算数が一番得意でした。
テストも楽に100点を取れていましたが、
その後、算数は数学に姿を変え、
苦戦する存在になっていました。
算数⇒数学への進化は反則です。
??「今日もよろしくお願いします」
「『よろしくお願いしまーす』なのかー」
??「突然ですが、今日は体験入学の方が来られています。それではご紹介します」
ガラッ……
『えーーーーーーッ!!』
大妖「えっ!」
チル「!?」
リグ「はぁッ?」
ミス「ふぇ~♪」
ルー「なのかー?」
??「みなさんご存じの様ですよね。
諏訪「よ、よろしく」
大妖「神様がなんで?」
リグ「神社いいのかよ?」
ミス「ふぇ~♪」
ルー「なのかー」
意外な体験入学者に目を点にする生徒達。無理もありません。容姿からはとても想像できませんが、彼女は紛れもなく長年行き続けている神様。この様な場所に来られるような方ではありません。ましてや体験入学だなんて……。
そんな生徒達の中で唯一様子がおかしい
??「アタイのせいだ……」
チルノさん、頭を抱えてうずくまってしまいました。
「『え!?』なのかー?」
大妖「もしかしてあの時の?」
男子「チルノ、お前何したんだよ?」
チル「じ、実はこの前、大ちゃんと守矢神社に遊びに行ったときに……」
リグ「あそこまで行ったのか? お前ら遊びに行く範囲広いな」
チル「最初は2人でかくれんぼをしていたんだけど、途中から大ちゃんに九九の宿題を教えてもらっていたら……」
大妖「諏訪子さんが来て、ちょっと難しかったみたいで……」
生徒「わからなかったの? 九九が?」
チル「う、うん」
ミス「でも、それだけじゃ……」
大妖「そしたらチルノちゃんが『神様なのに九九知らないの?』って」
リグ「うわぁ、それ100%チルノが原因じゃん」
チル「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
ルー「帽子はないのかー?」
『そういえば』
諏訪「神奈子と早苗に取られた……」
『えっ!?』
??「諏訪子さんの件はご家族からの希望なんです。ですから、チルノさんが責任を感じる必要はありませんよ」
リグ「あー、読めた。あの2人に九九が分からない事を知られて、
??「リグルさんなかなか鋭いですね……」
諏訪「あーうー」
自己紹介はこれくらいにして授業を始めるとしましょう。
??「それでは諏訪子さんはそちらの席へどうぞ。それとせっかくなので、掛け算の抜き打ちテストをしましょう。配られた方から始めて下さい」
チル「大ちゃん、アタイまだ1の段も厳しいよ」
大妖「チルノちゃん、1の段はそのままだよ……」
ルー「苦手なのだー」
リグ「ミスチーは算数得意だよね」
ミス「じゃないとお店の経営できないからね~♪」
諏訪「あーうー」
--生徒試験中--
全員の採点が終わり生徒達へ返却済み。抜き打ちテストにも関わらず、朝飯前といった表情を浮かべる生徒がいる中、算数が苦手の彼女達は――。
ミス「リグル~♪ できた?」
リグ「はぁー、3点」
ミス「ヒドイね……チルノは?」
チル「アタイ、リグルよりヒドイよ……1点」
大妖「チルノちゃん……」
ルー「2点なのだー」
諏訪「あーうー」
大妖「あの、神様はどうでした?」
諏訪「……点」
大妖「え?」
諏訪「2点……」
「『えー!』なのだー」
チル「アタイ達と変わらないじゃん」
リグ「これは新星が現れたな」
ルー「同じなのだー」
諏訪「チビ共と一緒にするんじゃないよ! こんなの直ぐに覚えて、上から見下ろしてやるさ!」
リグ「へー、言ってくれるじゃんよ。私よりも点数低いクセに」
チル「アタイよりも1点いいだけのクセに!」
ルー「なのだー!」
大妖「ちょっと4人共落ち着こ、ね?」
