どうもありがとうございます。
これからも皆さんが楽しんで頂ける
作品を作っていける様、精進します。
今日は人里で買い物の日。食材と調味料、それと布地を買って目指すは森の中の自宅。いつもは飛んで帰るけど、天気も良いのでたまにはのんびりと歩いて。
上海と蓬莱と話しをしながら歩いていたら、空はもうオレンジ色に。
すると、あと少しで家が見えて来るという所で、突然上海が茂みへと飛んで行き……。
上海「
急いで上海の後を蓬莱と一緒に追いかけると、そこには少しふくよかな男性が倒れていて、
アリ「だだだ大丈夫ですか!?」
声をかけてみても返事がなかったけど、
蓬莱「
上海「
特に外傷も無く呼吸もしていたから、気を失っているだけみたい。
ここは魔法の森。ここの事を知っている人であれば、あまり近付く事はない。いえ、近付こうともしない。「それなのにどうして?」そんな疑問が頭をぐるぐると。
--以下翻訳機能ON--
上海「人間なの?」
アリ「多分……、どうしてこんなところで……」
蓬莱「ほっとけば?」
アリ「ででででも、もうすぐで日没だよ? 放っておいたら襲われちゃう!」
蓬莱「関係なくねー?」
上海「蓬莱!」
アリ「とりあえず家まで運ぼう。上海お願い」
何者かは分からないけど、放置しておく事もできず、一先ず自宅まで運んで上げる事に。
アリ「上海、この人を運んでくれる?」
そう尋ねると彼女はコクリと頷き、男性の下へ。その後、担ごうとしたのはいいのだけど……
上海「お……重……い……」
一人では持ち上がらず。
ならばと、蓬莱にも協力をお願いし、上海は上半身を、蓬莱は足を持つことに。「さすがに2人ならばいける」そう思い、
アリ「じゃあ行こう」
最初の一歩を踏み込んだその時、
ゴッ!!
後ろで鈍い音。振り向くと、男性の頭が近くの岩に……ごっつんこ。
蓬莱「ご、ごめん」
どうやら2人の息が合わず、頭から落ちたみたい…。けど男性はそれでも目を覚ます事はなく、「本当に大丈夫?」と少し心配に。そこに
上海「バランスが取れないよぉ」
上海からのHELP。やっぱり小さな体の2人では難しいようなので、代わりに
アリ「じゃ、じゃあ私が背負うから、上海と蓬莱は後ろから支えて頂戴」
私が運ぶ事に。
男性の荷物と買い物の荷物を上海と蓬莱へ渡し、男性を背中へ。後ろから上海と蓬莱に支えてもらってはいるけど、それでも……
アリ「お、重い……」
押しつぶされそう。
と、ここで気付くある事実。そ、そういえば……私、男性に触れたのって……ももももしかして初めてッ!? これが初体験!? な、なんかだんだん顔が火照ってきて変な汗が……。
上海「アリス? 顔が真っ赤だけど大丈夫?」
後ろから上海が心配そうなトーンで、声をかけて来てくれたけど、
アリ「だ、大丈夫……」
口から出たのは強がり。本当は大丈夫からはほど遠い。だから自分に言い聞かせる様に、暗示をかける様に、
アリ「気にしない、気にしない……。背中にあるのはただの荷物、ただの荷物」ブツブツ
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も呟いた。そのお陰もあり、意識が段々と背中から外れ、気にならなくなっていたのだけど、
ズルッ……、ピト。
アリ「きゃーっ!?」ビクビクッ!
男性の腕がズレ落ちて手が私の腰に。突然の事に驚いてしまい、思わず手が離れ……
ゴッ!
男性は地面に落下。しかも今度は木の根に頭を……。「さすがに気付いたかな?」と様子を伺っていると……
??「う、う~ん……」
反応が。「どどどどうしよう……まだ心の準備が」と慌てていると、
バコッ! ガスッ!
『アリスに
上海と蓬莱が……。2人の手には木材が握られ、男性の反応は……またプッツリと……。本当にごめんなさい。
結局、背負うのは
家の空き部屋のベッドへと運んで、一休みにとリビングで紅茶を飲んでいると……。
アリ「ふぁ~~~~~~……ッ」
初めて異性に触れた事、初めて異性を家へ招いた事、初めて異性が家で寝ている事。色々な初めてが重なり………
アリ「どどどうしよう、どうしよう、どうしよう」
只今、絶賛困惑中。
友達はたまに泊まりに来るけど、みんな女の子だし……同じ様に接していいのかな? 人里で男性に声を掛けられる事があっても、軽く笑って会釈する程度で、ちゃんと話しをした事なんて無いよ……。
あれ? 私の友達って、同じ魔法使いの魔理沙と紅魔館のパチュリー、あと神社の霊夢と…………あっれ~?? 私、友達少ない?? 宴会とかでたまに会うのは友達かなぁ? 友達の定義ってどこから? 楽しく話しができたら友達かなぁ? 宴会で話すのは、魔理沙とパチュリーと霊夢と…………あれれ~?? 同じだ……もしかして……、他の人と話す事でさえも物凄く久しぶりなの!?
