お久しぶりです。四章2部屋目です。四章を執筆しているとちょっと二章を書いてる気分にもなります。どういうことかというと書きにくいんですよねこれが()まあ精一杯書きます。
それとハーメルンには特に工夫らしい工夫を施したことがないんですけど、近いうちにもう少し読みやすくしようと思います。如何せんスマホでやっているので動作が遅くなるんですよね()
ではでは、屋根の毒蜂2部屋目。
あなたは何を運んでそこにいる
注意
これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。
本編とは異なる設定が多々あります。
あと主の文才は期待しないでください。
突然視点が変わることがあります。
それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。
補足
渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。
例:直樹→
他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。
なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧下さい。
◆◆◆◆◆
______
『旦那、奥方。例の小娘です。どうぞ』
『さすがだ。やはり貴様らに頼んで正解だった。はてさて、どうしようか』
『あらあら、今乱暴に扱うのはお止めなさいね。あとでじっくりと調教してあげませんと』
『御前も御前で大概だ。しかし言ってることは最もだ』
『でもいいの? あの子』
『……我ら一族の宿命に抗った者…………いや、心配はない。世間に苗字だけなら我らのことは伝わっている。それに政府は我々を揉み消しているそうだ。広められても戯言だと言われるだけ。あの家もそろそろ手放すか。別荘も』
『ふーん。まあいいわ』
『はっはっはっ……しかし……』ガシッ
『……っ!!』
『ははははは!! 実に良い目をしている!! これは使えるっ!! ま、使えずとも売れば高値だろう。貴様が有能なことぐらい知っている。貴様の訳したものは我々は読んだことがあるからな』
『っ……!!』
『あんた、今の話聞いてないでしょうね?』
『もちろんですよ。言いふらしもしません』
『あら頼もしっ』
バアァン!!!! ドサッ……
『言いふらししないって聞いてるんじゃありませんか。全く。証拠隠滅は?』
『絶対だ』
『わかったわ。それじゃあ……』
ガタン!!!!
!?!?
『貴様ら何をしている!!?』
『女の子だ、あの女の子がいるぞ!!』
『くっ、いつの間に警察が……!?』
『っ!! チクショウこいつに嵌められてたか……!! 逃げるぞ!! 惜しいがそいつは不要だ!! 始末しろ!!』
『オーケー。まかせな』
スチャッ
『…………っ!! っっ……!!!! っっっっ!!!!』
『!! 空ぁあああああ!!!!!!』
バアァン!!!!!!!!
______
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!?!!!!!!!!!!?!!!!!!?!!!!?!!!!!!?!!」
*****
振り回す手が何かに当たる。直樹はそれを掴んでがばっと起き、すがるように背に爪を立てて抱きついた。背中を優しく撫でられぽんぽんと叩かれる。過呼吸を起こす彼女の視界がグルグル回る。涙が止まらない。
呼吸が整ったころ、ようやく誰にすがったのかがわかった。
「落ち着いたかい?」
「や、やざき、さん……はあ、……はあ……」
「随分うなされていたみたいだね。大丈夫、大丈夫」
子どもをあやすように、矢崎は直樹の背中を先ほどと同じように撫でて優しく叩く。直樹も矢崎に今度は優しく抱きついて嗚咽を漏らしながらまた呼吸を整える。本当に矢崎が人の気持ちを理解できないなんて思えないほど、彼女の手は優しかった。
本当に落ち着いたとき、直樹は抱きつくのをやめてそれに合わせるように矢崎もあやすのをやめる。気付くとそこには全員が、別館の寄宿舎の直樹の部屋にいた。
「はあ……よかった……生きててよかった……」
玉柏が胸を撫で下ろす。周りのみんなも安心か崩れ落ちるものもいた。
「み、みんな来てくれたの?」
「そりゃそうじゃろ……見つけたのは渡良部じゃぞ。というか、ここまで運んでくれたのもそやつじゃ」
「渡良部さん……ありがとう」
「いいよ別に。筋肉痛で少し疲れたけど。無事ならよかった」
渡良部の顔は少し青かった。一番不安だったのだろう。
「直樹さん」
ふと、金室が直樹に声をかけた。
「?」
「直樹さん、そろそろいいですか? 話すなら今全員がいる前のほうがいいです。こんなことがあってはもう隠せるようなものではないと思います」
直樹の体がビクリと反応する。しかし金室の言う通りなのも事実であった。直樹はみんなに一番迷惑をかけているのはきっと自分であると思っている。あのとき然り、今回の然り。直樹は覚悟を決める必要があったのだ。
「……そう、だね。私はみんなに伝えなきゃならない。伝えておかないといけない。私の秘密を」
玉柏だけは少しだけ知っている。阪本に渡し見せたときに一瞬だけ見えたそれを。
「秘密……二つ目の動機のあれ?」
「うん。………………私の秘密は……『誘拐のトラウマで頭を触られることを極端に嫌っている』ことだよ」
「そうだったのか!?」
気付かない人がいるのも無理はなかった。
「1度宮原くんに頭を触られそうになったとき、体が勝手に動いて彼の手をはらったんだ。そのときはわからなかった。けど秘密を見たときにはっきりと思い出して……夢にまで出てきた」
直樹の体がガタガタ震える。
「気付いたら檻の中で手足を拘束、口を塞がれていた……目だけは塞がれてなかったけど……っ三人の男女が話してて……怖かった……ただただ怖かった!! 会話内容とイントネーションから日本人なのはわかったけど…………それどころじゃなかったっ、これから何されるかもわからない得体の知れないものがちらついてきた。多分……『死』だろうってっ、目の前に『死』が現れてきた気がして、殺されるんだって思って……けどっ動けば死ぬ……恐怖以上の恐怖が束縛して、まるで金縛りにあったみたいな感覚が支配してきた…………」
恐怖から彼女の目から涙があふれでる。
