第一章(非)日常編 確認の1部屋目
注意
これはダンガンロンパシリーズの二次創作となっています。
本編とは異なる設定が多々あります。
あと主の文才は期待しないでください。
それでも平気な方は次のページへどうぞお進みください。
*****
モノリュウのお告げ
知っておるか?
『矛盾』という言葉の答えは
一つではないということを
矛で盾を突く
『突く』に明確な定義がない限り
『矛盾』とは成り立たぬモノなのだ
では『矛盾』の妥当な解釈は?
『無敵の盾が無敵の矛をはねかえす』
……だろうな
*****
第一章「盾の悲劇と矛の罪」
*****
入居会が終わり集会室を出ると夕暮れ。私たちはすぐに隣のⅠ棟を訪れた。宮原の言う通り出入口に地図があった。
「ここは5階建てだ。男子トイレと女子トイレはそれぞれの階にあるから省くぞ。1階には食堂、その奥厨房、購買、そしてここ玄関ホール。こことは違う外への扉が食堂にあるみたいだね。あと厨房にトラッシュルームもある。」
「ほうほう。」
「2階は小さな休憩スペース、いわゆるロビーみたいなのね。他にはランドリー、倉庫A、医務室。3階は女子5人の寄宿スペースと倉庫B。4階は男女3人ずつ計6人の寄宿スペース。5階は男子5人の寄宿スペースと倉庫Cだ。」
「階段は右上辺りにあるみたいですね。」
「その横にエレベーターもあるな。」
「これマンションというかアパートじゃないか?」
「知らないわよ。」
ただし世の中には四階建てでマンションと呼ぶものも存在したりする。
「さてこれから見てまわるか?」
「いやその前にお腹すいたよ。」
矢崎に言われたと同時に誰かのグウという腹の音が聞こえた。……私じゃないよ。
「では食堂へ参りましょう。腹が減っては戦は出来ぬともいいますし。」
「戦しないけどね。」
*****
暖簾をくぐった先の食堂は広々としていた。大きな長テーブルとあとは数ヶ所に丸いテーブルが置いてある。
「ひっろ!」
「奥に台所があるっぽいな。」
「とりあえずみんなで座りましょ。」
長テーブルのところにみんな腰かける。近衛は奥の厨房に食材を確認したのちすぐに戻ってきた。
「食材は豊富に取り揃えてあるようでございました。食事に関して困ることは特にないみたいです。」
「ほお。」
「今からでも何かお作り致しましょう。ご要望がございましたら是非おっしゃって下さい。」
「さすが執事ですね。和食をお願いしてもいいですか。」
「あ、私も私も!」
「あたいは洋食を。」
「洋食please!」
「僕は麺で頼むよ。」
みんなそれぞれの要望を聞きかしこまりましたと言って近衛は調理場へ向かった。
「陣がいない間でも話し合えることは話しておこうか。」
宮原は手を叩いて自身に視線を向けさせた。
「さっきも言ったとおり、このマンションは5階建てだ。そしてこの閉鎖空間の中で壁こそあるけど外にも出られる。今日はもう夜だし外と中の探索を明日にでもしたいんだけれど平気かな。」
「それでいいよ。反対する理由なんてないし。」
「あたしも同じかなー。止まっててもなにも起きないし。暇だし。」
「私もだ。」
「決まりだね。」
話をしているうちに近衛が食事を持ってやってきた。そういえばこれ夕食なんだよね。
手を合わせていただきますをしみんな料理を食べる。ちなみに私は和食。うん、おいしい。さすが執事である。
「お口に合いましたでしょうか?」
「合う合う!すごいおいしい!」
「…うまいな。」
「ありがとうございます。」
昼を食べていなかったせいかみんな揃っておかわりをして長い夕食が続く。別の意味でただ一人を除いて。
「……」
「灰垣くん。食べるの遅くない?」
「……」
灰垣も和食なのだが一口食べるごとに箸をおいて料理の味を噛みしめている。何回噛んでるんだろう?