自分の交友関係の範囲の狭さに改めて気付かされorz。ふと顔をあげると、掛けておいた男性の上着が目につき、「珍しい服」と思いながらも、それが初めて見る物でない事に気が付き——。
そう言えば、前に
えっ……ってことはあの人もしかして外来人なの!? どどどどうしよう、どうしよう、どうしよう。目を覚ましたら「ここ何処?」ってなるよね? いきなり「幻想郷です」とか「異世界です」なんて言っても混乱するよね? こんな時霊夢だったらどうするんだろう……? そ、そうだ! 霊夢! 霊夢だったら元の世界に帰せる! あの人も元の世界に帰りたいはず!!
幻想郷と外界の境界の神社に住み、幻想郷の管理にも一役かっている頼れる友人の事を思い出し、心の底から安心。「ほっ」とため息を吐いて紅茶を一口…………今日霊夢お昼からいないんだった……。
再びどん底に落とされた気分でいると、
上海「アリス、どうしたの?」
上海が心配そうな表情を浮かべて、顔を覗き込みながら尋ねてきた。
アリ「さっきの人たぶん外来人だと思うんだけど、目を覚ましたら何て説明すればいいか……」
蓬莱「まー色々聞かれるよねー」
アリ「そうだよね。私ちゃんと説明できるかな?」
内心、不安しかなかった。自分でもそれは難しい事だって分かってる。だから少しでも「大丈夫だよ」とか優しい言葉をかけて欲しかった。けど、
蓬莱「いやぁ……、ダメじゃない?」
グサッ!
何もそんなにはっきり言わなくても……。
アリ「自分で作った人形にダメだしされたぁ……」
上海「もー、蓬莱!」
蓬莱「そんなに自信が無いなら、聞かれそうな事を考えておけば?」
アリ「そ、それだ!!」
さすが頼れる人形、蓬莱! そのナイスアイディアに乗っかる事に。鉛筆と紙を手に……
『Q.ここは何処?
A.私の家。あなたは別の世界から来ました。
Q.なんでこんなところに?
A.森で倒れていた。上海が見つけました。
Q.今何時?
A.時計を見て答える 』
アリ「あとは何があるかな?」
上海「荷物の事とかは? どこにあるか聞かれるかもよ?」
アリ「そ、そうだね」
蓬莱「時間のくだりいる?」
アリ「いいの!」
ある程度書き留めたところで、もう随分と時間が経っている事に気付き、
アリ「あの人もう気付いたかな?」
男性の様子を見に行く事に。でも、運んだ部屋のドアの前まで来たはいいものの、心臓はバクバク。緊張してきたー……。ノックはした方がいいよね? 起きていたらどうしよう……。そうだ、そのためにメモを用意したんだ。だからきっと大丈夫!のはず……ううん、大丈夫! ノックするぞ~……
コッ、ココン。
なんか変な音になった……。
アリ「し、失礼しまーす……」
恐る恐るドアを開け、隙間から中の様子を覗いたところ、幸いにもまだ男性は先程と同じ状態。眠ったまま。少し安心し部屋の中へと足音を立てない様に、慎重に侵入。自分の家なのになんか泥棒みたい……。
男性の目が覚めるまで、せめてこの場の雰囲気には慣れておこうと、椅子に腰を掛けようとしたその時、
ゴソゴソ……、ガサッ
男性に動きが。
ガタン!!
突然の事に驚き、椅子から落下。い、痛い……は、恥ずかすぃーッ!
火照る顔を隠すように男性に背を向け、倒れた椅子を直しながら「見られてないよね?」とチラッと確認すると……ガッツリ視線がこちらに。しっかり見られてたー……。
このままでは変な人だと思われそうなので、平然を装って尋ねてみる事に。
アリ「ケガ、平気?」
すると男性は黙ってコクリと。
アリ「痛み、無い?」
この質問にも、男性はまた黙ってコクリ。「頭痛がする」とか「記憶がない」とか言われなくて一安心。頭へのダメージの原因は私達だし……。
アリ「そう、良かった」
と、ここで男性との会話終了。そして込み上げる達成感。
男性と初めて面と向かって会話できた! 私はやればできる子なんだ。それにすごく優しそうな人で助かったぁ。この調子ならまだいける! 落ち着けアリス、落ち着け……よし、言おう! あと10数えたら言おう!
