この回はEp3のネタバレ要素を含みます。
まだEp3をここまで読んでいない方は、
【1時間目 国語】から読んで頂くことを
お勧めします。
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小学生の頃の放課後、
友達と何をしていたか思い出してみると、
・テレビゲーム
・ミニ四駆
・秘密基地作り
を真っ先に思い出します。
秘密基地は木材を拾って来て、
釘で打ち付けたりしてガチで作っていました。
チルノさんとリグルさんが引き起こした
??「それでは皆さん、本日もありがとうございました」
「『ありがとうございました』なのかー」
訪れる下校の時間。生徒達は荷物をまとめ、明日の約束を交わしながらそれぞれの家路へ。
日常とはいえ、いざこの時間を迎えると
リグ「ヒマリまた明日な」
チル「バイバーイ」
ミス「また明日ね〜♪」
大妖「ヒマリちゃんバイバーイ」
ルー「またねなのだー」
他から少し出遅れて寺子屋を出発する五人組、彼女達の通学路はお世辞にも安全とは言い
ヒマ「うん、みんなバイバーイ。また明日」
??「気を付けて帰りなよ。くれぐれも寄り道はしないように」
そしてここに残されたのはヒマリさんただ一人。
??「今日も先に宿題をしてから行く?」
ヒマ「はい、そうします」
なら今日行ったテストの丸つけをしながらヒマリさんの宿題が終わるのを待つことにしましょう。
--1時間後--
??「それでは行きましょうか」
夕日で秋の色に染まる寺子屋を出発し、夕食の香りが
??「\お帰りなさーい/」
今年の遠足でもお世話にった
そしていつも元気に出迎えてくれる
響子「\まだ少し残っていますから/」
お誘いしましたがこのように元気いっぱいに答えられるので、一礼だけして中へ進んで行くとそこには……
??「あっれー、おっかしーなー?」
本殿の下に頭を入れて四つん
ヒマ「星さん?」
星 「へ!?」ビクッ!
赤い空 打ち鳴らされて 響く音
夕刻知らせる 寺の鐘かな
ヒマ「大丈夫ですか?」
などと
星 「お見苦しいところをお見せしました」
??「いえいえ、コブもないようで安心しました。ところで、まさかとは思いますが——」
星 「ええ、お恥ずかしながら……」
??「ご主人、居間にコレが置き去りになっていましたよ」
星 「ナズありがとう、助かったー」
ナズ「もしかして、また失くされてました?」
星 「イヤー、そそそんなことナイヨー」
ナズ「ご主人! コレがどれだけ貴重な物なのかちゃんと認識して頂かないと困ります! この前みたいに
ヒマ「何かあったんですか?」
星 「えっ、イヤー……」
表情では「
ナズ「ご主人は先日、宝塔を拾われた方に求婚されたんです」
『えーーー!?』
甘酸っぱいどころではありませんでした。予想の
ヒマ「おめでとうございます」
星 「いやいやぁ、あはは……」
??「OKされたんですか?」
ナズ「いえ、それがご主人はその方とは初対面だったようでして」
??「初対面でいきなり求婚ですか?」
ナズ「はい、おまけに
??「宝塔を
星 「あんなに直球なのは初めてでしたので。はは……」
ナズ「それは今に始まったことではありませんけどね。ちなみに聞く所によると、その方は誰彼構わずそんな感じらしいのです」
??「そんな感じとは?」
ナズ「出会い頭にいきなり嫁になれだの、愛を語るだのをして来るそうです。そのクセに顔が整っていて、無邪気な子供みたいで、それなのにどこか魅力的で……」
ヒマ「ナズーリンさん?」
ナズ「言われた身にもなれって言うのよ」
冷静で知的なナズーリンさんがこんな表情をされるとは……。これは凄い人がいたみたいですね。人里にそんな方がいたでしょうか?