「すぐに場所が割れたから……警察と…………幼なじみが来た……そのときっ…………警察が着いたときに始末されそうになった……そうしたら!! 幼なじみが飛び込んできた!! 檻で怯えて動けなかった私を庇って!! 左肩に弾丸が撃ち込まれた!! 私のせいで!! 彼は腕が肩より上にあがらなくなった!! 私のせいで……私のせいでっ……!!」
私のせいで、私のせいで。自己暗示の繰り返し。また過呼吸を起こして今度は渡良部に背を撫でられる。
「っはぁ、はぁ…………怖かった…………怖かったよぉ…………!! あの呪いが……ぺたって……ぺたって貼り付いて離れないからぁっ!! かきむしられた悪感が……いまも……きもち……わるくて…………あたま触られると…………思い出して…………」
蔑みの高笑い
冒涜される人道
人を道具のように扱う下衆さ
直樹は間近だったそれらに吐き気がしていたのだ
「だから頭を触られるのが嫌い!! どんな理由だろうと!! 男女関係なく!! 頭だけは絶対に!! まあ……髪の毛少しだけ触られるならまだ大丈夫だけど……」
「あれ、でも玉柏くん気付いてたみたいよね? 何でそれに?」
「阪本が動機の話したときにこいつが見せてたろ。あいつと俺の席は隣だったからな。ちらりと見えたんだ」
湊川はああと納得して頷く。
「髪の毛少し触られるのは平気っていっても頭触らなきゃやれること少なくない?」
「それはそうなんだけど。単に『頭』って言っても実際は頭頂部とか側頭部あたりのことだし……」
ん? っとわかっていない様子だったので近衛が軽く説明をした。
「でもやっぱりツインテールとかお団子とかそういうのは出来ないんだね」
「そもそも下ろしてたほうが落ち着くんだよね……ちゃんとあるって感じして……あのときは短髪にしてた時期だったから……」
ぶるっとまた震え出す。苦笑いしながら。
「あのとき丁度学園祭だったかなぁ……そう、確か彼氏と男装女装してクラスで優勝したっけ……」
「恋人同士で!? ていうか付き合い長いのね!?」
「え!? あ、うん!? そうだね……」
直樹は思い出すように目を閉じた。
スッと、何の痛みもなく
相手のことが徐々に鮮明に
完全でなくとも思い出されていく
「ずっと、同じだったなぁ……保育園も、小学校も、中学校も…………高校は少し離れちゃったけど……二人希望ヶ峰にってときは…………どれだけ嬉しかったかなぁ……」
儚げに笑う少女を見て、相棒は彼女のベッドに少し座った。
「…………こんな状況だからこそ、隣に居て欲しい人がいないっていうのは……つらいよな」
うん
言葉に出さずとも彼女は彼を見ることで訴えた。玉柏も玉柏で同じだった。相棒関係の二人だからこそ今がどれだけむなしいのかも理解出来ていた。
「頼むから無事でいて欲しい。この中の全員、俺の仲間たち、直樹のお相手さん、……そして……………………外にいる人たち全員」
手を強く握り締めて祈るように彼は伏せた。みんな同じ気持ちを抱えているんだって理解していた。
「絶対……出てやるからな……モノ共めが……!!」
ギリッと歯が擦れる音が部屋に響く。全員が監視カメラを睨み付けた。
だが相棒関係の二人は気付いていない
二人が今一番危ない状態であることに
「……あと、あのさ。思い出してたらでいいんだけど、
直樹はキョトンとする。うーんと唸り腕を組んで考え思い出す。
「えっと確か……」
________
『他の迷惑も考えられないなら金いらないからとっとと出ていけ!!!!!!』
________
「始末書上等な人?」
「「「始末書上等!!?!!?」」」
全員の驚きによるツッコミが部屋に響いた。
**********
「始末書上等って……上等って……ふふっ」
「渡良部さんツボに入ったね?」
いやまあ確かに始末書上等って言い方あれだけど。実際そうなんだよな……別に不良ではないし普通にいい人だけど。
「とりあえずまだご飯食べてないから食べましょ?」
ん?
「え、今何時?」
「朝の8時よ」
「こわっっ!!?」
(そんなわけで)16日目
な、なんか気絶している間に日を跨いだみたい。ちょっと待って今日寝た気がしてなくてすっごい眠い助けて眠い。ツッコミして意識保ってる節ある。そんな中で移動している。
「直樹殿、やはりまだ睡眠が充分ではないのでは?」
「うん、スッゴい眠い」
「食事後にでも少し横になられたほうが良いと存じます。目を閉じるだけでも脳は休まりますから」
ほんっとこの執事有能過ぎるな。
「詳しいんだ」
「睡眠を取らずに五徹したメイドがおりましたゆえ……」
「
メイドが五徹っていうのすごいんだけど。
「世話をされたいという気持ちは尊重致しましたがさすがにあれはとお父様に……なのでちょっと睡眠のことを調べさせまして」
「寝かせたんだ」
「マニアになられました」
「マニアになったの!?!?」
渡良部さんがすごいツッコミしてくれてる。もしかして移った? ツッコミエンザかな。
「食堂でコーヒーでも淹れますよ。食後に十五分ほど部屋で仮眠なさってください。眠い状態ではやりたいこともうまく出来ませんから」
適当に話しながら歩いて食堂に着く。近衛が急いで準備をする。あ、そうだ。
「ねえ、私の首に何か痕ついてる?」
「それは確認済みだよ。なーんにもついてなかった」
「ところで聞きたいんだが、どんな感じで気絶したか覚えているのかだぜ?」
「……最初、目隠しされて……紐が首を絞めてきたんだ。けど紐はすぐにほどけて……一瞬安心した。それから思い切り首をガッて絞められて意識が……」
「首を絞めて気絶って……もしそれで死んだら洒落じゃないでしょう」
「いや、一つ考えられる」
玉柏が金室の言葉を少し遮る。
「格闘技に裸絞めってのがある。それで頸動脈を絞めれば、上手い人なら苦痛を与えないかつ十秒も掛けずに気絶させられるな」
「うそっ」
背中がゾワッとしてきた。そんなあっさり……
「感触とかは覚えているか?」
「……一瞬過ぎて、覚えてない……」
仕方ないかと彼はすぐに手を引いた。いきなり過ぎて脳が追い付いていなかったからなぁ……覚えてたらよかった。
「ん、
「わかりました」
……不思議なことばかり。首を絞めた人は私を殺そうとしていたかもしれない。そして私は殺されそうになっていた。周りには誰もいなかったしあのとき私を殺しても……じゃあなんでその人は私を殺さなかった? そもそも何で私は狙われたの?
