秋姉妹の季節ですね。
主はどちらかと言えば穣子派です。
響子「\ギャーッ!/」
ど真ん中・どストレートでしたと。
あゆ「かわい〜〜〜〜!ワンちゃんだ〜タレ耳だ〜」
しばらくは解放してもらえないでしょうね。どうも古明地さとりです。
私 「さすがヤマメさん、ナイス『キャプチャーウェブ』でした。おかげで私もこいしも、被害者さん達も飛ばされずに済みました」
ヤマ「私は大したことしてないよ。お礼なら大鬼君にしてあげて」
私 「そのボケが華扇さんと——」
ヤマ「まさかだったよね」
私 「先に言っておいて欲しかったですヨネッ。まったく誰のせいで苦労していると思って……自分の立場分かってないんだから!」
今は第四演目の真っ只中、ヴァイオリニストで長女のルナサさん、トランペッターで次女のメルランさん、キーボーディストで三女のリリカさん達『プリズムリバー三姉妹』による演奏中です。この息の合った演奏と絶妙なバランスで調和の取れたメロディに
??「いいね、いいね。ロックもよかったけどポップも気持ちいいね」
おっと失念しておりました。
こい「お姉ちゃーん、耳がまだキンキンする〜」
私 「大丈夫だと思うけど、一応
それにしても『鳥獣伎楽』、噂には聞いていましたが、お世辞にも
響子「\たすけてー!/」
ふん、いい気味ですよ。このあり様どうするつもりですか。特設された診療所では
こい「うん、行ってくる」
ヤマ「じゃあ私が付き添うよ」
そして
ヤマ「彼女との約束もあるしね」
おっとこれまた失念しておりました。
永琳「そっちはどう?」
彼女「それがまだ……」
その彼女に付きっきりで看病されている優希さんの存在を。しかし驚かされましたね、まさかあの優希さんが萃香さんとボケを相手に立ち向かうだなんて。発言内容は大幅な減点対象ですが、その行為には目を見張るものがありましたよ。
永琳「そう、意識が戻ったら教えてちょうだい」
彼女はいったいどう思っているのでしょうね。今はまだそんな余裕すらなさそうですが、いずれは答えないといけませんよ?
彼女「あ、はい……」
人形使いさん。で、
藍 「ちぇえええん、これも好きだよね? 食べな食べな」
橙 「もうお腹いっぱいで
あなた方は当然のようにそこに
??「こちらよろしいでしょうか?」
私 「えっ? ええ、そちらでよろしければ」
この方はどなたでしょう? 私に
私 「失礼ですがあなたは?」
??「私は寺子屋で講師をしている者です。どうぞよろしく」
なるほど、慧音さんと同じく先生でしたか。それよりもこの方……っと
慧音「こちらにいらしたんですね。隣、いいですか?」
先生「ええどうぞ」
慧音「では失礼して。あら、やっぱりお酒は飲まれていないんですね」
先生「眠たくなってしまいますからね。でも私のことはお気になさらず。ささ、慧音先生どうぞどうぞ」
なるほど、
慧音「さっきは大丈夫でしたか? お
おや?
先生「ええ、ご心配なく。それよりもミスティアさん——」
慧音「まったく……加減を知らないんだから。後で——」
先生「…ふふふ、そうではありませんよ。私は
慧音「嬉しい?」
先生「ええ、ミスティアさんのアレは成功率が極めて低い。それを本番の大トリ、とても重要な場面で成功させたのですから」
慧音「そう……ですね。そうですよね」
はは〜ん、な〜るほど。
慧音「私も嬉しいです」
そういうことでしたか。でも慧音さん、大切なことをお忘れですよ。私は覚り妖怪、そんなに心を無防備に
さと「意見が変わるのがずいぶんとお早いですね」
イジワルしたくなるんですよ。
さと「教える立場の方がコロコロと意見を変えて、それで生徒は迷わずにあなたを信頼されるとお考えですか?」
慧音「っ、覚り妖怪……」
先生「覚り妖怪? それは心を読むと言われているあの『覚』ですか?」
そう、私はイジワルな覚り妖怪。心に浮かぶ文字を読むことができる覚り妖怪。友好的だった人間に能力のことを打ち明かすや、気味悪がられて地底へと追いやられた間抜けな覚り妖怪。
でも、地底の住人はそんな私を受け入れてくれた、親しくしてくれた、ありのままでいいと思わせてくれた。そして嫌われたこの能力を必要としてくれた。
さと「ええ、ですから私の前で隠し事は無意味です」
昔みたいになりたくない。冷たい視線を向けられたくない。裏切られたくない。あんな辛い想いはもうたくさん。だから今日、不要心に近付く人間がいたら、私自身が傷付く前にこう言おうと決めていたんです。
さと「それがイヤなら私の視界から消えて下さい」
それなのに……優希さんといい、ドスケベといい、この方といい、どうして……
先生「…ふふふ、そうでしたか。それは大変貴重な能力ですねぇ」
心から私を必要とされるのですか?
