毎度の事ですが、
読んで頂きいつもありがとうございます。
??「今日もよろしくお願いします」
「『よろしくお願いしまーす』なのかー」
??「先日お話した通り、本日は特別講師を呼んでいます。それではご紹介しましょう。どうぞ入って来てください」
ガラ……。
丁寧に扉を開き、軽く一礼をして教室の中へ。長い薄紫色の髪と、長い兎の耳が特徴的なこの人が、今回の特別講師。
鈴仙「ど、どうも。
今日は私の代わりに知人に先生をしてもらう日。これは生徒達を飽きさせないための工夫の一つで、たまにこの様な授業を行う事にしています。
大妖「あっ、
チル「薬屋だ」
ミス「いつもご
リグ「なーんだ、ウドンじゃん」
ルー「うどんなのかー? じゅるり……」
ルーミアさん、食べてはいけませんよ?
鈴仙「
??「今日の理科の授業は、こちらの鈴仙先生に教えて頂きます。ちゃんと聞いてくださいね」
「「『はーい』なのかー」
??「では、鈴仙先生よろしくお願いします」
鈴仙「えっと、今日私がみんなに教えるのは、生き物……虫についてです」
リグ「虫とな!?」
大妖「リグルちゃんの得意分野だね」
チル「アタイも虫好きだぞ」
ミス「私はちょっと苦手かも……」
ルー「美味しいのだー」
『えっ!?』
鈴仙「えーっと、続けていいですか? 虫にも色々種類がいて、そうですねぇ……。例えば、クモと
ルー「蝶には羽があるのだー」
チル「アタイ知ってる! クモは糸を出すんだぞ!」
鈴仙「あはは……そ、そうだね。それも違うね。他には?」
大妖「足の数と……」
鈴仙「そう! 足の数が違うね。クモは8本で蝶は6本」
ミス「
鈴仙「そう! 食べるものも違うね。だから……」
リグ「狩る側と狩られる側の違い?」
『うわー……』
生徒達の勢いに終止圧倒されっぱなしの鈴仙先生。彼女自身『教える立場』というのが初めてなのでしょう。あたふたとしている反応が初々しいです。生徒達も教え慣れている私とは違った表情を見せてくれていますし、良い刺激になっているみたいですね。……もう少し見守っていたいところですが、後は鈴仙先生に任せましょう。
--この日の放課後、職員室にて--
鈴仙「ふーっ、先生ってすごく大変なんですね……」
この日の授業を無事に終えた鈴仙先生。慣れない役目から解放され、どっと疲れが湧き上がったのでしょう。席に座るなり突っ伏してしまいました。
??「そうでもないですよ。慣れてくると楽しいものですよ」
鈴仙「今日の事……お酒の席でとは言え、誘われた時に承諾してしまった事をちょっと後悔しています」
??「おや? それはどうして?」
鈴仙「私、きちんと授業できていたか……。生徒達にちゃんと伝わっているか自信がありません」
??「最初は誰でもそう思うものです。でも、鈴仙先生の想いはちゃんと届いていると思いますよ?」
鈴仙「そうでしょうか?」
??「ええ、だからまた次回もお願いしますね」
鈴仙「……はい」
浮かない表情を浮かべて渋々といった様子ですが、次回も講師をやってもらえることになりました。
--別の日--
??「今日は先日に引き続き、鈴仙先生の授業です。では、よろしくお願いします」
鈴仙「はい、それじゃあこれからテストを……というより、確認問題をさせてください。問題を配るので、配られた方から始めてください」
理解度のチェックといったところでしょうか。相談もしてもいいとの事なので、既に何人かの生徒は周りと確認しながら進めていますね。さて、最前列の彼女達はどうでしょうか?
