぁなんて。……思うことは言わないと伝わらない。大切なことを伝える前に死ぬなんて嫌。だから少しでもみんなに共有できることは共有していきたい。迷惑かけるかもしれないけど、そのときは迷惑かけ返して? お互いに理解し合うことも、ここから出るために必要なことだと思うから」

 ちょっと無邪気に、けれど元からあるこいつのお姉さんのような優しい優しい笑顔がとても美しく見えた。

 「そうして、みんなは前に進む。希望を持って生きたいわ」

 言葉いろいろおかしくてごめんねと、湊川は謝った。

 「気にすんな。伝わってる。迷惑かけろ。それに俺たちは応えるし、俺たちもお前に迷惑をかける。前に進むためのプロセス。みんなでしっかり歩めるようにしないとな」

 肩を少し叩いて言ってやったら泣き出した。え、待って何で

 「あ!! 玉柏が泣かせたぞ!!」

 「おいやめろ国門っ!!」

 「いいのよ。……ちょっと、嬉しかっただけだから」

 ……みんな気づいている。そしてダグラスもきっとそれに惚れたんだろう。

 湊川の笑顔は人を虜にする美しさがあるんだってな

 

 

 

 * * * * * * * * * *

 

 

 

 いろいろあったけど、みんなでⅣ棟に。結構な高さを誇ってる気がしなくもない。 

 「トイレは全階にあるからいいとして。一階はロビー。二階はプールとその更衣室。三階は体育館。四階はトレーニングルーム。五階は休憩所と資料室と放送室。そして別館の寄宿舎」

 「別館は完全平屋か。見た感じ高さはⅣ棟一階と変わらんみたいじゃな」

 「換気のための窓もちゃんとあるし……いつもよりは開放的みたいね」 

 プールが二階にあるっていうのがなんか不思議。とりあえずみんなで中へ入ることにした。

 

 

 ***

 

 

 一階はまあ案の定という感じ。どうやら別館と中では繋がっていないみたい。

 いろんなスポーツ選手のマネキンや肖像画、写真が並んでいる。野球、サッカー、バスケ、バレー、ゴルフ、弓道、空手、柔道、などそれぞれたくさんある。 

 「こんなところでここまで心が踊ったのは初めてかもしれんな」

 「度々思うけど、灰垣(ロン)がバレー部なのすごく忘れる」

 「なぜじゃ」 

 いやそうなるでしょ。

 「む? おお久しぶりに見たぞ」

 「え、誰々?」 

 灰垣はとあるバレー部の写真に指を指した。髪を靡かせながらスパイクを打つ横顔の男子の写真だ。横顔だけでも相当格好いい男子に見える。

 「希望ヶ峰は中学時代からこやつの様子を見ておったのか? 確かに有名じゃけど」

 「どういう人?」

 「そりゃああれじゃよ。突如彗星の如く現れたバレー界のスターじゃ。思い出したのはつい最近じゃがな。久しぶりに見られた」

 「会ったことあるの?」

 「残念ながらない。彗星の如く現れたが彗星の如くすぐに姿を消したからの。機会はあったんじゃがなぁ」 

 少し嬉しそうな顔をしていた。それだけバレーに思い入れがあるんだ。

 

 

 ***

 

 

 二階へと行くとすぐにプールと書かれた部屋があった。入ってみると扇風機とかベンチとかロッカーとかも見えた。そして赤と青の扉。きっと更衣室なんだろう。 

 「みんなしてェプールの探索であーるかァ?」

 「……何の用だ」

 突然背後からモノヤギの声が聞こえた。

 「いや少し説明しておかないといけないであーるからなァ? 監視カメラ以外の機能を一時的に停止させたであーるからァちょっと聞くであーる」

 そういうと男子更衣室の方に手をのば……せなくてジャンプしてドアノブを引いた。木製の棚、その中一つ一つに藺草の篭が入っている。

 「女子更衣室もこんな感じであーる。注意して欲しいのがァ、ここに入るためにはァオマエラの持つ電車生徒手帳が必要なのであーる。扉の隣にある黒いやつにかざせばァ鍵が開くであーる」

 「Ⅱ棟の個室と同じってことかい?」

 「そのとォーり!! でェ、更衣室には一回の掲示につき一人だけ入れるであーる!!」

 「一人だけ?」

 「間違って男子が女子のォ、女子が男子のに入ったら困るであろう?」 

 そんな状況あるのか? 

