表裏ダンガンロンパ ~共通とすれ違いの物語~   作:炎天水海

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 鉄格子の兎と七部屋目。一生の檻の中に閉じ込められたのは誰?


第四章 非日常編 鉄格子の兎と七部屋目

 

 注意

 

 これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。

 本編とは異なる設定が多々あります。

 あと主の文才は期待しないでください。

 

 それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。

 

 補足

 渡良部はモノヤギ以外の相手を麻雀の牌や役で呼びます。本編では度々麻雀について話すことがあるので彼女が他人を呼ぶときにはその人の名前にルビをふります。

 例:直樹→直樹(トン)

 他の人が相手を呼ぶときはそのまま読んでください。

 なおプロフィールに渡良部が相手を呼ぶときの呼び方を載せてありますのでそちらもぜひご覧ください。

 

 

 

 

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 学級裁判、再開

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      声をかけたその瞬間

 

 

 

 

 

 

      君は目を瞑り笑ったんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クスリと、矢崎は笑った。その笑みは決して嘲笑なのではなくて、どこか強気で嬉しそうで。

 直樹「矢崎さん、君ならわかるんじゃないかな」

 私は彼女に問うと、ゆっくりと目を開けた。

 矢崎「なんとなく、そこ辺りで指名されるとは思っていたよ」

 金室「そ、そうなんですか? というかどういう意味なんですか?」

 私の考えが正しければいいんだけど。

 直樹「ずっと気になっていたんだ。どうして死体の周りに誰も置かなかったのか」

 玉柏「そういえばプール周辺には人がいたが、渡良部の周りには誰もいなかったな。それを指示したのもお前だったな?」

 矢崎「そうだね~……」

 矢崎の態度は変わらない。余裕のある飄々とした素振りを見せてくるだけ。本当に、それだけ。

 矢崎「あのときははぐらかしたからキチンと話さないとね。でもあたいは 指示に従っただけ(・・・・・・・・ )。あたいは巡間くんに託されただけだよ」

 近衛「巡間治虫が……?」

 彼女は小さくうなずいた。

 矢崎「宮原くんのときの裁判が始まる直前にね、巡間くんに言われたんだよ」

 

 

 

 

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 巡間『矢崎くん。ちょっといいか』

 矢崎『うん? どうしたんだい?』

巡間『…………もしこの先、検死をしている私が殺されたり或いは殺すようなことがあったら……………………矢崎くん、君に検死をお願いしたい』

矢崎『えっ、あたいに?』

巡間『……おそらくだが、この中でそれをできるのは君だけだ。ほかの人ができるとは考えにくい。それに君はあまり左右されない人、そうだろう?』

 矢崎『……確かに左右されないかもしれないね。けど、あたいが生きている保証、殺さない確証はどこにもないのに、そんなのいいのかい』

 巡間『むしろそれくらいでいいんだ。………………頼む。それと、もしもお風呂のような場所で死体が発見、及びその時点で八人以下になったら死体の周りには誰も寄せないようにしてくれ。撮影できるなら最初のうちに』

 矢崎『………………わかったよ』

 

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 矢崎「撮影を最初のうちにしておいて。だなーんてね。人が多いのにする意味があるのかちょっとわからなかったけど、今ならわかるしその判断は間違ってなかったと思っているよ」

 玉柏「記憶勝負になるからか。しかもそれはシロクロつけられやすい証拠。正しいかもあやふやになるな。それなら先に撮影して現場の状態を保存したほうが賢明……」

 国門「言いたいことはよくわかったぜ。それにそれだけじゃあない」

 国門が眉間に手を当てる。

 国門「巡間は恐れたんだろうぜ。検死と見張りを立てることによって、捜査に回す人の数を減らし証拠が減るようなことになるのを。捜査時間も無限にあるわけじゃない。八人のうち二人も死体に目を向けていたら実質六人で捜査しなきゃならなくなる。そんなことをするより、すべてを検死役に託して捜査に専念したほうがいい……仮にその発言が嘘だとしても、矢崎が犯人だったとしても、犯人から撮影を求めるのは返って不利……」

 そうか。そういえば巡間は前の裁判のとき犯人だったけど……死体に関する嘘は一言もなかった。『検死』という彼にとって極めて偽装しやすい場面でさえ、真摯に向き合っていた。

