東方迷子伝   作:GA王

172 / 229
次章の前に、一話お付合い下さい。



MAIGO○

カキカキ[ひっさしぶり〜☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆]

 

 感極まり本番用に筆を走らせてしまった沈黙(ちんもく)()いられた少女。あれから苦節六十四話、悲願の再登場である。なにも64(ムシ)をしていたわけではない。

 

??「サグメ急いで」

 

 だがその喜びの余韻(よいん)(ひた)っていられたのも(つか)の間、「やるからには本気で」と固い意志を持った真面目な妹姫からの催促(さいそく)(あわ)てて走り出す。

 

 

コンコン

 

 

 一枚のガラスを隔てて向こう側、そこにはLEDとスイッチが多数配置された機材が置かれ、部屋の大半を占拠していた。だがその狭い空間の一角で、こっくりこっくりと舟を漕ぐ者が。編集担当兼、技術担当のドレミー・スイートである。

 少女、ガラスをノックして「起きろ」とメッセージを送ってみるも、反応がないどころか状況は更に悪化。中からイビキまで聞こえてくる始末。(あせ)り始めた少女のノック音は激しさと強さを増し、ついには

 

サグ「寝るな」

 

 ギリギリのラインで渾身の一声を放たせた。これには夢の世界の管理人、体を大きくビクつかせ現実の世界へカムバック。

 

カキカキ[中継ッ! 切り替えてo(`ω´ )o]

??「にししし。ドレミー様寝ちゃダメですよ」

ドレ「あー……、はいはい」

 

 本番中であるとはいえ、眠りを妨害(ぼうがい)されて不機嫌極まりない。だが途中で投げ出してしまっては、契約はその場で破棄(はき)されてしまい、目的は達成されない。全ては水の泡となってしまう。

 

ドレ「あと少し……あと少しで……」

 

 スイッチに伸ばす震える手は疲労の(あかし)。「もう一踏ん張りだ」と涙ぐましい姿で画面を現場へと切り替える。

 ここは月の都の特設放送局。そしてこれは月面から幻想郷へお知らせする情報番組にして、気紛れ姉姫によって企画された暇つぶし。略称は『MAIGO』。夢の世界でも休息を許されないブラックな職場である。

 

 

□    ■

 

 

??「っす!」

 

 カメラ担当の清蘭(せいらん)から開始の合図。握りしめたマイクを構え直し、カメラに向かって

 

??「はい、レイセンです」

 

 リポート再開。

 

レイ「今日の守矢神社は快晴。気温は27℃と(ふもと)より気温は低いですが、日差しは強いので外でお掃除をする際はしっかりと対策をして下さい。それと守矢神社からお知らせです」

 

 その紹介にリポーターのみを映していたカメラのレンズはズームアウト。センターをやや左へ調整し、緑と黄色のヘアーの少女達を画面に加える。

 

緑色「初詣(はつもうで)厄祓(やくばら)い、七五三、家内安全、健康祈願、合格祈願、恋愛成就はぜひ守矢神社へ」

黄色「これからも守矢神社を宜しく〜」

 

 笑顔で手を振りながら(さわ)やかに営業活動。画面の向こう側に与える印象は良好。ぜひ利用したくなる。

 

??「{はい、ありがとうございました〜}」

 

 月からのお気楽姫からのメッセージで途切れる中継、ここでのリポートはもうおしまい。となれば、

 

清蘭「レイセン急ぐっす!」

レイ「もーっ! 次何処なの?!」

 

 即片付け、そして即移動である。

 そんな兎達を呆然(ぼうぜん)と見送る人妻幼女と、その末裔(まつえい)だった。

 

??「諏訪子(すわこ)早苗(さなえ)も良かったよ。これで参拝客が増える事は間違いないだろうねぇ」

 

 そこへ自宅のTVで番組を見ていた黒髪が。二人の営業活動に確かな手応(てごた)えを感じたのだろう。満面の笑みでご満悦(まんえつ)といったところ。

 

早苗「あ、神奈子(かなこ)様。ありがとうございま〜す」

諏訪「でもあの二人、忘れ物していってるよ」

神奈「それはサービスなんだってさ。月の都のTV番組を見られるようになるんだってさ。ドラマにバラエティ、スポーツにアニメ。どれも外の世界に負けないくらい面白いらしいよぉ」

