カキカキ[ひっさしぶり〜☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆]
感極まり本番用に筆を走らせてしまった
??「サグメ急いで」
だがその喜びの
コンコン
一枚のガラスを隔てて向こう側、そこにはLEDとスイッチが多数配置された機材が置かれ、部屋の大半を占拠していた。だがその狭い空間の一角で、こっくりこっくりと舟を漕ぐ者が。編集担当兼、技術担当のドレミー・スイートである。
少女、ガラスをノックして「起きろ」とメッセージを送ってみるも、反応がないどころか状況は更に悪化。中からイビキまで聞こえてくる始末。
サグ「寝るな」
ギリギリのラインで渾身の一声を放たせた。これには夢の世界の管理人、体を大きくビクつかせ現実の世界へカムバック。
カキカキ[中継ッ! 切り替えてo(`ω´ )o]
??「にししし。ドレミー様寝ちゃダメですよ」
ドレ「あー……、はいはい」
本番中であるとはいえ、眠りを
ドレ「あと少し……あと少しで……」
スイッチに伸ばす震える手は疲労の
ここは月の都の特設放送局。そしてこれは月面から幻想郷へお知らせする情報番組にして、気紛れ姉姫によって企画された暇つぶし。略称は『MAIGO』。夢の世界でも休息を許されないブラックな職場である。
□ ■
??「っす!」
カメラ担当の
??「はい、レイセンです」
リポート再開。
レイ「今日の守矢神社は快晴。気温は27℃と
その紹介にリポーターのみを映していたカメラのレンズはズームアウト。センターをやや左へ調整し、緑と黄色のヘアーの少女達を画面に加える。
緑色「
黄色「これからも守矢神社を宜しく〜」
笑顔で手を振りながら
??「{はい、ありがとうございました〜}」
月からのお気楽姫からのメッセージで途切れる中継、ここでのリポートはもうおしまい。となれば、
清蘭「レイセン急ぐっす!」
レイ「もーっ! 次何処なの?!」
即片付け、そして即移動である。
そんな兎達を
??「
そこへ自宅のTVで番組を見ていた黒髪が。二人の営業活動に確かな
早苗「あ、
諏訪「でもあの二人、忘れ物していってるよ」
神奈「それはサービスなんだってさ。月の都のTV番組を見られるようになるんだってさ。ドラマにバラエティ、スポーツにアニメ。どれも外の世界に負けないくらい面白いらしいよぉ」
ここは技術の進歩が
諏訪「なんと!? これはより一層TVから離れられなくなるねぇ」
早苗「諏訪子様、神奈子様。TVの見過ぎはダメですからね」
神奈「そんな固い事言わないでさぁ」
妖怪の山の山頂、守矢神社。
諏訪「そうそう、TVは一日二十五時間までってね」
早苗「それじゃあ私がいつまで経ってもス◯ブラが出来ません!」
リモコンの争奪戦はデフォルトである。
諏訪「いや、それテレビ無くても出来るから……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
レイ「ぜぇー……、ぜぇー……。は、はい、こちらレイセン……です」
機材を手に全速力で空を
??「あなた達確か初めてよね?」
と
そこへ
??「お疲れ様、お水をどうぞ」
と差し出すここの主人にして、彼女達を追いこんだ張本人。小さな
『(これもらっちゃダメなやつだ)』
と。そこへ出番を知らせる通信が。急いで機材セッティングしリポートへと移る。
その結果、呼吸は乱れたまま、汗は引かぬままで放送開始である。
豊姫「{レイセン大丈夫?}」
レイ「は、はい……。なんとか」
依姫「{博麗の巫女、これはどういう事? なんでレイセン達がこうも疲れているの?}」
