Ep.1 に引き続き、
ここまで読んで頂いたこと、
心から感謝致します。
これからも【東方迷子伝】を
どうぞよろしくお願いします。
フランさんとの恐怖のリアル(吸血)鬼ごっこの一件があってからしばらく経って――――
外はぽかぽかと暖かくなってきた。快適な気候。もうすっかり
??「春ですよー」
……。それで今は酒丸の店長さんの畑で収穫の手伝いをしています。キャベツにからし菜、玉ねぎ。もうすっかり
??「春ですよー」
……。桜の木も……
??「春ですよー」
優希「あの……、この子何なんですか?」
店長「春告げ精のリリーホワイトだ。春が来た事を教えてくれんだ。でもなんか兄ちゃん、えらく気に入られたみたいだな」
優希「えー……」
もうさっきからずっとニコニコしながら付いてくる。僕何かしました?
アリ「優希さんもしかして春生まれですか?」
今日はアリスさんも一緒です。収穫した野菜を少し分けてもらえるという事で、魔理沙さんと一緒に来てくれています。アリスさんが慣れた手付きで野菜を収穫していく中、魔理沙さんは……、はい、ご想像通りです。木陰で爆睡中です。朝早くから来ているので、仕方ないと言えばそれまでなのですが……もうちょっと手伝ってくれても……。
優希「はい、桜が満開になるちょうどこの時期くらいです」
アリ「だから気に入られているんだと思いますよ」
リリ「春ですよー」
優希「そうみたいですね……」
--オタク収穫中--
カラカラ……。
店長「今日は手伝ってくれてありがとうな」
アリ「いえ、私達の方こそ収穫した野菜をこんなに頂いてしまって。ありがとうございます」
魔理「ふぁ〜。たまに仕事するのもいいもんだze☆」
アリ「魔理沙、あなたほとんど何もしてないじゃない!」
優希「あの……」
魔理「アリスは真面目過ぎなんだよ」
アリ「魔理沙が不真面目なだけよ!」
優希「ちょっと……」
店長「ははは、2人とも仲が良いんだな」
リリ「春ですよー」
優希「あ・の!! 野菜を積んで4人はさすがに重いです!」
荷車を引くのは僕の日課ですよ。それは認めます。でも何でさも当たり前の様にみんな乗るの!? 魔理沙さんとリリー飛べるでしょ!? 店長さんも足はもう治ってますよね!?
アリ「重かったですか? ごめんなさい。じゃあ私は飛んで行きます」
優希「いえ、アリスさんは……」
魔理「なんだよアリスは良くて、魔理沙ちゃんはダメだって言うのか? 差別だze☆!」
リり「春ですよー!」
魔理沙さんに便乗して「そうですよー!」みたいに答えるリリー。はいはい、すみませんでした。でもさリリー、いつまで付いてくるの?
店長「鍛錬だと思って頑張れよ。それに急いで行かないと、宴会に間に合わなくなるぞ?」
そう、今日は霊夢さんの所、博霊神社で花見を開催する事になっている。夜はもう神社に寄る事がなくなったので、今までお世話になったお礼をしに行った時に、誘われたのです。ドヤドヤ。でもまあ実際は、「絶対来い」みたいに半ば(?)強制的にですが……。
なんでも、霊夢さんの知り合いが沢山来るらしく、大宴会になるそうで、これは食材稼ぎに来ているというのが本音です。
魔理「優希急げ!」
僕を馬だか牛だかの様に扱う魔理沙さん。結局みんな(アリスさん除外)降りないわけですか……そうですか……。だったら……。
優希「も゛ーッ! わかりましたよ!」
やけくそです!
