不死の感情・改   作:いのかしら

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「日本で一番権力のある高校生は?」
「安斎千代美だろう、アンツィオの」

日本政府高官の発言


第4章 これが本当のアンツィオ戦です!
第4章 ① 偉大なる者


アンツィオ学園都市、この学園都市は栃木県旧下都賀郡石橋町、国分寺町、河内郡南河内町を管轄下に入れており、北関東自動車道が東西に横たわり、東北本線が南北を縦断している。

イタリア風の楽観的な校風が特徴で、その廉価と質の高さを両立した食事と、安定した勉学の為の治安のみを求める校風が、のちの独裁政権成立に一役買ったと言われる。

人口は約7万人。アンツィオ高校学園艦の陸上移設時に移設先として要望を受け、宇都宮への利便性などが評価されて決定したとされている。しかし石橋、国分寺、南河内の3町で進められていた合併協議に、移設を命じられ、他都市との交渉が難航していたアンツィオ学園都市が便乗した、というのが実態である。

しかしこれが仇となる。観光施設を含む多くの海上施設を内陸に輸送する際に多くの費用と時間を取られた上、それに手間取っている間にバブル景気が到来。地価が高騰し施設用の土地買収に苦労した。さらに廉価な食事の提供の為の補助金が財政改革を妨げ続けた。

 

「アンツィオの触れてはならぬもの。それはこれだけ飯の金」

 

という言葉が政治の世界で流れているのは、それだけ補助金の切れ目が縁の切れ目であることを示している。

その広大な敷地、そして東京のベッドタウンとしての南部の発展とは裏腹に、アンツィオ学園都市は財政難に長年苦しむ羽目となる。

 

 

12月3日夕刻、岩手県陸前高田市郊外、アンツィオ高校陣地。

以前の軟式戦車道大会は陸上自衛隊船岡駐屯地にて行われていたが、東日本大震災の復興支援の一面もあり、昨年からここで行われることが決まった。

 

「……明日か、カルパッチョ」

 

その中央にある本部テントの中で、私は背もたれに深く寄りかかる。プラスチック製の安物の椅子だ。受け止めてくれる柔らかさはない。

 

「そうですね。総帥。早いものです」

 

副隊長の2年生カルパッチョは落ち着いて答えた。背筋はピンと張り、膝の上の手は握り締めている。

事情は聞いたが、そりゃ身体も強張るわ。

 

「姐さん、飯できましたよ」

 

カルパッチョが深く息を吐くと同時に、奥からもう1人の副隊長ペパロニが自作の料理を持って出てきた。アンツィオのノリを具現化したような人間が、今日ばかりはおとなしいから不気味だ。

 

「姐さんはカルパッチョ、カルパッチョはラザニアでいいな」

 

「ペパロニ、貴方のは?」

 

カルパッチョが辺りを見回す。皿は2枚しかない。

 

「あたしのはナポリタン多めに作ったんで、みんなと分けてきます」

 

「そうか、行ってこい」

 

「それじゃ」

 

ペパロニは鍋2つを持って歩いて行った。部屋には静寂が戻るし、空腹感もそれほどでもないが、食わざるを得ない。

 

「いただきます」

 

無言で皿のものをつまむ。

 

「……どう出ますかね、大洗は」

 

数口食べたカルパッチョが口を拭きながら言う。

 

「あの西住みほのことだから、仲間を思って受け入れるよう言うだろうな」

 

「西住みほの身柄引き渡しを条件に降伏すれば、その他の者は解放する、ですか。これで食いついてくるか……本当に解放するのですか?」

 

「もちろんだ。嘘はつかない。西住みほは転校したばかりだから、もし人柱にしても、他の者を人柱にするよりは大洗との関係が大幅に悪化することは防げる、というのが一つ。もう一つは、ここでの損害は避けられるなら避けたい。次に注力したいからだな。

が、もしそれでも受け入れなかったら……やるしかない。そうしなければあんな有利な条件で協定を結んでくれた黒森峰に申し訳ない。あの裏切り者西住みほを潰さねば……」

 

「……」

 

