①日本語って面倒くさい
②日本語って応用が効く
③日本語ってちょっと面白いかも
と改めて思います。
純日本人なのに。
--翌日--
いつもより早めに朝食を済ませ、毎度の事の様に魔理沙さんの後ろに搭乗。いざ目指すは危険地帯、紅魔館。内心ちょっとビクビクです。そしてアリスさんはというと、片付けを終えたら来てくれるそうです。嬉しい限りです。
で、やって来ました。
魔理「ここが紅魔館だze☆」
優希「ここが……」
全体的に血の様に紅く、漂う雰囲気は禍々しい。名前と外見がぴったりの館。僕はこの館を見たのは初めてではなかった。それは僕が幻想郷に来た翌日、魔理沙さんに強引に遥か上空に連れて行かれた時だ。あの時僕はこの館を見ていた。遠目では何も感じなかったけど、近くで見ると……
優希「ちょっと不気味ですね」
本音は「ちょっと」じゃないのですが……。
魔理「で、あそこに突っ立ってるヤツいるだろ?」
魔理沙さんが指差す先に、赤毛のロングヘアーの一人の女性が、
優希「はい、なんかずっと足元を見ていますけど……」
手を後ろで組んで
魔理「あれが
優希「は? 寝てる? 門番が? それじゃあ物騒じゃないですか。簡単に泥棒とか入っちゃいますよ?」
魔理「そうそう、だから楽に……」
魔理沙さんはそこまで語ると、突然「あーっと」と声を上げ、話を中断した。僕、意味不明で脳内『?』だらけ。そんな僕を押しのける様に、魔理沙さんは僕の前へと移動すると、
魔理「まあ取り
と告げ、
スチャッ!
ご愛用の超強力魔法の準備。
優希「え!? そそそれはちょっとやり過ぎ……」
魔理「タメ無し、マスタースパーク!」
ビ===ム
放たれたそれは、僕の腕の太さ程度の光。出力されていた時間は1秒前後。やがてその光は門番さんの顔へ……
ドーーーン!
美鈴「ぷはっ! 何!? 敵襲!?」
魔理「おい、お前また寝てたze☆」
美鈴「そんなー、またまたご冗談を。ちょっとウトウトとしていただけですよ」
笑顔を浮かべて手で仰ぎながら、魔理沙さんに話す門番さん。でもそう言いますけど、それ寝てますよ……。
美鈴「そんな事より……、今日こそは館の中へは入れさせませんよ!」
門番さんはそう告げると、一気に戦闘の構えに。そして……。
美鈴「たっぷり寝たから調子が良いんです!」
ウトウトじゃなかった……。それに今、魔理沙さんに「今日こそは」って……
魔理「ば、ばか! 今日はコイツを連れて来ただけだze☆」
「コイツ」と言われた瞬間にお尻に痛みが。どうやら魔理沙さんに膝で蹴られたみたいです。また蹴った! 親父にも蹴られた事無いのにッ!!
美鈴「おや? そちらは? 初めて見る方ですね」
優希「ゅ…ゅぅきで…す」ドキドキ
美鈴「へ?」
精一杯の自己紹介に門番さん、目が点。僕の声は門番さんには届かなかったご様子。すると、見るに見かねた魔理沙さんが、
魔理「あー、優希って言うんだ。なんか人里でお前の所のメイドに相談してとか……」
代わりに紹介をしてくれ、その上経緯まで。ホントに感謝です。お尻を蹴られた事は、これで水に流します。
美鈴「あら、あなたがそうでしたか。一人で魔法の森を歩ける様になりたいと?」
魔理「え? お前そんな事考えてたのか?」
優希「……はい、最近いつも遅いですし。魔理沙さん達に迷惑をかけたくなくて……」
魔理「お前……」
美鈴「えっと、事情はよく分かりませんけど、方法はありますよ」
優希「ホントですか!?」
美鈴「ええ、簡単です。強くなれば良いんです!」
あっれ〜……? やっぱりフラグだったの〜?