「どうしたんじゃ?」
「あ、いや、何でもないよ」
こんな風にはぐらかしてもどこかでバレる。朝ご飯を食べながら悩んでも答えは見つからなかった。
*****
淹れてもらったコーヒーを飲んで、一度自室で仮眠を取る。とりあえず何も考えないでおこう。体の力を抜いてベッドに体を委ねて目を閉じた。
────────
こらこら、泣くな
……ああ怖かっただろ。ごめん
俺がお前に着いて行けばよかった
っておいおい
自分を責めるのはやめろよ
俺はお前が笑っている姿が一番好きなんだ
これは名誉のそれ
今回みたいなことにならないように
絶対お前を守るから
空
────────
その一瞬だけ
彼の眩しい笑顔が見えた気がした
◆◆◆◆◆
適当に十五分経った頃に目を開けた。うん、確かにちょっとすっきりしたかも。
くわっとあくびをして、ぐっと体を伸ばして、バシッと頬を叩く。よし。なんとか乗り越えられる。
プルルルル!!
電子生徒手帳が鳴った。誰だろう。
「はい」
『俺だ。起きてるな?』
玉柏だった。起きてるって言ったらそうかと返された。
『これから全員で資料室にある資料を探しに行く。この空間から出る手掛かりも、刺客の七の情報も手に入るかもしれないからな』
「少なくともⅡ棟よりかは詳しそうだもんね。わかった」
『今から向かうからお前もまっすぐ来い。そこで落ち合うぞ』
「了解」
通話を終えて少し準備をして部屋から出る。ついでにランドリーで昨日着た服とか入れておこう。
*****
資料室に向かった。すでにみんな資料室に集まっていた。ただ作業していたわけじゃなかった。
「お、きた」
「ごめん、待った?」
「いえ。先ほどで到着致しましたよ。とりあえず今回の資料集めに関して軽く説明致します」
でざっくり説明されて集める資料は
・希望ヶ峰学園に関係するもの
・自分たちに関係あるであろう事件ファイル
・森の恐怖
・矢崎の事件
・盗賊集団
・あれば未来機関の資料
曰くそれらの事件も時系列さえ分かれば参考になるかもとのこと。確かに一理あるな。
「それじゃあ、始めようか。資料集め」
「適度に休息を取りながらやっていましょう」
「あわよくばここの秘密も探れれば最高だな」
「集めた資料、放送室とかに避難させとく?」
避難て
「重いと感じたらそうすればいい。さぁってと、いっちょ探しますかぁ」
バキバキバキッッ!!
玉柏が大袈裟に体をバキバキ鳴らして奥のほうへと入っていった。
「…………」
「ん? どうした」
「いやすごい音したなぁって」
「そうか? 普通くらいだと思ってたな」
「あなた結構凝ってるんじゃないですか。前々から思ってましたけどちょっと撫で肩でもありますよね」
「まあ」
あ、なんか察した。またやる気か。
「夜、部屋突撃しますよ」
「はっ!?」
「これでも知り合いのチビに少し教えられているんですよ」
「それ言ってやんなよ」
チビって……ていうかこの中じゃ私一番チビじゃん。
「ま、覚悟を」
「おいおいマジかよ。遠慮したいんだが」
「お前らいいから手を動かせ」
国門が呆れながらツッコんだ。
***
とりあえず探していこう。……ん? もしかしてこれは……うん、間違いない。『希望ヶ峰音声ファイル』? でも薄いような……ってことは……やっぱり、レコードだ。そういえば放送室にレコードあったもんな。蓄音機もあるかな。まあとっておこう。どちらにしろ放送室には行く必要があるみたいだ。他にも未来機関音声ファイルも見つけた。
「直樹殿」
「どうしたの?」
「これを訳すことが出来ますでしょうか?」
近衛に渡されたのは英語の本……いや日記かな。日記も字もキレイだけどどこか古い言い回しの文章してる。少し時間はかかりそうだけどここは翻訳家の意地を見せるべきだ。明日までには訳せる。
「やってみる」
「ありがとうございます」
また資料を漁ってみる。けど他に目ぼしいものは見当たらないかな。言われた資料とは関係のないものが出てくる。
適当に時間が経った頃に、近衛がみんなに声をかける。
「皆様。如何でございますか?」
「いろいろ見つけたよ~」
「こっちも」
それぞれ何かしらは見つけたみたいだ。
「じゃあこれどこで読むか」
「それ何だけど、このレコードに希望ヶ峰のこと入ってるみたいだから放送室に行きたいんだけど」
「蓄音機が必要になるのね。スタジオに入れば広いしそこで資料も広げちゃってもいいかもしれないわね」
そんなわけでみんなで放送室のスタジオで資料を広げることになった。
◆◆◆
集めた資料をすべて放送室に持っていく。スタジオ内にたくさんの資料が置かれる。
まずは蓄音機があるかどうか確認しようとして近衛が早速見つけてくれた。流石だ。資料室で手に入れたいくつかのレコードをセットして音声を流す。
ジジッ……
________
『今回は急に呼び出してすまへんな。こっちもやらなあかん案件なもんで、詳しい二人に参考程度ええから少しばかり情報が欲しかったんや。答えづらい質問もあるかも知れへん。そのときの回答はせえへんでええから。無理ぃとかキツイぃとかない程度で。ほな、早速聞かせてもらうで。まずは巡間の
『嗚呼そうだ。おかげで私の右目はこの通りだ』
『はあぁ……厄介なもんに巻き込まれたもんやなぁ。せやけどあんまし気にしてへんようにも見える。前は欠損に使うサイボーグ類を嫌ってたっちゅう話やが?』
『……過去の話だ。確かに私はサイボーグ類が嫌いだった。しかし、今こうして片目を失って気づいた。どれだけ片目だけが不便なのか。今までの二つから一つへと変わった瞬間から私はバカみたいなことを繰り返していたのだと気付かされたんだ。だから私は……贖罪も込めてこのままで生きようと思ってる』
『贖罪とはまたちゃうかも知れん気がするんやが』
『いいや贖罪だ。不便を自ら負わなければ私は一生後悔するだろう。自分の思想が如何に非人道的で馬鹿馬鹿しくて、そんなものテロと同じなのだと』
『カッカッカッカッカッ!! なるほどそないなこと思っとったんやなぁ。贖罪か、匠も前そないなこと言っとったなぁ……さて、そっちは今の受けてどう思ったんや?』
『……どうって言われてもなあ。正直、そこまで強くいられるキミを羨ましく思うよ。ボクは未だ、治す立場にも関わらず過去の因果に囚われたままなんだから』
『ああっと、掘り下げられてもええんか?』
『とりあえず』
『ならお言葉に甘えるで。確かトラウマやったんやろ? その状態が』
『目の前の残虐さは瞼の裏に焼き付いたまま離れようとしないし、況してや…………は●/◆*さが▲○③<<◼.%=¥'>{`^¥|¥7』
________
ここで、レコードが砂嵐を起こした。以降、聞けなかった。
「ねえ今の!!」
「間違いなく巡間殿がいらっしゃいました」
「…………だ……」
玉柏が消えるような声で呟いた。
「え? なに?」
「……『ガン』だ……ガンだっ!!?」
「なに、何なの? それ?」
「……俺の、仲間の一人だ……」
あ、三人組の残りの二人のうちの一人のことかな。
「それって実名?」
「いやっ、コードネームみたいなものだ……本名をまだ思い出せてなくてな……」
盗賊だから本名言い合うの危険ってことか。
「関西弁のほう?」
「違う。もう一人のほうだ」
というかこの関西弁絶対エセだ。なんでわかるかって? 親片方が関西人だからだよ察して。
「んんんん……」
「金室さん?」
「いえ、……あの二人どこかで聞いたことあるような声をしてるなと……希望ヶ峰でいう後輩に……」
「え?」
希望ヶ峰の、後輩……?
