報復せし番犬 作:貧弱一般人
私は2人目の監視員の射殺をもって、東京ctOSコントロールセンターの遠隔監視の掌握を達成した。
口元を覆うスカーフをずらし、息を大きく吸う。
「あとは本命を落とすだけ」
ドアの前で倒れている死体をどかし、監視室へと足を踏み入れる。デスクに置かれたノートPCにスマートフォンを
まずはアクセスカードをもった人間を探し出し、ハッキングしてアクセスコードの入手をする必要がある。話はそれからだ。
「絶対に叔父さんの仇を討つ。イ・ウーに地獄をみせてやる」
∴
私ことレナ・ピアースは齢15にして波瀾万丈ともいえる濃い人生を歩んできた。
そもそも私は元々“レナ”ではなかった。女性ですらなかった。
私が“レナ”となったのは、9年前。“レナ”が6歳のときである。当時“レナ”は、叔父と兄とのドライビング中に銃撃に遭い、乗っていた車は横転。意識不明の重体となった。またゲームとアニメ、
「すまない、レナ。俺は君たちを殺したも同然だ」
目を覚ました私に、叔父のエイデンはそう言って謝った。
私は重度の記憶喪失とされ、小さくない怪我もあり、入院することになった。
病室で叔父は私にたくさんの秘密を語ってくれた。師と共にフィクサーの仕事をしていたこと。何者かの報復によってレナは記憶を失う羽目になったこと。そして最後に堪えるような顔で「生きていてくれて本当に良かった」と締めくくるのだ。
それから、月日は経っていく。
ある時私は叔父に「叔父さんのもってる技術を教えてほしい」と持ちかけた。
∴
「タグ付けは終わり。増援も呼べなくしたし、さっさと終わらせなきゃ」
アクセスコードを入手し、私は小屋を後にする。お手製の粘着爆弾を置き土産に。
道に放置されていた車をハックしつつ拝借し、コントロールセンターへ向かう。
「キンジ、今なにしてるんだろ」
ここにはいない同居人の間抜けな顔を思い浮かべる。
私は叔父の昔の恩人であるという
だからこそ────────
「きっとキンジとは
なぜなら私は、レナ・ピアースは復讐に身も魂も売ると決めたから。
◆
「ただいま」
「おかえり、レナ。今日は遅かったんだな────って、びしょ濡れじゃねえか! 傘差さなかったのかよっ! 」
「ん。ゆうしょく」
「その前にシャワー浴びてこい! 兄さ……じゃなくてカナに着替え用意してもらうから」
遠山邸。
コントロールセンターのサーバールームからctOSのアクセスポイントをハックした私は
もちろん、雨降りの中の決行なのでびしょ濡れなのは言うに及ばず。出迎えてくれたキンジがタオルで私の頭をガシガシと拭いていく。
「キンジ」
「なんだ? どうかしたか? 」
「かみが傷む」
「えっ、あ。す、すまん! 悪かった! ────か、カナには言わないでもらえると助かる…… 」
「もうおそい」
「え? 」と振り向いたキンジの頭を背後から忍び寄った手がはたく。顔を出したのは、茶髪を三つ編みにした美しい女性。
「レナ、おかえりなさい。さてキンジ、女の子の髪は粗雑に扱っちゃいけないと常日頃から言っているわよね? 」
「ち、違うんだ、カナ! つい自分の頭を拭くときのクセがっ! 」
「言い訳無用……キンジ、あとでお話しましょう。レナはシャワー浴びておいで」
カナ。本名は遠山金一。列記としたキンジのお兄さんである。女装すると絶世の美女に変身し、どういう理屈かパワーアップもするヘンな人。武偵であり、仕事中も大体女装しているのだとか。
そんな金一お兄さんもといカナに促されるままに脱衣所に入る。コートを脱ぎ、乾燥機に放り込むと、他の服を脱いでこちらは一気に洗濯機に詰め込む。
最後に叔父譲りの幾何学模様がプリントされた帽子を外せば、色素の薄い金髪が肌を流れた。
「ほんとうは茶髪だったそうだけど」
あの銃撃事件、私が“レナ”になったあの日以来、髪の色がどんどん薄くなっていったらしい。これには医者も困惑していたと叔父は笑っていた。
鏡の前に立てば、随分成長したものだと思う。叔父さんがみたらどう思うのだろうと考えてから、私はそんなIFストーリーはもうないのだとかぶりを振った。
【言い訳】
ほら、緋弾のアリアって茶髪の子多いでそ? カナちゃんとか武藤ちゃんとかワトソン君とかマミ(ヤ)さんとか……
だからキャラが埋没しないようにレナちゃんをプラチナブロントっていうの? パツキンにしたんだ。
輝け! 流星の如く!ってね?
────お気づきの通り建前です。作者がパツキンスキーなだけです。