壊れた少女達と一人の狂転生者   作:ムリエル・オルタ

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兎と数学者の密会 下

「それはどう言う意味だ?」

「言葉通りだよ。この先も短い世界は楽しいかい?」

 

戯けた私に苛立っているのだろうか。篠ノ乃束は綺麗な眉を顰め、此方を睨んでくる。

 

「減っていく男性、増える女性。後100年もしない内に地球は慢性的な人材不足に陥り、食糧自給率の低下、内紛。国家解体戦争、企業に支配された世界。そして苦しみながら死んでいく。そんな未来が確約された世界は楽しいかい?」

「お前は、何を言っている!?束さんには分らない!何が言いたい!?」

 

ただ私は篠ノ乃束の目を見ながら話しただけにも関わらず、篠ノ乃束は何かに怯えるように両手で自分を抱いていた。

 

それもそうだろう。この時の教授の目には何時もの好々爺然とした何処か少年のような無邪気な光が宿って居らず、深淵が覗いていた。黒目の部分には十字のような紋様が浮かびまた形を変える。

 

影は人型では無く何かがウネウネと動いている。まるでその人物の正体を示すように。

 

「その力を私の元で使わないかい?篠ノ乃束。その力を自らの目的、自らの夢の為に有効に活用したくないか?」

「お前もそうやって束さんを取り込む気か。でも、残念。束さんはお前なんかに興味なんてミクロン単位でありませ~ん。来世に期待することだね」

 

それだけ言うと篠ノ乃束は身を翻し、その場から姿を消した。しかし、その姿は何処か震えていた。それは自身が知らない存在を見たが故か、目の前に現れた人ならならざぬ者だったのか。それは篠ノ乃束しか知らない。

 

「……………………………………はぁ、やはり満月の時は擬態(・・)が弱まるなぁ。それは、私()にも言えること。あの様子だと此方側に来てくれる可能性は低いかな」

 

仕方が無いかぁ………そんなことを言いながら眼鏡を外し、胸ポケットに入っている布で眼鏡を拭く。

既にこれから先の(・・)未来は確定(・・・・・)されている。

 

私達の言葉で言えば人理焼却。人としての倫理観すら破綻している私達からすればこの世界は助けるに値しなかった。

慈愛を憐憫を博愛を全てを統合したとしてもこの世界を助ける気は起きなかった。

 

「いや、彼女たちだけは私達の元に来て貰おうかな。うん。名案じゃ無いか。流石に百人まで増えたら一部は量産型に植え付けることになるかもしれなかったけど問題なさそうだね」

 

何処か狂ったような考えを平然と言えている私はやはり狂っているのだろう。狂いすぎた結果。今の彼女たちと私が居るのだろう。




お知らせです。次回から毎週金曜日最新になります。

あ、今週はコレで終わりで来週また1話投稿します。文字数は多くなると思うので
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