チル「大ちゃんどう?」
大妖「ちょっと自信ないな……」
ルー「虫なのかー?」
リグ「フフフ、私にとってはこんなの楽勝。『足が6本、体が3つに分かれている虫をまとめて何というか』なんて……」
ミス「リグルわかるの~?」
ルー「なんなのだー?」
リグ「答えは簡単! 『家来』だ!」
「『それ絶対違う』のだー……」
鈴仙「うーん……。あまり覚えていない人が多いかな? じゃあ、それでもう一回おさらいをしましょう。えっと、まずは今リグルが言っていた問題、これ分かる人はいますか?」
生徒「昆虫?」
鈴仙「そう、正解」
チル「リグルさぁ、家来って……」
大妖「それはリグルちゃんだけだよ」
ミス「ふふふ~♪」
リグ「だって……」
鈴仙「リグルの能力は『
リグ「そうだけど?」
鈴仙「能力の
「『はーい』なのだー」
リグ「ふんッ! わかってるよそれくらい……」
--この日の授業後、職員室にて--
鈴仙「はーあ……、やっぱり理解してくれている子、あまりいませんでした……」
先日同様席に戻るなり、突っ伏してしまいました。しかも今日は頭上にどんよりとした影まで見えます。自信喪失、と言ったところでしょうか? でも……。
??「でも、最後のあの言葉は良かったと思いますよ。それに、外を見てください」
視線の先、そこには下校を始める生徒達の姿が。何やら随分と足元を気にしている様です。これはおそらく……。
チル「大ちゃん、そこにアリがいるから踏んじゃダメだよ」
大妖「うん、ありがとう」
ルー「アリはなんなのだー?」
ミス「昆虫だよ~♪」
リグ「……」
やはりそういう事だったみたいです。
??「ちゃんと伝わっていたみたいですね」
鈴仙「あの子達……」
??「先生をやっていて一番嬉しいのはこの瞬間です」
鈴仙「……」
??「次回もお願いできますか?」
鈴仙「……はい」
この日を境に鈴仙先生は授業後に背中を曲げる事は無くなりました。授業中も明るいリラックスした表情を見せてくれる様になり、先生という立場を楽しんでくれているみたいでした。ですが彼女には本職があります。残された授業の回数は僅か。思う存分楽しんで欲しいものです。
--鈴仙先生、最終日--
??「これで鈴仙先生の特別講師の授業は終わりです。最後にみんなでお礼をしましょう」
『ありがとうございました』
鈴仙「こちらこそありがとうござました。教えるのが上手じゃなくてごめんね」
鈴仙さんから最後に簡単な挨拶をもらい、いつもの様に帰りのホームルームを済ませれば……と、その前に。リグルさん、今です。
リグ「うどん……コレ……」
鈴仙「えっ?」
リグ「みんなで寄せ書きしたんだ。それと虫の授業ありがとう。私今までアイツらの事をずっとみんな同じで、道具みたいに思ってた。でも、あの日『命がある』って言われて……。だから私、アイツらの事をもっともっと知ろうと思う」
鈴仙「うん……、ありがとう。リグルならきっと良い上司になれるよ」
??「良かったですね」
鈴仙「あの……」
??「なんでしょうか?」
鈴仙「また……先生をしに来てもいいですか?」
??「ええ、もちろん。その時はまたよろしくお願いします。鈴仙
--そして更に時は経ち--
チル「リグルー、この虫なに? G?」
大妖「ひっ! G!?」
ミス「いや~~~~♪!」
ルー「イヤなのだー!」
リグ「Gじゃないよ。それはヤマトカブトムシの
チル「へー、カブトムシの
『!?』
リグ「チルノ……一発殴らせろ」
大妖「リグルちゃん落ち着いて!」
ミス「チルノ謝って~♪」
ルー「リグルはGだったのかー」
リグ「ちげーよ! 蛍だ!」
ルー「わははー、おしりが光るのかー?」
リグ「よし! ルーミアとチルノ、まとめてピチュってやる!」
大妖「お願いだから2人とも謝ってよ!」
ミス「これ以上ややこしくしないで~♪」
チル「フフフ……大ちゃん、ミスチー。1つ忘れている事があるよ。アタイは最強なんだ!」
『そうじゃなくて!』
ルー「Exモードはありなのかー?」
『それは絶対ダメ―!』
??「はいはい、チビ共そこまでにしときなよ」
最近、生徒達の生物への関心が強い。特にリグルは今まで以上に、虫について勉強をしていて、今となっては寺子屋一の虫博士だ。鈴仙の授業がみんなにちゃんと響いているのだろう。
ここは幻想郷唯一の寺子屋。特別講師は随時募集中です。
教育実習生の授業。
普段の先生達とは違い、
授業を受けている側なのに、
初々しさを感じていました。
次回:「3時間目 算数」