 「ちなみに更衣室からオマエラが今いるところに出るときもォ、更衣室からプールゥ、プールから更衣室も同じであーる。今の3つは電子生徒手帳の掲示はしなくてもいいであーるがなァ」

 ちょっとだけ面倒くさい仕組みだ。 

 「そォれェとォ!! ここの更衣室はァ、入ってる人数がわかる仕組みであーる!! 人の形のモノが入ったと認識されれば更衣室内のセンサーが働くであーる」

 「普通に人でいいよね?」

 「あとォどちらの扉が開いたかもわかるであーる。そして人数計算されるのは両方の扉がしまったときであーる。というかァ片方が開けば片方は開けられないのであーる!!」

 「めんどっ!?」

 「今回だけは特別で見せているであーる。とりあえず中入るであーる」 

 先導されているっていうことが癪に触る。進むことにはしたけれど。

 中はとても解放感に溢れていた。シャワーとかビーチバントとかビーチボールとかいろいろ。ただプール内の水は何故か抜かれていた……というか抜かれている最中だった。ザアアアアアアっと勢いよく流れる音が聞こえる。

 「これは一体どういうことでございますか?」

 「プール内の掃除をォ定期的にやっていたであーるよォ。それがたまたま今日被っただけであーる」

 「タイミングわるっ!?」

 「午前中に水抜き……午後の二時から二時間くらいかけて掃除をやっているであーる」 

 そんなに時間食うもんなの!? 

 「丁寧掃除したほうがいいであろう? 気遣いであーる」

 「あんたから気遣いされるの物凄く違和感あるし複雑なんだけど」

 「それとォここはプールの動力室でェ」

 「スルーすんなよ!!」 

 動力室ってどういうことだ。

 「ここで波を作ったりィ、渦を作ったりすることができるであーる!!」

 「楽しそうなのになんか不穏だねぇ?」

 「まあこんなところであーるかなァ。ほらァさっさと探索戻るであーる!! さっき話したところはァ校則に反映しておくであーるからなァ!!」 

 無理やりプールから追い出されて二階廊下へ。

 「最初からよ、校則で説明できねぇんかねぇ?」

 その場にいる全員頷いて、三階へ昇ることにした。

 「あ、プールのサウナ開いてるであーるがァ入るであーるかァ?」

 「「「入らねぇよ!!」」」

 全員のツッコミが轟いた。

 

 

 ***

 

 

 で、三階。体育館だ。普通に学校にある感じの空間で、器具庫とかも備えられている。灰垣が器具庫に入るとバレーボールを手に取ってやってきた。彼はバレーをするときにサーブする線の上に立つ。

 「やっぱり気になるの?」

 「当たり前じゃ。ふむ空気は程よいの……どれ……せいやっ!!」 

 テンポよくボールを上げバシンッッ!!!! とサーブを打てばバンッッ!!!! っと壁に勢いよくぶつかり跳ね返る音が体育館内を反響させる。思わず感嘆してしまうほど。 

 「おお……」

 「やれやれ、少し肩が痛む。二週間以上まともに運動出来てないから鈍っておるの」

 「うわぁさすがスポーツマン……」

 「その格好でよくできるな」

 「あとでまたここにきて打ち込みするわい。その時はさすがにジャージに着替える」

 鈍ってる、って言える辺り本当にバレー好きなんだなぁ。やっと彼の才能らしい才能を見た気がする。だって 

 「これで僧侶じゃない証明できたね」

 「やかましいわい!!」

 言動も格好も僧侶臭すぎるから。

 

 

 ***

 

 

 四階はトレーニングルームというわけで。ランニングマシーンやらサンドバッグやらスピンバイクやら、肉体を鍛える道具がいくつも置いてある。それと自動販売機もあってお茶やスポーツドリンクを飲むこともできる。お金の類いはなしで押すだけだから『自動販売機』というよりも『自動提供機』か? 

 「アブドミナルにステアクライマー、ショルダープレスにレッグプレス……うむ。大量じゃな」

 「どれがどれ!!?」

 「わからんでもいいんじゃぞ」

 けらけらと笑って先を急ぐかと灰垣はそのまま五階へ行った。

 「玉柏くんはこれわかる?」

 「一応はな」 

 マジかよ。

 「使った記憶はないな。いやもしかすると使ってたかもしれない。覚えてない」

 「懐かしいものばかりでございますね……わたくしの通っていた学校にもこういったものは見受けられましたので」

 「近衛くんは剣道やってたんだもんね」

 「本当に一時だけだったのでございますがね。それに多少機器の知識を知るだけ故、あまり使ったことはございません」

 「仕えてるところにはあるの?」

 「一応」

 あるの!?

