東方迷子伝   作:GA王

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一気に暑くなってきました。
まだ6月だと言うのに・・・。
7月・8月。今から不安です。





Menu⑬:◯◯◯ケーキ(考案)  ※挿絵有

迷いの竹林の中にある永遠亭。

 

今は朝食が終わった頃、

永遠亭の縁側には今日は6人の乙女が、

 

ズズー…。

 

  『はぁ~。お茶が美味し~』

あゆ「レティさん、

   いつもありがとうございま〜す」

鈴仙「毎日わざわざ来て頂いて…」

輝夜「大変じゃない?」

レテ「いいのよ。いつも退屈してるから。

   私も頼りにしてもらえて嬉しいわ」

 

 保冷剤を使う様になってから、店に行く前に湖へ寄り、保冷剤を凍らせて貰っていたあゆみ達。しかし、それでは効率が悪い上大変だろうと、レティはあゆみ達の事を気遣い、永遠亭まで足を運ぶ様になったのだ。

 最初こそ驚いた彼女達だったが、今ではすっかり『縁側仲間』となっていた。

 そして季節はもう…。

 

レテ「でも、もう私が協力出来るのも…」

輝夜「そうね。もうすぐで交代の時期ね」

鈴仙「なんかあっと言う間だったね」

てゐ「ちょっと寂しいウサ」

あゆ「うん…、そうだね」

 

 永遠亭の周りの竹林では、筍が地面から顔を出し、人里では桜の木は見頃を迎えていた。

 

レテ「そんなにしんみりしないで。

   また寒くなったら会えるんだから」

 

暗くなった一同に、「今生の別れではない」と苦笑いをしながら答えるレティ。

 ここ幻想郷では季節毎に姿を現わし、冬眠の様に眠りにつく者達がいる。その者達は互いに、それぞれの季節が終わる頃、次の季節の者へバトンタッチを行い、季節が変わる事を知らせて来た。レティ・ホワイトロックもそういった者達の一人。そして、レティがバトンを渡す相手と言うのが…。

 

??「春ですよー」

あゆ「ふふ、そうだね〜」

輝夜「毎度毎度ワンパターンね」

てゐ「他の事を喋ってるところを

   見た事がないウサ…」

 

 彼女の名前はリリーホワイト。レティと同様、ある季節限定の少女である。春に姿を現し、幻想郷中に春が来た事を知らせて回るのだ。今は永遠亭の番の様なのか、先程からあゆみ達と一緒に、縁側に居座っていた。

 

レテ「そうね、もう春よね」

輝夜「例年通りまた花見でバトンタッチね」

てゐ「確かにもうそんな時期ウサ」

あゆ「花見?」

鈴仙「毎年桜が満開になる頃に神社でやるのよ」

てゐ「初詣の時行った所じゃないウサ」

あゆ「お店の近くの?そう言えばこのお守り…」

 

 あゆみが取り出したのは、この世界にやってきた次の日に、永琳から貰ったお守りだった。

 

レテ「博麗神社の…お守り?」

鈴仙「あゆみちゃん、律儀にいつも持ってるよね」

あゆ「うん、永琳さんから貰った物だし〜。

   肌身離さず持つ様に言われたし〜」

てゐ「あそこのお守りとか胡散臭ウサ」

輝夜「呪いのアイテムだったりしないわよね?」

あゆ「あはは、それはないんじゃないかな〜?」

リリ「春ですよー」

 

あゆみのお守りに疑惑の視線を向ける一同。博麗神社の事情を知る者達からすれば、「何か裏があるのでは?」と勘ぐってしまうのだ。

 そんな神社ではあるが、これまで数々の異変、幻想郷の危機を救って来たのもまた事実で…。

 

輝夜「でも不思議と集まっちゃうのよねー」

鈴仙「そうですね。霊夢さんの魅力で」

レテ「ふふ、そうね。花見は特に賑わうわね」

てゐ「毎回荒れるウサ。特にあの巫女酔うと…」

輝夜「そうそう、今回の犠牲者は

   誰になるかしらね」

レテ「そう言う意味なら、白玉楼の庭師も…」

  『あれも面倒くさい』

リリ「春ですよー」

 

笑顔で花見の思い出を語る幻想郷の住人達。

 それは大勢が集まり、花見とは名ばかりのお祭り騒ぎ。皆の表情と会話からその光景が目に浮かぶ様で、外の世界から来た人間は、

 

あゆ「いいな〜、私も行ってみたいな〜」

 

その場へ行き、自分も皆と一緒に楽しみたいと思っていた。そんなあゆみの思いは、

 

輝夜「じゃあ一緒に行こうか?」

てゐ「そうするウサ!一緒に行くウサ!」

レテ「参加者は拒まないから平気だと思うわよ」

リリ「春ですよー」

 