 

 ここは技術の進歩が(とぼ)しい幻想郷で、唯一(ゆいいつ)近代的な地、

 

諏訪「なんと!? これはより一層TVから離れられなくなるねぇ」

早苗「諏訪子様、神奈子様。TVの見過ぎはダメですからね」

神奈「そんな固い事言わないでさぁ」

 

 妖怪の山の山頂、守矢神社。

 

諏訪「そうそう、TVは一日二十五時間までってね」

早苗「それじゃあ私がいつまで経ってもス◯ブラが出来ません!」

 

 リモコンの争奪戦はデフォルトである。

 

諏訪「いや、それテレビ無くても出来るから……」

 

 

◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 

 

レイ「ぜぇー……、ぜぇー……。は、はい、こちらレイセン……です」

 

 機材を手に全速力で空を()け抜け、ようやく辿(たど)り着いた次の現場。だがそこに予期せぬ出来事。待ち受けていたゲストに

 

??「あなた達確か初めてよね?」

 

 と(たず)ねられ、素直にYesと答えてしまったところ、まさかの最下段から徒歩でやり直し。おまけに機材ごとといった容赦(ようしゃ)のなさ。おかげで二人の息は切れ切れ、汗はダラダラ、喉はカラカラ、足はパンパン。

 そこへ(すず)しい顔で

 

??「お疲れ様、お水をどうぞ」

 

 と差し出すここの主人にして、彼女達を追いこんだ張本人。小さな賽銭(さいせん)箱というオプション付きで。この時、彼女達は直感的に覚った。

 

  『(これもらっちゃダメなやつだ)』

 

 と。そこへ出番を知らせる通信が。急いで機材セッティングしリポートへと移る。

 その結果、呼吸は乱れたまま、汗は引かぬままで放送開始である。

 

豊姫「{レイセン大丈夫?}」

レイ「は、はい……。なんとか」

依姫「{博麗の巫女、これはどういう事? なんでレイセン達がこうも疲れているの?}」

霊夢「初めて訪れる者は階段を使うこと。そういうルールなの。例え月の都の者とはいえ例外は認めないわ」

 

 お互い顔を付き合わせてもいないのに、視線を交わしてもいないのに火花は飛び散る。そんな中、リポーターとカメラマンは思った。

 

  『半分はあんた等のおかげだよ』

 

 と、頭上にまだギリギリ姿を残す月へ向けて。そう、彼女達も姉姫様の暇つぶしに巻き込まれた者達。夢の管理人と同じ立場の者なのだ。

 その後も続く博麗の巫女と姉妹姫による(にら)み合い。話は月面で起きた争いの事にまで発展し、あわや第三次月面戦争を引き起こし兼ねない程の緊迫した雰囲気だった。そこを仲裁に入って場を(しず)めようとするリポーターとカメラマン。二人が奮起(ふんき)している間、スタジオではあるVTRが流れていた。

 それは人里の居酒屋が昼から大(にぎ)わいしているといったもの。そのVTRの中でマイクを向けられた店の主人は次のように語っていた。

 

店長「若い従業員に『メニューを女性向けの物を増やしたらどうだろう?』って言わたのがきっかけなんだ。そしたら次第に女性客のリピーターが増えて、その上『昼にもやって欲しい』って頼まれてな。簡単な物だけを出す事にしたんだが、それがまた気に入られたみたいで連日嬉しい悲鳴だよ。悔しいがアイツのおかげだな」

 

 と。そしてそこに写し出されていた店の前で列をなす客は、年齢層こそ広いものの大繁が女性だったそうな。

 

清蘭「っす!」

 

 戻る中継。

 

レイ「はい、ではそのお店をよく利用されている博麗(はくれい)霊夢(れいむ)さんに話を(うかが)ってみたいと思います」

 

 マイクを向けられるも機嫌は最悪。ムスッとした表情のまま口を開こうともしない。

 

霊夢「ええ、私もそこでお昼を食べたわ。まだ知られる前だったから並ばずに入れたわよ」

 

 否、そんな事は否。ニッコニッコの明るい笑み。幻だろうか、後光さえ差しているように見える。長引くと思われていた地上 vs 月面の論争だったが、苦労人達の機転により、紅白巫女の機嫌はあっさりと裏返ったのだった。