 

 

 ***

 

 

 五階に上がるとすぐに休憩所が見えた。テーブルと椅子が規則正しく並んでいて、お茶を入れるスペースもある。

 奥のほうへ行くと資料室と放送室の扉が目につく。先に放送室を覗くと、全員入るのには少しばかり狭いと感じた。それと扉がもう一つあった。スタジオらしい。スタンドとかレコードとかもある。 

 「スタジオのほうはやっぱり広いわね。あ、こんなところにマカロニあるじゃない」

 「え、パスタのやつ?」

 「そっちじゃないわよ」 

 こんなところにパスタあったら驚くわ。 

 「正式にはコネクタなんだけどね。コードとコードの接続のためのものよ。オスコード・メスコードとか」

 「オスメス? 見分け方あるのか?」

 「ええーと……出っ張っているのがオスで凹んでいるのがメスよ」

 あっなんか察しちゃいけないこと察した気がする。

 「Ⅲ棟よりかは機材は少ないのかの?」

 「そんなことはないよ。放送するのに結構な機材必要らしいし。まあここは多くないみたいだけど」

 「詳しいんだ」

 「にわかだけどね」 

 テレビ局内軽くみただけだから。

 放送室を出て資料室へ。その名の通り、銀の棚にたくさんの資料が並べられている。多分カフェにある資料よりも詳しいのかもしれない。 

 「ここ、探索する必要あるな」

 「まだ知らないことがあるかもしれないしね」

 「いつにするか」

 「明日でいいんじゃないか?」

 「ならそうするか」

 会話を終えたところで玉柏が煙草を取り出して吸おうとする。わざとらしい咳払いが近くで聞こえた。

 「煙草はそっちの喫煙所でお願いしますよ」 

 金室が注意しながら指差すところにご丁寧に『喫煙所』と書かれた場所があった。 

 「全く……」

 悪態つくんじゃねえよ!! そして吸いに行くんかい!!

 

 

 ***

 

 

 玉柏を待ってから一度Ⅳ棟を出て別館の寄宿舎へ。男子と女子とで左右が別れている。

 「ここは二手に別れるか?」

 「そうするかな。じゃああとでここに」

 「わかった」

 男子らと別れて女子の寄宿スペースへ。少し歩くと一列に部屋があった。手前から出席番号順らしい。

 「どこにする?」

 「私の部屋でもいいよ」

 「じゃあ直樹ちゃんの部屋行こうか」

 部屋は電子生徒手帳なしで普通に入れた。中はⅠ棟やⅡ棟よりも随分と広い。

 「別館としてあるからでしょうか、広いですね」

 「机とか椅子とかベッドとかがあるのは相変わらずだけど、風呂場があるんだ。大浴場のほうじゃなくてもここで入ることができるってことなんだね」

 「大浴場で思い出したけど、今日みんなでそっち行かない?」

 「いいわね。行きましょ。6時くらいに集合でいいかしら」

 割りと自然な流れで浴場行きが決定した。

 「ん? この棚は……」

 ふと普通なのにどこか忌々しさを交えた棚を見つけた。そこを開いて見ると……

 「うわっ!!?」

 「これは……」

 そこには大量の木材と少し変わった形の鉄があった。

 「なーんなんだい……」

 …………不思議と、私は身近なものだと思えた。どこかずっと傍にいたかのような錯覚に陥った。

 ふと、その棚の奥に何かが見えた気がした。興味本意で漁ってみる。そこには手枷や足枷、猿轡の入った小さな檻の模型があった。

 

 …………

 

 

 ズキンッ

 

 

 「うあ゛っ!!?!?」

 「直樹さん!?」

 

 頭が、痛い。痛い痛い痛い。

 

 「いや、だめ……っ!! あ゛あ゛あ゛っっ!!?」

 

 怖い、寒い、暗い

 

 

 

 

 ________

 

 

 

 

 

 

 

 冷たい空気と

 

 

 一つだけの光

 

 

 檻の中で囚われた自分が映る

 

 

 猿轡

 

 

 手枷

 

 

 足枷

 

 

 ジャリンっ

 

 

 ジャラジャラジャラ…………

 

 

 重々しい音が

 

 

 耳を、体を、脳を

 

 

