◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◆
町の広場に設置された
そして今宵も魂のビートを刻む1人の鬼が、
??「当番じゃないのにぃー!」
歓喜していた。
彼は例の罰則の対象者でなければ、その事と直接関わりのない、ただの善意に満ち
??「オイラも祭り楽しみてぇー!
可愛い子と出会いてぇー!恋がしてぇー!」
その魂の叫びは太鼓の音を更に熱いものにし、祭りをより一層盛り上げていたが、打ち手である彼のポテンシャルはもう限界を迎えていた。
??「ダメだ…。ちょっと休憩」
その場に倒れ込む様に座り込み、持参して来た竹筒の中身を一気に飲み干した。
??「ふぃ〜、今日で祭りも終わりか…。
あとは結びの一番、親方様の取組だけか。
なんかここまであっと言う間だったなぁ」
祭り自体は2週間だが、その前の準備の段階から加わっていた彼にとって、今日という日はようやく迎えた言わばゴール地点。
??「終わり良ければ全てよしだ」
彼の好きな言葉だった。
??「もう一踏ん張りしますか」
悲鳴を上げる体に言い聞かせ、袖をたくし上げながら再び立ち上がると、バチに力を込めて
??「そーれっ!」
掛け声と共に振り下ろした。
??「うん、ここなら見晴らしいいねぇ」
その瞬間突然の声に驚き、振り下ろしたバチは手を離れ、太鼓のふちに当たると勢い良く跳ね返った。
ゴッ!
??「いってー!鼻が…、オイラの自慢の鼻が!」
然程高くもなく、至って普通の鼻を押さえて涙を浮かべる打ち手。
??「あんた大丈夫かい?」
??「あのなぁ………!?」
声の主を睨みつけ、威嚇をすると共に「ここは立入禁止だ!」と注意しようとしたが、その姿に目が釘付けになった。彼が尊敬する鬼にも引けを取らない抜群のプロポーション。更にその胸元ははだけ、見る者を誘惑していた。
そんな彼女を見たこの鬼は一瞬で理解した。
??「(もろ好みだー!)」
と。
??「ん?どうかしたかい?」
??「いやいや、なんでも。オイラは鬼助だ。
ここに来たって事はオイラに何か用かい?」
軽い自己紹介をする勇儀の部下兼、弟分兼、みんなの便利屋。彼のみが立ち入る事を許されているこの場所に、わざわざ足を運んでくれた彼女に、強い期待を込めて声を掛けた。
??「いやぁ、用って訳じゃないんだけど、
暫くここにいてもいいかい?」
彼にとっては願ってもない返事。当然、
鬼助「どうぞ、どうぞ。お好きなだけ」
断る理由なんてない。ただ…。
鬼助「でも
置いてくれない?」
彼女の背にある大きな凶器を指し、申し訳なさそうに下手にお願いした。だが彼女は笑顔を浮かべると、
??「あはは、悪いけどそいつは無理な相談だね。
これがないと落ち着かなくてねぇ。
見つける
それまで我慢しておくれよ」
笑いながらそれを拒否した、と同時に彼女のこの言葉で彼はとうとう覚った。自分には全く用は無かったのだと。だが「ここで諦めては男が廃る!」と悟りを開いてもいた。
鬼助「じゃあ見つかったらオイラと店を回らない?
オイラもあと少しでココが終わりなんだ」
??「へ?あたいを誘ってるのかい?」
鬼助「おうよ!絶対に楽しかったって思える時間を
プレゼントするから」
??「へぇ〜…」
毎日
??「(あたいの正体を知っても、
同じ事を言えるのかな?)」
と。自分が何者かを知った途端、「さっき出会った鬼と同様の反応をするのではないか?」という不安が彼女の中で渦を巻いていた。
そんな彼女の気持ちとは裏腹に、ついに彼は口を開いた。
鬼助「ところでお嬢さん、お名前は?」
??「あたいの名前は小野塚小町。死神だよ」
◆ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
??「ん〜、
口いっぱいに大好物を頬張りつつ、両手いっぱいに購入&獲得した同様の物を持って、大通りを満面の笑みで歩く少女。その量は数にして10本。彼女のじゃんけん無敗記録は未だ健在のようだ。だが不満に思う事もあるようで…。
??「全く…、小町は何処に行ったのでしょう?
上司を残して勝手に何処かへ行くなんて、
言語道断、前代未聞です!見つけたらお説教
です!」
ブツブツと消えた部下への愚痴を
妖怪「おい!あっちで鬼同士の喧嘩だってよ!」
興奮しながら誰にというわけでもなく、大声で叫んだ。その声に反応した者達は、次々とその妖怪が指差す方角へと急ぎ足で向かって行った。
??「喧嘩…ですか。これは見過ごせませんね」
彼女はそう1人呟くと、他の野次馬達と同じ方角へと歩き出した。
◇ ◆ ◇ ◇ ◇ ◇
吹き飛んだ鬼は近くにあった出店へと、その身体ごと突っ込み、大きな破壊音を立てた。出店はぐちゃぐちゃに潰れ、辺りからは悲鳴とどよめきが上がり、場は騒然としていた。
せっかくここまで頑張って来たのに、最後の最後でこの様…。あの時のヤマメの気持ちを理解していたつもりだったけど、いざその立場になるとこうまで辛いなんて…。
私はその思いを瞳に乗せ、吹き飛ばした鬼を睨みつけた。
勇儀「おい!やり過ぎだろ!店までめちゃくちゃ
じゃないか!」
鬼②「そんなの知るか!アイツが避ければ済む話だ
ろ!?弱いアイツがいけないんだよ」
私の中で何かがギシギシと音を立て始めた。
勇儀「反省する気は…無いんだな?」
鬼②「喧嘩両成敗だろ?反省も何もないだろ?」
この馬鹿には………お灸を据える必要がある!