 

霊夢「美味しいのはもちろん、里の飲食店にしては珍しく見栄えもよかったのが特徴よ。子供受けもすると思うわ」

 

 その際にチャリンと高い音が鳴ったのは言うまでもない。

 

レイ「今では行列が出来るそうですよ。また利用したいですか?」

霊夢「並ぶのは好きじゃないけど、そうね。また行ってもいいかもね。悔しいけど」

レイ「はい、ありがとうございました。現場からは以上です」

 

 

■    □

 

 

カキカキ[ドレっち切り替えて(=^▽^)σ]

 

 それを合図にクマだらけの目を(こす)りながらスイッチに手をかける。あとほんの少し指先に力を込めれば、カチリという音共に画面はこちらへと戻される。

 

??「{ちょっと待ったあああッ!!}」

 

 だがそこへスタジオのスピーカーから怒気が込められた大音量の声が。さらにその声をスタジオのマイクが拾い、アンプが増幅させハウリングを起こし、キーンと不快な音を発生させていた。

 

依姫「無理無理、私この音無理!」

豊姫「ふしゅぅぅぅ……」

 

 両耳を(おさ)えて全身鳥肌になる妹姫に、目を回して口から魂が抜ける姉姫、

 

サグ「うっさ」

 

 そして心の声が直に(こぼ)れる無口な少女。一同が誰もが嫌う音に眉をひそめる中、

 

鈴瑚「に、にしししぃ。悪くないかも」

 

 身震いをしながらも、なぜか頬を赤らめてエクスタシィな兎、

 

ドレ「あ、もう少し頑張れそう」

 

 そしてそのおかげで元気が戻る社蓄だった。

 

 

□    ■

 

 

レイ「いきなりなんですか!?」

清蘭「頭がぶっ壊れるっす!」

霊夢「(とぼ)けないで、約束があるでしょ」

レイ「でも時間がもう……」

霊夢「こっちはそれが目的で出演してあげてたんだから! そっちの都合がどうだかなんて関係ないの、必ず守ってモ・ラ・ウ・ワ・ヨ」

 

 右手の(ぬさ)で指しながらリポーターとの距離を短くしていく紅白巫女。その表情は獲物を前に『待て』を命じられていた肉食獣。だが今その命令は解禁された。待つ理由などない。(しび)れを切らせた肉食獣は、兎達に「絶対に逃さない」と鼻息を荒くし、目を光らせながら近づいたのだった。

 

レイ「ひ、ひぃぃぃっ。は、博麗の巫女さんからお知らせです」

清蘭「巻きで頼むっす!」

 

 (おび)える後輩兎からマイクを奪い、向けられたカメラを正面にし、いざ……。

 

霊夢「初詣、厄祓い、七五三、家内安全、健康祈願、合格祈願、恋愛成就は博麗神社へ」

 

 普段ではなかなかお目にかかれないキラキラの営業スマイル。画面の向こうに与える印象は、ライバル巫女に負けず劣らずの好印象。

 

霊夢「間違っても守矢神社なんかには行かないでね」

 

 だがこれがこの巫女の悪いところ。邪魔者は()落とすスタンス。

 

霊夢「さもなくば、(たた)るわよ」

 

 そしてこれが楽園の素敵な巫女の実態である。

 

レイ「はい、ありがとうございます」く

 

 告知を終えて大満足で上機嫌。「これで明日から参拝客も増える」そうイメージを膨らませているのだろう。

 

レイ「ところで……」

 

 そこへ落とされる一発の爆弾。それは後輩兎にとって何気なく浮かんだ些細(ささい)な疑問だった。

 

レイ「こちらにはどういった神様が(まつ)られているんですか?」

 

 現場にはヒビ割れが起きたような音が上がり、瞬時に戦慄(せんりつ)が走った。上機嫌だった巫女の背後からは

 

 

ゴゴゴゴゴゴ……

 

 

 とドス黒いオーラが上がり、もう噴火寸前。

 

清蘭「レイセン次急ぐっす!」

レイ「お、おじゃましたああぁぁーー……☆」

 

 次の目的地へむけて逃げるように、否逃げ去る二頭の兎だった。

 一方、怒りを発散出来ず残された巫女はというと、

 