先生「遠慮して発言を
私はイジワルな覚り妖怪、こんなことは初めてです。
先生「どうでしょう、寺子屋で講師をして頂けませんか? 古明地さんは知的ですしピッタリですよ。もちろんずっととは言いません、一日限りの特別講師としてどうかご検討下さい」
教師のスカウトだなんて。そりゃボケに教えていた実績はありますよ? その時も能力使って理解を確かめたりもしましたよ? けどボケはボケのクセにヤル気と吸収力がありましたから、手はかかりませんでしたけど、
『せんせー、けーねー』
相手がこの子達ですよ?
先生「おや、チルノさんがいませんねぇ」
大妖「チルノちゃんはレティさんに呼ばれて、それで——」
リグ「一緒にあゆみのところに行った」
ルー「そーなのだー」
苦労するのが目に見えてるじゃないですか、重労働じゃないですか、私が地底の長だとご存知じゃないですか。それなのにいったい何を考えて……
慧音「あゆみ……里で洋菓子店を始めた少女の名前もたしか——」
先生「それは彼女のことでしょう。小傘さんがお世話になっているそうで、そういえば試食用のケーキの残りを頂いたことがありましたね。キメの細かい生クリームにシットリとしたスポンジ、イチゴの酸味を決して邪魔しない甘さ加減、あれは絶品でしたね。彼女、いいパティシエですよ」
ケーキとスイーツのことだけって……この方は大の甘党のようですね、どうでもいいです。
ミス「先生〜♪ 私達の演奏ちゃんと見てくれました〜♪?」
先生「もちろんですよ。いつも以上の美声に、あの響子さんに引けを取らないシャウト、実にお見事でした。ですよね慧音先生?」
慧音「ええ、よくやったなミスティア」
ミス「ありがとうございま〜す♪」
先生「…ふふふ」
私 「なにか?」
私が物申したそう? ならばその熱意をぜひ寺子屋で?
先生「いかがでしょう?」
私 「先読みされるのはキライです」
先生「…ふふふ、それは失礼しました」
この私に読心術で対抗してくるだなんて……この方は油断できませんね、要注意です。その笑顔が
レテ「あゆみさん紹介するわね、チルノよ」
チル「いよっ、さっきぶり!」
あゆ「さっきぶり〜。チロルちゃんか〜、よろしくね〜」
チル「チロ……お?」
レテ「ふふ、事情は話してあるわ。私がいない間はこの子を頼ってね」
チル「最強のあたいにかかれば『ボーレー』だろうが、お化けだろうが、妖怪だろうが一瞬で凍らせてやる。ドロブネに乗った気でいなよ」
どうやらレティさんとあゆみさんの間には
レテ「『亡霊』じゃなくて『保冷』よ、本当に大丈夫? カエルを凍らせるのとわけが違うのよ?」
チル「お? 凍らせればいいんでしょ?」
レテ「そーねー…、あゆみさん実物持ってない?」
あゆ「ん〜ん、持って来てな〜い」
レテ「心配ねー、やっぱり一度加減を教えておきたいのだけど……」
なるほど保冷剤ですか。そんなもの能力に頼らずとも、冷凍庫に入れてしまえばあっというまに出来上がるというのに、やはり地上の技術は遅れていますね。それなら河童さんに頼んで——
??「それなら霊夢が持ってるぜ」
げっ、歩くポルノ同人誌…。ということは……
海斗「よっ、チルノにレティー。二人とも俺の嫁に——」
やっぱりですか! あなたのそれでいったいどれだけの方が被害にあったと思っているのですか! 河童さんがパルられなければ、機械を調整して平和に済んだんですよ?! しかもよりにもよって妖夢さんは永琳さんの手伝いに、優希さんにいたっては倒れたまま。ブレーキとなる方が誰もいないじゃないですか! マズイですよ……あんなのを野放しにするなんて。このままでは第二、第三の被害者が……いえ、最悪の場合は幻想郷が