 まるで犯されるかのような感覚が

 

 

 私を支配する

 

 

 真っ暗

 

 

 頭をかきむしられ

 

 

 張り裂けそうで

 

 

 砕かれそうで

 

 

 逃れられない恐怖と共にのし掛かる痛み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 __________

 

 

 

 「大丈夫だから!! ね? 直樹(なおき)!!」

 

 渡良部の声が聞こえる。ふと頭に何かがあるような気がした。

 

 「っ!! 頭に触るなぁ!!」

 

 頭だけはっ……ダメ……だからっ

 

 「落ち着いてください直樹さん。貴方を貶める人は今ここにいない。いるのは仲間です」

 「ゆっく~り、深呼吸してごらん?」

 背中を撫でられながら、私はゆっくり息を吸って吐き出す、その動作を繰り返す。体の力が徐々に抜けていく。頭痛も和らいだ気がした。

 「だ、大丈夫?」

 「うん、……はあ……大丈夫……」

 ダメだ。仕舞い込んでいたはずのものが未だに忘れられない。もう頃合いなのかな。

 「あんた意外と力強いんだ……」

 見ると渡良部が少し腕を振っていた。

 「も、もしかして怪我させた!? ごめん!!」

 「大丈夫だって。知らなかった私の責任もあるし」

 「ですが直樹さん。すごく頭を触られることを拒絶していたみたいですけど」

 っ…………

 「………………その話……今じゃなくていい?」

 「ええ。ですが近いうちに話せますか? 何も知らない状態であなたの地雷を踏めば危険です。あのときみたいに」

 そうだ。私はあのときみんなに迷惑をかけたんだ。……明日、明日言おう。今は落ち着けない。

 「ちょっとあたい、一人で自分の部屋に行ってみるよ」

 「一応……ですか?」

 「そうだねぇ………………手枷、足枷、猿轡……なーんかSMチックだけど、そーんな趣味嗜好が、直樹ちゃんにあるとは思えない。考えられるとしたら……」

 矢崎は部屋から出ていった。一気に体の力が抜けて膝から崩れ落ちた。壁に寄りかかってまた大きく深呼吸をする。

 多分あの様子だと、矢崎は私のことについてある程度勘づいているのかな。しばらくすると険しい顔をした彼女が戻ってきた。

 「矢崎さん?」

 「……直樹ちゃんのこの棚、あたいの部屋の棚、そしてきっとみんなの部屋にもあるこの棚の中には……それぞれのトラウマ、自分自身に降りかかっている不幸を表すものが入っているよ。あたいの話はこのあとすぐにするね」

 行こうか、と彼女はそのまま足早に出ていった。私たちもそのあとをついていき、男子たちと合流。食堂で話し合いをすることになった。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 「ろ、六千万!!?」

 「そう」

 昼のパスタを食べながら矢崎は別館の棚に合ったという請求書の『コピー』を片手に語る。

 「いつだったかなぁ……そこは忘れちゃったんだけど、飼っていた牛がほっとんど死んじゃっていたんだ。あまりにも唐突だったよ。ここで起きているコロシアイみたいにね」

 前の日までは元気だったのに……という現象か。

 「牛を飼うっていうのはね、楽じゃないんだよ。毎日の掃除、餌やり、搾乳、健康チェック……たーくさんのことを1日中やるんだよ」

 頬杖を付いてパスタをフォークでくるくる回す。輪廻みたいだ。

 「元々家が裕福なほうじゃないんだ。だから多少借金はしてたけど、返せないわけじゃなかった。それに借金取りも理解あるとても優しい人だったから、あまり言ったらいけないけど、その時返せなくても上を誤魔化して取り繕ってくれてた」

 カタッ……手の動きが止まる。

 「おっかしいなぁ。なーんであの一晩で牛が無惨に切り刻まれていたんだろう……なーんで撃たれていたんだろう……なーんで鳴き声も聴こえないんだろう…………無音の草原の中に硝煙が立ち込めていたのを、鮮明に……鮮明に覚えている」

 ほろりと、矢崎の目から涙が溢れた。

 「あれ以来ね……あたい、人よりも動物のほうにほとんどの情を奪われちゃって、おかげで人の死を軽く見ちゃうようになっちゃったんだ。人の死を目の当たりにしたあたいがツラそうに見えても、所詮うわべだけでね。実際なーんにも心に響いて来ない。……たとえ『超高校級』と謳われても、借金を抱える人もいれば、嘘だったけど阪本ちゃんのような過去を背負っている人もいれば、巡間くんみたいにエゴに振り回されている人もいる。それと同じように、あたいは人に対して少し冷酷なんだよ。悲しいことに」