--オタク??中--
優希「ゼェー、ゼェー……」
息は切れ切れ、喉はカラカラ、手足はパンパン(ry。一言でまとめると僕、orz。
アリ「優希さん、魔理沙お待た……。えっと……、魔理沙コレどういう……」
魔理「身体能力のテスト中だze☆ でもコイツ……」
美鈴「困りましたね……。コレでは先が長そうです」
門番さんから早くも見切られ通告。それでも「先が長そう」と言ってくれるだけ救いです。ここで「やっぱり諦めた方が……」なんて言われたら本気で困っていました。
魔理「力も無ければ体力も無いし、足も遅い。良いところ無さ過ぎだze☆」
グサッ!
見下ろしながら冷たい視線。加えてキツイ一撃。運動神経が悪いのは自覚しているんです。でも、やっぱり直接言われると傷付きます。それに、「良いところ無さ過ぎ」って……。僕、泣きますよ?
美鈴「分かりました。基礎運動能力の向上と護身術の両方でやっていきましょう」
優希「は、はい。お願ぃ……ます」
美鈴「でも、やる前に一つ約束して下さい」
人差し指を立てて数字の『1』を作り、「約束して欲しい」と告げる門番さん。否、僕の先生。いや、コーチ。「何だろう?」と構えていると、
美鈴「妖怪相手に戦おうなんて思わないで下さい」
ちょっと予想外の言葉が告げられた。
魔理「おいおい、それじゃあ解決にならないだろ?」
アリ「あの、魔理沙。コレいったいどういう……」
美鈴「私が教えるのは身の守り方と
人と喧嘩をした事のない僕にとって、コーチが語る戦法は非常にありがたかった。痛いの嫌いですし、逃げる事に
優希「わ、分かりました」
美鈴「という事で、まずは館の周りを走って来てください。ただ走るのではなく、追われている事をイメージして」
コーチの指示に従い、スタートを切ろうとしたその時、
魔理「なら魔理沙ちゃんが一役かってやるze☆」
と
ドーン!
足元へ撃ってきた。地面の草が……真っ黒に……。焦げてる……。
魔理「先に言っておくけど、当たると痛いze☆?」
優希「いや、あの……ちょっと……」
魔理「嫌なら……、逃げてみろ!」
ドドドドドーン!
優希「わーーー……」
--優希が去った紅魔館の正門前では--
アリ「魔理沙ちょっと!」
光弾を放ちながらオタクを追い回す親友に、静止を呼びかけて追いかけようとする人形使い。だが、その彼女の目の前に武術の達人が、仁王立ちで立ち
美鈴「あなたはここにいてください。じゃないと訓練になりませんから」
アリ「訓練って……、いったいどういう事?」
美鈴「あれ? あなたもご存知ありませんでしたか? なんでも魔法の森を一人で行き来出来る様になりたいそうですよ?」
アリ「そんな……優希さん……。ムリされないでも……」
互いに気を使うが故の食い違い。片や「これ以上迷惑を掛けたくない」という想い、片や「もっと頼って欲しい」という想い。それは決して交わることの無い平行線。
そんな中『
美鈴「うーん、私こういうのは苦手だなぁ……」
青空へ視線を移し、頬をかきながら
--オタク逃走中--
やっと……一周……もう……無理……。
ドサッ
アリ「キャーッ! 優希さん大丈夫ですか!? ちょっと魔理沙! ここまでする事ないでしょッ!!」
美鈴「何回被弾したんですか?」
魔理「30回以上だze☆ 途中から数えるのが面倒になって、よく覚えてないze☆」
アリ「30回以上!? あなた手加減しなさいよ!」
魔理「イヤイヤ、狙いにいったのは数発だけだze☆? でも優希のヤツ、わざと外したつもりの弾にも、ご丁寧に突っ込んでいくんだze☆? どうしろって言うんだよ」
美鈴「あー……、コレは大変だ……。今日はもうお終いに……」
掠れる意識の中、僕を心配する声とダメ出しをする声が聞こえて来る。確かに僕はダメです……。運動神経悪いですし、30発以上被弾する程のマヌケです……。だから……だから……、
優希「いえ……、大丈夫なので……続けて欲しいです」
「無理をしてでも、限界を超えてでも、努力するしかない!」そう自分に言い聞かせながら、全身に走るダメージに歯を食いしばり、ゆっくりと立ち上がる。
魔理「優希、ガッツは認めるけどな、これ以上は魔理沙ちゃんも心配になるze☆」
アリ「無理なさらないで……」
あの魔理沙さんが心配している。アリスさんは困った様な表情を浮かべている。でも、だからと言って、このままその言葉に甘えたら、僕は何も変わらないと思うんです。
優希「いけます! お願いします」
僕は変わらないといけないんです!!
