東方迷子伝   作:GA王

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【パンケーキ】と
【ホットケーキ】の違いを調べてみました。

【パンケーキ】 :甘さ控えめ、薄い
【ホットケーキ】:甘い、ふっくら

の違いらしいです。
ただコレは日本だけの話で
海外では【パンケーキ】だけらしいです。



--2018/05/28--
あゆみのイメージを挿絵で載せます。


【挿絵表示】


こちらのモデルは「ゆきはね様」のオリジナルキャラクター「春子」ですが、あまりにもイメージ通りだったので、お借りしました。
ホントこのモデルを見つけたとき、衝撃的でした。


【おかりした物】
■モデル
春子/ゆきはね様
 公式HP→http://yukihane.rdy.jp/
■ステージ
 竹やぶ/NuKasa様
■ポーズ
 チアガールっぽいポーズ/Siva様
 





Menu①:パンケーキ       ※挿絵有

迷いの竹林の中にある永遠亭。

ここには天才薬師、八意永琳(やごころえいりん)とその弟子、鈴仙(れいせん)とてゐ、そして輝夜姫こと蓬莱山輝夜(ほうらいさんかぐや)の4人で生活していたが、突然現れた迷子、あゆみも共に生活することに。

 

今は昼を少し過ぎた頃、

永遠亭の縁側には3人の乙女が、

 

ズズー…。

 

  『はぁ~。お茶が美味し~』

  

【挿絵表示】

 

輝夜「でも茶菓子がいつも団子か饅頭だけだと

   さすがに飽きるわ」

てゐ「もっと違う物も食べたいウサ」

 

永遠亭でのお茶菓子はだいたいいつも団子か餅。

あとは時々人里の菓子屋で買う和菓子が出るくらい。

 

輝夜「あゆみは外の世界では

   どんなスイーツ食べてたの?」

あゆ「ケーキとか~、ソフトクリームとか~」

輝夜「いいなぁ。ケーキもソフトクリームも

   あまりこっちじゃ見ないもん」

あゆ「ケーキ屋ないの~?」

てゐ「専門店はないウサ。

   和菓子屋が気まぐれで作る程度ウサ」

 

2人から知らされる幻想郷の意外な真実に驚かされるあゆみ。ケーキ等の洋菓子は彼女の好物であり、それを滅多に食べられない2人が気の毒に思えた。

 

そして彼女はそんな2人にある提案をする。

 

あゆ「じゃあ~、ケーキを~…」

輝夜「ケーキとか久しぶりに食べたいなー」

あゆ「え~っと~」

てゐ「私はキャロットケーキが食べたいウサ」

あゆ「ん~っと~」

 

イラッ!

 

輝夜「もー!さっきから何なのよ!

   言いたい事があるなら、

   さっさと言いなさいよ!」

あゆ「カグちゃんイタイイタイイタイイタイ!」

てゐ「姫様、その反応は妹紅と同じウサ」

 

しかし間を見誤り、コメカミに拳の万力をプレゼントされることに・・・。欲しくないプレゼントから解放され、一旦落ち着いたところで…

 

あゆ「私趣味でスイーツ作ってたから~、

   少しはできるよ~」

 

自分の特技を2人に教えた。

あゆみから予想外の言葉を聞かされた輝夜は目を丸くし、

 

輝夜「え?ケーキ作れるの?」

 

自分の聞き間違いで無いことを確かめた。

 

あゆ「今からだとパンケーキくらいかな~」

 

 

--食材確認中--

 

 

輝夜「ここにある物でパンケーキ作れるの?」

 

長年ここで住んでいる輝夜にとって、常備してある食材でパンケーキができるとは到底思えなかった。しかし、外の世界から来た少女は、

 

あゆ「卵とバターと小麦があればできるよ~」

 

あっさりと答えた。

 

てゐ「卵とバターと小麦とヨーグルト、

   それと蜂蜜があったウサ」

あゆ「それなら~簡単なのできるよ~」

輝夜「やった!

   久しぶりに違うスイーツが食べれる♪」

てゐ「楽しみウサ♪」

あゆ「永琳さんと冷麺ちゃんの分も作るね~」

 

卵をとき、砂糖とヨーグルト、そしてすりおろした秘密の具材を入れ、かき混ぜる。全体が均一になったところで小麦を入れ、泡を立てる様に更にかき混ぜて生地は完成。あとは丁寧に焼いていき…、

 

 

--少女料理中--

 

 

あゆ「できた~」

輝夜「いい匂ーい」

てゐ「ニンジンの匂いウサ!」

あゆ「さすがだね~。ニンジンも入ってるよ~」

 

焼きあがったパンケーキを2人の皿にのせ、いざ!