 緩くのんびりした彼女の裏にそんなことが。

 「理解はされなくていいんだ。同情を誘いたいわけじゃないからね。意見ってさ、なーんでもその時の状況で良くも悪くも聞こえる。巡間くんのが一番の例じゃないかな。あたいは冷静に聞いて理解できていたよ」

 フォークに絡んだパスタを彼女は口に入れて飲み込んだ。

 「あくまでも彼にとっての話だけど、サイボーグを付けるってことはつまり『本来の自分を失うのと同等』ってこと。所謂ミロのヴィーナスみたいな状況を彼は求めていたんだよ。そこになーにか別の物を付け足すことで崩れる物語を彼は嫌っていた。もちろんすべてとは限らないけどね。巡間くんの言いたいことはそうだったんだと思うよ」

 そう言われると、少し納得できるかもしれない。また絡めては飲み込む。

 「あたいは他者に対しての理解が不充分過ぎる。そのせいで橘くんの話でみんなが泣いていたのにあたいは泣けなかった。そーんなのもあったから少し自分の中で掟を作った」

 「掟?」

 「……人の痛みを知ろうとすること。フリでもいいから、せめて人の近くで、何をすべきかを模索すること。今までのあたいはその掟に従っていたんだよ」

 今までそんな風には感じなかった。でも感情を知れなくなったからこそ、知ろうと努力してたんだ。もしかするとあのとき花の話をしたのもそういうことなのかもしれない。

 「一瞬の出来事だけで人はなーににでもなれるときがある。だから……またそんな一瞬を、叶うかもわからない一瞬を期待し続けているんだよ。いつまでもね」

 最後の一口を飲み込んで口元を拭く。 

 「それ、相当ツラかったんじゃないの?」

 「まあねぇ。こんなことになったんだ。受け入れる他ないよ」

 渡良部の顔はどうしてと言わんばかりに複雑そうな表情だ。渡良部も渡良部で親に見捨てられた過去がある。多分渡良部の親を見捨てたって情報は『嘘』のほうなんだろうな。

 その会話を聞き、その様子を見た灰垣が、はぁあとため息付いて頭を掻く。じじ臭く重い腰を上げて口を開いた。

 「何か、ずっとじめじめしてるのも嫌になってくるわい。お前さんら、ジャージに着替えろ」

 「は?」

 彼はにやりと笑った。

 「雑念は、動いて忘れてしまおうぞ」

 

 

 *****

 

 

 半ば強引に灰垣に体育館に連れて来られた。何をやろうとしているかは大方予想がつく。

 「よいしょっと」

 「ねえ、これって」

 「バレーじゃよバレー」

 ですよねー!! 支柱を軽々と持ち上げて差し込み高さを調節する。

 「別にバレーじゃなくてもいいんじゃが、せっかくスポーツの才能ありきのわしがおるんじゃ。やりたいしやらせたくもなるわい」

 「私そこまで得意じゃないんだけど」

 「というか、人数が足りないのでは」

 「阿呆め。人数にこだわるな。……確かに人がたくさんいた方が楽しい。しかし楽しいだけではいかん」

 「なぜ?」

 「……何でもかんでも聞くのも良くない。たまには、よっと。自分で考えたらどうじゃ」

 問答を抑えられた。

 「おい灰垣!! こっち引っ張っていいか!!」

 「おお頼む!!」

 玉柏と灰垣がネットを張り終えた。ノリノリじゃんか。

 灰垣はボールをひょいっとあげてオーバーとアンダーを交互に繰り返す。思わずそれに見とれた。ほとんど動いていない。その場で、膝のばねを使っているだけで。ボールが優しい音をたてて距離を保ちながら踊る。

 「すごいきれいな線描いてる……」

 「っと。そうか? これは基本中の基本じゃし。まあわしとてバレーやって長いわけでもないんじゃがな」

 「そうなの!?」

 え、すごい意外。身長高いしあと、なんか、雰囲気が、昔からやってそうな感じがする。

 「人数の関係で呼び出されたんじゃよ。背が高いしお前ならできると」

 「こじつけかよ」

 「で、出てみたらこれじゃ」

 どれじゃ。

 「地区どころか全国まで行ったんじゃ。さっきの写真のやつは別県じゃったし、全国の準決勝で他のところに負けてしまったからの。本当、会う機会はあったんじゃがなぁ、悔しいのお」