「そういえば今の関西弁の人、なーんか宮原くんのこと知ってる風だったね」
「どこか親しげな雰囲気もあったぜ」
確か宮原には親友がいるんだっけ。
「でも宮原も金室も知っておるということは、わしらも何かしら接点があるのかの?」
「直接関係しているかは別にしても、多分話くらい聞いたことある人の可能性はあるわね……」
……そういえば、阪本が評論文読んでいるときに作者の名前に見覚えがあった気がする。もしかすると私も知っている人がいるのかも?
「次、流すか」
新たなレコードをいれて流す。
ジジッ……
________
『うふふ、今度はどんなお悩みを?』
『その口縫い付けてやりたいほどその話し方腹立つんだよくそったれ』
『あらあらそんなことありませんわ』
『チッ。んなこたどうでもいいんだよ。今日の日付け!!』
『20日? ……ああなるほど』
『あと2日だぞ!? それなのにまだ何も用意できてねぇんだよ!!』
『それなんであたくしに相談するのかしら。あたくしが言うかも知れませんのに』
『中学からの腐れ縁のほうが話しやすかっただけだっつの』
『ご近所付き合い楽しくってよ』
『うっせぇ!! そうじゃなくて、いや、その』
『いつも通りに過ごせばいいのではなくて? それとも何かしたいの?』
『したいっつうか……いつも通りでええんかわからんっちゅーか……』
『ふふベタ惚れ乙ですわね』
『あ? てめぇもてめぇでチビ助のことどうなんだよ』
『あれは遊び道具ですわ』
『言ってやんなよ』
『冗談はいいとして。それならいっそ奮発してもよくはありませんか?』
『……か、金があるなら借金』
『借金ばかり考えるのもよくありませんわ。少しは柔軟にしませんと。体も持ちませんわ』
『……っ……考えてみるか』
『残り2日で頑張りなさい』
『だああ!! もっと早くに相談しときゃよかった!!』
『自業自得ですわ』
『…………まあ、あんがとよ』
『礼には及びませんわ』
________
流し終えた。……んだけど、これ何だろう。
「なんだこれ」
「惚気かよ」
「けど橘くんって相談相手みたいな人いたんだ」
一人で抱え込むイメージが強いからかな。一匹狼っぽかったし。
「いろいろ関わっている人多いな……他のも聞くか」
ジジッ……
________
『はい!! これあれね』
『ありがとうであります~さてと、これをこうしてっと』
『相変わらずあれだよね』
『むふふ、もっと褒めてもいいんでありますよ』
『あれするからやめておくかなぁ』
『釣れないですねぇ。よし、できた』
『へえすごい!! 動いてる!!』
『これにあれをああすればさらにクオリティーが高くなりましょう……ふふふ、夢が広がりましょうなぁ』
『でも時間掛かるんだね』
『そりゃあ掛かりましょうよ。何せおれが珍しく計算しながらやってるのでありますから』
『途中計算はしようよ』
『しなくても答えがあるんですよぉ!! ここに!!』
『なら江上さんに頼むとか』
『あの人ねぇ……頼みたいのは山々でありましてぇ……』
『そっかぁ』
『あ、おっぱい揉ませてくれるならもっと頑張りましょうか』
『刑務所に入れられたいのかな? しかもわたし小さいし』
『大きさは関係ありません!! ならパンツの色でも』
『そうじゃなくて!! 一応でもこっちに協力してくれるのはいいけど真面目に……』
『むっふっふ。お忘れでありましょうか? おれはどちらにもなれるのでありますよ。仕事のためなら偽善者だって買って出ましょう』
『わたしの前で言うの? まあ助けてもらった恩義はあるけど』
『じゃあパンチラさせてほし』
『それとこれとは話違うよ!!』
『スパって言われてしまった。でんちゃん傷付きますよぉ』
『いやポイント違うもん……』
『うう適度に補給したいんでありますよ』
『禁の域越えてるよね絶対』
『てへ』
『あざとくもないよ……』
『あの、でもさすがに幼女とかに手を出すとかはしませんから……』
『常識』
『そもそも性癖に刺さらない』
『わたしたちここで何の話しに来たんだっけ?』
『忘れるところでありました』
『普通に忘れてたよね』
『的確なツッコミありがとうであります。さて、あとはがっちゃんが持ってきてくれるはずでしょう』
『でも今いないんじゃ』
『そこは待つしかないでありましょう。まだ時間は残ってる。きみたちのクラスにもまだうっちゃんにしか明かしていない秘密を隠したままの人がいるのでしょ?』
『…………』
『ふふふ、いつ口を割るんでしょうねぇ。何となくの検討はついているでありますが、そこは本人から聞きたいでありますから』
『それ直樹さん?』
『む? いえいえ、あの人じゃありませんよ。というかあそこは別の意味で知ってますので。まあ試したいことはあるんですけどセコムがおりますゆえにねぇ』
『セコム』
『とりあえず、交渉の手段もありましょうから聞き入れねばなりませんなぁ。……時間があるとはいえ、悠長にしてたらまずい。なるべく早めに処理しないと』
________
思わず息を飲んだ。私の名前が、鷹山の口から出てきた。
「なんか……会話内容が所々エグかったんだけど……いろんな意味で……」
それは思った。
「な、ななな、な、なんでズバズバい、えるんだ、あいつ!? は、ははじ、ら、いとかを、わわわやわわわわ…………」
国門がすごい動揺している。めっちゃ顔赤い。そうだこの人下ネタ苦手なんだった。なんか前よりも……滑舌が悪いというかなんというか。
あとセコム言うな。
「けど、いろいろ興味深いことを言っておったのも事実じゃ。鷹山とこの……でんちゃん? って男の会話がわしらにとってとても重要な鍵ではないのか?」
「くふっ」
「笑うな!!」
だって灰垣がでんちゃんって言うのおかしくて笑うよ。でもでんちゃんって誰なんだろう。あとがっちゃんも。
「現状どれが大事なのかというのもはっきりしてませんからね」
「でも俺たち以外の人が関わってそうな感じはしなくはないな……次流すか」
ジジッ……