 

  『いただきまーす』

あゆ「ど~ぞ~。召し上がれ~」

 

輝夜とてゐは2人同時に切ったパンケーキを口に運び、

 

  『!!』

 

一口食べた瞬間目を丸くした。

 

輝夜「甘くてふわっふわー♪はぁー、最高」

てゐ「ふぁー、幸せウサー」

輝夜「てゐ、あなた

   『人を幸せにする程度の能力』でしょー?」

てゐ「もうどうでもいいウサー」

 

顔がほころんで幸せそうにしている2人を見て、

 

あゆ「ふふ、気に入ってもらえてよかった~。

   永琳さんの所にも持って行くね~」

 

あゆみは満足し、2つのパンケーキを持って、永琳と鈴仙がいる部屋へと歩き出した。

 

  『いってらっひゃ~い』

 

 

 

 

 

 

 

あゆ「永琳さん、冷麺ちゃんおやつだよ~」

鈴仙「あのね、私は…。え?これは…?」

永琳「あら?今日は団子じゃないのね。

   美味しそうじゃない」

 

いつもと違うおやつに驚く鈴仙と永琳。

 

あゆ「私が作ったニンジン入りのパンケーキで~

   す」

鈴仙「ニンジン!?やったぁ!いただきまーす」

 

パンケーキを一口ずつ頬張ると、

 

鈴仙「きゃー、美味しいー。こんなの久しぶりー」

 

鈴仙は大声を出して喜び、

  

永琳「本当ね。ふわふわしてて美味しい」

 

永琳は笑顔で静かに喜んだ。

 

あゆ「ありがと~」

永琳「お世辞抜きに美味しいわよ。

   あゆみちゃん、料理が上手なのね」

 

作ったパンケーキの美味しさから、『あゆみ=料理得意』という結論を導き出した永琳だったが、その答えは…

 

あゆ「い~え~、料理はできませんよ~」

 

あまりにも意外過ぎる物だった。

 

  『え?』

あゆ「私スイーツしか作れないんです~。

   お肉もお魚も調理できませ~ん」

鈴仙「何なのその偏り具合…」

永琳「珍しい子ね」

鈴仙「でもあゆみちゃんですから…」

永琳「ふふ、そうね」

あゆ「ん~?」

 

珍回答ではあったが、ふわふわとして常に宙に浮いていそうな『あゆみ』という少女である事を考えると、どこと無く納得してしまう2人だった。

 

するとそこに、

 

ガラッ。

 

??「おすそ分けにきたぞー」

 

昨日あゆみをここまで連れて来た白髪の少女がやって来た。

 

永琳「あら、妹紅いつも悪いわね」

 

ここ永遠亭では病人・怪我人といった患者の受け入れもしており、彼女は普段からそういった者達を案内している。そのため人里での人望も厚く、人里に(おもむ)いた時に果物や野菜といった品を貰って来るのだ。

 

その品々が入った背負いの籠を下ろしながら、

 

妹紅「そういえば、向こうの部屋でイタズラ兎と

   引きこもりがアホ面でなんか食ってたけど、

   毒でも盛ったのか?」

 

立ち寄った部屋で見た謎の光景について聞いた。

 

鈴仙「アホ面って…、そんな酷い顔してたの?」

妹紅「いや、もう心ここに非ずって感じでさぁ」

永琳「ふふ、それは多分コレのせいね。

   食べてみる?」

妹紅「あ?なんだコレ?」

永琳「あゆみちゃんが作ったんだって」

鈴仙「美味しいんだから」

あゆ「パンケーキで~す」

妹紅「ふーん、じゃあ…」

 

見た事のない食べ物に疑問を感じながらも、一欠けらだけ口に運んでみることに。

 

  『どう?』

 

妹紅のリアクションを観察する3人。

 

妹紅「ふぁ~…」

 

観察対象の顔はいつもの鋭い表情から、緊張感の無い緩みきった笑顔へと変貌を遂げた。

 

永琳「感想を聞くまでもないわね」

鈴仙「妹紅ってこんな顔もするんだ。意外…」

 

観察対象の意外な一面を見れたところで、彼女は

 

妹紅「もう一口いいか!?」

 

おかわりを要求し、

 

永琳「どうぞ、お好きなだけ」

妹紅「ん~…!おいひぃ~」

 

またアホ面を披露した。

そんな中…、

 

ガラッ。

 

部屋の扉が開き、別室でアホ面を披露していた2人が入ってきた。

 

てゐ「妹紅?どうしたウサ?」

輝夜「うわっ、来てたの。っていうか何その顔。

   気持ち悪っ!」

妹紅「あぁ~!?誰が気持ち悪いって!?