 それがプライドによるものなのか、それともその必要がなかったのか。今となってはわからない。

 国門「水のある場所、現場がぐちゃぐちゃな場所なんて、現場を荒らされれば一環の終わりと思ったほうがいいんだぜ。証拠が減ったり隠蔽されやすくなっちまう」

 矢崎「まあ多分そういうことだろうなぁ~って話だよ。そこは今どうでもいい」

 どうでもいいってことはないでしょさすがに。

矢崎「一応、誓ってあたいは渡良部ちゃんを殺してないよ。まあそれだけじゃないけど」

 思わせるようなセリフを並べているのに、嘘のようにまったく感じない。むしろ本当のことしかいってないみたい。

 湊川「あの……矢崎さんってもしかして、今回の犯人わかっているの?」

 恐る恐る湊川が聞くと、矢崎はまた微笑んだ。けれど、目はギュッと閉じていた。

 矢崎「うん。知ってる……というと語弊があるからこう言い直すね。解っているよ。今回の犯人が、刺客の七が誰なのか。その正体をね」

 金室「は?」

 玉柏「おいおいおいっ!!?」

 私も言葉が出なくなった。ただ落ち着いて淡々と告げた。

 近衛「そ、それなら」

 矢崎「でもあたいは言わないよ」

 近衛の言葉を遮り、矢崎は初めて私たちをにらみつけてきた。

 矢崎「ねえ、甘ったれるのやめないかい? そんなことしてあの子が報われると思っているのかい? 今あたいが犯人を明かしたって、渡良部ちゃんはなーーーーーーんにも浮かばれない。報われだってしない。どうして渡良部ちゃんが殺されたのか、どんなトリックを使ったのか、それをはっきりさせないといけないんじゃないのかい? いつからあたいはみんなの先生になった? いつからあたいはなんッッッッッッでも教えてくれる人だと思っていた? いつからあたいにそんなバカげた期待を抱いていた!!? いつからあたいを利用して犯人を 墜落(おと )そうとしていた!!?!!? ここは命懸けの戦場なんだよ!!!!  命懸ける気でやらなきゃいけない場なんだよ!!!! 楽して終わらせるなんて絶対いやだから!!!!!!!!」

 初めて……彼女は私たちに声を荒げた。私たちにものすごい剣幕で訴えかけてきた。必死なんだ。

 確かに犯人を早く見つけられるのはきっといいことなんだろう。私たちが手っ取り早く助かる方法でもある。でもただ終わるとそこに残るのはきっと【虚しさ】なんだろう。結局何かが解決するわけでもない。だから見つけるんだ。犯人を、私たちの手で、力で。

 近衛「……ありがとう、矢崎紫陽花。目が覚めた」

 矢崎「お礼を言われるようなことはひとーつもしてないよ」

 さっきとは打って変わって微笑む彼女の姿は、とても凛々しく見えた。

 

 

 

 *****

 

 

 

 玉柏「仕方ないとはいえ、結構脱線したな」

 とりあえずどこまでいっていたっけ。あ、振り出しに戻ったところからだわ。

 湊川「うーん。それにしても犯人が一人でやった犯行だとしたら一体どうやったのかしら?」

 金室「そこなんですよね……だって更衣室とかⅡ棟って人が通らないと反応しないじゃないですか」

 国門「忍者でも魔術でも、現実で分身を作り出すなんて無理だ無理だ」

 直樹「すごい非現実的だね!!? そんなことできたら苦労なんてしなっ……」

 いや、待てよ……? あのときアレはなんて言っていた?

 直樹「…………」

 玉柏「どうした」

 直樹「いやっ……できるかもって……分身」

 国門「おいおいおい!! 冗談で言ったつもりだったのにかぁ??? ……ははは、だけど俺様はもうわかっているぜ。これが分身によるもので、その分身がどうなっているのかもなぁ!!」

 湊川「ど、どうしたのよ!?」

 すごい突然すぎる国門のキャラの変わり様が怖い。けどあの自信たっぷりでいたずらに笑う彼の目に偽りはなさそう。というかなんかその目に光が見えないような……

 金室「直樹さん? 何をぼぉーっとしているんですか?」

 直樹「!! な、なんでもないよ。それよりも」

 いけないいけない。よそ見してた。顔を横にふって気を取り直す。

 直樹「一つ考えられるんだよ。犯人が分身を使ったかもしれないものがね」

 灰垣「そ、それは何なんじゃ?」

 直樹「『マネキン』だよ」

 湊川「……え」

 ほとんどが拍子抜けみたいな顔してる。国門はやっぱりかって顔して顎を擦った。

 湊川「ま、待ってよ!! マネキンが更衣室に反応するわけ……」

 玉柏「いや、そいつはどうかな」

 矢崎「どういうことだい?」

 ちらりと私が想像していたアレと同じものをみてから口を開く。

 玉柏「Ⅳ棟が開放されたときにみんなで回ったろ。そしてプールでモノヤギの説明を受けた。このときモノヤギの言ったセリフ、覚えているか?」

 灰垣「確か『人の形をしたモノが入ったと認識されれば更衣室内のセンサーが働く』じゃったか?」

 近衛「っ!! そういうことか!!」

 何人か気づいてくれたみたいだ。

 国門「『人の形をしたモノ』……つまり人じゃなくてもそれに準ずるものならいいってわけだぜ。こう考えればマネキンが使われていた可能性は否定できない」

 金室「それどころか完全に成り立つじゃないですか!!」

 ……そしてこれは、あそこも例外じゃない。

 玉柏「これは生物室にも同じことが言えるな」

 灰垣「あれかっ!?」

 そうあれだ!!