「……ふう。」
「灰垣はいつも時間をかけて食事を取るのか?」
「いやいつもそういうわけじゃない。ただ昼間のことがどうにも頭に残るんで落ち着こうと思っただけじゃ。」
「それにしても食べる速度遅くない?」
「遅いのは分かっておる。なんせ一口で100回噛んどるからな。」
「多い!よく噛んだほうがいいっていうけど多い!」
「仕方がないじゃろ。それともなにか、お経読んだほうがよかったか?」
「ゼンシャデオネガイシマス。」
灰垣も灰垣でワケワカラン。長い夕食がさらに長く感じる瞬間だった。
*****
食事も終わって今日はもう自由にしようということで私は自室に行くことにした。確認したかったしね。部屋は女子から出席番号順になっているようで私は三階の305号室。三階にいるのは他に江上と金室と阪本と鷹山の4人だ。
部屋に入るとまあそれなりに広い。シングルサイズのシンプルなベッドや大きなテレビ、その横のスピーカー、机と椅子、シャワールーム、その他諸々。一人暮らしをする必要最低限の物がある。ただ監視カメラがあるのがなんともいただけない。
机に何かないかなと思い近づいてみるとそこには黒いスマートフォンのような物が置いてある。手に取ってみるとまあうんスマホみたい。そう思ったらパサッと何かが落ちた気がして床をみるとメモ紙があった。
「『直樹空専用の電子生徒手帳です。常に手元で保管願います。希望ヶ峰学園学園長モノヤギ。』……」
手に取って読んでみたがなるほどそういうことかと納得する。ていうかあのヤギ字キレイなんだけど。達筆なんですけど。自分の字の汚さに嘆くよ。
電源を着けてみると『直樹空』の文字と時間が表示される。今は夜の9時。早いなあ。このまま部屋で入り浸ってもいいが食事を済ませたすぐなので体にはよくないなと。
「……よし。」
私はまずシャワーを浴びてから最近はまりのヨガをすることにした。
***
ピンポンパンポーン!
『夜時間になったであーる!オマエラァ、いい夢見て明日からのコロシアイに備えるであーる!!』
突如テレビがついてアナウンスが鳴る。待って。夜時間ってなに?思わず電子生徒手帳を見てみると規則の欄に
〈希望ヶ峰マンションの規則〉
No.1 生徒及び入居者はこのマンションで共同生活をしてもらいます。期限はありません。
No.2 夜10時から朝07時までを夜時間とします。立ち入り禁止区域があるのでご注意下さい。
No.3 マンション内での就寝については各自個室で取って下さい。他の施設での故意の就寝は他の入居者の迷惑になるので禁止します。
No.4 マンション総合管理人ことモノリュウや総合管理人代理・希望ヶ峰学園学園長ことモノヤギへの暴力行為を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
No.5 施設の探索は自由です。特に制限は課せられません。
No.6 仲間を殺したクロは“卒業”となります。ただし自分がクロであることを他の生徒に知られてはいけません。
※なお、規則は順次増えていく場合があります。定期的に規則を確認することをオススメします。
なるほど。モノリュウってどうやって攻撃するんだろうと思わず二度見したけれどいっか。
さあ明日からは探索だ。このマンションを調べられるだけ調べよう。そしてここから出る手段を見つけよう。コロシアイが始まる前に。
*****
2日目
ピンポンパンポーン!
『おはようございますなのであーる!今日も張り切っていくであーるよォ!』
目覚めはモノヤギのアナウンス。これがえっと、あれ、あれあれ……そう目覚まし時計だ。正直これが目覚まし時計だとは思いたくないけれど目を覚ますにはちょうどいいから許そう。いつも起きるの7時だし。
私は軽く背伸びして食堂へ行くことにした。
***
あ、もう誰か人いる。ダグラスだ。彼は髪の毛を結んでいる最中だった。
「ミス直樹、good morning!」
「おはようダグラスくん。早いね。」
「そりゃそうさ。ほら『早起きは三文の徳』って言うだろ?たった3つの徳でもないよりましだとミーは思ってるのさ。ちなみに仕事があるとき以外は毎朝5時には起きるから。というか起きちゃうんだけどね。」
規則正しい生活してる。
「寝るときも大抵は9時から10時の間だし。部屋に戻ってすぐ寝ちゃったよ。」
えらいというか緊張感抜けているというか。彼は出されたコーヒーを一口飲むとにがっ!っと言ってコーヒーにミルクと砂糖を入れた。そりゃコーヒーだもの。
「あれ、ダグラスくんだけ?」
「NoNo,ミスター近衛がキッチンにいるよ。モノヤギと交渉したみたいでさ。6時から食堂開けてもらえることになったらしい。ま、そんなことも知らずにミーは朝の散歩していたんだけどさ。」
あのヤギ話通じるんだ。昨日のイメージと全然違うんだけど。なんなのあれ。
「ああそれからミスター橘もいたけどユーと入れ違いになったみたいだね。」
「え?」
「なんでも人との関わりが好きじゃないみたいでミーが話しかけても返事はなしさ。食事も早くに済ませちゃった。」
橘、協調性ない。もっと交流しないとそれこそ初対面の私たちと馴染めないのに。いや馴染もうとしていないのか。けどそれなら昨日のは一体…?