________
『こっちだったわね』
『うん。でもここに何があるんだろ。特に絶望の人がいるようには見えないけど』
『2クラス分の人数をわざわざ手配する必要あったかも問題だけどね』
『しかしー!! 絶望の力は非常に大きいのですー!!』
『メンツ……青っ……』
『まあまあ仕方がないよ。ん、連絡きた。こちらC班。報告された現場に到着したよ。奥にE班がいるから今から合流するとこ。……はい、………………了解。E班と合流後に南へ』
『A班から?』
『そう。今着いたみたいだから実琴たちと合流して南に行くよ』
『わっかりましたー!! 僕はいつでも準備は出来てますよー!!』
『元気がいいわね』
『俺としては前途多難』
『でも、嫌な予感はする』
『………………空が、赤いな……赤い、夜だ……』
________
………………今までのレコードで一番不吉な予感がした。
「私と……阪本さんと宮原くんの声……よね。これ」
「間違いない。けど……赤い夜って言ったね……」
赤い夜。私たちは見覚えがあった。そう秘密と同時に出された動機の映像で。
「あ゛あ゛っ!!?」
突然、金室が頭を抱え始めた。
「金室さん!?」
「い゛……ま、また……うがっ…………」
「!! おいまさか」
「ケホッ……!!」
あのときと同じ吐き出された血。たまたま資料は金室の周りになかった。
「まっ」
「う、はっ、はっ、はっ…………だめ……です……」
隣にいた国門が金室の背を擦る。このときに限って巡間がいないのがとても痛く苦しい。
「一旦横になっておくか?」
「いえ、遠慮しておきます……」
「ならせめて壁に寄りかかっておけ」
すみませんと壁によって大きく息を吐いた。
レコードは他にはなかったから今度は資料を読み漁ることにした。
**********
うちは言えない
この血の原因は自分にあることを
言おうとすればまた倒れる
赤い夜だけは本当にダメ
うちは呪われていたのだから
**********
資料を全員で漁る。
「……ねえ、この資料見て」
渡良部が私たちにとある資料を見せてきた。これは……
「希望ヶ峰学園史上最大最悪の絶望的事件の資料じゃないですか!?」
「カフェで見たよりも詳しい……貸せ!!」
金室と国門がすごい剣幕で反応してびっくりした。一瞬で金室の顔色の悪さ吹っ飛んだんだけどさっきの体調不良も吹っ飛んだ? 国門は渡良部から資料を受け取り金室とバサバサ乱暴にめくった。
「あった!!」
「そこであった言われても見えないしわからないから!!」
全員でそっちに近づく。そのページは希望ヶ峰学園から脱出した六人の生徒の姿の写真。外は崩壊している状態のに学園自体は原型を留めていて不自然に見える。写真の下には六人それぞれの名前と才能が書いてあった。
* * * * *
生存者確認
超高校級の幸運 苗木 誠
超高校級の探偵 霧切 響子
超高校級のスイマー 朝日奈 葵
超高校級の占い師 葉隠 康比呂
超高校級の御曹司 十神 白夜
超高校級の文学少女 腐川 冬子
* * * * *
そして彼らは少なくとも二年の時をクラスメイトたちと過ごしていて、その仲間たちとコロシアイをしていたということも記録されている……二年?
「…………
「ふーむ……言われてみればそうじゃな……」
「いや、その心配はないと思うな」
どうしてと言う前に玉柏は過去の学園の生徒名簿を取り出した。
「同じ学年に……暗殺者が二人?」
「それだけじゃない。餅職人とか清掃員とか、双子だって同じ学年にいたことがあるみたいだ」
ガタッ
「餅に反応すんな」
「ごめん」
「まあそう考えれば同じ才能のやつが同じ学年にいるのは別におかしいわけじゃないらしいな。ただ『幸運』に限った話、こいつらは年に1人しかいないみたいだな」
さりげなくスルーしたけど、暗殺者スカウトされてるのどんな世界だよ。しかも二人。
「………………」
「矢崎さん?」
矢崎の顔がみるみるうちに青ざめていく。いつもの彼女とは思えない速さで玉柏から名簿を奪い取るとある一点を眺めて震えだした。
「あ、……あっ……この、人、たちだよ……きっと……あたいの家の、牛を殺したの……」
「どれだ」
彼女の指さす場所はさっきの暗殺者のところだった。だけれどそれよりも気になった名があった。
「さく、らだ?」
「桜田……一族……有名な暗殺者一家だよ。けど暗殺者の名に相応しくないほどの知名度の高さと残虐的な犯行から……ほんの一部の人たちにしかわからないんだよ……政府からも揉み消された存在……」
政府から揉み消された一族……ん?
「でも、なんで矢崎さんはそれを? 一部の人にしかわからないって言っても証明するものがないと……」
「……彼らは犯行が終わった現場に自分たちが犯人だと示す桜田の印をその場で作って残すんだよ……あたいの……あたいの現場に……には…………死んだ牛たちが並べられて…………」
想像してしまった。鳥肌がすごくたつ。
「倫理のくそもないな……」
「彼らは社会倫理を冒涜するんだ……だから存在を揉み消されたのかもしれない……」
「けど謎だぜ。暗殺者が牛を殺したところで何の意味が。動物愛護団体が喚き散らしそうだぜ」
「原因はわかってない……けど……前に仕事に失敗したんじゃないかって言われてるよ。その腹いせに」
八つ当たりか。
「んんん……」
「灰垣くん?」
灰垣が渋い顔をする。
「ここにその桜田の資料はほかにあるのかの?」
「探してみるか?」
頼むと玉柏にお願いすれば三分足らずで見つけてきた。はやいよ。灰垣がその資料を睨み付けるとまたさらに渋い顔をした。
「桜田一族の犯行理由…………金目当てとかは……まあ有り得なさそうじゃが……本当に八つ当たりなのかの……」
「というと?」
「矢崎、お前さん自身の住んでる地域は?」
「……あたいは北生まれだよ」
「北……か……なぜじゃ……なぜ桜田は北へ?」
「?」
「この資料を見る限り、桜田の犯行は主に関東から四国辺りまでなんじゃ……」
え?