霊夢「初めて訪れる者は階段を使うこと。そういうルールなの。例え月の都の者とはいえ例外は認めないわ」
お互い顔を付き合わせてもいないのに、視線を交わしてもいないのに火花は飛び散る。そんな中、リポーターとカメラマンは思った。
『半分はあんた等のおかげだよ』
と、頭上にまだギリギリ姿を残す月へ向けて。そう、彼女達も姉姫様の暇つぶしに巻き込まれた者達。夢の管理人と同じ立場の者なのだ。
その後も続く博麗の巫女と姉妹姫による
それは人里の居酒屋が昼から大
店長「若い従業員に『メニューを女性向けの物を増やしたらどうだろう?』って言わたのがきっかけなんだ。そしたら次第に女性客のリピーターが増えて、その上『昼にもやって欲しい』って頼まれてな。簡単な物だけを出す事にしたんだが、それがまた気に入られたみたいで連日嬉しい悲鳴だよ。悔しいがアイツのおかげだな」
と。そしてそこに写し出されていた店の前で列をなす客は、年齢層こそ広いものの大繁が女性だったそうな。
清蘭「っす!」
戻る中継。
レイ「はい、ではそのお店をよく利用されている
マイクを向けられるも機嫌は最悪。ムスッとした表情のまま口を開こうともしない。
霊夢「ええ、私もそこでお昼を食べたわ。まだ知られる前だったから並ばずに入れたわよ」
否、そんな事は否。ニッコニッコの明るい笑み。幻だろうか、後光さえ差しているように見える。長引くと思われていた地上 vs 月面の論争だったが、苦労人達の機転により、紅白巫女の機嫌はあっさりと裏返ったのだった。
霊夢「美味しいのはもちろん、里の飲食店にしては珍しく見栄えもよかったのが特徴よ。子供受けもすると思うわ」
その際にチャリンと高い音が鳴ったのは言うまでもない。
レイ「今では行列が出来るそうですよ。また利用したいですか?」
霊夢「並ぶのは好きじゃないけど、そうね。また行ってもいいかもね。悔しいけど」
レイ「はい、ありがとうございました。現場からは以上です」
■ □
カキカキ[ドレっち切り替えて(=^▽^)σ]
それを合図にクマだらけの目を
??「{ちょっと待ったあああッ!!}」
だがそこへスタジオのスピーカーから怒気が込められた大音量の声が。さらにその声をスタジオのマイクが拾い、アンプが増幅させハウリングを起こし、キーンと不快な音を発生させていた。
依姫「無理無理、私この音無理!」
豊姫「ふしゅぅぅぅ……」
両耳を
サグ「うっさ」
そして心の声が直に
鈴瑚「に、にしししぃ。悪くないかも」
身震いをしながらも、なぜか頬を赤らめてエクスタシィな兎、
ドレ「あ、もう少し頑張れそう」
そしてそのおかげで元気が戻る社蓄だった。
□ ■
レイ「いきなりなんですか!?」
清蘭「頭がぶっ壊れるっす!」
霊夢「
レイ「でも時間がもう……」
霊夢「こっちはそれが目的で出演してあげてたんだから! そっちの都合がどうだかなんて関係ないの、必ず守ってモ・ラ・ウ・ワ・ヨ」
右手の
レイ「ひ、ひぃぃぃっ。は、博麗の巫女さんからお知らせです」
清蘭「巻きで頼むっす!」
霊夢「初詣、厄祓い、七五三、家内安全、健康祈願、合格祈願、恋愛成就は博麗神社へ」
普段ではなかなかお目にかかれないキラキラの営業スマイル。画面の向こうに与える印象は、ライバル巫女に負けず劣らずの好印象。
霊夢「間違っても守矢神社なんかには行かないでね」
だがこれがこの巫女の悪いところ。邪魔者は
霊夢「さもなくば、
そしてこれが楽園の素敵な巫女の実態である。
レイ「はい、ありがとうございます」く
告知を終えて大満足で上機嫌。「これで明日から参拝客も増える」そうイメージを膨らませているのだろう。
レイ「ところで……」
そこへ落とされる一発の爆弾。それは後輩兎にとって何気なく浮かんだ
