東方迷子伝   作:GA王

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評価&コメント頂いた方、
どうもありがとうございます。
これからも皆さんが楽しんで頂ける
作品を作っていける様、精進します。


Ep.2 Ver.Alice -first contact-

 今日は人里で買い物の日。食材と調味料、それと布地を買って目指すは森の中の自宅。いつもは飛んで帰るけど、天気も良いのでたまにはのんびりと歩いて。

 上海と蓬莱と話しをしながら歩いていたら、空はもうオレンジ色に。

 すると、あと少しで家が見えて来るという所で、突然上海が茂みへと飛んで行き……。

 

上海「シャンハーイ(人が倒れてる)!」

 

 急いで上海の後を蓬莱と一緒に追いかけると、そこには少しふくよかな男性が倒れていて、

 

アリ「だだだ大丈夫ですか!?」

 

 声をかけてみても返事がなかったけど、

 

蓬莱「ホーラーイ(返事がない)ホラ(ただの)……」

上海「シャンハーイ(生きてるよ)!」

 

 特に外傷も無く呼吸もしていたから、気を失っているだけみたい。

 ここは魔法の森。ここの事を知っている人であれば、あまり近付く事はない。いえ、近付こうともしない。「それなのにどうして?」そんな疑問が頭をぐるぐると。

 

--以下翻訳機能ON--

 

上海「人間なの?」

アリ「多分……、どうしてこんなところで……」

蓬莱「ほっとけば?」

アリ「ででででも、もうすぐで日没だよ? 放っておいたら襲われちゃう!」

蓬莱「関係なくねー?」

上海「蓬莱!」

アリ「とりあえず家まで運ぼう。上海お願い」

 

 何者かは分からないけど、放置しておく事もできず、一先ず自宅まで運んで上げる事に。(そば)にあったこの人の荷物と思われる鞄を拾い、

 

アリ「上海、この人を運んでくれる?」

 

 そう尋ねると彼女はコクリと頷き、男性の下へ。その後、担ごうとしたのはいいのだけど……

 

上海「お……重……い……」

 

 一人では持ち上がらず。

 ならばと、蓬莱にも協力をお願いし、上海は上半身を、蓬莱は足を持つことに。「さすがに2人ならばいける」そう思い、

 

アリ「じゃあ行こう」

 

 最初の一歩を踏み込んだその時、

 

 

ゴッ!!

 

 

 後ろで鈍い音。振り向くと、男性の頭が近くの岩に……ごっつんこ。

 

蓬莱「ご、ごめん」

 

 どうやら2人の息が合わず、頭から落ちたみたい…。けど男性はそれでも目を覚ます事はなく、「本当に大丈夫?」と少し心配に。そこに

 

上海「バランスが取れないよぉ」

 

 上海からのHELP。やっぱり小さな体の2人では難しいようなので、代わりに

 

アリ「じゃ、じゃあ私が背負うから、上海と蓬莱は後ろから支えて頂戴」

 

 私が運ぶ事に。

 男性の荷物と買い物の荷物を上海と蓬莱へ渡し、男性を背中へ。後ろから上海と蓬莱に支えてもらってはいるけど、それでも……

 

アリ「お、重い……」

 

 押しつぶされそう。

 と、ここで気付くある事実。そ、そういえば……私、男性に触れたのって……ももももしかして初めてッ!? これが初体験!? な、なんかだんだん顔が火照ってきて変な汗が……。

 

上海「アリス? 顔が真っ赤だけど大丈夫?」

 

 後ろから上海が心配そうなトーンで、声をかけて来てくれたけど、

 

アリ「だ、大丈夫……」

 

 口から出たのは強がり。本当は大丈夫からはほど遠い。だから自分に言い聞かせる様に、暗示をかける様に、

 

アリ「気にしない、気にしない……。背中にあるのはただの荷物、ただの荷物」ブツブツ

 

 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も呟いた。そのお陰もあり、意識が段々と背中から外れ、気にならなくなっていたのだけど、

 

 

ズルッ……、ピト。

 

 

アリ「きゃーっ!?」ビクビクッ!