「ま、待って。それならなんでわざわざ北の方行くの?」
「わざわざ北に行く意味はないはず。何か目的があったのかも知れん……ん? なんじゃこれ」
今度は何なんだ。って資料を覗いてみると不思議なことが書いてあった。
「暗殺者、桜田一族はある事件を境に消息不明?」
「その後桜田が起こしたとされる事件は一切ないとも……この一族に一体何があったというのです?」
「ご丁寧にある事件の箇所は消えとるし。一番右にある『i』しかわからん」
i……ダイイングメッセージ……裁判……うっ頭が。
「………………とりあえず桜田の話も保留だ。他になにかあるか」
あとあるとすれば……
「無難に近いときに起きた事件でも調べる?」
「そうしとくか」
* * * * *
【三人組の謎の集団あらわる】
○○市○○区○○丁目において、謎の三人組が現れ、彼らによって金品などが盗まれる事件が発生。目撃者によれば犯人は全員マスクとマントを身につけておりコードネームらしきもので呼びあっていた模様。警察が現場に到着する前に犯人らは逃走。警察は犯人の捜索を急いでいる。
今回の被害にあった場所は◆◆◆◆会社。有名な大手会社であった。社長はこの事件について非常に責任を感じているらしいが、しばらくの取材を全面的に拒否している。
*
【誘拐された女子中学生を保護。飛び込んだ少年が重症】
先日○○駅から行方不明になっていた女子中学生が警察と犯人との交戦の末保護された。このとき女子中学生の関係者であるとされる男子中学生が警察の後を追い自ら現場へ飛び込み、女子中学生に当たるはずであったであろう犯人の銃撃が彼の左肩に命中し重症を負った。命に別状はないとのことだが、後遺症が残る可能性が高いと言う。
なお犯人は交戦後に逃走し警察が追うも行方不明となった。警察は引き続き犯人を追う模様。
この事件の担当警察の話で『あの少年はどこから飛び込んで来たのかわからない。またまさか少女を庇い撃たれるとは思いもしなかった。責任を感じています。しかし彼の勇気ある行動は一人の少女を救った。そこは称賛しなければならない。我々警察がすべきことを何も出来なかったことについて、被害者の少女や少年及びその関係者たちに深く深く御詫び申し上げます。少年の行動を無にしないためにも、犯人逮捕に全力を尽くしたい』と謝罪とともに気を引き締めていくと述べた。
*
【◆◆◆◆会社、社内の闇が明るみに。社長謝罪】
先日盗賊の被害にあったとされる◆◆◆◆会社の報告書が偽装されているのではないかと疑われている。
これが明らかになったのは盗賊による被害が起きてから数日後のことであった。身元不明のところから◆◆新聞社らに報告書が届けられ、記者が調べたところ会社側の報告書の偽装がされているのではないかという証拠が次々に明るみになったとのこと。
社長はこのことを受けて謝罪会見を開き謝罪。『誠に申し訳ございませんでした』と深く頭を下げた。
警察はこれからも詳しく調べていく方針である。
*
【社長逮捕。◆◆◆◆会社倒産の危機】
◆◆◆◆会社の報告書に偽りがあったとして警察は金融商品取引法違反で社長を逮捕した。少なくとも数千万円を騙していたとされている。
また社長は責任を社員に押し付けていたとしてパワハラ問題によって再逮捕される可能性もあるという。現在◆◆◆◆会社は倒産寸前。批判も大きく、社会から信用が薄れているとのこと。
警察は今後もこの会社について詳しく調べていく。
*
【ノンストップ議論。学者内で話題になる子ども評論家】
▽▽▽社企画の全国小・中学生作品コンクールにおいて4年連続で最優秀賞を受賞する少年の書いた文章が話題を呼んでいる。何でもこの少年の文章は的確な部分を突いた評論文で、とても子どもが書いたとは思えないほどのものであった。
これは学者たちの中でも議論が止まらない。今までの論文を大きく覆す可能性があるかもしれないという。おもしろいことに、子どもでも読みやすく読めばたちまち引き込まれるその文章力は衰えることがなく、また少年自身の話術も高いという。まだまだ目が離せない。
*
【被害者:落としたあの子に罪はない】
●●●の建設最中、手伝いをしていた少年に○○歳男性が突き落とされるという事故が発生。被害者は両足を骨折する重症を負い全治にはかなりの時間がかかるという。
突き落とした少年はかなり責任を感じており、手術費や賠償金を自分で払うと言って聞かず親の制止すら聞かないという。これに対し被害者は『私を落としたのはあの電線から流れる電気から助けようとした結果なんだ。落とした彼に罪はない。あれは仕方のない事故だったんだ。少年を誰も責めないでほしいし少年も気負わないでほしい』と主張。少年の罪を全否定した。
*
【チケット即完売!! 大人に負けない歌の女帝】
ネットの動画投稿サイト◼◼◼◼◼において歌が上手すぎると話題を呼んだ女子中学生が開くコンサートチケットが即日完売したという。チケットは─日~─日までの一週間で販売する完全予約制なのだがそれが初日で即完売した。
地元の人にも歌のうまさは知れ渡っており、性格も合わせて彼女を『歌の女帝』と言う人が多い。しかしその名に相応しく、あの歌に厳しいとされる▲▲▲▲▲氏でさえ大絶賛の歌声である。そのためか今回のようなコンサートのチケットはプレミア級であるという。
*
【大量虐殺。殺されたのは牛】
○○市の○○において、一晩で牛が大量に死んでいたという事件が発生。牛の殺され方は多種多様であり、とても酷い姿で発見されとても一晩で出来るような有り様ではないと言われている。
警察は飼い主やその関係者らの共犯ではないかと疑っている。事情聴取によると彼らは犯行を全否定している模様。
*
【前代未聞。森の屋敷で大規模テロ発生】
○○○▲▲▲市にある◼◼山の森で大規模なテロが発生。全661人中、生存者97人、うち軽傷11人、重傷86人、死亡者は564人。誰一人として無事では済まなかった模様。
このとき一部界隈による大きなパーティーが開かれていたとされていた。しかし突如現れた人物らによってパーティーは一変、血の海となった。
現場はブレーカーが完全に落ちておりまたマシンガンや銃が転がっていたところから停電させた後無抵抗な人々に襲撃されたと考えられている。