??「星とナズぅ、お風呂空きましたよー。って、ヒマリも来てたんだ」
??「おお、先生殿も」
空色の髪の毛をタオルで拭きながら登場されたのは、命蓮寺の修行僧であり皆さんの食事作りを担当している
ヒマ「はい、今日もお世話になります」
一輪「いいって、遠慮しないで。自分の家だと思って楽にしなよ。ご飯の前にお風呂入って来るかい?」
雲山「ならワシが背中を流してやろうぞ。いや是非、是非!」
鼻息を荒くする雲山に「それはちょっと……」と断りを入れようとした矢先でした。雲山さんの顔の側面がグニャリと凹み、そのまま重低音を
??「黙れエロ雲!」
遠足の時にもお世話になった
村紗「ヒマリちゃん、私とお風呂に入ろっか」
それよりも村紗さん雲を蹴りました、水蒸気の塊を蹴り飛ばしました、凄いですね。
ヒマ「先生、村紗さんとお風呂に入ってきます」
??「はい、楽しんで来てください。では私はこれで」
ナズ「たまには一緒にご飯を食べてもいいのでは?」
星 「ナズの言うようにたまにはどうでしょう?」
??「ですが……」
一輪「姐さんも喜んでくれると思いますよ?」
??「ヒマリさんの事でもお世話になっているのに、これ以上は流石に……」
村紗「えー、いーじゃーん。ヒマリちゃんもそっちの方が良いよね?」
ヒマ「うん!」
参りましたね、でもここは断ったらかえって失礼でしょう。
??「では、お言葉に甘えさせて頂きます。ですがその前に
一輪「姐さんなら本堂の内陣にいたかな?」
星 「え゛っ、
ナズ「ご主人、多分バレてますよ」
一輪「星またなのー?!」
星 「だからそれはここだけの話に……」
??「モロバレデシタヨー」
聖 「星、あとで2人だけでゆっくりと時間をかけてお話しをしましょうか?」
星 「はい……」
聖 「それと先生、話は聞こえていました。今日はみんなでご飯を食べましょう」
--先生夕食中ーー
ヒマ「その時にね、チルノちゃんがね」
ヒマリさんが今日の寺子屋での出来事を楽しそうに話し、それをみんなで微笑みながら、声を上げて笑いながら一輪さんの手料理に
??「
次の話題を提供するのはこちらへよく訪れる
??「ごめんくださーい」
玄関から女性の声が。この声は……。
ヒマ「あ、お母さんだ」
聖 「あら、今日は少し早いかしら? はーい、お待ち下さーい」
残りの食事を慌ててかき込み、急ピッチで支度を済ませてお母様の下へと駆け寄るヒマリさんをみんなで見送ることに。
響子「\またねー/」
村紗「ヒマリちゃんバイバーイ、またお風呂一緒に入ろうね」
一輪「雲山、途中までお願い」
雲山「任された」
小傘「これ今日買ったスイーツの残り、あげるね」
ヒマ「うん、ありがとう。みんなバイバーイ。あと星さん頑張ってね」
星 「応援ありがとう!」
ナズ「ご主人、勘違いされないように!」
母 「毎度毎度、皆さんありがとうございます。それと先生、ヒマリから寺子屋の事をよく聞かされています。授業を毎日とても楽しみにしているみたいで、本当に常々感謝を……」
??「いえいえ、私は好きでやっているだけですので。それじゃあヒマリさん、また明日」
最後に笑顔で手を振るヒマリさんとその隣で深々と一礼をするお母様、応える私達に見送られながら二人は用心棒の雲山さんを先頭に、仲良く手を繋いで自宅へと帰って行きました。ようやくやって来た彼女の帰宅時間、彼女の放課後は今日のように過ごす事がしばしば。なぜなら彼女は——
村紗「ヒマリちゃんの家は片親だから大変だよね」
一輪「ヒマリに限らずこれからも増えて来るかもね。姐さんはああいう子をこれからも面倒見ていくの?」
聖 「ええ、そのつもり。それよりも先生、いつも言っておりますがおるあまり遠慮されないでくださいね」
