投稿がかなり遅くなってしまいました。
そしてまた遅いご挨拶ではありますが、
どうぞ本年もよろしくお願いします。
これは彼らから聞いた話です。
夢子「お覚悟を」
剣抜きながら向けられた視線は、
??「来るぞ」
親方様と
??「勝とうなんて考えるなよ」
ご友人、
??「みんなが逃げるまでの時間稼ぎってわけか」
筋トレマン、
??「それが出来ればいいけど……」
そしてそこの彼です。勝機は限りなく薄いと悟りながらも他の方々を守るために、その場から逃がすために進み出たんです。さらに、
??「待ちなよ」
??「そうはさせんぜよ」
??「カズ君達は関係ないでしょ……」
一輪さん、雲山さん、村紗さんが
夢子「あなた達には思い知らせたはずだけど?」
一輪「たった数回倒されただけで
村紗「
やはり聖さんの下へ行きたかったんです。とは言っても、この時点では魔界にいる保証はありません、あくまで可能性を
夢子「誰も魔界へは踏み入らせない。それがあの人の関係者だと言うのならなおのこと」
一輪「やっぱり……」
村紗「聖はいるのね?!」
夢子「ええ、でも今会いに行かせるわけにはいかない」
聖さんが魔界にいる事を認めながらも、魔界への侵入を
一輪「どうしても通してくれないって言うのなら——」
村紗「力尽くで押し通るまでよ!」
立ちはだかる夢子さんをノックアウトさせて行くしかありません。一輪さん達は一斉にスタートを切りました。
雲山「ワシの全力をとくと思い知るぜよ」
雲山さんは全身を巨大化させ、一輪さんはその雲山さんの分身を生み出してありったけの力を注ぎました。そうです、その技こそ当時の一輪さんと雲山さんの最終奥義、二体の雲山さんの目から発射される光線と特大の拳骨によるスペル、
一輪「『
です。さらにそこへ村紗の大技、
村紗「『
が加わりました。霊夢さん方もご存知の通りこの技は発動中、村紗さんは実体を失い無敵状態になります。なんでも雑念を捨て去り、意識を深く集中させて周囲の空気と一体化しているそうです。当時も夢子さんの背後へ、まさに幽霊のようにスッと音も無く現れては光弾を四方八方へ発射し、カウンターを受けもせず
鬼助「みんな今の内だ!」
医者「おい鬼助、おぶっておくれ」
師匠「全員全速力で走れ!」
親方「ミユキ引くぞ!」
棟梁「え、ええ……」
筋ト「あと少しで——」
彼 「バカ、お前も行くんだよ!」
それが合図となりました。旧都民が一目散に町へと走り出したんです。背後の光弾の嵐に、自分達では敵わない次元の異なる戦いには見向きもせず、結果を待つ事なくただ前だけを目指して。きっと誰もが悟っていたんだと思います。それが最初で最後のチャンスだと。
夢子「
しかしそれも束の間だけ、差し込んだ一筋の光は、より強力な光によってかき消されてしまったんです。
夢子「『スターメイルシュトロム』」
辺り一帯に光線が
一輪「雲山今!」
雲山「言われずとも!」
一輪さん方の大技を避け続ける夢子さんの動きが止まった瞬間でもありました。その一時を一輪さんと雲山さんは見逃しませんでした。ここぞとばかりに巨大な拳を夢子さんの両側から押し
想像してみてください。あなたの周囲に光弾が密集している光景を、それが休む間も無く向かって来る光景を、そこへ見上げてしまう程の壁が左右から迫って来る光景を。
……はい、みなさん思いましたね「そんなの相殺しないと助からない」って。私もそう思います。だからこの話を聞いた時耳を疑い、理解が追いつかなかったです。あの人は……夢子さんは……その状況から抜け出たんです。一度も爆発音を上げることなく、いとも
夢子「あなたが再起不能になったら、煙のお爺さんはどうなるのかしら?」
一輪さんが再び夢子さんを瞳に捕らえた時、彼女との距離は既に目と鼻の先だったと。そして追撃も防御も身構える事さえ許されないまま……。
初めは腹部だったそうです。そこへ五感が激痛を感じる間も無く胸へ次弾が打ち込まれて。そこからは何処に当てられたのかでさえ認識出来ないくらいに、息つく暇もないくらいに次々と……。一輪さんは遅れて追いかけて来るダメージに耐えられず、そのまま意識を失ってしまったそうです。
そして雲山さんは——
雲山「ぬらあああ!」
辛うじて残された一輪さんの力を拳にのせて怒りの鉄拳を繰り出しましたが、
夢子「多少は動けるようね」
避けられた? 違います。その前に攻撃を? いいえ、そうではありません。……はい、その通りです。
その瞬間、攻守が切り替わりました。
夢子「なら——」
冷や汗を流す雲山さんが目にしたのは、夢子さんの反対の手に瞬間的に生み出された大きな魔力の塊でした。それを胴体に押し当てられ、立ち上る爆煙と共に……。
そして村紗さんまでも——
村紗「あんたよくも一輪と雲山をッ」
夢子さんの背後へ回り込んでいた村紗さんでしたが、
夢子「やっと捕まえた」
目にも止まらない速さで後ろを取られ返されてしまい、腕を捕らえられてしまったのだとか。どんな攻撃も貫通してしまう無敵状態だった村紗さんを何故捕まえる事が出来たのか、その理由は先程もご説明したように、村紗さんはこのスペルを維持し続けるするには高い精神力と集中力を必要とします。それが一輪さんと雲山さんのお二人が倒された事で心が乱され、実体を戻してしまっていたんです。そこをご自身で悟るよりも早く夢子さんに……。