 「でも灰垣くんが今もバレーを続ける理由って?」

 「……親のお陰じゃな。あの大会が話題となり、バレーを楽しく思えてきていたわしはふと考えた。僧の道とバレーの道。どちらを取るかを選択せねばいけないと。しかし親は言った。『これは仏様の導きなのだ。仏様が導いてくださった道ならばそのまま進め』とな。それをわしは信じているんじゃ」

 灰垣に僧侶かよってツッコミ何回させるつもりなんだよ。

 「もちろん僧のほうもやれるならやる。僧であってもバレー部であってもいいじゃろう。僧を取得する者で立派に教師をやる者もおれば、芸人をやる者、医者、保育園などの経営、イラストレーター……副業をやる者はたくさんおる。やりたいことをやればいい。人の行く道に、夢に終わりがあってたまるものか。道は長く続く。どこまでも。決して見えぬその先へと。……っそいやっ!!!!」

 言い終えてバシンッッ!! とボールを打てば、またさっきみたいに壁にバンッッ!! とぶつかり跳ね返る。

 「威力たっか!!」

 「え、なに、この状態でバレーするつもり?」

 「手加減するに決まってるじゃろ」

 そうしてくれなきゃ困る。

 「チーム分けはいかがなさいますか?」

 「そうじゃな……正直わしは一人でも十分やれるが」

 「できるの!?」

 「お遊びで1対6なんてザラにあるわい。さて、人数的にも男女混合。奇数人じゃしわしがいるチームは四人でいいじゃろう」

 

 そしてチーム分けはこうなった。

 

 A:灰垣、近衛、湊川、渡良部

 B:玉柏、国門、矢崎、金室、直樹

 

 

 全員がそれぞれのコートにつく。サーブ権は私たちのチームに渡った。

 「いざ!! 勝負!!」

 「かかってこい」

 すでに貫禄溢れてるよ灰垣。最初のサーブは国門だ。

 「あんまり得意じゃないけどなっ!!」

 ボールはきれいに相手コートへと。

 「よしっ」

 しかしそれも束の間。灰垣が片手でひょいっとこちらに返してきた。私に向かって。っておいマジかよ!!?

 「うわっ!!?」

 オーバーで返そうとしたけどバランスが崩れて明後日の方向に飛んでいった。向こうに一点入った。

 「ご、ごめん」

 「大丈夫大丈夫。どんまい」

 「まだいける」

 みんながそう慰めてくれた。なんか嬉しい。

 今度は向こうのサーブ。湊川だ。

 「はいっ!!」

 掛け声とともに放つ。しかしギリギリのところでボールはこちらには届かずネットに引っ掛かった。

 「惜しいっ!!」

 「少し呼吸を整えてやると良いぞ」

 アドバイスをしつつ湊川のフォローをしている。

 「こっちも頑張るか」

 「いくら今回のがサーブミスとはいえ、一度はスパイクを打って点取りたいですからね」

 で、そのあとなんやかんやで試合をした。結局、

 「はっはっはっ!!」

 「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…………」

 「つっっっよ!!?」

 灰垣チームの圧勝に終わった。圧勝、と言っても、結構お互いに頑張ったと思う。いやもう疲れたわ。床にデンッと寝そべる。灰垣は高く笑った。ていうか全然疲れている様子を見せてない。

 「これぐらいではわしは果てんよ。体力は無駄にあるからのぉ」

 マジかよ……

 「なかなか、慣れない動きが多くございました……早々に筋肉痛が」

 「はやいね?」

 すごい若いなおい。

 「ウーロン茶ほしい……」

 「えっ渡良部さんそれ本気?」

 「へ?」

 「ウーロン茶は喉の油を奪ってしまうので今はあまりおすすめ致しません。他に何か飲みたいものがございましたら淹れてきますよ」

 「あっそうなんだ……近衛(リーチ)の紅茶、何でもいいからお願いしていい?」

 「もちろんでございます」

 今は……3時過ぎか。

 「ねえ女子全員に聞きたいんだけど、今お風呂入っちゃったほうがよくない?」

 「それもそうね……汗だくの状態じゃ気持ち悪いもの……」

 「お茶飲んでからぁ……」

 男子たちは個室のシャワーを使うと言って出ていった。近衛の用意したお茶を飲んだ後で、私たちは予定よりも早くにお風呂へ入ることにした。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 かっぽーん