元々私は現在大洗でのうのうと生きている西住みほを快く思っていなかった。

その理由として大きかったのは、12月の軟式戦車道大会決勝、そこでフラッグ車の車長のみほが職務を放棄して、川に落ちた仲間の救出に向かったこと。

仲間を大切にする所は共感する。しかし何故それを自分で行ったのか理解し難かった。それは他の者に任せ、自分はその場から離れず堂々と指揮すべきだったのだ。

今までの歴史でもトップの逃亡により総崩れになった戦いは数知れない。それは遥か古代のアレクサンドロスの時代から示されている事実だ。

同じ西住の教えを学ぶ者で、いつも学園から結果を求められてきた私にとって、勝ちを捨てることとわかりきっていることを行うとは許せなかった。

さらに追い討ちをかけたのが今年7月の硬式大会である。尊敬する彼女の姉、まほを助けられずに黒森峰から逃げたばかりか、逃げた先で戦車道大会に出場し、降伏することなく戦おうとしているのだ。

許し難かった。生きているだけならともかく、戦車道をやって反逆しているとは。

 

「総帥、ペパロニに今夜それぞれの好きな物を作らせたのって……」

 

カルパッチョが完食した皿を置く。

 

「言いたくないが……最期の晩餐かもしれないからな」

 

しかしトップたるもの、威勢の良いことばかりも言ってられない。

1回戦の損害が1輌だった大洗に対し、アンツィオはマジノ女学院と対戦し、敵のセモべンテ殲滅作戦によってセモべンテ4輌、カルロベローチェ1輌を失っていた。ただでさえ少ない火力が大きく減ったのだ。その不足は誰が見ても明らかだ。

敵には高火力のポルシェティーガー、III突、IV号、ヘッツァーが残っている。更に姉ほどではないが高い指揮能力を持つ西住みほもいる。IV号と張り合えるのがP40、それも1輌しかない我々だ。まともに戦えば勝ち目はない。

かといって向こうが降伏して車輌を鹵獲しても、こちらで使える車輌が無いのが泣き所だ。こちとら最近中戦車導入したばかりだからな。重戦車、または追加の中戦車を使える人材がおらん。

西住みほと戦うとなれば、まともに戦うわけにはいかなくなる。

 

私も最後の一切れを口に入れてナイフとフォークを置くと、口元を拭って鞭を手に席を立った。

 

「総帥、如何なさいました?」

 

「少し外の風を、な」

 

テントの幕を払い、空を眺める。星々の細やかな輝きが天球に散らばり、満月に近い月が周りの星々を包み込む。

少し漫然とその光に目をとらわれていたが、まもなく風に乗って音が流れ始めるのを感じた。音源は少し離れた場所、アンツィオの部下たちが戦車と共にいる辺りだ。

 

♪ドゥーチェ! ドゥーチェ! 我らの長

ドゥーチェ! ドゥーチェ! 偉大なる者

貴女が望めば この身を捧げん

戦車の上におはす おおドゥーチェ!

 

♪必ず幸福をもたらす 我らがこの地に

勉学と自由を以って 手の鞭の導き

芯にあるはローマ魂 永遠の帝国

我らが平穏である為に 彼女を支えん

 

♪ドゥーチェ! ドゥーチェ! 崇高なる者

ドゥーチェ! ドゥーチェ!心の炎

アンツィオの者らよ 高らかに歌おう

空が奏でるごとく おおドゥーチェ!

 

♪ドゥーチェ!ドゥーチェ!未来を護らん

ドゥーチェ! ドゥーチェ! 皆のドゥーチェ!

明日を行く若獅子 今ぞ猛る時

アンツィオよ永遠に おおドゥーチェ!

 

♪日本人よかく呼べよ おおドゥーチェ!

