気が付けば、、、といった感じですね。
魔理沙さんに「特等席を確保しておいたze☆」 ってドヤドヤされながら連れて来られちゃいましたけど、まさか一番前のど真ん中だなんて……。いや、前に障害物はありませんよ? とても見やすいですよ? 見逃すことはないと思いますよ? けどコレはコレで視線を感じるわけで、「そこにいられると見にくい」って思われてないか気になっちゃうわけで、なんか恐縮しちゃうわけでして……。しかもよりにもよって——
??「はい、大鬼あ〜ん」
大鬼「あーん」
まさかこのお二人のそばだなんて……。仲良し仲良しで、幸福絶頂で、ラブラブでなによりです。もう
萃香「どう、おいしい?」
大鬼「うん、すごく。
萃香「よかった〜♡」
ところで萃香さん、なんかご自分で作られたみたいに言ってますけど、一応言わせてもらいますけど、声には出しませんけど、その天ぷら作ったの僕ですからね? あと大鬼さん、ありがとございます! 以上です、これでお二人とは完全シャットアウトさせて頂きます。
魔理「くぁーッ、
あとは気が楽な方です。一緒に
レミ「そんなに見つめないでくださる? 穴が空いてしまいそうよ」
僕 「あ、いや、あああの、その、ごごごめんなさ……」
どどどうしましょう、なに今の、今のもう一回やって欲しいんですけど! そのご
レミ「ふふ、ゆーきさんもご一緒にいかが? 咲夜、グラスを——」
でもこの流れはマズイです。
僕 「あの、僕は……」
レミ「あら、まだまだあるから
ここまで言われちゃったら、きっと断ったら失礼なんだろうなー……。怒られるんだろうなー……。でも僕……
僕 「えっと、その、僕、まだ飲めなくて、というか飲んだことがなくて、というか年齢的にやっちゃうと色々アウトっていうか……」
ほらね、やっぱりそういう反応になりますよね。眉をひそめて「なに言ってんだ?」ってなりますよね? UMAを見たときみたいな反応になりますよね? だって……
??「えーっ! フラン、ゆーきと飲みたかったのに」
この世界なんかおかしいんですもん。こんな女の子が実は僕よりすんごい歳上でガンガンいってるんですもん。百歩
飲みたければ飲む、それがこの世界の
僕 「すみません、やっぱり遠慮しておきます……」
まだその一歩を
咲夜「では————こちらをどうぞ」
咲差し出されたグラスにはレミリアさんと同じ色の液体が注がれていて、ブドウの香りがほんのり……って、
僕 「あのぉ……これぇ……」
結局ダメじゃないですか。
咲夜「ご安心下さい、一度
僕 「え、あ、はい。ありがとうございます……」
いつの間に? ねえ、いつの間に作ったんですか? 沸騰させるにも時間かかりますよね? そんな事されてませんよね? ずっとそちらにいましたもんね? でもウソをついている感じではなさそうだし……。こんな事できるとしたら……ん? 待て待て。
僕 「咲夜さん?」
咲夜「なんでしょう?」
僕 「もしかして、まままさかとは思いますが……」
自分が言おうとしていることがあまりにもバカげていて、ぶっ飛んでいて、厨二病的発想でいるって分かってます。でも、でもぉ……
僕 「時間、止めました?」
ヘロヘロになった妖夢さんをなだめた時とか、大鬼さんの前にいきなり出現したナイフとか、それで全部説明がついちゃうんです。
けど、そんなはずなんてありませんよ。ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから……
咲夜「はい、それが私の能力ですので」
認めたーーッ!しれっと認めたーっ! 咲夜さん、それがどういう事か分かってるんですか!? グレートですよこいつはァ。グレートでスよこれはあ…。まさにあのお方じゃあないですか。ブラボー! おお…ブラボー!!
僕 「ま、魔理沙さん……」
魔理「Exactly(そのとおりでございます)だze☆」
言ってくれないかな? やってくれないかな? 見たいな、この目で!