??「ですがお金を頂いていますし、部屋までも……」
聖 「それでもです、ご飯くらいは皆で一緒に食べましょうよ。寂しいじゃないですか」
本当にここの方々はいい人達ばかり、これ以上親切にされると私は……。
??「ありがとうございます」
--数時間後--
??「お出かけ?」
不意打ちに声をかけられ一瞬ドキリとしましたが、落ち着いて振り向けばなんて事ない見知った顔、真っ暗な背景に同化しながらも月の光に照らされていたのは
??「ああ、ぬえさん。いらしてたんですね」
ぬえ「ああああのさ。遠足の時はその……ごごごめんなさい」
なるほど、そういう事ですか。
??「もういいんですよ。それにぬえさんとの付き合いも長いですし、いなくなった理由も察していますよ」
ぬえ「ぬぇ?」
??「照れ臭かったんですよね?」
ぬえ「うっ、そそそそれは……」
??「…ふふふ、私はこれから居酒屋へ行ってきます。もし
少し肌寒く感じるようになった夜風に吹かれながら、季節の代わり行く様を楽しみながら、明日の授業と生徒達の顔を思い描きながら人里の居酒屋へ。そこは戸を開ければ温かな店長さんが笑顔で出迎えてくれ、この時間にもなれば明日の英気を養いに来るお客で
??「いらっしゃいませ!!」
店の戸を開けるといつもと違う、初めて聞く大きな声が出迎えてくれました。これまた不意打ちで一瞬ドキリとさせられました。けどそんな事より元気のいい面白い髪型の彼、里では見ない顔ですね。まさか……。
??「こんばんは、カウンターいいですか?」
青年「はい、どうぞ」
店長「あ、先生。いらっしゃい。今日は一人ですか?」
??「ええ、たまには一人でゆっくりと飲みたくて。人を
店長「ええ、足をやっちまいまして。最初は治るまでと思ってましたけど、覚えが早くてなかなか仕事ができるんで、もうこのままいてもらってもいいかなって思ってるんですよ」
嬉しそうに話しているところからすると、新顔の彼は随分と気に入られているみたいですね。おっと自己紹介がまだでしたね。
??「よかったですね。私はこの町で寺子屋の——」
青年「あ、はい! 先生ですよね? 前に駄菓子屋の所でお見掛けしました」
??「あー、遠足の前の日ですね。そうでしたか。私はここへはたまに来るので、これからもよろしくお願いしますね。お名前は?」
青年「はい、優希って言います。よろしくお願いします」
??「こちらこそ。ところで優希さん」
探りを入れるのはやめましょう、ここは単刀直入に。
??「もしかして外来人ですか?」
優希「え!? なんでそれを……」
やっぱりそうでしたか。
??「職業柄人の顔と名前を覚えるのは得意でしてね。この町で見ず知らずの人を見ると、外来人だと疑ってしまうんです」
優希「すごい…」
??「あ、でも安心して下さい。誰にも言いませんから。そうだ、ビールとおでんをお願いします」
優希「はい! 喜んで!」
この世界に来てもうどれくらいの月日が経ったことか。寺子屋の生徒達、命蓮寺の方々、里の方々。なるべく関わりを持たないようにと釘を打っていましたが、みんなが温かく受け入れてくれて、親切に接してくれて、いけないと分かっていながらも願ってしまいます。
??「このままずっと——」
と。
??「でも私は……」
でも私は外来人。
いつかは元の世界へ……少しこの世界に慣れ過ぎてしまったのかもしれない。
今回はお察しの通り縛りを設けて書いてました。
私の中では細心の注意を払っていたつもりでしたが、
感の鋭い方は早い段階でお気付きだったと思います。
(主が下手なだけ?)
そして、優希との接点でした。
次回:「10時間目 歴史」