東方迷子伝   作:GA王

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気付けばこの回でトータル50話目。
ここまであっと言う間でした。
読者の皆様にはいつも元気を頂いてます。
これからもよろしくお願いします。





Menu⑩:ショートケーキ(生クリーム)※挿絵有

《前回までのあらすじ》

 永琳の提案で萃香と弾幕ごっこをすることになったあゆみ。だが萃香が放った弾幕の威力は、彼女達がいつも行う弾幕ごっこの威力のままだった。触れれば大怪我を免れない上、あゆみの能力は依然として不安定な状態。しかしそんな状況の中、あゆみは片目を閉じれば色が1色になる事に気が付いた。そして萃香のスペルカードを避けきり、ついに初勝利を収めた。

 

 

鈴仙「凄い…」

てゐ「ついに全弾回避したウサ…」

輝夜「たまたま…じゃないわよね?」

 

目の前で起きた現実に、驚きを隠せないギャラリー達。しかし、1人だけ様子が違う者が…。

 

永琳「『見つけた』みたいね」

 

顎を引いて腕を組み、ポツリと呟いた天才薬師。

 今まで口を開かず、ただ試合を見守っていた彼女だけはあゆみを信じ、この展開になる事を予期していた様だ。

 

萃香「あゆみー!大丈夫?怪我はない?

   いやー、一時はどうなるかと思ったよ」

 

あゆみの事を心配して駆け寄る萃香。彼女も大変な事をしてしまったとハラハラしていたのだった。

 

あゆ「えーん、怖かったよ〜」

 

ようやく安心できたためか、膝をついて片目を抑えたまま泣き叫ぶあゆみ。そんな彼女に、

 

輝夜「あゆみ、泣いているところ悪いんだけど、

   もう一回だけできる?今度は私が相手で!

   威力はちゃんといつも通り落とすから」

 

半信半疑のいつものハンターがハンティングを申し込んだ。

 

あゆ「う、うん…」

 

 

--少女弾幕中--

 

 

輝夜「ウソ…」

 

だが結果は獲物を捕らえる事が出来ず、ハンター輝夜は完全に敗北した。この結果に、

 

鈴仙「お師匠様、これはもう…」

永琳「ええ、確定ね」

萃香「いや〜、お見事」

 

手を叩きながら賞賛する萃香を始め、皆が偶然ではない事を認識した。しかし、本人は少し違う事を思っていた。

 

あゆ「でも今だけかも〜」

てゐ「なんでウサ?」

あゆ「片目を閉じたら色を絞れるみたい

   なんだけど〜、萃香さんとやってたとき、

   真っ赤になった時もあって〜」

永琳「まだまだ不安定なのかしらね」

 

 あゆみの話から『能力はまだ不安定』と結論を出した天才薬師。しかし、この結論に妙な違和感を感じた者が…。

 

てゐ「あゆみ、私が今から弾幕を撃つウサ。

   それで右目と左目交互に見て欲しいウサ」

鈴仙「え?どう言う事?」

 

 

--少女弾幕中--

 

 

てゐ「どうウサ?」

あゆ「うん、そー言う事だったみたい〜」

永琳「なる程。そう言う事」

輝夜「え?どういう事?」

 

皆が納得していく中、未だ理解出来ず置いてけぼりになってしまった輝夜。そんな彼女に鈴仙があゆみの能力について解説をした。

 

鈴仙「たぶんあゆみちゃん、

   右目と左目で見える色が違うんですよ」

輝夜「じゃあ黄色は?あれは何なの?」

永琳「多分イレギュラーなケースだったんじゃない

   かしら?それに自分にプラスになる場所なん

   て、そうそう無いから確かめ様が無いわよ」

 

あゆみの能力が徐々に解明されていく最中…。

 

あゆ「でも疲れた〜。目がシバシバする〜」

 

その本人は精根尽き果てクタクタといったご様子。

 

永琳「じゃあ、後で目薬あげるわ。

   それとあゆみちゃん、

   前に頼まれてた物出来てるわよ」

 

 その後、萃香は「寄りたい所がある」と言い、永遠亭を去って行った。そして、てゐに店の開店準備を依頼したあゆみは、永琳に作って貰った『ある物』を持ち、今…。

 

あゆ「凄ーい!高ーい!」

 

空を飛んでいた。

 

輝夜「大丈夫?怖くない?」

 

ただし、輝夜に掴まって。

 

あゆ「うん、大丈夫〜!