 湊川「どれよ!?」

 近衛「……生物室といえば人体模型……」

 直樹「そう。人体模型も人の形をしたもの。電子生徒手帳持ってる人は確認してみるといいよ。きっと今も生物室のライトはついているから」

 私も一応のために確認してみる。そこには誰もいないはずの生物室にしっかりとついたライトが映し出されていた。

 矢崎「ほんとだね……」

 湊川「でも、それならなんで今まで生物室のライト付かなかったのよ?」

 一つだけ、考えられることがあるさ。とすれば。

 直樹「多分……棚にしまわれていたからだと思う」

 灰垣「棚?」

 直樹「ほら、人体模型って体の構造を調べるくらいしかあまり使わないでしょ?」

 近衛「確かに……」

 玉柏「それに棚に入っていたら監視カメラに入るかもわからない。それでカウントされていないならまあ納得はできるな」

 もしかすると、犯人はこれを利用して生物室にいると見せかけて別の場所にいた、なんてこともあり得るのか……

 モノヤギ「人の形をしたモノ……これでワレの言いたいことはわかるであろう?」

 突然モノヤギが割り込んできた。でもなんかこのヤギ気前よくない? すごく怪しく思うんだけど……でも裁判じゃ平等だって言っていたし……嘘、ではないのか

 金室「マネキンが使われたのは、おそらく本当でしょうね」

 近衛「問題はそのマネキンをどう利用したか、だ。犯人はどうやってマネキンとともにプールから脱出したのか、出るときの更衣室のカウントを一人だけにしたのか…………」

 国門「はあぁああ!! なんだぁこれはぁ??? こんな限りなく密室に近い殺人ってぇのはよぉ? この犯人は下手に俺様たちを混乱させてきやがるぜ」

 言っていることはわかるのに耳にうまく入ってこない不思議。けど……この事件、なんとなく女子が犯人なのかもしれない……けど……

 玉柏「一度証拠を整理するか」

 矢崎「そのほうがいいね。道筋辿るよりも出てきた証拠から絞り出したほうが確実そう」

 直樹「えっと、まず現場から確認する?」

 国門「初心に返りて盲点暴くってな。現場のプールの周りには水がまき散らされていたぜ」

 灰垣「プールの窓には鍵が掛かっておったな。窓下にはビート板が積まれてもいた。それとなんだか白の髪の毛もあったと言っておったのぉ」

 湊川「サウナには電子生徒手帳が八個、壊れた状態にあったのよね」

 金室「掃除はしている風に見せかけられてて実際は違う……」

 近衛「更衣室も女子のしか使われていない。そもそも僕の電子生徒手帳が壊れていて、渡良部美南の電子生徒手帳が残ったままなのも気になる。僕サウナには入っていないですし」

 玉柏「そういえばロープもあったよな。一階のマネキンの首にしっかりと結ばれていたみたいだったがな」

 矢崎「そして今回の犯人は刺客の七……わざわざ自分から明かしているのもなーんか気掛かりだよねぇ」

 ……こんなところなのかな? まだここでは出てない証拠もあるけどそれが犯人につながるのはあまり考えられないや……

 

 きっと犯人は渡良部を何らかの方法、多分気絶させたんだろうけど、そうしたあとにマネキンも持って女子更衣室からプールへ。渦を作って渡良部をその中に入れて殺害。ここまでは見える。けどここからどうしたんだ。犯人は何をしたんだ? 犯人は……何を…………

 綿密に計算されつくされてる。犯人はその影にうまく身を潜めている。そういえば矢崎はいつから犯人がわかっているんだろう。正直あの対応されたら教えてもらえる気はしないけど。

 玉柏「なあ矢崎、お前いつから犯人がわかったんだ?」

 あ、玉柏ナイス。悩んでるときに察してくれたのかな。いや、そんなことないか。

 矢崎「…………事件が起こった直後。捜査が開始する頃には犯人がわかったよ」

 湊川「そ、そんな前から!?」

 矢崎「ここ最近の行動とかを総評したら自然とその結論に至っただけだよ」

 待ってどこをどうしたらその結論に至ったのッッ!!!!!?!? だめだやっぱりわからない。

 矢崎「まあ今気にするところではないね。ほかのところからなーにか気になることあれば議論しようか」

金室「そういえば白の髪? が落ちていたんでしたっけ?」

 ああなんか落ちてたって言ってたなあ。でもここに白髪の人一人もいないもんなぁ。いたとしても銀髪の江上と近衛だし…………え、ちょっと待って。そういえば昨日美術室誰か通っていたっけ……? 少なくとも二回は。そう考えると犯人はカツラを? けど理由は? ねえ、まさか、犯人は…………