あゆ「か、か、か…かっこい〜〜〜〜♡」
海斗「やっぱりか!」
レテ「あのー、例の物を博麗の巫女が持っていると……」
海斗「ああ、霊夢に『ムニムニよこせ』って言えば通じるぜ。あーもう、あゆみんドントタッチミー、プリーズ!」
あゆみさん……ナイスでーす、グッジョブでーす。どうぞそのままお好きなだけハグし続けて下さい。
あゆ「Noで〜す」
海斗「ノオオオオオオッDEATH……」
皆さん、ご安心下さい。こうして幻想郷の平和はあゆみさんによって守られました。
ん? 気を取られているうちにずいぶんと周りが
先生「ではあなた方が。お話はチルノさんから聞いてますよ」
なるほど光の三妖精さん達もこちらに。今は紹介と簡単な挨拶を済ませたところ、といった感じでしょうか。
サニ「はあっ?! アイツ私達のことなんか言ってんの?」
先生「たしかー…」
リグ「アホとドジとオマケだってさ」
先生「そうでした、そうでした」
サニ「アホ!?」
ルナチャ「ドジですかー?」
スタ「オマケ……」
はは…、ひどい言われよう。これは完全にバカにされてますね。それに対して三人とも「アイツにだけは言われたくない」と対抗心を燃やされて。
リグ「じゃあさ、9×9っていくつ?」
まったく……見るに
サニ「かける?」
ルナチャ「それなんですかー?」
スタ「9が9個ってことでしょ?」
ルー「なのだー」
下手に知識という力を手に入れてしまったが
サニ「そんなの知らない」
ルナチャ「えぇっと、9で18で27で36でー」
スタ「9が10個で90なんだから81じゃないの?」
大妖「あっ、早い」
サニ「別に分からなくたっていいし。どうせアイツだって……」
ルナチャ「72で81……81ですかー?」
ミス「へ〜、やる〜♪」
弱者を見下すことを覚えてしまうだなんて。このような展開になる事を承知の上で、この方は平然と話題をふりました。生徒さん達には「人をバカにしてはいけない」と教えているのにも関わらず。
先生「スターさんとルナチャイルドさんお見事です。ちなみにその問題、チルノさんは考えずとも即答できます。今はさらに上級の問題も難なく解けるんですよ?」
サニ「え゛っ、じゃあ私アイツよりも……」
ルナチャ「おバカさんってことですかー?」
スタ「うそうそ、あんなのに!?」
先生「…ふふふ、残念ながらそうなりますねぇ」
まだあおりますか。
先生「そこで私から提案です」
えっ、これはつまり…。
??「やめてくだ
今度はそちらですか。まあ、そろそろ
??「いつまでも子供
ね、子猫ちゃん。
藍 「そんなー、頭ナデナデくらいさせてよー」
先生「どうかされました?」
藍 「お騒がせしてすみません。お
橙 「褒めて欲しくてやってるんじゃいりま
先生「…ふふふ、社交辞令ですか。失礼ですがお二人はどういったご関係で?」
目の前で始まる初対面同士の形式的な挨拶と、当たり
先生「なるほど、主と式神である以前に強い
どうして? どうして今になって地底にも招待状が……しかも
橙 「ただの
なぜ? なぜそんな方が私を見るなりあゆみさんを
先生「…ふふふ、これは思春期と見て間違いないでしょう」
そういえばあゆみさん、能力が開花したと言われていましたね。それと何か関係が……まさかその能力を
藍 「やっぱりそう思いますか?」
あゆみさんのトラウマを探った時に見たあの文字、私はそれを以前にも見たことがある。忘れもしない、あれはボケがボケっ子だった頃、私がボケっ子と初めて会った時に見たものと同じ。地底異変では「知らない」と言われ、今日になって明らかな反応を示したあの『四つの文字』。