村紗「え??」
もしかしたら夢子さんはそうなる事を予期していたのかもしれせん。いえ、一輪さんの攻撃から始まる一連の過程全てが夢子さんの思惑通りだったのだとしたら、高密度の弾幕を避け切れた事も、膨大な魔力を短時間で生み出された事も、村紗さんが実体を取り戻したといち早く気が付けた事も
捕らえられた村紗さんは
夢子「『マジックバタフライ』」
全弾命中だったそうです。衣服はボロボロ、肌は熱で焼かれ、その上力も体力も底をついて身動きすら出来ない満身創痍に。至近距離で放たれた魔力の豪雨は村紗さんの決意をへし折るには充分過ぎました。
遠のいていく意識、そして
夢子「この罪は死をもってしか
標的を旧都民に移して。一輪さん達だけならまだしも、なぜそこまで
夢子「
夢子さんは怒っていたんです。魔界の仲間が傷を負い、
剣を両手で握りしめて腰元で構え、姿勢を低くし重心を前へ。さらに鋭利な視線で目標を定め、湧き出る迫力で逃さぬように取り押さえて。夢子さんが動き出せば皆無事では済まない、棟梁様はその未来を回避しようと
棟梁「どうかお願いです、彼女を止めて下さい!」
とね。その回答は——
神綺「うーん、と言われてもねー。彼女身内への情が厚くてねー、ああなっちゃうと聞いてくれないのよー」
残された僅かな希望の灯火を吹き消しました。
棟梁「そんな……」
神綺「ごめんなさいね」
神綺様は棟梁様に「止められない」と告げたんです。
夢子「裁きを実行します」
棟梁「やめてーッ!」
棟梁様の悲しみに暮れる悲鳴と共に夢子さんは姿を消しました。旧都民は絶望したでしょう。ターゲットは全員、数秒後には誰かが裁かれ、その生存を確認する間も無く次の者が裁かれる。逃亡のチャンスを失い、圧倒的な力の前に対抗する術もなく、いつ自分が裁きを受けるのか分からない。次々と仲間が斬られていく惨状と、返り血で赤く染まりながら突然目前に現れる執行人の姿が脳裏を過った事でしょう。
しかし、そんな地獄絵図の未来に待ったをかけた者がいたんです。
ガッキィィィーンッ
金属が強く衝突し合う高い音が辺りに響き渡り、夢子さんが姿を現しました。顔の前に剣を構えた守りの姿勢で。その剣に圧力をかけていたのは黒い鋼鉄の塊、超重量の金棒でした。
??「させるかよ」
夢子「よく追いついたわね」
夢子さんを止めたのは——
??「へへ、それだけじゃないぞ。『コンガラ流——』」
筋トレマンだったんです。筋トレマンは村紗さん達の戦いを見ていただけで、たった数分間という短い時間の中で成長を
筋ト「『振り子刀法』」
さらに夢子さんの戦い方、ステップ、立ち回りに至るまでを研究していたのだとか。日々の鍛錬の成果、天性の才能、はたまた若さ故なのか。もう体を動かす事
筋ト「『串盛りバイキング』!」
旧都の皆さんはさぞ目を疑ったでしょうね。のんびりとのほほんと
筋ト「
きっと夢子さんもそんな筋トレマンに、その時ばかりは
筋ト「
夢子「この力に身のこなし、技のキレ——」
筋トレマンは金棒を振るい続けました。
筋ト「
夢子「おまけに剣に多少の覚えがあるとは……」
息が続く限り、体力が尽きてもなお気合いと根性で。がむしゃらに。
筋ト「
しかし運動能力とバトルセンスが高いのは筋トレマンに限ったことではありません。
夢子「でも、まだまだ未熟」
金棒が空を切り、筋トレマンの脳が「背後を取られた」と認識し、夢子さんを瞳に捕らえた頃にはもう……。
夢子「それに……」
剣を引いて構え終えていたそうです。振り上げられれば筋トレマンは背後から真っ二つ、運が良くても大惨事は
筋ト「ゔォォオオオッ!」
辺りに雄叫びが
筋ト「なっ——」
打ち鳴らされ続けていた金属音が終わりを迎えました。ドシンと重々しい音が響き渡り、筋トレマンの手には上半身を失った金棒が取り残され、
夢子「この程度の金属、わけない」
村紗「ぃ……ゃ……」
振りかざされた剣が次に捕らえたのは……。
夢子「散りなさい若き鬼」
村紗「ぃゃ」
右肩から左脇腹にかけて引かれた直線から吹き出るものは、降り続く雪に付着し、流れ落ちるものは白かった地面を染め上げ、筋トレマンの周囲を瞬く間に赤一色の世界へと
彼 「和鬼ッ!」
村紗「いやああああッ!」
きっとこの先も村紗さんはこの悪夢に苦しみ続ける事でしょう。先程心の中を
……ちょっとドスケベさん、このタイミングで何でそれを言ってしまうんですか? 少しは空気を読んで下さい。はい、今言われたように、皆さんも既知の通り筋トレマンはそんな事がありながらも、今もなお筋トレを欠かさない日々を送っています。今頃お店で客寄せでもしていると思いますよ。村紗さんが来るとは知らずにね。
でもこの事がこの物語の
Q.金棒をも切断した夢子さんの斬撃、それを受けた筋トレマンが真っ二つにならずに済んだのは何故でしょう?
??「いったたたー。あれ、ここ何処?」
【次回:表_十二語り目】