 

 男性の腕がズレ落ちて手が私の腰に。突然の事に驚いてしまい、思わず手が離れ……

 

 

ゴッ!

 

 

 男性は地面に落下。しかも今度は木の根に頭を……。「さすがに気付いたかな?」と様子を伺っていると……

 

??「う、う~ん……」

 

 反応が。「どどどどうしよう……まだ心の準備が」と慌てていると、

 

 

バコッ! ガスッ!

 

 

  『アリスに不埒(ふらちな)事しやがって!』

 

 上海と蓬莱が……。2人の手には木材が握られ、男性の反応は……またプッツリと……。本当にごめんなさい。

 結局、背負うのは(あきら)め、代わりに巨大人形を操る用の糸を男性に巻きつけ、3人で引き()って帰る事に。男性には「ごめんなさい。すみません」と心で何度も謝罪をしながら。

 家の空き部屋のベッドへと運んで、一休みにとリビングで紅茶を飲んでいると……。

 

アリ「ふぁ~~~~~~……ッ」

 

 初めて異性に触れた事、初めて異性を家へ招いた事、初めて異性が家で寝ている事。色々な初めてが重なり………

 

アリ「どどどうしよう、どうしよう、どうしよう」

 

 只今、絶賛困惑中。

 友達はたまに泊まりに来るけど、みんな女の子だし……同じ様に接していいのかな? 人里で男性に声を掛けられる事があっても、軽く笑って会釈する程度で、ちゃんと話しをした事なんて無いよ……。

 あれ? 私の友達って、同じ魔法使いの魔理沙と紅魔館のパチュリー、あと神社の霊夢と…………あっれ~?? 私、友達少ない?? 宴会とかでたまに会うのは友達かなぁ? 友達の定義ってどこから? 楽しく話しができたら友達かなぁ? 宴会で話すのは、魔理沙とパチュリーと霊夢と…………あれれ~?? 同じだ……もしかして……、他の人と話す事でさえも物凄く久しぶりなの!?

 自分の交友関係の範囲の狭さに改めて気付かされorz。ふと顔をあげると、掛けておいた男性の上着が目につき、「珍しい服」と思いながらも、それが初めて見る物でない事に気が付き——。

 そう言えば、前に早苗(さなえ)のところで宴会をした時、見せてもらった写真にコレと似た服を着た人がいたような……。確か外界にいた頃の写真だったと思うんだけど……あ、早苗は楽しく話しができるから友達だよね?

 東風谷(こちや)早苗(さなえ)。山の上にある守矢(もりや)神社に住む同世代の女の子。元々外界に住んでいて、諸事情からここ幻想郷に引っ越して来た。異変に加担した事もあったけど、逆に異変解決に協力してくれた事もあり、実力もさることながら、行動力もある。ただ、外界出身という事もあって、何を言っているのか分からない事もしばしばで……。

 えっ……ってことはあの人もしかして外来人なの!? どどどどうしよう、どうしよう、どうしよう。目を覚ましたら「ここ何処?」ってなるよね? いきなり「幻想郷です」とか「異世界です」なんて言っても混乱するよね? こんな時霊夢だったらどうするんだろう……? そ、そうだ! 霊夢! 霊夢だったら元の世界に帰せる! あの人も元の世界に帰りたいはず!!

 幻想郷と外界の境界の神社に住み、幻想郷の管理にも一役かっている頼れる友人の事を思い出し、心の底から安心。「ほっ」とため息を吐いて紅茶を一口…………今日霊夢お昼からいないんだった……。

 再びどん底に落とされた気分でいると、

 

上海「アリス、どうしたの?」

 

 上海が心配そうな表情を浮かべて、顔を覗き込みながら尋ねてきた。

 

アリ「さっきの人たぶん外来人だと思うんだけど、目を覚ましたら何て説明すればいいか……」

蓬莱「まー色々聞かれるよねー」

アリ「そうだよね。私ちゃんと説明できるかな?」

 

 内心、不安しかなかった。自分でもそれは難しい事だって分かってる。だから少しでも「大丈夫だよ」とか優しい言葉をかけて欲しかった。けど、

 

蓬莱「いやぁ……、ダメじゃない?」

 

 

グサッ!