藍 「参考になればと様々な書物を読んではみましたけど、どれもピンと来るものがなくて」
なんで? なんであゆみさんとボケっ子の中に同じ文字が? 単なる偶然? もしそうでないとしたら…。ボケ、あなたいったい――
藍 「もうどうすればいいのか……」
分からないことが多すぎる。情報が少なさすぎる。何か
先生「でしたら丁度よかったです」
他に可能性があるとすれば、八雲紫さんと古くからの友人であり、共に姿を消した白玉楼の当主、西行寺幽々子さん。あの方であればきっと何か知っているはず。次に再び現れた時、その時こそ……
先生「サニーさん、ルナさん、スターさん、そして橙さん。私達と寺子屋で学びませんか?」
おっとついに来ましたね、本題が。いい反応ですね、あまりに
先生「体験入学とは言わず、正規の生徒としてです。時期的に丁度いいですからね」
橙 「紫
藍 「橙にその必要ありません! 私がしっかり教育していますので。残念ですがそのお話はお断りさせて——」
先生「寺子屋は何も勉学だけをする場ではありませんよ。仲間と同じ時間を共にする事に意味があるのです」
藍 「例えそうだとしても橙には——」
先生「寺子屋での出来事を聞いてあげるだけでも、お二人の会話が弾むことは間違いないと思いますよ?」
藍 「し、しかし……」
先生「それに、工作や調理実習やお
藍 「だからなんですか?」
心の
藍 「ちぇええええええええええええん!」
って、なにいきなり鼻血噴射されているんですか! なにいきなり崩れているんですか!
先生「悪い話ではないでしょう?」
私 「あの、耳打ちでいったい何を?」
先生「それはですね」
「授業で作った作品を橙さんからプレゼントされると考えたらどうですか?」と尋ねただけ? だけとは言いますが、それが彼女にとってどれだけヘビーだか分かって言われてますよね? この方、やはり要注意です。それと私が読んでいることを
藍 「橙、寺子屋に通いなさい!」
橙 「でも紫様が…、それに能力の修行も……」
藍 「紫様は私が説得する。修行は……」
先生「そこはお任せ下さい、既にカリキュラムを組んでおりますし、とても優秀な体育教師が指導してくれます。実績は折り紙付きですよ。ね、みなさん?」
『えーっと、まあ……』
藍 「橙!」
橙 「私、寺子屋に通いま
けど、もう手遅れだったのでしょうね。
先生「さてお三方の返事がまだでしたね。どうされますか?」
サニ「バカにバカにされっぱなしなのはイヤ!」
ルナチャ「
スタ「すぐに見返してやるんだから!」
私達はすでにこの方の思惑にハマっていたみたいですし、そのつもりでこちらに来たみたいですから。
先生「…ふふふ、四名の入学生、決定ですね」
慧音「それじゃあ……」
春、それは新たな出会いの季節。新たな一歩を踏み出す季節。
先生「慧音先生、阿求さんにお伝えください。生徒の人数に変更はありませんと」
そして旅立ちと別れの季節です。
私 「卒業生ですか」
先生「ええ、親御さんのご都合もありましたね。今年になって一斉に四名の生徒が。
私はイジワルな覚り妖怪、
私 「慧音さんが、ですか?」
先生「私もです」
こんなことは初めてです。
私 「ところで先生、いつから寺子屋に? その前はなにを?」
先生「五年程前からです。それ以前のことは覚えていないんですよ。いやはやお恥ずかしい」
歴史がない方だなんて。
私 「そうですか、変わってますね」
ですよね、