あっさりと叶った。

 こうして、あゆみの花見への飛び入り参加が決定した。花見へ参加出来る事が叶ったあゆみの表情は、羨ましさから喜びへと、顔の各パーツが一気に変化した。

 

あゆ「じゃあ今から手土産考えておこ〜」

輝夜「そんなの用意しなくてもいいのよ」

てゐ「気軽に行けばいいウサ」

鈴仙「でもあゆみちゃんが作ったスイーツを

   手土産にしたら、大騒ぎになるかもね」

 

あゆみの参加を心から喜ぶ一同。

 だが、そこへ予期しない爆弾が投下された。

 

レテ「そんなに美味しいんだ。

   それじゃあ『明日』が楽しみね」

リリ「春ですよー♪」

あゆ「…」

鈴仙「え?」

輝夜「花見って…」

てゐ「明日だったウサ?」

あゆ「ふぇ〜〜〜!」

 

突然知らされた花見の開催日。例年通りであれば、開催地から何らかの通知がある筈なのだが…。

 永遠亭一同が慌てる中、天才薬師がおすそ分け娘を引き連れ、彼女達の前に現れた。

 

鈴仙「あ、お師匠様!

   明日、恒例の花見みたいなんですけど、

   ご存知でした?」

永琳「ええ、私は妹紅から聞いていたから

   知っていたけど…。案内来てなかったの?」

てゐ「そんなの来てないウサ」

妹紅「いやいや、手紙で来てただろ?」

輝夜「手紙?」

レテ「私は紅魔館の方から教えて頂きましたが、

   やはり手紙で来ていたそうですよ」

 

永遠亭メンバーだけが知らない『手紙』。それがどういった物なのか分からず、彼女達が眉を顰めていると…。

 

リリ「春ですよー」

 

頭に被っていた白い三角帽子の中から、一枚のカードを取り出した春告げ精。どうやらこのカードが例の『手紙』の様である。それを見た永遠亭メンバーは、たった一人だけを除き、「初めて見た」というリアクションを取った。そして心当たりのある者は…。

 

??「あっ…、それ…」

 

そう言い残し、慌てて自室へと戻って行き、数分後、リリーホワイトが見せたカードと同じ物を、赤い顔をしながら持って来た。

 

??「あはは…。

   私が受け取ったままだったみたい…」

レテ「あらあら」

リリ「はーるでーすよー…」

妹紅「予想通りっちゃ、予想通りだがな」

永琳「はぁー…」

てゐ「読んですらいなかったと見たウサ」

鈴仙「もー!しっかりして下さいよ!」

あゆ「お手紙はちゃんと読まないとダメだよ〜」

 

皆から呆れ顔で注意される

 

輝夜「ごめんなさい…」

 

問題児兼、マイペースな姫だった。

 

 

 

 縁側でのお茶会を終え、いつもの様に人里に到着したあゆみ、てゐ、輝夜、鈴仙、妹紅。道中の話題は花見の手土産について。あゆみは参加者達に手製のスイーツを披露したいと、張り切っていた。

 

妹紅「じゃあ、私は寺子屋に行くからここで」

 

 日課の様に幻想郷唯一の学舎へ向かう妹紅。そんな彼女にあゆみは、日頃抱いていた疑問を投げかけた。

 

あゆ「モコちゃん、いつも寺子屋に行って、

   何を勉強してるの?」

 

事情を知らない者からすれば、妹紅の様な少女が毎日の様に足を運ぶ理由が何なのか、

気になるところではある。しかし、彼女の回答はあゆみの予想を覆す物だった。

 

妹紅「へ?勉強?私はそんなのしないよ。

逆だよ。寺子屋のヤツらに教えてるんだよ」

あゆ「…」

てゐ「今は待つ時間ウサ」

あゆ「えーーーーーっ!」

輝夜「意外でしょ?」

妹紅「お前に言われたくねーよ、ニート」

輝夜「ざんねーん。

   私はあゆみの店で手伝いをしているから、

   もうニートではありませーん」

 

妹紅の挑発を腰に手を当て、胸を張って否定する輝夜。あゆみの店の『手伝い』をしているので、ニートではないと言う主張なのだが…。

 

妹紅「あくまで『手伝い』だろ?」

 

一般的に、店の手伝い等はニートの部類には入らないのだが、妹紅の固い頭は「給料を貰っていない=ニート」と解釈していた。そして、輝夜もまた妹紅のこの一言が気に食わなかった。

 

輝夜「はあー!?ニートの意味分かってんの!?

   あんた寺子屋で辞書を引いて来なさいよ!