 

 なんて効果音似合うよねって話だけですはい。いや実際に女子みんなでお風呂入ってるけども。

 「温泉入ってるときみたい……」

 「いや入ってるから!!」

 「ツッコミが反響するねぇ」

 風呂場だから。

 「ここのお風呂の成分何なのかしらね」

 「肩凝りとか冷え性とかの解消効果あったら嬉しい」

 「わかるわ……実は私四肢末端型冷え性なのよ」

 「ししまっ……え? なに?」

 「四肢末端型ね。指先が特に冷えるの」

 うわあ才能的にも大変そう。いや自分もそこまで人のこと言えないわ。

 「ダグラスくんの手は温かかったのよね……」

 一瞬シーンとなった。

 「あっ」

 「さらっと惚けるなぁー!!」

 バッシャーンと湊川に向かってお湯でって私も被害こうむヘブッ!?

 「あっ」

 「あっ、じゃなーい!! 被害者増やすなぁ!!」

 「またそれではしゃいで逆上せる気ですか」

 「ゴメンナサイ」

 そうだわ前にのぼせたんだ。

 「全く。まあさらりと惚けるあたり湊川さん相当ダグラスくんのこと好きだったんですね」

 「ん、ちょっと聞き捨てならないわね。好きだったじゃないの。好きなの」

 「ふふ、そんなにムキになって。ダグラスくんも嬉しいでしょうね」

 言葉が出なくなって照れ臭そうに頭を掻いた。

 「そっちはそっちでどうなんですか。渡良部さん?」

 「えっ?」

 金室がすごい攻めてる。

 「ちょっと裁判のときのことを恨むのもよくはないのですが、せっかくの機会です。ずっと片想い拗らせていつになったら本心を本人に伝えるつも」

 「わっわっわぁああーー!!!!」

 また渡良部がお湯をバッシャーンとかけってまたkゴフェア!?

 「あっ」

 「あっ、じゃなーい!! って何回やらせる気なんだよっ!!」

 「これがホントの天丼かぁ」

 「矢崎さんすごい呑気だね!?」

 ほわわんとしてるけどその姿がよく似合うなとかも思ったよ。

 「こらこら。直樹さんにまた被害を受けさせたらダメですよ」

 金室はがっちりと渡良部の両手首を押さえてじりじりと迫る。って心なしか矢崎の目も光って見えるんだけど。

 「あの人好きなのだいぶ前からですよね。一目惚れとかその類いじゃないですか? まあ彼は眉目秀麗、性格も申し分なし、料理も運動もできる完璧とも呼べる方ですしそれはそれは好きになっても仕方ないと思いますよ」

 「あたいから押し花の作り方教えて欲しいってそういうことだったんだねぇ。彼が花好きだからって最近植物庭園で自分からどれがどれとかも学ぼうとしてるし、そう考えたらもう完全に彼の虜になってるね~」

 「べ、別に近衛(リーチ)のことそんな」

 「「誰も近衛くんのことなんて言ってないよ/ですよ」」

 ぅゎぁ金室と矢崎の言葉責めっょぉぃ。図星だよもう。渡良部は顔を真っ赤に染めて口をはくはくさせて何も言い出せない。決してお風呂のせいじゃない。金室が拘束を解くと顔を覆って悶々とし出した。

 「ふふっ橘くんも素直じゃありませんけど、渡良部さんも大概ですね!!」

 「もうやめてあげてっ!! 渡良部さんのライフはとっくにゼロよ!!」

 「みんな茶番好きかよっ!!」

 金室めちゃくちゃ清々しい笑顔してるんだけどドSかよ。

 「今直樹さんドSかよとか思いましたね?」

 「エスパー!!?」

 まともな人がいないダレカタスケテ。

 「で結局どうなんです?」

 「い、いいい、いやね?」

 すごい動揺っぷり。

 「だって、だって私なんかで釣り合うのかって考えちゃうでしょ……」

 「そうですか?」

 「自分の育ちもあるから……それに向こうは由緒正しいわけでしょ? そう考えたらなんか……うん」

 ああそうか。みんなは知らない。渡良部の過去を。

 「それに顔とかもそんな自信あるわけじゃない……近衛(リーチ)と比べたらそんな」

 「ごちゃごちゃ考えるのは良くないですよ。それにうちらよりも彼の側にいるあなたのほうが詳しい。相談してもいいですけど、結果的に伝えるのはあなたです。前に押し花を渡したんですよね? ならあとはタイミングを見て当たってみなさい。あとあなたが思ってるほどあなたの容姿は悪くありません。むしろ良いと思います。あなたは湊川さんもですが笑顔がとても輝く人なんですから。まあ恋愛なんてしたことのないうちが言うのもあまりよろしくはないとは思いますが」