1……2……3……4……5……6……7……8……9……じゅぅ……aぁあ
『あのっ』
被ったー……。調子に乗ってごめんなさい……。
アリ「ドゾ、オサキに……」
??「いえ、どうぞ……」
また急に緊張してきて変な言葉に。今ので絶対変な人だと思われた……。
気分はまたしても、どん底。「時間を戻して調子に乗った自分にブレーキをかけたい」そう後悔していると……。
??「今何時ですか?」
来た、質問だ。
アリ「ジカン?」
えっと、時間は時計を見て……。
アリ「21ジクライ?」チラッ
??「ここって……」
アリ「私のィェ……」
??「お水ください」
アリ「!?」
これは考えていなかった。えっと水? 用意すればいいのかな?
アリ「待ってて」
--少女準備中--
キッチンで水の用意をしていると、
上海「アリス良かったよ」
蓬莱「そう? あれ会話だった? あの人も何か変わってるよね」
グサッ!
上海「もー!! 蓬莱なんでそんなこと言うのさ!」
頭の後ろで2人が言い合いを始めてしまい、私は蓬莱の一言に傷を負いながらも、頼まれた水を用意。蓬莱……私、泣いちゃうよ?
コップと水差しをトレイに置いたところで、「あとクッキーでもあげようかな?」と、昨日作ったクッキーも一緒に持って行く事に。そして再びドキドキしながらも、男性がいる部屋へ。とここで気付く凡ミス。両手が塞がってたー……。これじゃあ扉が開けられない……。
アリ「上海、ノックしてドア開けてくれる?」ヒソヒソ
私がそう頼むと、上海はコクリと頷き、
コンコン
丁寧にノック。私よりも上手……。
部屋の中に入り、トレイをテーブルの上へ。感じる視線。それは私を束縛するかの様に動きをギクシャクと、ぎこちないものに。そんな中、やっとの思いでコップに水を注ぎ終え、いざ男性の下へ。
アリ「ド、ドーゾ」
緊張、私の心を見透かされる恐怖、変な人だと思われていないかという不安。マイナス方面の思考ばかりが働き、手が少し震えていた。「絶対何か言われる」そう確信していた。自分でもそんな状況を目の当たりにしたら、「どうしたの?」って声をかける。でも男性はその事には何も言わず、
??「ありがとう」
とだけ告げると、
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……
コップを受け取り、一気飲み。私、ぽかーん……。でもそのおかげで心が少し軽くなり、まだ足りなさそうにしている男性に、
アリ「まだ……ぃる?」
様子を伺いながら尋ねてみる事に。
??「はい」
答えは「Yes」。「かしこまりました」と急いで水のおかわりを用意し、
アリ「ょけれ、ば、これ、、mo」
一緒にクッキーも。さっきとは別の種類の緊張感。口に合わなかったらごめんなさい……。「マズイ」と言われない事だけを祈っていると――
??「ありがとう。うまっ! 美味しい!……」
えーーーーーーーッ! いいい今、美味しいって……美味しいって言ってくれた!? 嬉しーーーーーー! 魔理沙達から言われても、そこまでじゃないのに。初めて会った人から言われるのって、すっごく嬉しいかも!?
あまりの嬉しさと恥ずかしさから、思わず顔が緩み、「こんな表情は見せられない」と
アリ「そう、良かった」
普通に話す事ができた! そうだ、事情説明しないと……えっと、さっき書いたメモは……。
用意しておいたメモへ目を通し、内容を再確認。覚え終えたところで、意を決して男性の方へと振り返り、
アリ「あなた、森で倒れてたの」
事情説明開始。
??「え?」
アリ「帰り道の途中で上海が見つけたの」
??「上海?」
アリ「これ、あなたの? 近くに落ちてた」
あれ? 荷物忘れちゃった……。うっかり。
アリ「(上海、蓬莱。この人の荷物持って来て)」
心の中で上海と蓬莱へメッセージを送ると、
コンコン……。
丁寧なノックの音。そしてその音共にドアが開き、2人が男性の荷物を持って部屋の中へ。でもここから肝心。何も知らない男性は、きっと2人を見た途端に驚いて、怖がってしまう。だから愛想は大切。
アリ「(二人とも、最初の印象が大事だからね。笑顔ね)」
『(はーい)』
いい返事。2人は荷物を男性が寝ているベッドの足元へと運ぶと、私の方に振り向き、ミッションの完了を告げるサムズアップ。そしてドヤドヤ。
その様子を男性は不思議そうに眺めながら、
??「あなたは……」
私の名前を尋ねてきた。
アリ「アリス・マーガトロイド。魔法使いです」
優希が幻想郷にやって来た
初日の頭痛の原因はこういうことでした。
次回は本編に戻ります。