玉柏「なるほどな……そういうことか。犯人わかった」

ちらっと玉柏のほうを見たらああと頷かれる。なんとなく、犯人の影が見えてきた。

 湊川「えっホント!?」

 玉柏「さっきの金室のセリフから考えたら疑問点が浮かぶんだよ」

 でもそれが確定的なものである保証はどこにもない。

 国門「おい近衛。今回の事件の犯人わかったのか? え?」

 近衛「いちいち煽ってこないでください。というか僕に聞くか普通…………。そんなのわかるわけない」

 

 

 

 

 

国門「バーーーーーーーーカやろーーーーーーうめッッッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 突然国門が大声で近衛を罵倒してきた。隣の湊川がビビってるんだけど。

 国門「いつまで餓鬼ぶんだこのすっとこどっこい鈍感バカ執事のすっとこどっこいが!!!!」

 灰垣「すっとこどっこい二回も言わんでいいじゃろ」

 国門「黙れ禿げじじい!!」

 灰垣「禿げとらんわ!!」

 ふざけてんじゃねーよ!!

 国門「わかるわけないだぁ? そんなの真実から目を背けていたいやつの常套句だぜ。真実見つける気があるのかよ。ないなら今すぐ死ね」

 湊川「そ、そこまで言う必要ないじゃない!!」

 国門「いいや必要だぜ。ていうか、真実ってのは最終的に個人が決めるある種の博打打だ。それを『わからない』で済ませられてたまるかっての。スカポンタン!! 真実壊したきゃ俺様倒してみせろよ」

 なんか主旨違くない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 国門「ま、そういうのも無理ないか。認めたくないのも無理ないか? お前犯人だもんな?」

 そう言って近衛を指さした。

 近衛「は? な、なにを言って………………僕は犯人なんかじゃない!! 髪の毛だってここには白髪の人なんかいないだろ!!」

 国門「確かに白髪はいないぜ。だからどうした? 白と銀なんて見分け付きにくいだろ? 銀は所詮キラキラした灰色。水の中で溺れて犯人のことを見た渡良部はさぞかし絶望しただろうぜ。そんでプールから出るときにでも髪の毛落としたんだろ。髪の毛は落ちたことに気づかないもんだし? さっきの通り、白も銀も見分けはつきにくいからな」

 確かにそうかもだけど、近衛は犯人じゃない……はず。

 近衛「そんなわけ…………そんなわけない!! 僕は殺してなんかない!!」

 国門「どうかな? 殺す動機なんて考えればいくらでも出てくる。お前が犯人なら『何度も呼び出されてしつこかったから』、とか。ありえなくはない線だぜ?」

 近衛「ふざけるな!!!! 」

 そんな反論する近衛を国門は嘲笑う。

 国門「はっ!! いたって真面目、大真面目だぜ!! ありえないの決めつけは阿呆がやることだこのすっとこどっこい!! それが裁判!! いつだって大真面目だ」

 直樹「絶対嘘だみんなしてさっきまでふざけてたでしょ」

 ツッコミいれたくて仕方なかった。

 直樹「ていうか……近衛くんが本当に犯人なわけ……」

 国門「じゃあすっとこどっこいは何していたんだ? アリバイの一つもないんだろ? ずっと部屋に引きこもってよ? やーいやーい!! ひーきこーもり!!!!」

 近衛「っち……いい加減にしろよ……腹が立つ」

 近衛の顔いつになく怖いんだけど。ついに舌打ちまでしちゃったよ。

 国門「おーおー怖いねぇー? ってそんなのどーでもいい」

 近衛「そもそも窓から出たって鍵は閉められないでしょうが……!?」

 国門「はあ~~??? そんなのまた入って来たときに鍵閉めれば済むもんだぜ。一番最初にプール入ったのお前だし。一番誤魔化しやすいポジションにいただろ。計画的な犯行であったから簡単に準備も始末もできる。絶好のチャンスだぜ」

 気迫、余裕、証拠、何もかもが段違い。国門の推理力に近衛どころかみんなが圧倒される。それくらい恐ろしいほど筋が通っている。

 灰垣「本当に……近衛が…………」

 近衛「違う!! 違う違う!!!! そんなわけ……!!」

 国門「いろいろ揃っちまっているんだぜ。逃れられるのか? それともくだらない言い訳でも遣えるか? え? 近衛が殺人を起こせる確率はとっても高い。むしろこんなの当ててくださいって言っているようなもんだぜ」

 …………どうしよう。自分が考えていた内容が塗り替えられる。どこかに矛盾があるように思えるのに、それが覆されていく。

 湊川「え…………近衛くんが? う、うそ、よね?」

 玉柏「いや……ていうかそれだと刺客の七が近衛ってことにもなるだろ。裏切り者とはいえそれは」

 金室「で、ですけど…………些か筋が通っているので……どうすればいいのか」

 近衛「そ、そんな……ち、違うって言っているだろ!? なんで、なんで信じてくれないんだよ!!!! 誰もっ、信じてくれないんだよ!!!!」

 本当に……これで決まるのか? 近衛が? 信じられない。これが真実だっていうの? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 国門「ってのが理想だろ? 今回の事件の犯人さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近衛が、みんなが、大きく目を見開く。

 国門が指した先。それは私が想像していた犯人とまったく同じ人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「ほう? わしが犯人じゃと言いたいんじゃな」

 国門「それしか考えられねえよ。あーあ。ちょっと楽しい煽り大会も終えたところだぜ。近衛の弁護でもしてやろうか。ま、少し議論してからやらせてもらうぜ。それに、だいたいのことは言ったぜ」

 湊川「えっ……えっ???」

 国門「わからないやつらのために言うぜ。さっきまでのは忘れろ!!」

 全部演技かよ!! カマかけかよ!!