 少なくともそこらの占い信じるよりも信憑性はあるでしょう、と金室はそれ以上のことを言わなかった。けど渡良部は金室のアドバイスを聞いて少し自信を取り戻したようにも見えた。

 「それも……そう、か……!! うん、そうだね。頑張ってみる!! かけてみる」

 ああいつもの、強気で自信家の彼女だ。青春っていいなぁ。

 

 

 ………………彼は今頃どうしてるんだろうなぁ。私がこんなところにいるなんて思ってもないだろうし。連絡取りたいところだけど、取ろうにも取れない。それはみんなも同じなんだけど。相棒がそばにいるけど、それでもやっぱり一番隣にいて欲しい人がいないっていうのも寂しいし。そういえば昨日の裁判のときに着た服彼の前で着たことないなぁ。フリル系もあまり着ないや。パーカーばっかりだからたまには勝負かけてもいいかな……って私いつの間にこんなところまで思い出してた?

 

 …………………………

 

 あれ? なんかみんなじっと私のほう見てるんだけどえっ何があったの?

 「どうしたの?」

 「一人言で彼氏のことべらべら喋ってベタ惚れかあああああ!!!!」

 渡良部だけじゃなくて他の三人も頷いてる。え、私の今のやつ漏れてた!? 恥ずかしいんだけど!!? 四人して手を構えてってあっ待ってこれまたか!?

 「どぉおおりゃああああ!!!!!!」

 「天丼何回繰りかえゴファッペッ!!!?」

 本日三度目。

 

 

 

   なんだこのお風呂場茶番疾走劇は

 

 

 

 

 

 ***

 

 風呂から上がった。いろいろと問い詰められたけど何とか逃げ切っ……てないわここにいる限り。またどこかで問い詰められる。もうそこは諦めよう。

 

 時間が過ぎて夕食時。特に特別なにかあったわけでもない。

 

 夕食を食べ終わったけれど、さぁってと。これからどうしようかな。まだ少し時間はある。今日はⅣ棟の別館で寝ようかな。何かとそういうの自由だよなぁ私たち。適当に別館に入ろうっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ______

 

 

 刹那……

 

 

 

 バッ!!

 

 

 「っ!!?」

 

 目の前に黒いハチマキのみたいなものによって視界が奪われる。そして

 

 「いぎっ!!?」

 

 まるで蛇に絡み付かれたかのように、紐が直樹の首を絞め上げる。それをする人物のことなど頭にない。ただ背後に、頭上に(・・・)人の気配がしてそこから逃れたいという一心で、直樹は首に絡むそれを離そうとする。『ソイツ』は少しだけ、彼女の頭に触れた。

 

 「や、やめ……て……」

 

 直樹は頭の悪感に怯える。しかし怖さのが勝ってる故か弱々しく。そんな抵抗に『ソイツ』は少し眉を潜めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背筋が凍るなんて甘い

 

 

 それ以上

 

 

 体の芯から凍りそうなほどの

 

 

 人が出してるとは思えぬ

 

 

 冷たすぎる殺気

 

 

 金縛りにあったように動かぬ下半身

 

 

 この一瞬で勢いよく流れる冷や汗

 

 

 鼓動がただただ激しく

 

 

 今にも殺されそうな予感に襲われる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   直樹(・・)は一度これを経験していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬、紐がほどけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        助かったのか?

 

     その安堵感が悪魔を呼んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ッッカハッ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほんの、数秒

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どさっ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は力なく倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先ほどよりもさらに強い力を与えられて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 ……………………

 

 

 

 

 枝は垂れても嘘をつく

 

 芝に潜んだ臆病さ

 

 重さ8とて教育上よ

 

 山の綺麗に見とれるべからず

 

 冬の寒さは

 

 冷たく静かで笑ってる

 

 1人のソナタ

 

 彼岸を見届けん

 

 

 

 そうわたしは刺客だ

 

 刺客の七だ

 

 

 

 

 

 

        あなたはまだ

 

 

    わたしの正体を知るには早すぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           to be continued……

 

 

 

 

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