   お前だってアホ面して食ってたろうが!」

輝夜「な、見てんじゃないわよ!」

 

普段から犬猿の仲の妹紅と輝夜。

お互いが見られたくない顔を見られた事に焦り、顔を赤くして言い争いを始めた。

 

てゐ「はいはい、二人ともこれ食べるウサ」

 

モグッ×2

 

イタズラ兎によって突然口に入れられた一欠けらのパンケーキに2人は、

 

  『ふぁ~…」

 

同時にアホ面を披露した。

 

あゆ「ふふ、二人とも仲良いんだね~」

鈴仙「それはちょっと違うかも…」

てゐ「いつも殺し合いウサ」

あゆ「ん~?」

永琳「はいはい、仕事の邪魔だから出て行って。

   それとあゆみちゃん。

   もし、違う物を作りたかったり、

   欲しい道具とか必要な物があったら、

   遠慮せずに言ってね。お金は出すから」

 

予想外のスポンサーの申し出に、あゆみの頭の中は次々と欲しい物が込み上げ、

 

あゆ「えっと~、じゃ~あ~、え~っと~」

 

イラッ!×2

 

  『さっさとしゃべれー!!』

 

脳内の整理がつく前に犬猿の仲の2人から同時にプレゼントを受け取ることに。

 

 

 

 

輝夜「いい?ちゃんと連れて帰って来るのよ!」

 

永遠亭の門で妹紅とあゆみを見送る輝夜と永琳。

 

妹紅「いちいち命令するな。

   お前じゃないんだ、一緒にすんな!」

輝夜「何よ!私だとできないって言うの!?」

妹紅「引き篭もりだからな。

   途中で体力が尽きるんじゃないか?」

輝夜「言ってくれるじゃないの…」

妹紅「お?やんのか?」

永琳「2人とも止めなさい。

   ただ買い物をしに行くだけでしょ」

あゆ「行ってきま~す」

永琳「それじゃあ妹紅、お願いね」

妹紅「はいはい。あゆみ行くぞ」

 

あゆみの希望する品を買いに行くため、付き添いで妹紅が一緒に行く事になったのだ。

 

あゆ「これから何処に行くの~?」

妹紅「人里だよ。人間が住んでる集落だ」

あゆ「ん~?モコちゃん人間でしょ~?」

妹紅「一応な。でも普通の人間じゃないんだ。

   こう見えてももう1300年は生きてる」

 

妹紅の口から語られた真実に

 

あゆ「へ~」

 

少し驚きと戸惑いを見せるあゆみ。

そして禁断の言葉を…

 

あゆ「じゃ~、おばあ…」

妹紅「それ以上言ったら塵にするぞ」

 

あと少しというところで、手から燃え盛る炎を出し、鬼の形相であゆみを威嚇するレディー。

 

あゆ「は、は~い」

妹紅「あー、このペースだと日が暮れる…。

   あゆみ、背中に乗れ」

あゆ「え~!?でもでも、私重いし~。

   なんか悪いし~。

   それになんか~、

   恥ずかしいと言うか~」

 

いきなりの妹紅からの命令に顔を赤くし、モジモジしながら答えるあゆみだったが、

 

イラッ!

 

妹紅「このままだと着くのが遅くなるんだよ!」

あゆ「わかったから~!グリグリやめて~!」

 

それが妹紅の逆鱗に触れた様だ。

 

 

--少女移動中--

 

 

あゆ「わ~、すご~い」

 

あゆみが連れてこられた人里と呼ばれている所は、修学旅行で行く京都の映画村の様な所で、大きな寺や本屋、服屋等の店も並んでいる。

 

妹紅「で?何を買うんだ?」

あゆ「お砂糖と~、卵と~、牛乳と~、

   生クリームと~」

妹紅「道具は?」

あゆ「外の世界ではポピュラーな道具が

   あるといいんだけど…」

妹紅「そういうのは…。うん、あそこかな?