 国門「あんなぁ……近衛の動機にあんなのがあるとでも思っているのかだぜ? 悪いがあり得ないな。モノクルを渡したのが、いや預けたのが確かな証拠だろ」

 金室「モノクルがどうしたんです? 特に関係しているとは思えませんけど」

 国門「…………あんまりそういったものの意味とかは興味ないんだけどよ、モノクルって要は片方だけの眼鏡なわけだろ? ……視野に入っていたってことなんじゃないのか? それを渡良部に渡していたってことはつまり、自分のことも視野に入れていて欲しかった。薄っすら映すだけでいい。片側だけでもいい。でも自分という存在がそこには残っているって思いたかったんじゃないのか?」

 弁護とはちょい違うかもな、と肩をすくめる。近衛は目を反らして口を開く。

 近衛「…………忘れられるのが怖かった。裏切り者だから、そんな理由で排除されることくらい目に見えていた。でも……一緒にいた時間が楽しかったのは紛れもない事実。国門政治が言ったことは十割あっている。でもその中の十割であって、実質三割足りてない」

 そういうとポケットから…………眼鏡が出てきた。

 近衛「眼鏡とモノクルの大きな違いは、一つか二つか。二つなら視野は一層広がるけど、一つだと狭い。けどなぜか狭いほうが、探求心というものは強く表れる。二つで見るのは一瞬だ。でも一つだけなら狭いから見るのに時間がかかる。……時間をかけてでも、誰かに本心を探ってほしかった。合わなくたっていい。それらを含めた、純粋な認証が…………欲しかった」

 悲しげに語る近衛の遠い目に、こっちまで悲しくなってくる。自分を受け入れてくれるほどの何かが、彼を束縛していた。裏切りというレッテルと一緒に。うわべじゃない、すべてに。すれ違っても、みんな違ってみんないいところを、ちゃんと知っていて欲しかったんだ。

 近衛「ごめんなさい。こんな長話に付き合わせてしまい。続けましょう。灰垣遊助が犯人であるという証明を」

 灰垣「ふう…………待ちくたびれたぞ。生殺し状態なんていつぶりじゃろうなぁ」

 すごく待たせていたけど、これも大事な話し合い。灰垣が犯人である証拠、完璧とまでは言えないけど……少しでもちゃんと見えているから。

 直樹「……さっきの国門くんの推理のおかげで少しわかってきたことがあるよ」

 灰垣「……よかろう。まずなぜわしが犯人だと思った?」

 訳してやる。

 直樹「まず今回の事件。犯人は近衛くんを犯人に仕立てることにしたところから始めたはずだよ」

 近衛「は?」

 直樹「灰垣くん。君前に言っていたよね? いつでも誰かを殺す準備ができているって」

 灰垣「言ったな。じゃが所詮口先だけ。それを証拠とするのは薄いんじゃないのか?」

 そうなると思った。でもこれがもし本当なら……灰垣のとんでもないシナリオが今もなお動いていたことになる。

 直樹「事件を成り立たせるために近衛くんにみんなの目がいくように仕向ける必要がある。それがあのビート板。君なら窓に手を伸ばすだけでも届くからあえて置くことで、あたかも身長の低い人がやったかのように見せることができるはずだよね」

 灰垣「ふむ、確かに可能じゃな」

 ……いやに素直に受け止めてくる。何か企んでいるのか?

 灰垣「それはあくまでも仮定。すなわちわしが窓から出たことにもつながる。じゃがな、わしはいったいどうやって窓の鍵を閉めた? わしはプールで窓に近づいておらんぞ?」

 直樹「直訳なんてさせるか!!」

 彼のあのときの立ち位置考えれば……

 直樹「みんなで渡良部さんの死体を見つけたとき……君は私たちの後ろから話しかけてきた。湊川さんが灰垣くんの前にいたよね?」

 湊川「ええ。唯一視界に入らなかったの灰垣くんだった気がするわ」

 玉柏「へえ……そうなのか」

 直樹「一点に集中している間は、ほかのに目がいかない……だからこそ灰垣くんはその心理を利用して完全に一か八かの大賭けに出た。誰も見ていないことを利用して、二つのことを糸も簡単に成し遂げてみせたはずなんだ!!」