レイ「こちらにはどういった神様が
現場にはヒビ割れが起きたような音が上がり、瞬時に
ゴゴゴゴゴゴ……
とドス黒いオーラが上がり、もう噴火寸前。
清蘭「レイセン次急ぐっす!」
レイ「お、おじゃましたああぁぁーー……☆」
次の目的地へむけて逃げるように、否逃げ去る二頭の兎だった。
一方、怒りを発散出来ず残された巫女はというと、
霊夢「言ってくれるじゃない。今度会ったらただじゃおかないんだから」
次の出会いを拳をバキバキ鳴らしながら、心から楽しみにしていた。
霊夢「まったく、忘れ物までして。だいたい何よこれ?」
ここは楽園の素敵な巫女が住まう場所、博麗神社。
霊夢「ご
そして祀る神が不在の神社。
霊夢「さては妹の方の
それ故に参拝客は少ない。
霊夢「神の力が
だからこそ、
霊夢「使えるわね」
利用できる物はなんでも利用するスタンス。残されたアンテナを
■ □
次なる目的地へ向け全速力で、自身の最速記録を
??「{仕事でお疲れの方、ストレスを発散出来ず溜め込んでしまっているそこのあなた! 必見です!!}」
CMが流れていた。
??「{朝起きてもスッキリしない、なんて悩んでいませんか? それは睡眠に問題があるからなんです! 正しい姿勢で寝ないと疲労が取れないどころか、さらに悪化させてしまう場合があるんです!}」
そして始まる眠りと夢のメカニズムの説明。
画面から聞こえてくる声に、CGや合成が使われ、やたらと手の込んだVTR。さらにはその気にさせてしまう演出の数々。それもこれも、
??「ついに、ついに……ついにこの時がキターーーッ!」
スタジオの隔離部屋で、一人眠気と闘いながらスイッチをパチパチと切り替えていた彼女によるもの。
ドレ「{そこでこの安眠枕『スイート・ドリーム』! なんとこの私、夢のスペシャリスト、ドレミー・スイートの開発品。製作のきっかけはある日強引に誘われた暇つぶし。そこでは連日の編集作業。休む事を許されず、〆切にうなされる毎日。そしてついには夢の中でも編集作業。疲れとストレスが蓄積される中、私は前々から研究していた安眠枕に改良を重ね、瞬時に素敵な夢へと誘ってくれる枕を完成させました。これを使えばどんな悪夢からもおさらばできます! 快適な朝を迎えられると断言します! 絶対の安らかな眠りと最高の夢を保証します!!}」
なんと言う事でしょう。この枕は眠りだけではなく、夢まで最高のものを約束してくれるのです。しかし気になるのはやはりそのお値段。さぞお高いことでしょう。
ドレ「{そんな事はありません。原価5000のところ今回は『乙姫特急便』による送料無料の二つセットで8000! さらに大ボーナス!! より快適な眠りをお約束する掛け布団もセットです!!! 電話番号は月面フリーダイヤルの○○○○-
CMは明けた。
依姫「それでは最後に迷いの竹林前からです」
それは彼女の深く暗い夜が明けた瞬間だった。
豊姫「レーセ〜ン」
その彼女は一人静かに両手でガッツポーズをしたまま、
鈴瑚「にししし、ドレミー様おやすみなさい」
真っ白に燃え尽きていたそうな。
サグ[ドレっち、乙(-人-)]
□ ■
清蘭「もう月が消えるのも時間の問題っす。巻きでいくっす!」
レイ「はい、レイセンです」
残された通信可能な時間は僅か。早口で、余計な事は話さないように。そんな中呼ばれる最後のゲストは……
レイ「今は寺子屋は夏休み中という事で、生徒達に来て頂いています」
現在進行形でサマーバケイション中の子供達。
レイ「夏休み楽しんでいますか?」
『はーい』
後輩兎の質問に元気よく答える子供達は大多数。
??「んー、あたい達は補習があるからなー」
??「普段とあまり変わらないんだよね」
??「そーなのだー」