優希「走るんで捕まっててください!」
持ち手を握り直して大きく深呼吸。全身を前に傾け、足に力を込めて、ヨーイ……。
優希「だあーーーーーーーーッ!」
アリ「わ、気持ちいい!」
魔理「やればできるじゃないか」
店長「いいねー。若いねー」
リリ「春ですよー」
--オタク全速中--
霊夢「あら、いらっしゃい。食材調達ご苦労様。一人だけ息は切れ切れ、汗はダラダラで気持ち悪いけど」
足も腕もパンパンなんです……。
優希「霊夢さん……、水……」
霊夢「では、感謝の気持ちをこちらに」
優希「もう掘り返さなくていいです」
魔理「あれから随分たったな」
アリ「色々あったけどね」
早いものであれからもう半年程度が経過しました。色々な人に出会えて、親切にしてもらって、時々驚かされて、怯えて……。僕の人生史上初です。こんなに波乱万丈だったのは。でもすごく充実していました。楽しかったです。本当に心から感謝です。
でもその前に……
優希「水……」
こっちが最優先。じゃないと僕、枯れる……。
霊夢「もう勝手に飲んで来なさいよ。それともうすぐでみんな来るのよ? その汚い格好でいる気? 風呂にも入って来なさい」
アリ「じゃあ私は一度家に戻って優希さんの着替えを持ってきますね」
魔理「じゃあ魔理沙ちゃんは……」
霊夢「あんたは手伝いなさい。今年はやたらと多いんだから」
--オタク入浴中--
久しぶりの霊夢さんのところの温泉。やっぱり癒される~。たまには温泉だけ入りに来てもいいよね? ……でも一人で来るとお金請求されるかな? もう知り合いなんだし、さすがにそれは……、無いとはいいきれない……。
「温泉に入りたい vs お金請求怖い」の
優希「霊夢さん、お風呂ありがとうございました」
霊夢「はいはい。早速で悪いけど、外から薪を持って来てくれる?」
優希「はい、喜んで」
ついつい仕事のクセが……。これが
外に出ると、魔理沙さんとアリスさんが地面に『お絵かき』を……。僕、「何故に今?」と困惑。
優希「魔理沙さんとアリスさん何をされているんですか?」
アリ「あ、優希さん。お風呂から上がられたんですね」
優希「はい、着替えありがとうございました」
アリ「いいえ、どういたしまして」
優希「で? これは一体……」
魔理「転送呪文の魔法陣だze☆」
シレッと答える魔理沙さん。僕、その言葉に
でも魔理沙さんは、そんな僕の心境を悟った様に、手を休める事無く語り出した。
魔理「お前、今コレがあったら苦労しないで、人里に行けると思ったたろ? でもこれな、スゲー魔力を使うし、転送先にも魔法使いがいないとダメなんだ。結構不便なんだze☆?」
優希「そ、そうなんですか……」
そう聞いて何故かちょっと一安心。きっと「無駄じゃなかった」って思えたから。で、今こうしてせかせかと描いていらっしゃるという事は……。
優希「魔理さんとアリスさん何処かへ行かれるんですか?」
魔理「いや、逆だze☆ 来るから描いてるんだze☆」
僕の質問に魔理沙さんはそう答えると、立ち上がって手を
魔理「よし、出来上がりだze☆」
と。出来上がった円の内側には、様々な幾何学模様や初めて見る文字が一定の間隔で描かれており、どこか芸術作品の様でもあった。
優希「なんかコレ凄い模様ですね。それと来るって一体誰が……」
僕が尋ね様とした瞬間だった。
優希「うわっ、眩しっ!」
足元の魔法陣が突然強い光を放ち、輝き始めたのは。
魔理「優希の知ってるヤツらだze☆ 見てろよ?」
そして魔理沙さんは両手を魔法陣へ向けて構え、
魔理「アリス、補助頼むze☆ あ、優希は少し離れた方がいいな」
アリスさんへ指示。するとアリスさんは魔理沙さんの背中に手を当て、瞳を閉じて意識を集中させ始めた。それはまるで魔理沙さんに力を送っている様でもあった。その後すぐに、魔理沙さんはぶつぶつと何かを呟き始め、僕は「あれは呪文かな?」と思いながら、2人から1、2歩離れた位置でその姿を見守っていた。と同時に「やっぱり2人は魔法使いなんだ」と再認識。もう疑ってませんけどね。
ピカッ!
強い光がカメラのフラッシュの様に一瞬だけ放たれた。眩む目。徐々に慣れた時、魔法陣の円の中にいたのは……
??「あら、ゆーきさん。いらしてたんですね」
??「ゆーきだ! ヤッホー!」
??「これはこれは、最近来ないんで寂しいんですよ」
??「あら、酒丸さんの」
レミリアさん、フランさん、美鈴さん、メイドさん。紅魔館の人達だ。
でも、
初めて見る人が2人……。
??「魔理沙とアリス、ご苦労だったわね。それと魔理沙、いい加減に本を返しなさい」
紫色の長い髪に紫を基調とした……パジャマ(?)を着た女の人と、
??「この度は紅魔館一同をお招き頂き、ありがとうございます」
銀色のショートヘア、メイドカチューシャをして……、ミニスカ!? 短っ! この人もメイドさんなの?