魔理「なあ咲夜、アレやってくれよ」
咲夜「イヤよ、恥ずかしい」
魔理「優希も見たいってさ」
僕 「お願いします!」
頭を低く、低くぅ〜く下げてお願いしました。けどやって頂ける可能性は限りなく低いと思われます。僕だったらやりたくありません。例えどんなに頭を下げられても。恥ずかしいですし。それを分かってる上で頼んでる僕って最低……調子、乗り過ぎました。咲夜さんも困ってると思います。やっぱり今からでも——
咲夜「ザ・ワールドッ! 時よ止まれ!」
やったッ!! さすが咲夜さん! 僕達にできない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!
咲夜「
しかもそんな大サービスまで!? グラッツェです!
僕 「咲夜さん、ありがとうございました!!」
心の中にある大きさと同じくらいの声量です。
咲夜さんはニコリと微笑んで返してくれました。そして伝わってきました。「コレっきりにして下さいね」って。はい、もう充分に満足しま——
??「悪羅悪羅悪羅悪羅悪羅悪羅ァ!」
って、いたたた。誰ですか、ポカポカ肩パンしないで下さい。それにそっちじゃない方ですから……って、フランさん!?
フラ「なになに、ゆーきもなの? フランもアレ好きなんだぁ。あとでごっこ遊びしようよ。フラン星の方やるからゆーきは世界の方ね」
あの、フランさんの立場的に、種族的に、もろもろ的に逆の方がお似合いですが……。あとそのごっこ遊び、最後まで無事でいられます? ちゃんと命の保証してくれます? レーヴァテイン振り回さないでいてくれます?
メイ「申し訳ありません、遅くなりました」
レミ「よくてよ、ゆっくりできた?」
メイ「はい、とても」
美鈴「それじゃあみんな揃いましたし乾杯しましょう」
魔理「ったく、お前が仕切んなze☆」
レミ「パチェも本はおしまいにしてこっちに来たら?」
パチュ「ふぅ、しょうがないわね」
咲夜「私も失礼させて頂きます」
フラ「フランはゆーきの隣がいい」
え゛っ、危険が……危険が危ない。
レミ「では今日という日を楽しみましょ、乾杯」
僕がとかなんとかやっている中、準備は着々と進んでいました。さっきまでいた場所、あそこはいわゆるステージだったみたいで、これから色々な方々が芸を披露して下さるそうです。それがこの花見のお決まりなんだとか。それでアリスさんも出演者というわけです。
さっきまで河城にとりさんがスピーカーやらマイクやらを準備していました。なんでもにとりさんはカッパで技術者で開発品は「お値段以上」をモットーとしているそうです。魔理沙さんやレミリアさん達から色々教わりました。そう、技術者なんです! 聞き捨てならねぇんです! もし機会があれば……です。
っと、誰か出てきま……って、不思議ちゃんでした。あとさっき霊夢さんと話をしていたコゲ茶色ショートヘアの人と、
不思「ペコリ」
いやいや、お
ん? この
僕 「
魔理「ピンポーン、
なーるほど、それで人里でも演奏して欲しいって頼まれているんですね。でも八橋さん、琴がねーですけど? うっすらと光を反射する糸を指で弾いてるだけなんですけど? それで演奏するってすごくない? いや、すごいです!
おっと魔理沙さんがジト目。何ですか? まだ話が途中? 失礼しました……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
つい先刻までの張り詰めていた空気がまるで束の間の悪夢、
琴と琵琶がおりなす息の合った絶妙なハーモニーは、聴く者の心を不思議と和ませる。その和のバックミュージックに、時に静かに、時に楽しげに、そして時に荒々しく
この日開催された幻想郷の花見の第一演目は、九十九姉妹と
当初何気なく
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
すごいなー、
僕 「あれ、どうやってんの?」
ついつい声に出ちゃいました。だって早技なんです。不思議ちゃんのお面がポンポンポンポン入れ
魔理「こころの舞は何度見てもあきないze☆」
ここで不思議ちゃんのお名前が判明です。でも僕の中では不思議ちゃんのままかもしれません。
なぜかですか? それはきっと最前列で、一番近くで、すぐ目の前にいるせいだからなのかもしれませんが、聞こえて来ちゃうんです。
ここ「さささささ…、ばばっ、ビッ」
発しなくてもいいものが。動かれるたびに。でもでも、そのおかげで楽しめてもいます。「次はなにを言うのかな?」って。能ってテレビのチャンネルをハシゴしている時にたまに見かけるくらいでしたけど、訳が分からなくてつまらないものだと思ってましたけど、素通りしてましたけど、コレなら面白いって思えます。
ここ「ぺこりー」
終わったみたいです。九十九ご姉妹さんが急いでるせいもあってか、ノンストップで休憩ありませんでしたけど、不思議ちゃんが疲れているご様子は——
ここ「orz」
え、なに? 言葉通りの姿勢になったりして。やっぱり疲れたんですか?