◇ ◇ ◆ ◇ ◇ ◇
??「ここがその店だよ」
彼女が2人のBoysを引き連れてやって来たのは、Pon-Ponと愉快なSoundを立て、周囲に乳製品の香ばしい匂いを漂わせるColorfulなShopだった。店員が彼女に気が付くと、明るいFaceで声を掛けた。
??「Hey,Master!Welcomeね!」
??「ピースご苦労様、景気はどう?」
ピー「Bochi-Bochiね。ん?そこのBoysは?」
??「さっきのお店で会ってね。私1人だと寂しい
から……」
彼女はそこまで語ると、地底の天井眺めて少し考えた後、
??「借りた?」
疑問形で簡潔に経緯をまとめた。
大鬼「どーも…」
カズ「無理矢理借りられました」
そんな彼女に恐れ多くも皮肉めいた言葉で挨拶をする少年達。
ピー「きゃははは、それはUnhappyだったね。
My masterがYouにTroubleを掛けたお詫び
に、PopcornをPresentするね」
そう言って店員は少年達に、ポップコーンがこんもりと盛られたBucketを一つずつ手渡した。
カズ「は?え?くれるの?」
大鬼「何これ?」
少年達が初めて見る物体に呆然としていると、店員の主人はくすりと笑い、カズキのバケツから一粒摘み上げ、口の中へと入れた。
??「う〜ん、美味しぃ。ポップコーンはやっぱり
オーソドックスな塩バターだね。
2人とも食べてみなよ」
彼女の様子から手にしたそれが、食べ物であるとようやく理解出来た少年達は、一粒ずつ摘み上げてまじまじと観察し、
『いただきます』
仲良く声を揃えて、いざ実食。
カズ「あ、これ美味しい!」
大鬼「うーん、ボクは今一…。かな?」
??「ピース良かったね。
1名様が気に入ってくれたみたいだよ」
ピー「I'm happyね。Not good だったBoyは
Other taste もあるよ。Sugar、Curry、
Honey。Let's select ね。
どれもYummy , Yummyよ」
「あまり気に入らなかった」と答えた少年を微笑みながらジッと見つめ、返事を待つ店員。
その様子から彼は状況を覚り、救いを求めるように休戦中の相手に小声で話し掛けた。
大鬼「これ、ボクに言ってるのかな?」ヒソヒソ
カズ「多分そうだろ?」ヒソヒソ
大鬼「何て言ってるか分かる?」ヒソヒソ
カズ「さぁ…。さっきから何を言ってるのか…」ヒソ
大鬼「初めて聞く言葉だよ?」ヒソ
カズ「あの人の部下だって言うんだから、
神様語とかじゃないのか?」ヒソ
大鬼「何て答えればいい?」ヒソ
カズ「知らねぇよ!自分で考えろよ!」
大鬼「一緒に考えてくれてもいいじゃん!」
カズ「オレは関係ないだろ!巻き込むなよ!」
休戦は解けかけ、言い合いを始める2人。少年達の声はいつしか店員と、その主人の耳にも届く程になっていた。
そんな2人にただ苦笑いを浮かべて見守る店員。実はこの店員、話そうと思えば他の者達と同様にJapanese onlyでSpeakする事が可能なのだ。だが、もめ始めた少年達のために言い直そうとしたところを、彼女の主人からの指令によりStopさせられているのだ。その指令とは「面白いからほっとけ」だった。と、そこに…。
??「見つけた!」
◇ ◇ ◇ ◆ ◇ ◇
落下点に到着した彼女は上空の様子を伺っていた。眼に映るのは不気味な色の鬼火を構える妖怪の友達。それは最高の物だと彼女もすぐに感じた。
キス「胸の大きさがなんぼのもんじゃー!」
上空から聞こえて来た心の叫びは、下にいる彼女にも届き、
萃香「そうだそうだ!こちとら希少価値じゃー!」
共鳴した。
そして間も無く視界を覆う様にやって来た球に、その思いと理不尽な世の中への恨みを乗せ、
萃香「トォーーーッス!!」
全力のバトンタッチ。が、
萃香「くしゅんっ!」
突然巻き上がった砂埃が彼女の鼻を刺激した。その瞬間手元が狂い、球はこれまでの軌道を外れ、全てを乗せたままアタッカー目掛けて飛んで行った。
萃香「やばいっ!避けて!」
彼女の危険を知らせる声に気付いたアタッカー。
キス「きゃっ!」
間一髪の所で避けた彼女だったが、
バチコーーーンッ!!
振り上げていたその手は体制を崩しながらも、それを見事に打ち抜いていた。
最高の鬼火を乗せたゴミ袋はターゲットを大きく外れ、
萃香「まずい…」
キス「あっちゃー…」
青い直線となり、町中へと向かっていった。