 灰垣「はっはっはっ!! こりゃたまげたわい。不可能ではないな」

 余裕のある落ち着いたトーンで、静かに語りかける。まるで蛇みたいに絡みつくようで、なんか怖い。

近衛「ん? ちょ、ちょっとお待ちを。僕の電子生徒手帳は灰垣遊助に渡良部美南のものと交換されたってことになるのか!?」

 玉柏「状況を考えればそうなるだろうな」

 矢崎「ていうか……近衛くんの燕尾服返したの灰垣くんだもんね」

 !! そうだ。着替えてこいと言ったのも灰垣だし…………

 国門「少なくとも近衛がプールに入ったってことはつまり、渡良部の電子生徒手帳は使う理由はどこにもないってことでもあるんじゃあねぇか?」

 灰垣「あのなぁ……できたとしてもじゃ。結局更衣室の人数は誤魔化せん。それにマネキンを外から落とせば金室が聞いたという振動も起きるじゃろう? マネキンにロープをつけて落とせば……あとから紐を引っ張って回収も可能じゃろ?」

 直樹「……いいや。そんなことはできないよ」

 国門「見つかったロープはそこまで長くはないぜ。いくらお前でも、ロープの長さと別館のデカさを考えれば届かない長さなのはわかるだろ」

 使える範囲はかなり限られるから。

 近衛「…………貴方は……渡良部美南を殺してから、窓の下にビート板を置き、七人の電子生徒手帳をサウナに投げて壊した。そして首とかにロープを結び付けたマネキンを女子更衣室にいれて扉を閉め、自分は窓から脱出。別館の上から地面に降り、またプール前に行く。渡良部の電子生徒手帳を更衣室にかざし扉を開けてマネキンを回収…………清掃中の看板もその時にとってしまえばいい…………」

 灰垣「ふーん……」

 金室「思えば、あなたはサウナの捜査もしてましたね。一度入ったことがあるのなら、モノヤギから直接注意されたなら、それくらい理解はしていたはずですよね」

 直樹「灰垣くんはこの中じゃ圧倒的に背が高いし今までの一連の流れを、できないわけじゃないよね」

 灰垣「バカバカしいにもほどがあるな。背が高いだけの話か?」

 もちろん違う。私はそういうように首を横に振った。

 直樹「決定的な証拠があるよ。灰垣くんが犯人だって証拠がね……!! 金室さん!!」

 私は金室さんにポケットから それ(・・ )を取り出すように言って受け取る。

 灰垣「ほう? それが一体なんだというんじゃ? たかだかビーズが。わしを追い詰める証拠にでもなり得るとでも?」

 直樹「……もちろん。だってこれは君にとっては馴染み深いものなはずだからね」

 今回だけ感じた違和感の正体がようやくわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直樹「これ、灰垣くんの念珠のビーズ。そうなんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「………………」

 っ手応えが……ない……?

 直樹「っ、君は………………」

 灰垣「めんどくさいたとえはいらん。どうしてそれが根拠となったんじゃ?」

 

 ゾクッッ……

 

 な、なんだ? この殺気……? この威圧感……?

 直樹「……だって、君今まで殺された人たちに……念珠持って祈っていたでしょ……? なのに今回に限って念珠を持たずに手を合わせていた……いつも念珠持っていたのにないのって……不自然に思えたから」

 金室「そ、そういえば確かに……」

 宮原のときはたまたま見かけなかったけど、鷹山とダグラスと橘のときはそれぞれ念珠を持っていたのを覚えているから。

 灰垣はゆっくり目を閉じてはあぁっとため息をついた。……!! ってことはまさか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「何一つ悟られておらんぞ!! コートにすら入れてないわい!!」

 

 

 

 

 っ!! こ、ここで反論……!?

 灰垣「実に、実に面白い推理じゃ。それは認めてやろう。現にわしの念珠はこの通り壊れておる」

 この通りと灰垣は自身の念珠を見せてきた。それは本当に紐とビーズがバラバラな状態。

灰垣「じゃが所詮それだけのこと。いつ壊れたかまでは明らかではない。根拠として薄い、薄すぎる。それに……この事件の犯人がわしならば、すなわちわしが必然的に『刺客の七』ということにもなろうて。わかっておるじゃろ? ほんっとうにバカバカしいことじゃ……………………なあ、【刺客の七】である証拠……もちろんあるんじゃろうなぁ? 否、あるんじゃろ? それがなくては認められん。犯人と告発したくば最低限の、それくらいの証拠を!! 根拠を!! わしに見せてみろぉぉおおお!!!!!!」

 ものすごい勢いでの反論が場内に響く。そうだ刺客の七のことすっかり忘れるところだった。でも…………どうしよう。これ以上彼を告発できる証拠が、ない。

 玉柏「…………まずいな。【刺客の七】であることを認めさせないと、そもそもが成り立たない。ご丁寧に自分から犯人だって名乗る刺客の七なのに、メモまで用意しているのに…………どこにあるんだ……刺客の七……っ!!」

 国門「少なくとも俺様の推理は正しかった。だが悪い。そこまでははっきりしてくれねぇ……」

 湊川「理にかなっているはずなのよ…………」

 金室「刺客の七の証拠……何があるっていうんですか…………今までに刺客の七である証拠があったとでも言うんですかっ!!?」

 圧倒的過ぎる犯行。でも、なぜか、刺客の七であること以外はもう認めているようにも感じる。でもそれじゃ納得してくれない。彼は、一体なにを望んでいるの?