美鈴「分かりました。じゃあ次は
--オタク修行中--
コーチた言う様に形の練習は静かなもので、お陰でかなり体力も回復しました。しかもコーチが手取り足取り教えてくれる上、教え方も丁寧なので、初心者の僕でも分かり易いです。
美鈴「腕をもう少し内側へ絞った方がいいですよ」
優希「こうですか?」
美鈴「そうです。それでここまで教えて来た事を全部繋げてください」
優希「は、はい」
魔理「期待してるze☆」
僕、ここまで教えてもらった事が一連の流れだとようやく理解。そしてコーチに指摘してもらった事を全て思い起こし……いざッ!
まずは基本の構えから、真っ直ぐに伸びて来る棒を、掌で払うイメージ。
サッ!
そこからもう片方の手を大きく広げて突き出し、相手の視界を奪う。
スッ!
最後に全身にグルッと反時計回りの回転を加え、踏み込みと同時に肩で下から
ザンッ!
終わり。ど、どうでしょうか? 決して「ドヤッ」なんてできない。自分でもまだまだだと思うし、動きがぎこちなかったし……。「また魔理沙さんから野次られる」と覚悟を決め、恐る恐る振り返る……。
魔理「おー、優希カッコいいぞ! な?」
アリ「う、うん」
カッコいい!? 人生初の言葉! もう一回言ってくれないかな? あ、その時は録音したい。
美鈴「いい感じです。
優希「はい! ありがとうございます!」
ここに来てやっと褒められ、僕、大歓喜。そして「もっと覚えたい。もっと知りたい」という欲が沸き、
美鈴「では、次回は……」
優希「毎日お願いできませんか!?」
『は?』
暴走しました。みんな口を開けたまま硬直状態。でも、これは抑えきれそうにもありません。
優希「お仕事でお忙しいかもしれませんが、もっと上達したいんです」
それに早く上達できれば、その分アリスさんと魔理沙さんへ迷惑掛けずに済みます。
美鈴「私は別に構いませんが、体もちます?」
優希「やれます!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オタクが熱血している頃、その姿をぼんやりと眺めながら、
魔理「アイツ初めて会った頃と比べると、大分変わったよな?」
ほんの少し前の彼と比較する白黒魔法使い。その結果、彼女の中では「成長した」という結論に。
アリ「え? そうかな? 前から優しくて、少し無茶もするけど、努力家で……」
しかし、彼女の親友の人形使いの結論は「前から変わらない」。だがそれは悪い意味ではなく……。
魔理「そっか、アリスにしか分からなかっただけか」
アリ「?」
そう、それだけの事。だが、2人共通している結論もある様で……。
魔理「でも少し
アリ「あ、うん。それは気付いた」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日から僕の鍛錬が本格的に始まった。毎日朝食を食べた後、魔理沙さんとアリスさんと一緒に紅魔館へと
そしてみっちりと教えてもらった後はバイト。そんな超過酷スケジュールをこなしていった。
当初は仕事中に意識が飛ぶ等のハプニングもあったけれど、事前に事情を話していた酒丸の店長さんの理解もあり、なんとかクビにならずに済んだ。
今ではその生活リズムにも慣れ、稽古開始したあの日から1カ月が経った――――
魔理「この、当たれ当たれ当たれーッ!」
ドドドドドドドドドーン!