なお死亡者には実行犯も含まれている可能性もあり、警察は引き続き捜査をすすめている。
*
【盗賊集団またあらわる。今度は◇◇◇社】
以前◆◆◆◆会社を襲撃した三人の盗賊があらわれ今度は◇◇◇社に侵入し約二千万円が盗まれるという事件が発生しました。犯人たちは未だに逃走を続けている模様。
通報した目撃者によると、犯人は十分もかからないほどとても素早く侵入と脱出をしていたことから社内に詳しい人が犯人にはいたのではないかと言う。また犯人たちは一度外で待機してから行動しているという画像も撮影されており、愉快犯ともされている。
*
【奇妙な死? 犯人は自殺か】
◼◼◼の家で三人の男性の死体が発見された。一人は腹を切っており、他二人は銃で殺害されていた。争った痕跡はなかったものの現場自体はすでに荒れていたため、不意討ちでの犯行と見られている。しかし銃には指紋がなく自殺した男性の持ち物には手袋やハンカチなどを身につけていなかった。
なお今回死亡が確認された三人の男性は希望ヶ峰学園を卒業した超高校級の肩書きを持つ元生徒たちであった。
* * * * *
明るい話題、暗い話題、黒い話題、悲劇的な話題。多岐にわたる事件やニュースがこれらに載っていた。その中には私と矢崎が関わっている事件も。内容から察するに宮原と玉柏たちも。そして、森の恐怖も
「…………」
「ない……ない……」
「何が」
「牛のやつも、森の恐怖も、これ以上の記事がどこにもないんだよ。これだけ大きい事件ならもっと取り上げてもいいはず……それに、弁護士たるものこんな事件逃すかって。なんでだ……警察もあんまり仕事してない」
してないわけじゃないけども。
「それと『刺客の七』もどこにもいないよ」
他を見てもそれらしいものはなし。刺客の七はいない。けどそれは裏を返せばこの中の誰かがそうであるだけなのかもしれない。だけでは済まないものなのはわかってる。
「結局出る手掛かりはなかったわね」
「まあそれは後回しでもいいです。でもうちらはおそらく赤い夜という出来事でここにきた可能性があるのかも……」
いまいち赤い夜について調べられていないのが痛い。しかもそれらしい情報は少ない。
「……うん、収穫はまずまずといったところか。この辺りで切り上げるか?」
「そうだね~あ、カメラちょっと見てくるね」
「僕はまだここにいる。すっきりしないから」
「うちもちょっとここで安静にしてます」
国門、金室の二人以外のみんなは戻ることに……と思ったら近衛がクスッと笑った。
「どうしたの?」
「いえいえ、もうお昼時になられているにも関わらずよくそこに留まる選択ができるなと存じまして」
またクスクス笑ったと思うと、ぐう~っと誰かの大きな腹の虫が鳴いた。
「…………昼食べようか」
「……すまん」
ちょっとだけ、玉柏の足が蹴られているのが横目で見えた。どんまい。
*****
お昼を食べたのちさっきの二人はまた資料を読みに行った。
で今私は食堂に残ったままなんだけど、ちょっと観戦している。
「流局。私はテンパイ」
「わたくしも」
「私も」
「俺もだな」
「点数変動なし。よし、次二本場!!」
麻雀の。湊川は前に渡良部に教えてもらったみたいで少し出来るようになっていた。玉柏は何となくできると思ってたよはい。
「ん、リーチ」
玉柏が一番最初からリーチをかける。
「上がればダブルリーチの役つき。上がらせないよ」
「わたくしも」
「まあ早々一発にはならないわよ」
「どうかな。…………外れか」
一巡では上がれなかった。何回か見てるけど、初手のリーチって判断材料少ないから推理しづらそう。
とんとんとん。とんとんとん。次々牌が場に捨てられる。
とんとんとん。とんとんとん。最後の手順になった。最後は湊川。
「ロンだな」
「え、このタイミング!!?」
湊川が捨てた牌は8の索子。
「ダブルリーチに一番最後のロンってことは河底撈魚。ざっと8300ってところだな」
「ううう索子結構捨ててたから必要ないほうだと思ったわ」
「仕方ないな」
クスッと笑ったけど、これ三本場いくの?
「三本場、また
「早々ダブルリーチなんて来ないから安心しろな」
結構確率低いしねと渡良部は苦笑いした。
「ポン」
近衛がすかさず渡良部の發を拾う。
「役が出来ましたね」
「あんたホント字牌くるね」
「とんでもございませんよ」
とかいいつつ出してくるのは赤ドラ萬子。
「ポン」
今度は渡良部がポンをする。すでに渡良部の手元に赤ドラ2つがあった。湊川と玉柏が蚊帳の外になってる。そしてまた渡良部が牌を捨てた。次の瞬間。
「渡良部さん。それロン」
湊川がざっと見せてきた。2つずつ揃った牌。
「うっわ
「ええ」
みんなして運強すぎるわ。そして玉柏一回も捨てられてないんだけどどういう状況よ。
「まあ2500点……これくらいなら巻き返せるし。負けないから」
「さすがに雀士相手に勝てる気がしないわよ」
「
「え、そうなの?」
「ええ」
「あんたたち私を誰だと思ってるの」
渡良部は自分のリーチ棒をみんなに向けた。
「プロっていうのは必ず失敗しないわけじゃない。予測不能の『危険牌』を無意識下で打つかもしれない。そんな緊張感がいつもあるの。実際今こうして牌を打ってるけど、大会とかだと普通に時間制限があるから悩む暇なんてあんまりない。だから私はさっきみたいなミスをする」
リーチ棒をおいて裏返しにされた牌をぐちゃぐちゃと掻き回す。
「ミスを繰り返して繰り返して、そうして成功に近づく。プロはプロで終わらない。そのさらに高見を目指すのが私なりのプロの在り方。麻雀は運に左右もされるけど上がる形はたくさんある。点取るだけじゃなくてその牌の声を聞くことも、大切なことだと思うしね」
牌を混ぜて適当に積み上げる。今の話を聞いてると、牌の声を聞いているからドラがよってくるのかな、なんてことを考える。
そういえばずっと気になることがある。
「渡良部さん。麻雀のときってよくサイコロ振るけどあれってなんなの?」
「親決めのサイコロのこと?」
「多分」
「席を決めるときに
「バリトンみたいだな」
ちゃうわ。
「でバリトン……じゃなくて