 

 

 何もそんなにはっきり言わなくても……。

 

アリ「自分で作った人形にダメだしされたぁ……」

上海「もー、蓬莱!」

蓬莱「そんなに自信が無いなら、聞かれそうな事を考えておけば?」

アリ「そ、それだ!!」

 

 さすが頼れる人形、蓬莱! そのナイスアイディアに乗っかる事に。鉛筆と紙を手に……

 

『Q.ここは何処? 

 A.私の家。あなたは別の世界から来ました。

 Q.なんでこんなところに?

 A.森で倒れていた。上海が見つけました。

 Q.今何時?

 A.時計を見て答える           』

 

アリ「あとは何があるかな?」

上海「荷物の事とかは? どこにあるか聞かれるかもよ?」

アリ「そ、そうだね」

蓬莱「時間のくだりいる?」

アリ「いいの!」

 

 ある程度書き留めたところで、もう随分と時間が経っている事に気付き、

 

アリ「あの人もう気付いたかな?」

 

 男性の様子を見に行く事に。でも、運んだ部屋のドアの前まで来たはいいものの、心臓はバクバク。緊張してきたー……。ノックはした方がいいよね? 起きていたらどうしよう……。そうだ、そのためにメモを用意したんだ。だからきっと大丈夫!のはず……ううん、大丈夫! ノックするぞ~……

 

 

コッ、ココン。

 

 

 なんか変な音になった……。

 

アリ「し、失礼しまーす……」

 

 恐る恐るドアを開け、隙間から中の様子を覗いたところ、幸いにもまだ男性は先程と同じ状態。眠ったまま。少し安心し部屋の中へと足音を立てない様に、慎重に侵入。自分の家なのになんか泥棒みたい……。

 男性の目が覚めるまで、せめてこの場の雰囲気には慣れておこうと、椅子に腰を掛けようとしたその時、

 

 

ゴソゴソ……、ガサッ

 

 

 男性に動きが。

 

 

ガタン!!

 

 

 突然の事に驚き、椅子から落下。い、痛い……は、恥ずかすぃーッ!

 火照る顔を隠すように男性に背を向け、倒れた椅子を直しながら「見られてないよね?」とチラッと確認すると……ガッツリ視線がこちらに。しっかり見られてたー……。

 このままでは変な人だと思われそうなので、平然を装って尋ねてみる事に。

 

アリ「ケガ、平気?」

 

 すると男性は黙ってコクリと。

 

アリ「痛み、無い?」

 

 この質問にも、男性はまた黙ってコクリ。「頭痛がする」とか「記憶がない」とか言われなくて一安心。頭へのダメージの原因は私達だし……。

 

アリ「そう、良かった」

 

 と、ここで男性との会話終了。そして込み上げる達成感。

 男性と初めて面と向かって会話できた! 私はやればできる子なんだ。それにすごく優しそうな人で助かったぁ。この調子ならまだいける! 落ち着けアリス、落ち着け……よし、言おう! あと10数えたら言おう!

 1……2……3……4……5……6……7……8……9……じゅぅ……aぁあ

 

  『あのっ』

 

 被ったー……。調子に乗ってごめんなさい……。

 

アリ「ドゾ、オサキに……」

??「いえ、どうぞ……」

 

 また急に緊張してきて変な言葉に。今ので絶対変な人だと思われた……。

 気分はまたしても、どん底。「時間を戻して調子に乗った自分にブレーキをかけたい」そう後悔していると……。

 

??「今何時ですか?」

 

 来た、質問だ。

 

アリ「ジカン?」

 

 えっと、時間は時計を見て……。

 

アリ「21ジクライ?」チラッ

??「ここって……」

アリ「私のィェ……」

??「お水ください」

アリ「!?」

 

 これは考えていなかった。えっと水? 用意すればいいのかな?

 

アリ「待ってて」

 

 

--少女準備中--

 

 

 キッチンで水の用意をしていると、

 

上海「アリス良かったよ」

蓬莱「そう? あれ会話だった? あの人も何か変わってるよね」

 

 

グサッ!