??「私がこいつらと同じレベルだなんて……」
??「お勉強難しいですー」
でもなかった。一番エンジョイしていそうな真っ黒に日焼けした氷の妖精を筆頭に、今もなお短縮授業を受け続けている⑨組。これにはリポーター、ただただ苦笑い。返す言葉も見つからない。
レイ「それじゃあ補習じゃない子はどうかな?」
「それならこっちはどうだ」と優等生達にマイクを向けてみるが、
??「私はチルノちゃん達が終わるまで応用問題をして待ってますから……」
??「起きたら三人分の家事があるし……」
??「私もお店の営業があるから普段とあまり変わらないかな〜♪」
夏期講習中の生徒、主婦に女将と相手が悪かった。
リポーター、再び苦笑い。欲しいのはこの様な回答ではなかった。そこへ救いの手が。
??「わ、私は里の友達と川遊びしたり、花火したりしてます」
差し伸べたのは寺子屋に通う小さな少女だった。ほぼ正解の返事にホッと胸をなで下ろすリポーター。あとはちょっと意外な答えがあれば万々歳。だが「そんなものは見込めないだろう」と半ば
??「あ、そうだ」
不意に氷の妖精が何かを思い出したようである。
??「あたい達補習の後、お店で働いているんだよ」
あの妖精が働いている。その珍回答に慌ててマイクを向けるリポーター。
レイ「え、そうなの? 何のお店?」
チル「えっとねー……」
だが、
清蘭「残念っすけどタイムオーバーっす」
放送時間終了。スタジオでは氷の妖精の回答を待たずに終わりの
レイ「ごめん、もう月が消えちゃったから放送おしまいなの」
これには子供達、肩を落として「えー」とブーイング。だがこんな事もあろうかと、二頭は既に用意していた。子供はみんな大好き。渡されれば大人でも
レイ「はい、これ出演料。一人二個ね」
アメちゃん。我先にと差し出されたアメちゃんんに群がる生徒達。言いつけを守り、一人二個ずつ受け取ると、二頭に感謝の気持ちを
「『ありがとうご
みんなで一斉に伝えた。
??「やっば遅刻する、急ぐぞ!」
??「おーっ、大ちゃんはゆっくりでいいからね」
??「なのだー」
??「勝手に仕切るな!」
??「へぶっ! ひーん。置いていかないで欲しいですー」
大急ぎで寺子屋を目指す補習組を先頭に、すっかり明るく照らされた人里を目指すゲスト達。数人はその場で別れ、雲も月もない真っ青な空へと消えて行くのだった。皆きらきらの
レイ「もうくたくたー。でもやる事は終わったし」
この日の幻想郷は晴れ、最高気温は29℃と真夏にしてはやや低め。
清蘭「お土産買って帰るっす!」
仕事に遊び、学業にと快適な気候。その上、
??「あ〜、やっぱりいた〜」
清蘭「あ、見ていてくれたっすか?」
??「まったく、何やってるウサ」
??「茶番ね、片腹痛いわ」
??「またあの二人に言われてやらされたんでしょ? 今度会ったらキツく言っておくわ」
??「枕はちょっと欲しい……かなー」
レイ「先輩、それならドレミー様にお伝えしておきましょうか?」
今日も平和そのもの。
??「でもでも~、面白かったよ~」
清蘭「ありがとっす! 苦労が報われるっす」
??「のんびり話してる場合じゃないウサ。早くいかないとオーナーを待たせるウサ」
??「あいつキッチリしすぎなよねー」
??「だらける姫様にはうってつけですね」
??「あなた達はこれからどうするの? このまま帰るの?」
レイ「ケーキ屋さんでケーキ買ってから帰ります」
MAIGO。幻想郷の今をお知らせする朝の情報番組。それは暇を持て余した月の姫達による気紛れで全力の遊び。次回配信は不透明。
予断ですが、タイトルの後の丸印は「月」を表していました。
そしてドレミー様、本当にご苦労様でした。