今のわざとだろ。
「その和の数だけ自分を含めて反時計回りに数えて、そこで当たった人は仮親になる。で仮親もさっきと同じ手順を踏んで、そこで当たった人が親になるの」
「へえ」
「ここの雀卓は機械じゃないけど、もし機械ならボタン一つでサイコロ振ってくれたりもする」
それそれで見てみたい。
「まあこんなところ。よし、次!!」
軽く説明されたけど少し理解できた。そこにも、ちゃんとルールがあるんだ。
このあと玉柏の捨てた牌が湊川、近衛、渡良部のアガリ牌で全員にロンされててとても笑った。どんまい。
*****
終わったあと。暇だからってカフェのカウンター席でコーヒー淹れてから少し過ごしていた。そういえばここって静かだけどなんというか、何か物足りなさを感じるんだよな。
ドサッ
突然聞こえた音に反応して振り向くと矢崎がいた。こっちに気づいてやあと声をかけてきたから、思わずこっちもやあと言った。手にしていたものに見覚えがあった。
「矢崎さん、それって」
「ん? ああこれね。植物図鑑だよ」
「やっぱり。好きなんだね」
「言ったでしょ。人への興味が薄いって。でも何かをしない限り無害じゃないし」
害という考え方をするあたり、矢崎は本当に……
「触れていいものと触れてはいけないもの。たーくさんあるからね。動物も虫も植物も、種類とかによるけど毒を持つのもいる。対して人は毒を持たないからね」
まあ確かに直接的な毒は持ってないか。
「あたいだって好きなものを極端に侮辱されるのは嫌だよ。確かに価値観はあるけれど」
「ああ~それはわかるかも」
言語って奥深いし。しばらく、沈黙が続いた。
「…………ちょっとね。ずぅーっと前から任されていることがあるから、それもやらなきゃいけないんだけど今は少し息抜きでここにいる」
「息抜き、ね」
「それにしてもここはなーんか物足りないよね~花とかおいてみるかい?」
「いいね」
「よーし、あとでみんなに聞いてこよう~」
……のんびりとマイペースに過ごす彼女でも、結構考えながら生きてるんだなって思ってきた。
***
夕飯時。矢崎の提案をみんなが聞き入れて紙に好きな植物の名前を入れていく。
「ええっと、直樹ちゃんはニッコウキスゲ、灰垣くんはツタウルシ、近衛くんはカモミール、湊川ちゃんはエーデルワイス。金室ちゃんは白いウメ、国門くんはキョウチクトウ、玉柏くんはアサガオ、渡良部ちゃんはミモザアカシアだね。ちょっと毒草もあるね~」
「あっとそれ変えたほうがいいか?」
「まあやたら触るのはやめておいたほうがいいやつと経口毒性だからね~まあ鑑賞用だからね。一応全部の花には接触禁止ってことは頭に入れておいて。あと大きさもバラバラだからうまく飾れないのは許してほしいかなぁ」
そして全員合意の元、矢崎は植物庭園のほうへと向かっていった。時間的にもちょうどいいから今回はこれで解散ってことになった。
*****
夕飯食べたあとに適当に過ごして部屋に入る。いろいろあったから疲れがどっときた。
「ああああ疲れたぁぁああ!!!!」
華麗なるベッドダイブをキメてから悶える。何にと言われてもわからないけど、とりあえずもう疲れた。
「なんか読みたい」
そうだ。さっき資料室で近衛から受け取ったやつ少し読もう。古い言い回しだったけどとてもキレイな字をしてたし。多分読みやすいはず。私はそれを手にとって読む…………読む……よ、………………む………………
「…………え?」
なに、これ……?
◆◆◆
────────
ちょうど、日本の外へ行っていた
世界大会へ行く人
鑑賞会に招待された人
研究会に参加する人
仕事がある人
一つ上のクラスと自分たちのクラスで
それぞれ、みんなが別の理由を持っていた
終わりの時期も同じだった
みんな、日本に帰ってきた
それなのに
あの現場は何なんだろう
見慣れた青空もなく
見慣れた景色もなく
瓦礫の山と
血溜まりと
武器を持つ一般人兵士たち
クマみたいな変な被り物をつけて
おかしなことを吐き出し続ける
そして戻ってきた自分たちは知った
今ここは『エノシマ』によって
絶望に染められた世界なのだと
たまたま無事で帰って来れたものの
あと一歩でも早く
あと一歩でも遅く来ていれば
死んでいたかもしれないと告げられた
自分は別になんとも思わなかった
だけれど他の人は絶対違う
自分とは違うんだ
*
『エノシマ』の力は強大すぎた
世界をあっという間に絶望に染め上げた
これじゃあ自分でも流石に捌けない
未来機関に保護されて
全員で絶望と対峙することにした
それぞれ部隊に配属されて
こなしていく
自分は──に特化したところだ
*
◆▽から協力してほしいと言われた
何でも対抗策兼サポート用のものを
作りたいらしい
見た目もみたけど正直
絵のセンスが無さすぎて怖かった
◣がわかりやすいものを見せてくれた
敵の変な被り物を着けたやつに
似ていた
騙す気でないといけないのか
とりあえず自分も情報を提供した
*
ある日、ふと見つけた
それは変な被り物と似たようなものの
▲◼
見たことあるようなものだった
そういえば前に作っていたんだっけ
確かコードは
TDG-M4g4a89
サポートとしてくれるとか
ていうかあの人にしては珍しい物を作った
計算嫌いなのに
でもあの人なりの努力の結晶
ムダにするのはよくないか
*
とある場所で絶望がいる情報が入った
どうやら相当強いらしい
クラス2つ分をそこへ行かせる方針で
進められたけど正直フアンだ
人数で捌くなんて無理がある
でも悩んでもいられないのも事実か
最後まで、あの子は反対していた
自分は結局部隊方針に従うことにした
*
こんなところでやられるなんて
あの子のこと信じて上げればよかった
あんな重傷を負わせた
◼●も支えてたけど
無理だった
これからどうなるのか
ケントウもつかない
気を失いそう
これが誰かのためになるならいいけど
誰か読めるかな
F.T
p.s
フォーチュンクッキーを『●▽▲○』に見せてはいけない
不幸な結果が必ず現実のものとなる
──────────
◆◆◆
なに、これ?
深く考えたいけれど、眠気が襲ってきた
仕方がない
今日はもう寝よう
→to be continue……