知らない子供と入れ替わったら……。 作:らんまる
エルエルフ
彗星の如く現れた
要人を殺し、紛争地帯などの戦場に現れては一人で1個旅団レベルの働きをしていた事から、《一人旅団》と戦争屋からは恐れられた。
しかし、今から4年前に彼は裏社会と戦場から姿を消し、彼と入れ替わるように現れたのは一機のASだった。
《紅の鬼神》
紅いカラーリングのボディに腰の日本刀を鬼神の如く振るう姿から《紅の鬼神》もしくは《レッドデーモン》と呼ばれるAS。
レーダーに引っかかる事なくフラリと戦場に現れては敵味方関係なく襲い掛かり殲滅。
この機体のせいで戦争が中断し、そのまま戦争自体が終了した。
《紅の鬼神》が介入した地域全てが……だ。
理由は、
戦争終了までの流れはどの国と地域も一貫している。
まず、かの機体によって多額の資金が注ぎ込まれた兵器群が瞬く間に破壊されつくされる。。
そして、大量の兵器を失った瞬間をまるで狙ったように国内の各所で反乱が勃発。
まるで準備されていたかのようにありとあらゆる機関での裏切り。
瞬く間に政党は崩壊。
そのまま、新しい政党が立ち上がり、戦争をしていた国同士の新しいトップが戦争の終了を宣言。
おかげで、紛争地帯の数は四年前の半分以下の数字を叩き出している。
そして、その数字に満足したのだろうか?
《紅の鬼神》はエルエルフと同様にパタリと姿を消した。
以降、国や地域によっては紅き鬼神は救いの神として崇められ、革命の象徴として銅像が国会の敷地内に建てられたりしているそうだ。
――――。
誰かが言った、人生は終わりの見えないマラソンのようなものだと。
無数に分岐し続ける未来を自分自身で選択し自分の足で一歩ずつ前へ前へと進んでいく。
時には迷うこともあるかもしれない、諦めそうな困難に道を阻まれるかもしれない。
それでも人間はまだ見ぬ未来への希望を持って自分だけの
しかし、辿りついた先に待ち受けているものがどんなものかは誰にも、それこそ本人にさえ分からない。
とあるマンションの一室にあるパソコンのモニターの前に、彼は額に汗を流しながら苦しそうにマウスを握り、祈っていた。
彼……銀髪の青年となった松田誠二である。
顔に疲労の色を浮かべながらも、願うはとある少女達との幸せな未来。
戦争をしようとする政治屋や戦争屋が減り、平和への一歩が踏み出された世界の中で彼は彼女達と幸せに過ごせる平和な世界を求め……持っていたマウスをワンクリックした。
これまで、彼は何度も少女達の不幸に遭遇した。
似たような不幸を何度も繰り返し、彼は後悔し、絶望する。
だが、彼は大好きな彼女たちの為に全てを振り絞り、彼女達の為に選択した。
そして、彼の祈りは天に届く!!
『誠二君…大好き!!』
モニター画面に映るパイロットスーツを着た六人の美少女達が笑顔で告白した。
その告白に応えるように、誠二は吠えた。
「ハーレムルート、キタァァアァア!!!!
ナノマシンなしでの1時間CGフルコンプ!!さっそく攻略サイトを更新だ!!」
高校生…人によっては大学生に見える程に成長した彼は生粋のゲーマーになっていた。
――――。
彼は現在、日本の東京にあるマンションを購入し、研究所で救い出した少女と共に平和な日常を謳歌していた。
「兄さん、何かいい事でもあったの?」
誠二が数多の大人がプレイする新作ゲームをフルコンプして自身が管理する攻略サイトを更新しきった朝。
都立陣代高校の制服を窮屈そうにダイナマイトボディに身を包む黒髪の美少女が作った手作りの朝ごはんを食べていた。
彼女の名前は
彼が研究所で拾った少女だ。
当時、まるで人形の様あった彼女も、現在は表情豊かな何処にでもいる普通の……女子高生へと成長していた。
彼女が彼を兄さんと呼んでいるのは二年前、日本でマンションを購入する際に必要な戸籍を偽造する時、彼女の希望によって義理の妹になったのだ。
それ以降、彼女は今の様に彼を兄さんと呼び、自分の部屋を持っているが助けてもらった恩もあってかわざわざ彼の部屋に訪れ、色々と世話を焼いている。
「ん?ああ、
解放感で表情が緩んだかもしれない」
「ここは日本なんだし、緩んでもいいと思うよ。
仏頂面の兄さんよりもかっこよくて好きだけど、今の兄さんの方が私は好きよ」
「俺をからかうな。
そう言うのは好きな男に言ってやれ。
確実に堕とせるぞ?」
「今の兄さんが好きよ」
「だから、俺に言うなって」
朝食を食べながら冗談を言い合う楽しそうな義理の兄妹。
美しき朝の一ページである。
「で、今日の予定は?」
「んー。俺は一寝りしたら新しい
「また仕事?たまには休んだ方がいいんじゃない?」
「ダメだ。この
誇らしげな彼の横顔に迷いなし。
イケメンな彼の表情にサキも思わずときめいた。
「ま、全く。私達の資金は色々な組織からハッキングして頂戴したり、革命家達からの報酬も受け取ったりしていたから働かなくてもいい額になっているのよ?
何なら私がまたハッキングしてもいいわ」
「いや、働かないとかダメ人間過ぎるだろう」
さらりと口にしたサキの発言にツッコミを入れる誠二。
アダルティなゲームの攻略ブログを更新する事に生きがいを感じているダメ人間が言っていいセリフではない。
「分かった。
なら、無理だけはしないでね」
「勿論だ。
俺はまだまだやりたい
「じゃあ、私そろそろ行くね。
お昼は冷蔵庫に仕舞ってあるからいつものように電子レンジでチンしてね?」
「分かった。」
彼の返事を聞くと玄関前の廊下に置いてある学校指定の鞄を拾い上げた彼女。
「じゃあ、行ってきます」
「ああ、行ってこい。
車に気を付けるんだぞ」
玄関の扉を開けて学校へと向かう彼女を見送った後、彼はゆったりとした動作で自室へと戻り、ベットの上に倒れ込み屍の様に眠った。
資金;30人の人生を百回やり直ししても余る金額。
ゲーム;大人のゲーム。
プレイすると白いHPバーがティッシュに消費される。