優希「あの……魔理沙さん、こちらのお2人は?」
魔理「こっちの眠そうなのがパチュリー。で、そっちの怖そうなメイドが咲夜だze☆」
パチュ「眠そうで悪かったわね。パチュリー・ノーレッジです。あなたがゆーきね。レミィから話は聞いてるわ」
咲夜「
優希「ゅ、ゆ〜きでで……す」ドキドキ
魔理「お前そんなんで大丈夫か? これからもっと知らないヤツら来るんだze☆?」
そういえば、かなりの人が来るって言ってたけど、全部で15人くらいじゃないの? と思いながらも一応確認。
優希「あの……、どれくらい来るんですか?」
魔理「ん〜、少なく見積もっても、40は超えるんじゃないか?」
優希「40!?」
前代未聞の数字に僕、また驚愕。酒丸の満席時と同じくらいじゃないですか!
魔理「その中で優希が知っているのなんて、半分もいないze☆?」
そうでしょうね。僕が知っている方々なんて今ここにいる方達だけですよ。10人もいませんよ。そんな中で僕……。どどどどうしよう。一気に不安に。
優希「で、でも目立たなければ……ね」
魔理「あー、それはちょっと厳しいかもなぁ……。な? アリス」
優希「え? なんでですか?」
アリ「えーっと……」
視線を横に外すアリスさん。と、そこに……
霊夢「ちょっと優希、遅いわよッ!」
お払い棒を片手にもった霊夢さんからお叱りの声が。そういえば薪を取りに来たんでした。
霊夢「ってなによ、レミリア達も来てたの?」
レミ「ええ、お邪魔するわ。ところで人手は足りてる?」
霊夢「さっき3妖精を叩き起こして手伝わせてるけど、全然足りないわ」
3妖精。スター、ルナチャ、サニーは博霊神社の敷地内の大木に住んでいると本人達が言っていた。つまりあのお払い棒の用途は……文字通り叩き起こされたのだろう。
レミ「なら
『はい、お嬢様』
レミリアさんの指示に頭を下げ、霊夢さんの後を付いて行く様に台所へと向かって行った。
魔理「なー、もう1人のメイドは誰だ?」
レミ「最近雇ったフラン専属のメイドよ」
魔理「フラン専属って……大丈夫なのかそれ?」
レミ「ええ、仲良くやっているわ。あら? もう何組か来たみたいよ」
誰かの気配を感じ取ったレミリアさん。その視線は神社の鳥居の奥、階段へと向けられていた。そして聞こえて来た
??「チビウサギちゃんありがと〜」
緩い声。その声に反応し、僕も釣られる様にそちらへと顔を向けると……
小兎「お安い御用ウサ。でも、耳は握らないで欲しいウサ」
??「え〜でも〜ハンドルみたいで〜」
??「耳って結構痛いから止めてあげて……」
そこには、黒い髪に大きな兎の耳をした小さな女の子と、彼女におんぶされているケーキ屋の女の子が。さらに、その隣には……女子高生!? 兎の耳をつけた女子高生がいる! あの人も外来人かな?
??「私は面倒だから飛んで来たわよ」
??「たまには体を動かせよネオニート」
ニート 「な、誰がネオニートよ! 単細胞!」
単細「あぁ〜? 誰が単細胞だぁ!?」
次に階段に現れたのは、長い黒髪の日本人形みたいな女の人と、長い白髪のヤンキーみたいな女の人だった。お互い睨みあって一触即発のヤバイ雰囲気……。と、そこに
??「2人共こんな時まで止めなさい」
三つ編みの長くて綺麗な銀髪。左右で赤色と青色に分かれた不思議な服。凛とした顔の女性が仲裁に入った。『人は見た目では分からない』とは言いますが、この人は100%頭がいいって分かります。もう全面的にそれが出てます。
??「霊夢ー、遊びに来てやったぞー!」
??「チルノちゃん、今忙しそうだから後でにしよ……」
??「鰻持ってきたよ〜♪」
??「お、アホ3人組じゃん。働かされてんの?」
??「なのかー?」
『うるさい! 手伝え!』
スター、サニー、ルナチャと話しているのは……うん、間違いない。前に見た事がある。確か寺子屋の生徒達だ。そういえば3人は寺子屋に行ってなかったような……。あ、喧嘩したらダメだからね。仲良くね。
スタッ。
さらに空から3人。
1人目は2つの球体がついた帽子を被った女の子。見た目も身長も僕よりも低い。本当に女の
2人目は背中に大きなしめ縄を背負った大人の女性。背が高くて迫力がある。
3人目は長い緑色の髪の毛をした、僕と同じ年くらいの女の人。服装がどこか霊夢さんに似ている。という事はあの人も巫女なの? そういえば、里で山の上に神社があるって話を聞いた事が……。その関係者達かな?