霊夢「言ってくれるじゃない。今度会ったらただじゃおかないんだから」

 

 次の出会いを拳をバキバキ鳴らしながら、心から楽しみにしていた。

 

霊夢「まったく、忘れ物までして。だいたい何よこれ?」

 

 ここは楽園の素敵な巫女が住まう場所、博麗神社。

 

霊夢「ご丁寧(ていねい)に神力まで込めちゃって」

 

 そして祀る神が不在の神社。

 

霊夢「さては妹の方の仕業(しわざ)ね」

 

 それ故に参拝客は少ない。

 

霊夢「神の力が宿(やど)った棒……ね」

 

 だからこそ、

 

霊夢「使えるわね」

 

 利用できる物はなんでも利用するスタンス。残されたアンテナを(なが)めてニヤリと笑う素敵な巫女だった。

 

 

■    □

 

 

 次なる目的地へ向け全速力で、自身の最速記録を凌駕(りょうが)するスピードで移動し続ける二頭の苦労人。その頃お茶の間の画面には……。

 

??「{仕事でお疲れの方、ストレスを発散出来ず溜め込んでしまっているそこのあなた! 必見です!!}」

 

 CMが流れていた。

 

??「{朝起きてもスッキリしない、なんて悩んでいませんか? それは睡眠に問題があるからなんです! 正しい姿勢で寝ないと疲労が取れないどころか、さらに悪化させてしまう場合があるんです!}」

 

 そして始まる眠りと夢のメカニズムの説明。

画面から聞こえてくる声に、CGや合成が使われ、やたらと手の込んだVTR。さらにはその気にさせてしまう演出の数々。それもこれも、

 

??「ついに、ついに……ついにこの時がキターーーッ!」

 

 スタジオの隔離部屋で、一人眠気と闘いながらスイッチをパチパチと切り替えていた彼女によるもの。

 

ドレ「{そこでこの安眠枕『スイート・ドリーム』! なんとこの私、夢のスペシャリスト、ドレミー・スイートの開発品。製作のきっかけはある日強引に誘われた暇つぶし。そこでは連日の編集作業。休む事を許されず、〆切にうなされる毎日。そしてついには夢の中でも編集作業。疲れとストレスが蓄積される中、私は前々から研究していた安眠枕に改良を重ね、瞬時に素敵な夢へと誘ってくれる枕を完成させました。これを使えばどんな悪夢からもおさらばできます! 快適な朝を迎えられると断言します! 絶対の安らかな眠りと最高の夢を保証します!!}」

 

 なんと言う事でしょう。この枕は眠りだけではなく、夢まで最高のものを約束してくれるのです。しかし気になるのはやはりそのお値段。さぞお高いことでしょう。

 

ドレ「{そんな事はありません。原価5000のところ今回は『乙姫特急便』による送料無料の二つセットで8000! さらに大ボーナス!! より快適な眠りをお約束する掛け布団もセットです!!! 電話番号は月面フリーダイヤルの○○○○-123(ドレミ)123(ドレミ)です。お電話、お待ちしておりまーす}」

 

 CMは明けた。

 

依姫「それでは最後に迷いの竹林前からです」

 

 それは彼女の深く暗い夜が明けた瞬間だった。

 

豊姫「レーセ〜ン」

 

 その彼女は一人静かに両手でガッツポーズをしたまま、

 

鈴瑚「にししし、ドレミー様おやすみなさい」

 

 真っ白に燃え尽きていたそうな。

 

サグ[ドレっち、乙(-人-)]

 

 

□    ■

 

 

清蘭「もう月が消えるのも時間の問題っす。巻きでいくっす!」

レイ「はい、レイセンです」

 

 残された通信可能な時間は僅か。早口で、余計な事は話さないように。そんな中呼ばれる最後のゲストは……

 

レイ「今は寺子屋は夏休み中という事で、生徒達に来て頂いています」

 

 現在進行形でサマーバケイション中の子供達。

 

レイ「夏休み楽しんでいますか?」

  『はーい』

 

 後輩兎の質問に元気よく答える子供達は大多数。

 

??「んー、あたい達は補習があるからなー」

??「普段とあまり変わらないんだよね」

??「そーなのだー」

??「私がこいつらと同じレベルだなんて……」

??「お勉強難しいですー」

 