魔理沙さんの光弾は単調で単純だから避けやすいです。
魔理「感のいいヤツだなぁ! アリスももっと応戦しろよ!」
アリ「で、でも……これ以上はホントに当たっちゃう……」
魔理「そうでもしないと意味ないだろ! クソーッ!」
アリ「うー……、優希さんごめんなさい! 上海! 蓬莱! 行って!」
アリスさんの掛け声で迫ってくる2体の人形。上海と蓬莱。いつもアリスさんの手伝いをしていて、それ用途だとばかり思っていたけど……めっちゃ修行に参加して来ます。しかもその手に持っている物が……。僕知っていますよ、それ。ナイト専用の武器、『ランス』ってヤツですよね? 当たると痛いヤツですよね? チクンとするヤツですよね? なのに……蓬莱、いい笑顔で振り回さないでくれる?
左から蓬莱、右から上海、僕の逃げ場は徐々に狭まり、「マズイ……」と察知したのも束の間、
魔理「よし、逃げ場無しだze☆!」
魔理「伝家の宝刀! 『恋符:マスタースパーク』! 出力=死なない程度!」
優希「ちょっ、まっ! ムリムリムリムリ!」
ビ=====ム! & ピチューン…
魔理「やっと当たったか」
アリ「魔理沙やり過ぎよ!」
魔理「ちゃんと出力抑えたze☆? 大丈夫だろ?」
アリ「優希さん、優希さん! 目を開けて下さい!」
優希「あ、可愛くて綺麗な天使が……。ここは天国?」
アリ「ここは幻想郷ですよ。良かったー……」
魔理「おいアリス、お前今えらいとこスルーしたze☆?」
魔理沙さんのこの言葉で一気に現実へ。
アリ「え?」
優希「わー! わー! 何でもないです!」
大声を上げ、両手を振りながら必死の抵抗。あんなの聞かれていたらと思うと……は、恥ずかすぃー……。聞き流してくれて正解です。
美鈴「だいぶ避けれる様になりましたね。私も鼻が高いです。でも、ああいう時こそ受け流しと受け身です」
優希「はい。頑張ります」
美鈴「では次は組手をしましょう。昨日と同じ順番で少しずつ早くしていきます」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
紅魔館、そこは吸血鬼の姉妹とその友人、そして彼女達に仕える従者達が暮らす紅い洋館。そこの住人は実力者揃いとして名高い。そんな館の中から、
??「最近、彼も魔理沙も人形使いもよく来るわね」
??「はい、もう1カ月近くになります」
??「いつも見ているけど、なかなか上達のスピードが早いじゃない。それに、美鈴が楽しそうね」
??「最近では少し本気になる事もあるそうです」
??「ふふ、いいじゃない。いい子そうだし、あの子のいい遊び相手になりそうね」
??「お嬢様……」
??「今度、招待してさしあげましょう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
美鈴「ちょっと早いですが、今日もお疲れ様でした」
途中死に掛けましたが、今回も無事五体満足で鍛錬終了。そしてついに……
優希「ありがとうございました」
美鈴「もう
コーチからGoサインが。
魔理「やったな! じゃあ早速今日から……」
アリ「待って! そんないきなり一人なんて……」
魔理「それもそうだな。しばらくは魔理沙ちゃんも一緒に行くze☆ 試しに今からアリスの家から人里まで行ってみようze☆ いきなり夜はハードル高いからな」
という事で、いよいよ魔法の森をこの足で通る事になりました。まだ、不安は色々あるけど、美鈴さんから色々教えてもらったし、きっと大丈夫! のはず……。とそこへ……
??「私も行く!」
魔理「おう、アリスも行くか」
魔理沙さん、今のアリスさんの声じゃ……。
アリ「え? 私も行くけどまだ何も……」
魔理「は?」
??「魔理沙ー! 遊びに来てたなら言ってよー!」
甲高くて幼い声と共に、魔理沙さんの背中に飛び乗ったのは小さな女の子。、短い金色の髪の毛、赤い服、背中に綺麗な石(?)のついた羽根(?)。該当箇所多数。間違いないこの子が……
魔理「フラン!? お前なんで外に……」
フラ「日傘があれば大丈夫!イエイ!」
美鈴「妹様。レミリア様からの外出許可は出ていますか?」
フラ「えー、だって絶対ダメって言うんだよー」
魔理「また今度来るからそん時な」