 全員が頭を抱える。どこだ、どこにある。追い詰める証拠。探せ、探せ…………そもそもヒントがあるのかも怪しいのに。この悩みはまさか無意味なの? 引っかかってくれない。プールの中も、サウナも、窓も、証言も、写真も、何を探しても浮かびあがらない。翻訳、できない。

 灰垣「この際はっきり言わせてもらおう。【刺客の七】である証拠さえあれば、わしは認めるんじゃ!! さあどこじゃ!! 言っておくが捜査ごときで見つかるものではないからな!!」

 …………ねえ、なんでそこまで言っちゃうの? どうして認めさせようとするの? …………それなのに、どうして殻にこもったまま出てこようとしないの!!? 何が灰垣を縛りつけているの!!?!!?

 【刺客の七】…………何に、一体何に絡まって…………どうしよう、焦るたびにわからなくなってる。これじゃ思う壺…………いやっ、それすらもわからない……

 近衛「…………七……」

 

 

 

 

 

 

 

 見せてあげるよ。七の秘密

 

 

 

 

 

 

 そのとき、一人の優しい声が聞こえてきた。

 矢崎「あたいはわかっている。言うのをずーっとためらっていた。でもさあ…………結局は、お互いの責任なーんだね」

 灰垣「お前さんは、わかっておるのか?」

 矢崎「うん。そろそろ認めさせないとこれは終わらない。そもそもずっと気になっていたんだよね。刺客はわかるのに、なーんで『七』が必要なのかって」

 七……そういえばあまり気にしてなかったような……

 矢崎「でも自分から名乗ってくれた。自分が【刺客の七】であることを。【七】であることを」

 そんなときなんて……いつ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 矢崎「頭脳明晰、刺客の【ツタウルシ】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近衛「!! まさかっ!!?」

 その一言を聞いた瞬間近衛は何かを察した。

 直樹「えっなんでツタウルシなんてでて、き、て…………つた、うる、し……うるし…………? ああああッッッッ!!!!?!?!?!?!?!?!?」

 遅れて気づいた!! こ、こんなの気づけるわけないじゃん!! 矢崎は、気づいてたの!?

 金室「漆って……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直樹「漆は…………【大字】だ……正真正銘……【七】のね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 玉柏「だ、大、字……?」

 湊川「詐欺を防ぐためによく使われる字体……よね」

灰垣「……」

 直樹「最近じゃん!! みんなの前で読み上げられていたの!! 好きな植物について矢崎さんから出されたときっ!! 灰垣くんは『ツタウルシ』って書いていたんだ!!」

 矢崎「そのときの紙はこれね。それぞれの字で書いているし、嘘はひとーつもないよ」

 矢崎はポケットから取り出してしっかりと私たちに向けて見せる。間違いなくそこには『ツタウルシ』と書かれていた。

 直樹「ねぇ…………ずっと伝えようとしていたの……? なんで……なんで……!?」

 灰垣「……………………」

 灰垣はただ静かにそれを聞いているだけだ。そもそも刺客の七ってことすら信じられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「くふっ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、彼はにやりと笑った。それはとても不気味で。なぜか背筋が凍りそう、とも思った。

 

 

 

 

 

 

 あれ? 違う、感じたことがあるんだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 ッッまさかっ!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高らかな笑い声が場内を反響させる。

 

 同時にパチパチパチパチッッッッ!!!!!! という拍手までもが響く。

 

 それはとても大袈裟で、大胆で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「はあーっあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その大笑いはひどくに冷たくて、体が凍りそうで、金縛りにあったようで、体が動こうとしない。なぜか鼓動が激しい。無意識に殺気を放ち、殺されるんじゃないかって思えてきた。

 

 

 ふと、その拍手は止む。みんなの困惑の目を後目に、袖から何かを取り出す。それは…………白髪のカツラ。それを被ると…………浮かび上がる。私たちは見たことがある。

そして彼はゆっくりと口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   【枝】は【垂れ】ても嘘をつく

 

 

     【芝】に潜んだ臆病さ

 

 

    【重】さ【八】とて教育上よ

 

 

   【山】の綺麗に見とれるべからず

 

 

      【冬】の【寒】さは

 

 

     冷たく静かで笑ってる

 

 

       一人のソナタ

 

 

     【彼岸】を見届けん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      そう我ら【桜田】

 

 