 でもなかった。一番エンジョイしていそうな真っ黒に日焼けした氷の妖精を筆頭に、今もなお短縮授業を受け続けている⑨組。これにはリポーター、ただただ苦笑い。返す言葉も見つからない。

 

レイ「それじゃあ補習じゃない子はどうかな?」

 

 「それならこっちはどうだ」と優等生達にマイクを向けてみるが、

 

??「私はチルノちゃん達が終わるまで応用問題をして待ってますから……」

??「起きたら三人分の家事があるし……」

??「私もお店の営業があるから普段とあまり変わらないかな〜♪」

 

 夏期講習中の生徒、主婦に女将と相手が悪かった。

 リポーター、再び苦笑い。欲しいのはこの様な回答ではなかった。そこへ救いの手が。

 

??「わ、私は里の友達と川遊びしたり、花火したりしてます」

 

 差し伸べたのは寺子屋に通う小さな少女だった。ほぼ正解の返事にホッと胸をなで下ろすリポーター。あとはちょっと意外な答えがあれば万々歳。だが「そんなものは見込めないだろう」と半ば(あきら)めかけていた時、

 

??「あ、そうだ」

 

 不意に氷の妖精が何かを思い出したようである。

 

??「あたい達補習の後、お店で働いているんだよ」

 

 あの妖精が働いている。その珍回答に慌ててマイクを向けるリポーター。

 

レイ「え、そうなの? 何のお店?」

チル「えっとねー……」

 

 だが、

 

清蘭「残念っすけどタイムオーバーっす」

 

 放送時間終了。スタジオでは氷の妖精の回答を待たずに終わりの挨拶(あいさつ)が始まっていた。

 

レイ「ごめん、もう月が消えちゃったから放送おしまいなの」

 

 これには子供達、肩を落として「えー」とブーイング。だがこんな事もあろうかと、二頭は既に用意していた。子供はみんな大好き。渡されれば大人でも(だま)る秘策。一部の地域のおばちゃんの半数以上が常備している奥の手。

 

レイ「はい、これ出演料。一人二個ね」

 

 アメちゃん。我先にと差し出されたアメちゃんんに群がる生徒達。言いつけを守り、一人二個ずつ受け取ると、二頭に感謝の気持ちを

 

  「『ありがとうご(じゃ)いました』なのかー、ですー」

 

 みんなで一斉に伝えた。

 

??「やっば遅刻する、急ぐぞ!」

??「おーっ、大ちゃんはゆっくりでいいからね」

??「なのだー」

??「勝手に仕切るな!」

??「へぶっ! ひーん。置いていかないで欲しいですー」

 

 大急ぎで寺子屋を目指す補習組を先頭に、すっかり明るく照らされた人里を目指すゲスト達。数人はその場で別れ、雲も月もない真っ青な空へと消えて行くのだった。皆きらきらの(まぶ)しい笑顔で。

 

レイ「もうくたくたー。でもやる事は終わったし」

 

 この日の幻想郷は晴れ、最高気温は29℃と真夏にしてはやや低め。

 

清蘭「お土産買って帰るっす!」

 

 仕事に遊び、学業にと快適な気候。その上、

 

??「あ〜、やっぱりいた〜」

清蘭「あ、見ていてくれたっすか?」

??「まったく、何やってるウサ」

??「茶番ね、片腹痛いわ」

??「またあの二人に言われてやらされたんでしょ? 今度会ったらキツく言っておくわ」

??「枕はちょっと欲しい……かなー」

レイ「先輩、それならドレミー様にお伝えしておきましょうか?」

 

 今日も平和そのもの。

 

??「でもでも~、面白かったよ~」

清蘭「ありがとっす! 苦労が報われるっす」

??「のんびり話してる場合じゃないウサ。早くいかないとオーナーを待たせるウサ」

??「あいつキッチリしすぎなよねー」

??「だらける姫様にはうってつけですね」

??「あなた達はこれからどうするの? このまま帰るの?」

レイ「ケーキ屋さんでケーキ買ってから帰ります」

 

 MAIGO。幻想郷の今をお知らせする朝の情報番組。それは暇を持て余した月の姫達による気紛れで全力の遊び。次回配信は不透明。




予断ですが、タイトルの後の丸印は「月」を表していました。
そしてドレミー様、本当にご苦労様でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。