魔理沙さんに「遊ぶのはまた次回」と告げられ、フランさんは「ブー……」と頬を膨らませ、不服といったご様子。その仕草から「面白くて可愛らしい人だな」と思い始めた時だった。
フラ「ん? あなたは誰?」
フランさんとバッチシ目が合ったのは。完全に僕をロックオンし、逃げる隙を与えなかった。
優希「ゆ、ゆぅきって……いいます」
見るからに年下の幼女に敬語……。けど、ものすっっっごく年上のお方なので、これで正解。
フラ「ふーん、ゆーきね。あなた、今度私と遊んでくれる?」
自己紹介を終えると、彼女はあどけない顔で、首を傾けながら尋ねてきた。自然に、それこそまるで子供の様に。僕には純粋に「一緒にあそぼ」と言っている様に聞こえた。だからそれに釣られる様に……
優希「え? あ……」
答えようとしていた。その矢先、
魔理「優希!」
アリ「優希さん!」
魔理沙さんとアリスさんが緊迫した表情で、それを止めに来た。僕、何がなんだか分からず、「へ?」と変な声を発声。すると魔理沙さん、僕に背を向けて、フランさんから隠す様に間に立ち……。
魔理「フラン、今度絶対遊んでやるから……。私だけでいいだろ?」
違和感。魔理沙さんは自分の事を言う時は、常に「魔理沙ちゃん」だった。でも、今は確かに「私」って……。
フラ「うん、いいよ。じゃあね、ゆーき。マタ、コンドネ……」
ゾクッ……!
全身を走る寒気。去り際に見せたその表情は、「いいおもちゃを見つけた」と言わんばかりの笑顔。でもその瞳は獲物を捕らえる狩人その物。完全にこの時理解した。彼女は僕の事を狩ろうとしていたと。ヤバイ……、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイヤバイッ! 今の人ホントにヤバイッ!! 次に会ったら僕、どうなっちゃうの? 無事でいられる?
海斗君……。僕は今、君の一押しの嫁に会いました。言わせてください。嫁とかふざけて言える次元の人じゃないです! 殺されます! 嫁を変える事を強くお勧めします!!
魔理「今のがフランだ。会えて良かったな」
優希「もう、会いたくないです……」
魔理「それが正解だze☆」
アリ「最近は大人しくなったって聞いてるけど……」
魔理「いつ爆発するか読めないze☆ おっと、早いとこ戻ろうze☆」
思い知らされた。この世界で会った人達は、みんないい人だったから、きっと凄く素敵な世界なんだと思っていた。でも、これが実態。ああいう人もいる。
魔理沙さんが前に言っていた「光りあるとこに闇がある」っていう言葉の意味と重みが、今ひしひしと送れて伝わってきます。幻想郷……、怖い。
--オタク通勤中--
アリスさんの家に一度戻って荷物を持って準備完了。忘れ物無し。人里を目指していざ!位置についてヨーイ、ドン!
魔理「もう少しペース上げてもいいか?」
現在魔理沙さんを先頭に僕とアリスさんが並走中。とは言っても走っているのは僕だけ。魔理沙さんとアリスさんは低空飛行で飛んでいます。そんな状況ですが、多くの方に鍛えてもらった
でも今まで平坦な道でしか走っていなかったから、森の中のアップダウンは地味に足腰に響きます。
優希「まだ何とか。でもやっぱり森の中は走り辛いですね」
アリ「大木ばかりで、根が太いですから……」
と、愚痴にも似た感想を呟いていると……。
魔理「待った!」
魔理沙さんが緊急停止。そして周りを見回して……
魔理「あいつら〜……」
と。そしてアリスさんまでも。
アリ「もー、あの子達、急いでるのに」
優希「え? どうかしたんですか?」
魔理「優希、そこの木に体当たりしてみろ」
優希「コレですか? なんで?」
魔理「いいからやってみろよ」
とは言われたものの、魔理沙さんが何故そんな事を言うのか意味不明。よく分からないまま、言われた通り目の前の木に軽く突進してみると……、
優希「あれ? は? なに? なんで?」
そのまま通過。物理法則を無視され、僕、頭の中大混乱。
魔理「妖精のイタズラだze☆」
アリ「たまにやってくるんです」
魔理「アホ3匹のな」
魔理沙さんが暴言を吐いて0.1秒後、
??「アホとか言うな!」
??「今日はちゃんと考えたんです!」
??「えーと……です!」
何処からか子供の様な声が。でもすぐ近く。こっちかな?