       【桜田一族】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰垣「わしが『刺客の七』であり、暗殺一家の【桜田】の血を引く最後の人間、 桜田直弼(さくらだなおすけ )。わしの古の名じゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが“あのとき”の

 

 

 バレー部の素顔だとは思わない

 

 

 いまの宣言が何よりも恐ろしく

 

 

 私たちを嘲笑うようだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モノリュウ文書

 

 

 事件の真相ファイルその4

 

 

 事件はⅣ棟が開放されてからすでに動き始めていた。犯人は午前中からプールに入って渦を作りしばらく放置。適当なタイミングで渦を止めた。これはみんなにプールの清掃があると思い込ませるためだった。そのために清掃中の看板もしっかり用意して。

 午後になり、犯人は一人で行動していた渡良部を襲い気絶させた。争う暇さえ与えずにあっけなくこなしてみせた。犯人は渡良部を連れてⅣ棟に向かった。彼女のポケットから電子生徒手帳を取り出して、彼女を女子更衣室に入れた後。犯人は一度Ⅳ棟の一階に降りて予め用意しておいたロープをマネキンに結び付けて持ってきた。そしてまた渡良部の電子生徒手帳を使って女子更衣室に入れて扉を閉め、犯人も同様に入っていった。更衣室は一人ずつしかも両方の扉が閉められていないと出入りができない。犯人はそれを利用して動いていた。

 犯人は入ったときと同じようにしてプールに入ったあと、すぐに動力室に向かって渦を再び作った。もちろん犯人が渡良部を殺害するのにも必要な工程だが、時間を考えたときに水を入れているのだと思わせなければならなかった。渦を作って犯人は渡良部をその中に放り込んだ。……さすがに起きたであろう。しかし渡良部はカナヅチであるという致命的な弱点があった。いきなりのことに脳が対応しきれず、そのまま渡良部は渦に飲み込まれ死んでしまった。

 渡良部の死を確認した犯人は、渦を止める前にビート板を窓の下においた。窓から出るときに身長の低い人が使ったと思わせるために。渦を止めて犯人は更衣室にロープ付きのマネキンを入れ、自身は窓から脱出を図った。窓から出たとしても、すぐ下は別館。けがの心配は端から消していたのだろう。別館に着地した犯人はさらにそこから地面に降り、もう一度Ⅳ棟に入った。マネキンの回収をするためだ。女子更衣室をとっておいた電子生徒手帳を使ってまた開いた。回収したマネキンは元の場所においてしまえばいい。けれど犯人の工作はこれだけに留まらなかった。

 犯人は大きな大きな賭けに出ていた。湊川のアナウンスで犯人はすぐにプールに駆け付けた。そしてみんなが渡良部の死体に目がいっているわずかな隙をついて窓を閉めた。そして犯人にとって嬉しい誤算があった。近衛が渡良部を引き上げる際に燕尾服が脱ぎ捨てられたのだ。燕尾服の中に電子生徒手帳があることをわかっていたのと、渡良部の電子生徒手帳を持っていたのが重なり、元から用意していた刺客の七の紙を添えて近衛のと渡良部のを交換。燕尾服を返して自然に見せかけた。そして捜査でサウナに向かい近衛の電子生徒手帳を熱暴走で破壊。こうすることで犯人は近衛を犯人に仕立てあげるように誘導したのだ。

 だが犯人ははじめから刺客の七であることに名乗りを挙げていた。あえて自分につながるような証拠を残しておくことで、近衛が犯人だというミスリードを起きないようにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学級裁判、閉廷

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お気付きか

 

 犯人のノーテイク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回

 

 逃げ露落ちの鬼蛇8部屋目

 

 

 

 




 どうも。今回は後書きで失礼します。

 まず裁判書いてて思ったこと。


 「くっそごちゃごちゃしてんなぁ!!?」


 はい、今回刺客の七がいたのともろもろの伏線の配置位置などの確認やプロットとのにらめっこが今回一番キツかったです。というのも裁判に関してはWordを使って打ち込んだんですね。そして苦戦しました。もともとそこまで打つ速度がめちゃめちゃ早いってほどでもないんですけど、まあ改行やら空白やら変換やらがうまいこと打ち込めてなくていざ投稿で「ほあ!?」ってなってました。慣れないことするもんじゃないです()
 ぶっちゃけ一章と四章で使った体力が同じくらいです。ご存知の通り一章は私のとんでもないミスでかなりごり押したところはありました。ある意味二章が一番楽だったかもしれません。三章もごちゃごちゃしていたにはしていたんですが、ごちゃごちゃが多い分かなり気を使ってたので案外はやく済んでました。
 四章の手こずった原因は多分中途半端だったからなんだなぁと。いろいろ反省点の多い裁判になりました。
 さて、次回はおしおきなわけですが進捗はダメです()まだ時間かかりそうですが二周年に間に合うようにするので。
 ではまた8部屋目でお会いしましょう

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