ここ「まちがえたー……がっくし」
いやいやいやいや、どこで? 全然気が付きませんでしたよ。というか言わなければ誰にも分からないと思いますよ。
??「しっかりしぃや!」
って、いたーっ! 八橋さんが気付かれていたみたいです、怒っておられます。どうか、どうか不思議ちゃんの事は
八橋「
弁々「そないゆーたら八橋やてキーミスっとったやないの」
八橋「ミスってない、ちょいとアレンジしただけや!」
弁々「ホンマにー? そんなん打ち合わせになかったやないの。それに弦が飛びそうやったけど?」
えー、要約するとこういう事みたいです。三人ともなんかミスってた。芸を披露する立場からして許せない、やるせない、
??「八橋ー、べんべーん、こころちーん! 最高にGJだったぜーッ!」
パチパチと強めに響き渡る単独の拍手は、遅れていた他の手を導いていきます。もちろん僕も釣られて。今や辺りは
八橋さんと弁々さんは「ふんっ」てお互いに付き合わせていた顔を逸らしながらも、はにかんでいる様にも見えます。不思議ちゃんは……相変わらず無表情です。でもきっと喜んでいるんだと思います。テレテレ言ってますし。
凹んでる人を元気にさせる、睨み合いを中断させる。それをたった一言だけで、しかも誰も傷つかずに満足する形で。さすが海斗君です。僕にはできないことを平然とやっとのけます。そこにシビれます。あこがれます。
弁々「ほな、また呼んでおくれやす」
八橋「あとはプリズムリバー達に
九十九ご姉妹はそう言い残すと、手を振りながら里の方へと飛んで行きました。素敵な演奏をありがとうございました。って言うの忘れてました。もし今度会えたらちゃんと言いたいと思いますです。
で、不思議ちゃんのこころさんですが人里へは行かないらしく、ステージを空けて今現在は——
ここ「はむはむ」
サンドイッチを
とすると……これ、僕が何か声かけた方がいい感じですか?
僕 「あ、あの!」
ここ「はむぅ?」
勢い任せで話しかけちゃったけど何を話そ……じゃなくて、話のネタは考えるまでもないじゃないですか。あの時の感想をそのまま言えばいいんじゃないですか。
僕 「さ、さささっきフゴっ!」
やっちゃった、さっそくやっちゃった、。スゴイって言おうとしただけなのに、呼吸法間違えて鼻がなっちゃった。は、恥ずかしィィィッ。
ここ「むぅ? ごめんね、今日の我々は調子悪くて。しゅん…」
僕 「いえいえいえいえ。そんなことは……とても、楽しかったです」
ここ「あんなのでも? 喜んでくれたの? 出来損ないだったのに? ハテナ」
僕 「ででできそこないだなんて……すごかったですよ、尊敬しますよ」
ここ「わあ、ありがと〜。ペコリ」
会話、出来た……初対面の女性と会話出来ました!
魔理「そうだこころ、次は誰の番なんだze☆?」
私、優希はやれば出来る子だと自覚しました!
ここ「あそこに演目書いてあるよー。ビシッ」
このことを
魔理「おっ、早くもご登場だze☆」
ビシッとした姿勢でより質の高いコミニュケーションを——
魔理「優希、アリスの番だze☆」
僕 「ハイッ!!」ビシッ