 

 

私の歌だ。何種もの声が重なり合ってハーモニーを奏でている。

 

「ドゥーチェ賛歌、ですか。何度聞いても陽気な良い歌ですね」

 

「ははっ、陽気っちゃ陽気だが、良い歌かは別だと思うね」

 

何が偉大なる者か、何が崇高なる者か。私は今仲間の命を守ることではなく、学園の名誉を如何に守るかを第一に考えているではないか。

だがこれを覆す訳にはいかない。私が愛し、十役会議の仲間が愛し、アンツィオ黒服党の者が愛し、守っていかんとするこの学園が永遠たる為には、撤退せず進撃を続ける他ないのだ。そうしなければ、我々はプラウダに呑まれる。断固独立を維持する意思は見せねばならない。

進撃するにはこちらの団結心を活用し、戦い尽くすための策が必要になる。そうなると、あれしかない。

 

「カルパッチョ、一つ策がある。しかし余り使いたくはないが、使わざるを得ん」

 

「総帥、それは……」

 

 

 

   その1時間前。大洗女子学園陣地。

 

「河嶋隊長、西住副隊長。アンツィオからの使者が来ています」

 

東富士から尻が痛くなるようなオンボロの列車で到着し、車輌の状態を確認していた河嶋さんと私の所に澤さんがやってきた。

 

「アンツィオから?降伏か?」

 

何だろうか。降伏ではないのは間違いない。西住の教えを受けた人なら、まず選ばない道だ。

 

「まあいい、通せ。席と茶を用意してくれ。私達もすぐ行く」

 

「分かりました。もう1人お呼びして欲しい方がいるそうなのでその方も呼びます。」

 

澤さんはそのまま走り去った。

 

「そのもう1人って……誰だ?」

 

「誰でしょう」

 

私にも分からない。

暫く歩いた先で、本部のテントの幕が上げる。

 

「済まない、遅くなった。私が隊長の河嶋、こちらが副隊長の西住だ」

 

河嶋さんが詫びを言って席に着く。私も頭を下げそれに続く。澤さんが2人に追加で茶を出す。

 

「澤、もう1人は?」

 

「もうすぐかと……」

 

「私はアンツィオ高校戦車部副隊長の落合陽菜美と言います。よろしくお願いします。」

 

落合さんが一礼すると、外から走ってくる音が近づく。そして勢いよくカエサルさんが入って来た。

落ち着きが欲しいね。一応ここは司令本部みたいなものなんだから。

 

「ひなちゃん!」

 

「たかちゃん!無事て良かった!」

 

2人は抱きついた。その一瞬の有り難みを互いの身に焼き付けようとしていた。2人の関係はそれを見れば誰でも分かった。

さっきは落ち着けなんて考えて悪かった。どちらも戦車道やりながらの交友か。素晴らしいね。

 

「あの、女同士の友情も良いんだが本題に入ってくれないか?あまり待たされるのは好きじゃないんだ」

 

それがあまりに長いので河嶋さんがしびれを切らした。急にしおらしくなってカエサルさんがテントから出る。久しぶりらしいし、別に良いんじゃないかね。口出さないけど。

 

「すみません。こちらが我々の総帥からの書状です」

 

落合さんが2人の前に紙を差し出した。河嶋さんが受け取り、三つ折りのそれを開く。私はそれを横から覗く。一言一句、僅かな欺瞞も暴いてやろう、との意思が河嶋さんの目から溢れ出てる。

 

「……到底受け入れられん。帰れ」

 

欺瞞はないようだが、畳むこともなく河嶋さんは落合さんの前にその書状を突き返す。

待て待て。仮にも講和の使者としてきている人間に対して、そう無礼を働く訳にはいかないだろう。

戦う前だ。文面を見るに、向こうが敵と見ている人間は限られている。だが戦いとなってしまっては、残りの者も敵とみなされてしまう。徒らに命を捨てる道を選ぶ必要はない。

そしてその道には私の決断が必要であるが、それは結構あっさりと自分の中で固まった。以前なら絶対選ばない道だったんだけどな。

 

「ま、待ってください!」

 

「なんだ西住?まさか降伏する気なのか?秋山も言っていただろう。戦って勝つしかない、と」

 

「いえ、まず他の人と相談してから決めた方が……」

 

「相談するまでもない。我々には勝たなければならない理由がある」

 

「これは皆さんの生死に関わる問題です。我々だけで決めてはいけません」

 

「しかしだな……」

 