   先にそっち行くか」

 

あゆみからのリクエストに何かを思い出した様に、急に進路を変える案内人。その後ろをあゆみは黙って付いて行く。案内人は里を奥へ奥へと進んで行き、やがて里の外へ。更に歩いて行くと、いつの間にか2人の目の前には大きな森が広がり、その手前にはガラクタの寄せ集めのごみ屋敷が。

 

その屋敷を見たあゆみの心境は

 

①うわぁ…、何ココ…

②ココ入るの?

③Gが出そう

 

①~③が入り混じり、

一言で言えば「絶対にイヤ!」だった。

 

だがそんな彼女の気持ちなんぞお構いなしに、案内人はそこに向かって迷うことなく進んで行く。

 

妹紅「おい!さっさと来いよ」

 

催促する案内人。目的地はやはりあそこ。

あゆみは人里での自分の言葉を後悔していた。

 

妹紅「おーい、いるかーい」

 

屋敷の外から呼びかける案内人。

やがて屋敷の主らしき人物が中から出て来た。

 

霖之「珍しいね君が来るなんて。

   何か物入りかい?」

妹紅「コイツ外来人でさ、

   外界の調理器具が欲しいだって」

霖之「それなら中に沢山あるから、

   見て行くといいよ」

 

あゆみの事なんど気にもせず、案内人と屋敷の主の間でトントン拍子に話が進んで行き、

 

妹紅「良かったな見て来いよ」

 

ついに悪夢のGoサインが。

 

あゆ「モコちゃんも…」

 

一人で入るには心細いあゆみは、頼れる案内人を一緒に行く様に誘うが、

 

妹紅「あ?こんな所入りたくねーよ」

 

見事にキッパリと断られた。

 

 

--少女買物中--

 

 

霖之「まいどー」

 

屋敷での買物を終えたあゆみ。

しかし、どうも様子が…。

 

あゆ「う~…、も~いやだ…」

 

両目に涙を浮かべて、口をへの字に曲げるあゆみ。

更に…

 

妹紅「な、泣くなよ。何も無かったんだから」

あゆ「だって…。

   なんかカサカサ音がしてたんだんよ?

   絶対何処かにいたって…」

妹紅「あ、首筋の所に…」

 

妹紅からの指摘に全身に鳥肌が立ち、

 

あゆ「ィヤ~~~~~ッ!!!」

 

大きな悲鳴を上げた。

 

妹紅「落ち着け!冗談だよ!」

あゆ「モコちゃんのバカ~」

妹紅「お前トロイそうなのに、

   こういう時は反応いいんだな。

   で、目当ての物はあったのか?」

あゆ「うん…でも絶対に

   洗剤で5回洗って、

   煮沸消毒3回して、

   アルコール消毒もする!」

妹紅「ああ…、それがいい」

 

人里に戻って来た2人。今度は食材の調達。

意外に材料は揃っている様で、あゆみはスイーツ作りの幅が広がりそうだと、喜んだ。そして全ての食材の調達を終え、

 

妹紅「じゃあ買う物は買えたみたいだし、行くか」

あゆ「…」

 

妹紅が話し掛けるがあゆみは何かに見惚れ、反応しなかった。

 

妹紅「おーい、聞いてるか?」

 

妺紅が再び声を掛けると、

 

あゆ「あそこ家かな~?」

 

今度は反応があった。

どうやら人里の端の方にある一軒の小民家に釘付けになっている様だ。

 

妹紅「ん?ああ、家だな。

   でも人が住んでる気配ないけど…」

あゆ「信じてくれないかもだけど~。

   あそこだけ色が違うの~」

 

妙な事を言い始めるあゆみに、妹紅は眉間にシワを寄せて、

 

妹紅「色?なんだよ色って」

あゆ「黄色くキラキラ光ってるの~。不思議~」

 

聞いてはみるが、返事の内容も理解し難い物。

 

妹紅「私には何も見えないけど…、

   そんなに気になるなら明日調べてみれば?」

あゆ「調べるって?」

妹紅「持ち主を探してみるとか色々あるだろ?」

あゆ「お~っ!流石モコちゃん頭い~!」

 

イラッ!

 

妹紅「お前に言われるとなぜか腹が立つ!」

あゆ「え~~~!?なんで~~!!」

 

 

 




東方Projectの好きな所の一つが、
「程度の能力」というネーミングセンス。
出てくるキャラが各々違う「程度の能力」を
持っている訳ですが、
どう考えても「程度」で済まされる力では
ないと思ったりします。

次回:「Menu②:クレープ」

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