謎の多い3人組に首を傾げていると、寺子屋の生徒の一人、エメラルドグリーンの髪をした……妖精(?)が
??「あ、
3人組の1人、1番背の小さな女の子に挨拶。するとその女の子は……
諏訪「よー、チビ共。元気にしてたか?」
と。あの子はスワコっていうんだ……。寺子屋の生徒達と面識あるみたいだけど、「チビ共」って……。あまり変わらないでしょうに……。
霊夢「手が空いてるならどんどん手伝いに来なさいよ! これじゃいつまでたっても始められないわよ!」
花見の参加者が続々と集まる中、響き渡る霊夢さんの大きな声。右手におたま、左手にお払い棒を握り締め、みんなに「手伝え」と。お払い棒は常備なんですね。
兎耳「あ、私手伝います」
緑髪「はいはーい、やりまーす」
「『はーい』なのかー」
兎耳「あれ? みんな来てたの?」
??「あ、うどんだ」
??「こんにちは〜♪」
チル「よ!」
妖精「鈴仙さん、こんにちは」
??「なのかー」
そしてその声に挙手したのは、ウサギ耳の女子高生と緑髪の霊夢さん服の人、寺子屋の生徒達。去り際に霊夢さんが険しい顔で、僕に向けてクイッと
それにしてもすごいです。次から次へと人が集まって来る。しかもこの人達はみんな霊夢さんの友達で……。人望、人柄、魅力。その全てが霊夢さんにはあるんだろう。それは僕とは真逆で、僕では絶対に真似出来ない、辿り着けないところ。正直羨ましいです。僕もそんな風になれていたら、外の世界で楽しく出来ていたのかな? 友達沢山できていたのかな? 友達……。僕の唯一の気心知れた仲。遠慮しないで話せる相手。僕の本心を理解してくれる人。今頃どうしてるかなぁ……。
??「すっげーーーッ! みょん、オレの元嫁候補が大集合だぜ!」
??「ちょっと、大きな声でやめてください…」
??「あらあら、良かったわね」
そこに聞えて来たハイテンションの、大興奮の、大歓喜の声。それは僕の近くで何度も聞いたあの声。幾度と無く助けてくれたあの声。心の底から安心できるあの声。
『げっ、カイト』
それに加えてダメ押しとなるその名前。今みんな『カイト』って……。間違いない。高鳴る心臓に堪えながら、ゆっくりとそちらへ視線をむけると、そこには……
優希「海斗くん!」
見慣れたシルエット。夢でも幻でも見間違いでもない。そこにいるのは僕のただ一人の友達で、親友。アリスさん達に親切にしてもらって、色々な人と仲良くなれた。すごく嬉しかった。けど、心の底ではやっぱりどこか不安で、遠慮していて、これ以上迷惑掛けたく無いって、常に一歩引いていた……。だから僕は今、海斗くんと再会できて、心からホッとしています。
海斗「!?」
海斗君も僕に気付いてくれたみたいで、走って駆け寄って来てくれた。そして、僕の肩を両手でつかむと……。、
海斗「大変なんだ優希! オレの嫁候補達の『D』が一つ増えちまった!」
えーーー……。久しぶりの再会の第一声目がコレ?
Ep.2 ようこそ!幻想郷へ【完】
Ep.2 はこれで終わりですが、
優希の幻想郷での生活はまだまだ続きます。
そして、ここで海斗を含む
オリジナルのキャラクターが
ごそっと出てきました。
彼らのエピソードも書いていければと思います。
下記に花見の現状の参加者をちょっとまとめます。
《幻想郷の参加者》
1.博麗霊夢 2.霧雨魔理沙
3.アリス 4.紅美鈴
5.レミリア 6.フラン
7.十六夜咲夜 8.パチュリー
9.藤原妹紅 10.蓬莱山輝夜
11.八意永琳 12.鈴仙
13.てゐ 13.洩矢諏訪子
14.八坂神奈子 15.東風谷早苗
16.チルノ 17.大妖精
18.リグル 19.ミスティア
20.ルーミア 21.スター
22.サニー 23.ルナチャ
24.魂魄妖夢 25.西行寺幽々子
26.リリーホワイト(?)
まだ花見には登場していない
キャラもいますので、
これから誰が登場して、
どの様な展開になるのかご期待ください。
さて、次回から新章が始まります。
新章は優希から離れて、
また別のストーリーになります。
次回の更新予定日等については、
活動報告に記載致しますので、
そちらをご確認頂ければと思います。