諏訪「神に楯突くなんていい度胸だね。じゃあ今度の掛け算の集大成のテスト、この4人の中で1番になったヤツがビリのヤツに、1つ命令できるってのはどうだい?」
「『のった!』のだー」
ミス「も~……、なんでみんなそうなるの~♪?」
大妖「ミスチー、諦めよ……」
白熱する4名。なるほど、そういう……なにやら面白い展開になってきましたね。
--放課後--
『ねー!』
??「おや? どうしました?」
リグ「洩矢の神に負けたくないんだ」
チル「アタイ達を特訓してよ!」
ルー「なのだー」
??「特訓と言われても……」
リグ「何か簡単に九九を覚えられる方法はないの?」
??「そうですねぇ、色々ありますが一つその前に質問です。みなさんは九九が嫌いですか?」
リグ「だって計算苦手だし」
チル「アタイは覚えるのが苦手だし」
ルー「頭が痛くなるのだー」
??「なるほど」
根本的に拒絶していますね、これでは克服は難しい。ならば……
??「では、歌は好きですか?」
リグ「それは……」
チル「アタイは大好きだぞ」
ルー「私もなのだー」
??「なら歌やリズムに合わせて、九九を覚えるというのはどうでしょう?」
『???』
??「例えば、1×1が1♪ 1×2が2♪ 1×2が3♪ という具合に」
リグ「それならやれるかも」
チル「アタイ歌を作るの好きだぞ」
ルー「歌うのだー」
--翌日--
チル「2×4が8♪ だから8!」
大妖「チルノちゃん、正解だよ!」
ミス「ふぇ~、3人ともどうしたの急に」
ルー「歌を作ったのだー」
リグ「九九を歌で覚えることにしたんだ。5×1が5♪ 5×2が10♪ って」
ミス「へー、楽しそうでいいね♪」
リグ「絶対に負けない! 打倒、諏訪子!」
「『おー!』なのだー」
諏訪「へー、神のこの私をチビ共が倒すって?」
大妖「諏訪子さん!?」
ミス「ふぇ~」
リグ「ま、負けないからな!」
諏訪「どんな手を使ってくるのか知らないけれど、勝負をするからには私も全力で相手をさせてもらうよ?」
「『のぞむところだ!』なのだー」
ミス「大ちゃ~ん。これ、ただの九九のテストの話だよね?」
大妖「う、うん。そのはずなんだけど……」
--そして運命の日--
??「それではテストを返します」
大妖「チルノちゃん、大丈夫?」
チル「アタイお腹が……」
ルー「空いたのかー?」
リグ「ルーミアはお気楽だな。私もドキドキしてきた」
ミス「みんな頑張っていたから大丈夫だよ~」
諏訪「これは私の勝ちが決まったかな?」
??「みなさんもご存知のように、この中にこれから返すテストの点数を競争している方達がいます。折角ですので、今回は先にこの4人に特別な方法でテストを返したいと思います」
『特別な方法?』
首を傾げる生徒達、これから私が何をするのか想像もできないといった様子。
??「では発表します、第3位!」
口で鳴らすドラムロール、教室内は瞬時に緊張の渦へ。
リグ「そういうことかッ!?」
ルー「ドキドキなのだー」
チル「大ちゃんアタイ……」
大妖「大丈夫だよ!」
最初に名前を呼ぶのは……
??「ルーミアさん、80点」
ルー「やったのだー」
笑顔ではしゃぐルーミアさんに送られるのは驚きの歓声、無理もありません。
リグ「ルーミアだったかぁ」
チル「3位で80点!?」
諏訪「へぇ」
発表は始まったばかり、どんどんいきましょう。
??「続いて第2位!」
再び流れるドラムロール、そして包まれる独特の空気。
ルー「緊張するのだー」
リグ「もうルーミア呼ばれたでしょ……」
チル「もしここで呼ばれなかったら……。大ちゃんアタイ……」
大妖「だ、大丈夫だよ!」
次に名前を呼ぶのは……
??「リグルさん、84点」
リグ「よし!」
ガッツポーズを取って喜ぶリグルさんへは惜しげも無い拍手、よく頑張りました。
ミス「リグルすご~い」
ルー「やったのかー?」
大妖「じゃあこれで残るのはチルノちゃんと……」