とまあダグラスと世間話をしていたらぞろぞろとみんながやって来た。もちろん橘はいない。近衛が朝食を持ってきて食事が始まる。
「いただきます。」
手を合わせて私は昨日と同じ和食を食べる。
「そういえばあなたたち知ってる?」
なにか思い出したかのように切り出したのは阪本だった。
「なにを?」
「私たちみんなの個室。完全防音なの。」
それは知らなかった。
「昨日矢崎さんと試したの。というか自然とそうなった感じ。」
「そうだね。あたいが訪ねたときなーんか廊下の声が個室に届いていなかったみたいなんだよね。それで。」
「確信したわけか。なるほどね。一つ探索する手間が省けたな。」
防音となると個室でコロシアイが起きても誰も気づかないってことか。最悪のケースが自分の脳裏を過る。ダメダメ、今は食事中だ。そんなこと考えておいしいご飯を不味くしてしまうのは近衛にもみんなにも失礼だ。ポジティブに考えよう。
「阪本くん、昨日よりずいぶん砕けたみたいだが。」
「それは初対面だと誰がどんな人かわからないからその態度とっただけ。最初愛想ないとか思ったでしょ。」
はい思いましたすみません。
「よくあることだから気にしないでね。本当なら私からみんなに話しかけるところけど、矢崎さんに先越されたよ。」
「おかげで防音のことに気づいたから結果オーライじゃないかな。」
「他に何か報告あるかな?」
全員首を降る。
「よし、なら今日からこのマンションの探索だ!楽しみだなあ。」ワクワク
「この状況で一番楽しめてるの宮原くんだよね。」
みんなして大きく頷いた。だって大工だもの。仕方がない。
*****
そういうわけでみんなで探索開始だ。私は集会室を調べたかったから外の方へ出た。
「ん?君は直樹だな。」
「そうだよ国門くん。」
外には国門がいた。少し離れたところには金室と玉柏もいる。
「ここには噴水ぐらいしか見当たらない。これといった発見もない。でも中央より若干遠いのが気になるな。」
「うわぁ絶対宮原くんが気にし…」
「いやいっちばん最初に言ってたぞ。」
「もう探索してるじゃん!!?」
「君が起きる前に言っていたんだ。僕も気になってそれ言ったら『気づかないほうがおかしい!!』って一蹴された。」
「ドレダケスキナンデスカ?」
「おーいカタコトだぞ~?」
はっと気づいたらやれやれと国門に苦笑いされた。
「全く。壁の方は金室が調べてるからそっちからも話を聞けばわかる。僕が役に立つのは法廷だけだからな。」
「弁護士だから?」
「ああ。ま、ここで僕の才能が発揮されるとは思いたくないけど。」
「変なこと言わないでよ。」
「現にもう才能発揮している人いるから。」
確かに否定できない。(近衛、橘、宮原)
国門はどうやらあまり自分を前に出すことはしないようだ。法廷だけでしか役にたてないと自分を低くみている。でも昨日の口振りからして頭も良さそうだしあまり自分を低く見すぎるのもどうかなと思った。
*****
そのまま私は金室のいるところまで行った。壁に手をあてて何か確かめているようだ。
「何しているの金室さん。」
「あら直樹さん。いえたいしたことではないですよ。壁があるのでその奥には何があるのかと気になっただけです。」
そうこのマンションは大きな壁で覆われている。木々も生えているが壁のほうが高くとても木登りしてから越えられるとも思えない。
「壁の奥…は外の世界じゃないかな。」
「いえ多分それは違うと思います。昨日モノヤギが言っていたではありませんか。『マンションⅠ棟』って。試しに壁を叩いてみましたが、鈍い音はしてても少々薄いようなのです。Ⅰ棟があるということは他にもⅡ棟や別の棟があるのかと思いまして。」