   どこまで頭の固い脳筋なのよ!」

妹紅「誰が脳筋だぁ!?」

 

里のど真ん中で火花を散らせる永遠のライバル達。止めようにも割り込めば飛び火は免れない状況の中、あゆみが2人に近寄り、

 

ポンッ。

 

それぞれの肩に手を置くと…。

 

あゆ「カグちゃ〜ん、モコちゃ〜ん。

   ここで喧嘩したら…。

   ワタシ、オ・コ・ル・ヨ?」

 

笑いながら2人を威嚇した。

 口では笑ってはいるものの、光が消えた瞳で2人をロックオンし、下手に動けば、迎撃され兼ねない雰囲気を漂わせていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

これまでに感じた事のない殺気に萎縮した2人は…。

 

  『ご、ごめんなさい…』

 

素直に謝る事にした。

 

てゐ「あゆみが怒っているところ、

   初めて見たウサ…」

鈴仙「う、うん。もう怒らせない様にしよ…」

 

普段はにこにこと明るい笑顔のあゆみ。その彼女が初めて見せた怒りの表情。それは鬼の形相とは違い、静かな物だったが、周囲の者を黙らせるには充分過ぎる程の破壊力を秘めていた。そして、そのパンドラの箱を二度と開けてはならない、と誓う一同だった。

 

あゆ「仲良くね〜」

 

普段通りの明るい笑顔に戻り、仲直りをする様に促すあゆみ。

 

輝夜「ふ、ふん!」

妹紅「けっ!」

 

とは言え、状況が状況だったため、直ぐに仲直り出来る筈もない。

 そんな中、あゆみ達の後方から、

 

??「モコたーん♡」

 

いつかの男の声が。それに気付いた妹紅は背筋に電気が流れ、確認する間もなく全速力で走り始めた。

 

??「なんで逃げるのー?

   あーあ、また行っちゃった…。あれ?」

 

逃走した妹紅を追い掛けるのを諦め、あゆみ達の目の前に現れた青年。そう、彼こそが…。

 

てゐ「こいつウサ!!」

鈴仙「え?なになに?」

輝夜「こいつが…」

??「あ、てゐ!やっと会えた、この前はごめん。

   そんなつもりじゃなかったんだ」

 

深々と頭を下げて謝罪する青年。そして彼はそのままてゐに近づき、同じ視線になる様に屈み、にこりと微笑むと、

 

??「本当にごめんな。

   俺てゐの事が嫌いで言ったんじゃないんだ。

   許して欲しいな」

 

甘い囁きで更に謝罪した。

 

てゐ「そっ、そんなのズルいウサ!」

 

声を大きくし、真っ赤な顔で怒鳴る様に答えるてゐ。しかし、その表情は怒気を放っておらず、寧ろ…。

 そんな色男は改めて彼女達へ視線を向けると、

 

??「ん?んん?えっ!?嘘…だろ…?」

 

目を丸くし、何かに気付いた。そして、

 

??「グーヤ!グーヤだ!グーヤ!

   グーヤが外にいる!!」

 

突然、輝夜の下へ近寄り、彼女をまじまじと見つめ始めた。

 

輝夜「な、何よ。それに私は…」

??「蓬莱山輝夜だろ!?

   すげぇ!思ってた以上に可愛いし、

   超美少女でザ・和風美人。モロタイプだ!」

 

聞いている方が恥ずかしくなる言葉を、いとも簡単に易々と連発する色男。しかもそれは嘘や建前ではなく、心から出た真っ直ぐな言葉。

 そんな言葉をぶつけられた姫は…。

 

輝夜「なななな何を…」

 

てゐ同様、いや、それ以上に赤くなり動揺していた。更に彼は輝夜に畳み掛ける様にもう一球、しかも、さっきよりも強烈なストレートを投げた。

 

??「俺の嫁にならない?」

  『えーーーーーっ!?』

 

 これまで輝夜に求婚をしてきた者は山程いた。しかし、彼らは皆気持ちこそあったものの、飾られたよく分からない難しい言葉で、彼女に言い寄っていた。だが、当時の輝夜は今以上に色恋沙汰に興味がなく、彼等の思いを知りつつ、無理難題を突きつけ、その慌てふためく様を楽しんでいた。そしていつしか彼女の下へは、気持ちのない、ゲーム感覚で求婚をする者達だけになっていた。

 しかし、今彼女の目の前にいるこの青年は、飾り気のない真っ直ぐな気持ちで求婚をしていた。これまでにいなかった初めてのタイプの男に、輝夜は…。

 

輝夜「……い、イヤーー!!」

 

逃げ出した。

 

??「ちょ、グーヤー!何で逃げるのー!」

 

輝夜を追い掛け様とする青年だったが、

 

ガシッ!

 

あゆみが取り押さえた。

 

 

 




いよいよEp.4がエンディングへと動き出しました。
次回:【Menu⑭:◯◯◯ケーキ(企画)】


【おかりした物】
■モデル
①春子/ゆきはね様
 公式HP→http://yukihane.rdy.jp/
②藤原妹紅/nya様
③蓬莱山輝夜 / フリック様

■ステージ
 人里/鯖缶様
 
■エフェクト
 Adjuster.fx v0.21/Elle/データP様
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