   私絶叫マシーン大好きだから〜、

   高い所もスピードあるのも平気だよ〜」

 

輝夜の背で笑顔で答えるあゆみ。その返事は挑発しているようにも聞こえた。そしてそう受け取った輝夜は…。

 

輝夜「じゃあ…、しっかり掴まっててね!」

 

一度回転を加えて、更にスピードを上げた。

 

あゆ「あはは〜。たっのし〜〜〜☆」

 

 

--少女飛行中--

 

 

輝夜「着いたわよ」

 

 目的地に到着したあゆみ。彼女の目に真っ先に飛び込んで来たのは、

 

あゆ「わー、凄い大きなお屋敷〜」

 

怪しい紅色をした洋風の屋敷だった。

 

輝夜「それは紅魔館って言うのよ。

   でも今から行く所はこっちよ」

 

紅魔館に背を向け、歩き始めた輝夜。その後ろを付いて行くあゆみ。しばらく進んだ所で彼女達の目の前には大きな湖が広がっていた。

 そしてその辺りには湖を見つめて佇む一人の女性の姿が。彼女にある依頼をする事があゆみ達の今回の目的だった。あゆみは彼女に近づくと顔を覗きこみながら、

 

あゆ「あの〜…、レティさんですか〜?」

 

本人かを確認をした。

 

レテ「はい、私がレティ・ホワイトロックです。

   何か御用でしょうか?」

 

【挿絵表示】

 

 

突然顔を覗き込まれたにも関わらず、驚きもせず笑顔でゆっくりとした口調で話し始めるレティ。本人だと確認出来たあゆみはレティの顔色を伺いながら…

 

あゆ「実は〜、お願いがあるんですけど〜」

レテ「なにかしら?」

あゆ「コレを全部冷やして、

   凍らせて欲しいんです〜」

 

そう言ってあゆみが取り出したのは、掌サイズの袋。しかも大量に。袋の中には何やら液体の様な物が入っており、それを見たレティは首を傾げながら、

 

レテ「いいけど、コレは何?」

 

初めて見る物体について尋ねた。

 

あゆ「保冷剤って言うんです〜。

   長持ちする氷みたいな物で〜す」

 

あゆみが持って来たのは冷却前の状態の保冷剤だった。

 彼女は外の世界では当たり前に普及している保冷剤が無いと知り、これからのスイーツ店には必要だと考え、永琳に相談をしたのだ。あゆみからの相談に、天才薬師は笑顔で「任せなさい」と答え、あっという間に量産出来るところまで仕上げたのだった。

 

レテ「ふーん。面白いわね。

   じゃあそこに置いて少し離れてくれる?」

 

あゆみは永琳が作った大量の保冷剤をレティの前に置き、言われた通りにその場から後退した。レティは彼女達が離れた事を確認すると、両手を掲げ上空に渦を巻いた球体を作り出した。すると置かれた保冷剤は一斉にその渦の中へと吸い込まれていった。

 

輝夜「結構冷えるわね…」

 

レティが作り出した球体は冷気の塊。離れてはいるものの、風は輝夜達の方まで届き、彼女達の体をも冷やしていった。

 そして数分後…。

 

レテ「はい、終わり」

輝夜「早っ!」

あゆ「ありがとうございま〜す。

   わっ、凄ーいカチコチだ〜」

 

電子レンジで温めるが如くあっという間に保冷剤は固まった。

 

レテ「これくらいはお安い御用よ」

 

笑顔で謙虚な姿勢ではあるものの、少し自慢気に語るレティに、

 

あゆ「あの〜、これからもお願いしてもいいですか〜?」

 

保冷剤の追加生産の約束を取り付けようとするやり手店長。しかし、彼女からの答えは…。

 

レテ「いいけど、私は春までしかいないわよ?」

あゆ「え〜、カグちゃんそーなの〜?」

輝夜「残念だけどそうなの。

   レティは秋から春までしか姿を現さない

   妖怪なのよ」

あゆ「暑い時期程重宝するのに〜」

 