 

 

上海「もー!! 蓬莱なんでそんなこと言うのさ!」

 

 頭の後ろで2人が言い合いを始めてしまい、私は蓬莱の一言に傷を負いながらも、頼まれた水を用意。蓬莱……私、泣いちゃうよ?

 コップと水差しをトレイに置いたところで、「あとクッキーでもあげようかな?」と、昨日作ったクッキーも一緒に持って行く事に。そして再びドキドキしながらも、男性がいる部屋へ。とここで気付く凡ミス。両手が塞がってたー……。これじゃあ扉が開けられない……。

 

アリ「上海、ノックしてドア開けてくれる?」ヒソヒソ

 

 私がそう頼むと、上海はコクリと頷き、

 

 

コンコン

 

 

 丁寧にノック。私よりも上手……。

 部屋の中に入り、トレイをテーブルの上へ。感じる視線。それは私を束縛するかの様に動きをギクシャクと、ぎこちないものに。そんな中、やっとの思いでコップに水を注ぎ終え、いざ男性の下へ。

 

アリ「ド、ドーゾ」

 

 緊張、私の心を見透かされる恐怖、変な人だと思われていないかという不安。マイナス方面の思考ばかりが働き、手が少し震えていた。「絶対何か言われる」そう確信していた。自分でもそんな状況を目の当たりにしたら、「どうしたの?」って声をかける。でも男性はその事には何も言わず、

 

??「ありがとう」

 

 とだけ告げると、

 

 

ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……

 

 

 コップを受け取り、一気飲み。私、ぽかーん……。でもそのおかげで心が少し軽くなり、まだ足りなさそうにしている男性に、

 

アリ「まだ……ぃる?」

 

 様子を伺いながら尋ねてみる事に。

 

??「はい」

 

 答えは「Yes」。「かしこまりました」と急いで水のおかわりを用意し、

 

アリ「ょけれ、ば、これ、、mo」

 

 一緒にクッキーも。さっきとは別の種類の緊張感。口に合わなかったらごめんなさい……。「マズイ」と言われない事だけを祈っていると――

 

??「ありがとう。うまっ! 美味しい!……」

 

 えーーーーーーーッ! いいい今、美味しいって……美味しいって言ってくれた!? 嬉しーーーーーー! 魔理沙達から言われても、そこまでじゃないのに。初めて会った人から言われるのって、すっごく嬉しいかも!?

 あまりの嬉しさと恥ずかしさから、思わず顔が緩み、「こんな表情は見せられない」と咄嗟(とっさ)に背を向ける事に。でも、結果的にこれが幸いし——

 

アリ「そう、良かった」

 

 普通に話す事ができた! そうだ、事情説明しないと……えっと、さっき書いたメモは……。

 用意しておいたメモへ目を通し、内容を再確認。覚え終えたところで、意を決して男性の方へと振り返り、

 

アリ「あなた、森で倒れてたの」

 

 事情説明開始。

 

??「え?」

アリ「帰り道の途中で上海が見つけたの」

??「上海?」

アリ「これ、あなたの? 近くに落ちてた」

 

 あれ? 荷物忘れちゃった……。うっかり。

 

アリ「(上海、蓬莱。この人の荷物持って来て)」

 

 心の中で上海と蓬莱へメッセージを送ると、

 

 

コンコン……。

 

 

 丁寧なノックの音。そしてその音共にドアが開き、2人が男性の荷物を持って部屋の中へ。でもここから肝心。何も知らない男性は、きっと2人を見た途端に驚いて、怖がってしまう。だから愛想は大切。

 

アリ「(二人とも、最初の印象が大事だからね。笑顔ね)」

  『(はーい)』

 

 いい返事。2人は荷物を男性が寝ているベッドの足元へと運ぶと、私の方に振り向き、ミッションの完了を告げるサムズアップ。そしてドヤドヤ。

 その様子を男性は不思議そうに眺めながら、

 

??「あなたは……」

 

私の名前を尋ねてきた。

 

アリ「アリス・マーガトロイド。魔法使いです」




優希が幻想郷にやって来た
初日の頭痛の原因はこういうことでした。

次回は本編に戻ります。
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