優希「あ、見つけた」
『あ……』
見つけたのは背中に羽の生えた3人の女の子達。それぞれ赤、白、青を基調とした服を着ていた。それはそれでいいとして……
魔理「よし、こうしとけばもう悪さはしないだろ」
赤服「ほどけーッ!はなせーッ!」
白服「妖怪達に食べられちゃいますー!」
青服「だから止めようって言ったのにー!」
魔理沙さんに
アリ「彼女達は仲良し3人組の妖精でして、赤い服の一番元気な子がサニーミルク、白い服の髪がクルクルな子がルナチャイルド、青い服の大人しそうな子がスターサファイアです」
『アリスさん助けてー』
優希「知り合いなんですか?」
アリ「たまにお菓子を食べに来るくらいなんですけどね」
涙目に助けを求めて来る3人の妖精達に、苦笑いを浮かべ、彼女達との接点を説明してくれるアリスさん。お菓子を上げているなんて優しいですね。でもアリスさん、それ多分
そうしている間もギャーギャーと叫び声を上げ、助けを求める3人。なんかもう見ている方が辛いです……。
優希「魔理沙さん、少し可哀想なのでその辺で……」
『いい人だー!』
魔理「お前ら反省してんのか?」
『もうしません!』
魔理「優希に感謝するんだな、ほれよ」
ドサッ!!!
サニ「イッター……、もうちょっと優しく下ろしてくれてもいいじゃんか!」
ルナ「っつ〜、酷いよー……」
スタ「いたたたぁ、ごめんなさい……」
魔理「2匹の反省の色が見えない。全体責任で近距離マスパいっとくか?」
『ごめんなさい!』
3人寄り添ってガタガタ震えながら「ごめんなさい」と。もう魔理沙さんが悪人に見える……。
魔理「もうイタズラするなよ! 特に、優希は今日からココを通る事になるんだ。もし、優希に何かあったら……」
『あったら……?』
魔理「近距離マスパと妖怪の餌、どっちがいい?」
『どっちもイヤー!』
魔理「じゃあ死ぬ気で優希を守れ!」
はい? 魔理沙さん、今……何と?
サニ「え? 夜も?」
魔理「なんか問題あるのか?」
サニ「だって寝る時間……」
スタ「いつも早く寝ているので……」
ルナ「そ、そーそー」
魔理「おい、待て。1匹は分かるぞ? でも、スター! ルナチャ! お前らはどちらかといえば夜の妖精だろ!?」
魔理沙さんのこの一言で、ハッと気付いた。それは3人の名前。サニー=太陽。スター=星、ルナ=月。そう気付けば確かに3人ともそれっぽい。そして「夜の妖精」と言われ、立場が悪くなったクルクルヘアーのルナチャイルドが……
ルナ「えーっと、まだ成長期だしー、夜更かしはお肌に悪いしー、朝は早くから近所の掃除をしなきゃならないしー、こう見えて若くないしー……」
両手の人差し指を付き合せてモジモジと言い訳。その瞬間、魔理沙さんからスチャッと音が。
魔理「よし、近距離マスパが決定した」
優希「魔理沙さん、大丈夫ですから。もうイジメないで下さい。イタズラされなければそれでいいです」
『いい人だー!』
サニーミルク、
ルナチャイルド、
スターサファイア
そしてついに、
フランドール・スカーレットが
登場でした。
次回:「護衛連盟」