私も壁を叩いてみたら金室の言う通り薄い。もし外の世界がこの壁の奥ならあまりにも無用心過ぎる。何か、そう爆弾なんかでも簡単に壊せそうな感じなのだ。
「壁についてモノヤギに聞いたところ、壊したら“おしおき”があるそうです。」
「おしおき?」
「詳しいことは言われてません。外に出るにはコロシアイをすることが条件なのでそれ以外での脱出は認めないということだと思います。ですが昨日、橘くんが吹き飛ばしたモノヤギが爆発しましたよね。あの爆発は直接当たればきっと……死ぬレベルでした。」
「つまり…」
「おしおきは校則を破った者をみんなに見せしめとして殺す。ということです。恐らく。」
絶句した。金室も淡々と言っているように見えるが顔色はよくない。最後のほうが少し歯切れが悪かったのは気のせいではだろう。
そう昨日の爆発が警告でなければ橘は間違いなく“死んでいた”のだ。考えれば考えるほど、私は自分が死ぬのが怖くなった。もちろん死ぬのは怖い。だが病気や老衰で安らかに眠るのと殺されて死ぬのとでは大きな差がある。
「壁の向こうに何があるのかまだはっきりわかりません。ですが信じてますよ。時間が掛かろうともうちらがここから出られることを。」
穏やかに微笑みまた壁を調べる。金室ははっきりとものを言うタイプかもしれない。戸惑い…はあったけど言いづらいことでもはっきりと言った。コロシアイを強いられた私たち16人は常に緊迫状態なのだから緊張していても仕方がない。
でも私も信じている。金室と同じようにみんなでここから出られることを。
「あとついでですがうち噴水嫌いなんです。」
「え?」
「日本にあんな激しくて華やか過ぎる人工的な芸術はいりません。もっと落ち着いた優しい自然の芸術がいいんです。そう例えば鹿威しなんかが素敵ですね。」
あ、これあれだ。完全に日本大好きっ子だ。
*****
話が長くなりそうだったからすたすたそこから離れ、今度はマンション横の集会室を探索することにした。玉柏が入るのをみたあと私は中に入る。昨日最初に入ったときと同じ光景だった。……え?
「元に戻ってる?嘘?昨日の爆発痕は!?」
「っ…少し静かにしな。耳に響く。」
「ごめん。」
「……」
爆発のあった箇所に手をあててみる。触り心地は他のところと同じだ。嘘のように消えていた。
「たった1日でこんなきれいになるのかな。」
「普通に考えて無理だな。仕事が早すぎる………」
玉柏はその場に座り込み床を撫でてはその箇所を眺め、壁も同様の動作を繰り返す。
ふと私は彼に疑問を抱く。彼の才能について。
「ねえ、あのとき才能教えてくれなかったよね。何か教えられない事情でもあるの?」
「事情ね……」
ポツリと呟いて私をチラリと見る。
「あ、いや、無理に言わなくてもいいからね。」
私を見る瞳は睨み付けているようにもうかがえたが昨日みたいに鋭くはなかった。すぐに顔を戻して立ち上がる。
「正直な話をすれば俺は記憶を少し失っているらしい。」
「らしい?」
「才能が思い出せないのはわかった。だが他にも何か忘れている感じもする。それがなんなのかすら俺は忘れてしまった。」
「忘れていることを忘れているってこと?」
「ああ。だが才能はなんとなく検討がつく。今のお前たちには分かるわけないけどな。」
不意に彼が含みのある笑みを浮かべてゾクッとした。どこか闇を抱えたそんな笑みだった。
「さて他にも探してみるか。」
反転してステージに向かう彼の後ろ姿を私はじっくりと眺めるしかできなかった。
あのあとその辺を探索したけれど特にこれといっためぼしいものはなく集会室を後にした。
玉柏は記憶喪失。それでも彼はどんなときでも冷静だ。まだまだ彼については分からない。謎のまま。いつか取り戻すかもしれない記憶を私はゆっくりと待とうと思った。
*****
to be continue…