保冷剤メーカーからの返答に戸惑いを見せる店長。彼女としては春から夏の暖かい時期の活躍を願っていたのだ。そんな彼女の言葉に保冷剤メーカーは、

 

レテ「なら暖かくなったらあの子に頼めばいいわ。

   この時間は寺子屋に行ってるけど、

   これくらいならあの子でも出来るはずよ」

 

代理のメーカーを紹介した。

 

あゆ「寺子屋ってモコちゃんが通ってる〜?」

輝夜「ああ、あの…。でもあの子力加減できるの?」

レテ「寺子屋で練習しているそうよ」

 

輝夜もが知っている人物の様だが、2人の話から推測するにどうやら子供の様。しかし、あゆみとしては願ってもいない有益な情報だった。

 

あゆ「じゃあ今度会えたらお願いしてみま〜す」

 

 レティに礼を言い、店へと急ぐ2人。彼女達が店に着いたときは、開店時間まで15分を切っていた。

 

あゆ「チビウサギちゃん遅くなって…」

 

あゆみが慌てて店へ駆け込むとそこには…。

 

にと「やあ、待ってたよ。見て!遂に完成だよ!」

 

いつかの技術者の姿が。そしてその側にはあゆみが夢にまで見た待望の…。

 

あゆ「冷蔵機能付きショーケースだ〜!」

 

それを見て一気にテンションが上がったあゆみは、

 

てゐ「中は洗って拭いておいたウサ。

   もういつでも使えるウサ」

 

てゐの心遣いも

 

にと「ふっふっふ、今回は少し本気出したよ。何と

   言っても自慢はオートコントロール機能!

   しかも3つの場所でそれぞれ違う設定で

   温度と湿度を一定に保ち…」

 

誇らし気に語る技術者の言葉も

 

あゆ「ふぁ〜〜〜〜」キラキラキラキラ

 

目を輝かせながら右から左へと受け流した。

 

にと「えっと、聞いてる?」

てゐ「嬉しさのバロメーターを振り切ったウサ」

輝夜「あゆみ良かったわね」

 

今のあゆみは話が出来る状態ではないと悟った技術者は、

 

にと「あー、じゃあてゐに使い方を伝えておくよ。

   まず燃料は弾幕だから。

   そこの装置の受け口にスペルカードを入れて

   宣言すればいいから」

 

一番話が通じそうなイタズラ兎に説明をする事にした。

 

てゐ「強さは?」

にと「強すぎると壊れる可能性あるけど、

   中級クラスまでなら問題ないよ。

   私の『光学:オプティカルカモフラージュ』

   で4時間くらいはフル回転できたよ。

   あとは…」

 

 

--河童説明中--

 

 

てゐ「分かったウサ。あとで伝えておくウサ」

輝夜「取り敢えずいつもの開店準備は出来たわよ」

にと「じゃあ私は帰るね。

   お代はそこの紙に書いてあるから、

   今度来た時に払ってくれたらいいよ。

   あ、分割も有りね」

 

にとりは装置の使い方等の説明を、輝夜は店の開店準備を、てゐはにとりの説明の理解を、皆それぞれが自分の役割を全うしていく中あゆみは…。

 

あゆ「ふぁ〜〜〜〜」キラキラキラキラ

てゐ「いつも以上に余韻が長いウサ…」

にと「ふふ、こんなに喜んでくれるなんて、

   技術者として最高の幸せだよ。

   じゃあまた何かあったら呼んでねー」

 

顧客の素直な反応に笑顔で店を出て行く技術者。その後ろ姿は戦いに勝利した戦士の様に勇ましく、誇らしげであった。

 

輝夜「にとりありがとう。あゆみ!

   開店にするわよ」

あゆ「ふぁ〜〜〜〜」キラキラキラキラ

 

イラッ!×2

 

  『戻ってこい!』

あゆ「ごめんなさ〜い!」

 

 

 




次回:【Menu⑪:ショートケーキ(苺)】
揃うべきものが揃ったあゆみの店。いよいよ…。
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