諏訪「ふん、ここまでは想定通りだよ。私が1位さ」
??「みなさん、心の準備はいいですか? いよいよ最下位を発表します」
一気に静寂に包まれる教室、生徒の心臓の音が聞こえて来そうです。
チル「大ちゃん……」
大妖「だ、大丈夫だよ……たぶん」
リグ「奇跡よ、起きろー」
最後に名前を呼ばれてしまうのは……
??「チルノさん」
『あー、やっぱり……』
??「ですが、チルノさん76点と高得点です。良く頑張りました」
「『チルノが76点!?』なのかー」
??「そして1位の諏訪子さん、せっかくですのでご感想を」
諏訪「ま、当然の結果でしょ。それとチルノに命令していいんだよね?」
??「ええ、そういう約束ですから」
諏訪「それじゃあ……」
そういい残して席を立つ諏訪子さん。チルノさんの席へゆっくりと歩き出し、
ミス「えっ、今!?」
大妖「お願いです、許してあげて下さい」
リグ「きついのは勘弁しろよな」
ルー「なのだー」
生徒「諏訪子様落ち着いて下さい」
「穏便に」と懇願する生徒達には目もくれず、ついにターゲットの目前へ。
チル「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
そして頭を抱えて怯えるチルノさんに、
諏訪「これからも勉強、頑張ること」
人差し指で額を小突いて命令を言い渡しました。
諏訪「命令だよ?」
チル「うん……」
チルノさんその命令、ちゃんと守ってくださいね。
??「さてあとは他の方達にも配りますが、言わずもがなですね。みなさん満点です」
「『え!?』なのかー」
??「リグルさんとルーミアさんも、もう少し頑張りましょう」
「『はーい』なのだー」
--その日の放課後--
諏訪「これで満足かい?」
??「ええ、充分です。一役買って頂いてありがとうございました。チルノさん、リグルさん、ルーミアさんは、普段から3人とも競い合って成長していますが、算数については3人ともほぼ同じ成績で伸び悩んでいました。でも諏訪子さんの機転のおかげで、成長のきっかけを掴めたみたいです」
諏訪「狙い通りってことかい。でも私もいい暇つぶしになったよ」
??「それはよかったです。ですが、初日のエピソードは実話なのでは?」
諏訪「ばっ、ばか言うんじゃないよ。誰が子供の算数なんかで苦戦するかい!」
??「そう言いますけど、最後のテスト一問間違えていますよ?」
諏訪「それは……、あーうー」
??「あなたも負けじと勉強されていたみたいですね」
--そして更に時は経ち--
チル「大ちゃん……、アタイ九九の先があるなんて思わなかった」
リグ「なんだよ繰上りって……もう足し算のときで十分だよ」
ルー「ごちゃごちゃなのだー」
九九は全員が覚えることができた。あの3人がここまで成長してくれるとは正直驚きだ。今は苦戦しているけれど、九九の時と同じように、この3人はまた競い合いながら、助け合いながら成長していくのだろう。競える相手がいるというのは
ここは幻想郷唯一の寺子屋。体験入学も受付中です。
転校生が来ると知ったときの
あのワクワク感。
異性であればドキドキ。
同姓であればちょっと張り合って
みようとしたり。
仲良くなった転校生の友達に
当時の事を聞いた時がありました。
そのときは「吐きそうなほど緊張していた」と
語っていました。
それはそうですよね・・・。
【おかりした物】
■モデル
①チルノ/ゆきはね様
公式HP→http://yukihane.rdy.jp/
②洩矢諏訪子/にがもん様
■ステージ
人里/鯖缶様
スカイドームいろいろ詰め合わせ(軽量版)/額田倫太郎様
■ポーズ
日常ポーズ集/彩籠様
指ポーズ集/あすは様
■エフェクト
Adjuster.fx v0.21/Elle/データP様
次回:「4時間目 遠足(準備)」