無言で河嶋さんの目を見つめる。

 

「……分かった。そこまで言うなら相談しよう。済まない、返事は今日中には返すが先になる。書状はこちらで預かり、決まり次第こちらから使者を送るから帰ってくれ」

 

「分かりました。失礼致します」

 

落合さんは席を立ち、手を重ねて一礼すると平然と去った。

 

「……といっても、これを受け入れたら西住、お前の命は……場合によっては皆殺しかもしれんぞ」

 

河嶋さんが書状を二本指で挟んで振る。だが私は知っている。あの人は真面目だ。

 

「……安斎さんはそんな人じゃありません。嘘をつくような人では。皆殺しだけは避けられるでしょう」

 

「会ったことあるのか?」

 

「今年の春の西住流の合宿に参加していました。たった数週間の間でしたが、それでも彼女は多くの面識を持ち、そしてその相手のほとんどから好印象を得ていました。かく言う自分もその1人です」

 

全く照れ臭い話だ。だが人を惹きつけ仲間を集め、その仲間と協力する点において彼女ほどの力を持つ人間は見たことがない。

 

「……まあいい。それは後だ。確かに会長には目を通してもらわなければならん。澤、この後車長全員集めてくれ」

 

「分かりました」

 

 

10分後、そのテントにはすべての車長と生徒会の者が一堂に会していた。

「各車輌の状態は?」

 

「全車良好です。明日の試合は問題ないかと思います」

 

ナカジマさんが他の自動車部員からの書類を確認する。

 

「それは何より。他に誰か報告はあるか?」

 

「私から良い?」

 

小山さんが身を乗り出しながら手を挙げた。

 

「大会本部を通じて食事の手配が済みました。全員に完全に分けて2日分はあります」

 

「……長期戦にはならないだろうな。相手がアンツィオだし、良くなってはいるらしいが予算に余裕はあるまい」

 

「なら100%提供します」

 

「いや、いざという時もある。80%くらいに抑えておいた方がいいんじゃないか」

 

エルヴィンさんが決定直前に割って入った。

 

「腹が減っては戦はできぬ、と言うじゃないですか」

 

「それにみんなそんなに食べないだろう……こんな環境じゃな」

 

「無くなるように与えるべきじゃないよ。ま、残しても食べられるかは分からないけどね」

 

「……だな。柚子ちゃん、8割で頼む。」

 

「分かった。桃ちゃんがそう言うなら」

 

「桃ちゃん言うな。取り敢えず話はこんなものか。じゃあ本題に入ろう。今回集まってもらったのはこのような書状がアンツィオから渡されたからだ」

 

 

   前略 大洗女子学園

   我々アンツィオ高校はこの度の戦車道大会にて不運にも貴校と対戦することとなりました。我々も不要な犠牲は求めません。

我々は貴校の副隊長西住みほの身柄をこちらに引き渡し、我が校に降伏するならば車輌、所持品含めて全員即時に解放することを約束致します。

仮に我らと戦って価値を得たとしても、勝ち上がった貴校と次に当たるであろうプラウダ高校には圧倒的な物量差があります。降伏することを勧告致します。

敬具

 

 

「……降伏しろと」

 

エルヴィンさんがまじまじと書状を見る。他の車長の人たちもそれに続く。

 

「まあそういうことだ。私はするべきではないと思うが」

 

話を切り出すのはこの時をおいて他になし。私が真に過去と決別出来るチャンスが。

 

「……私はするべきだと思います」

 

大きく息を吸ってから、一息に言い切った。

 

「ほう……それはどうしてさ?」

 

「安斎さんは嘘をつく人じゃありません。あの人は今年の西住流の合宿に参加していたのですが、あの人と合同チームを組んだ人達は皆こう言っていました。嘘をつかず信頼でき、仲間思いの優しい人だと。

そう言ったかつての仲間を、私は信じたいんです」

 

「しかしそうだとしてもお前の身は危いぞ。文面は身柄の引き渡しだけだが、西住流を信じ、黒森峰と結んだ安斎のことだ。西住流を破門されたお前を殺すことで、黒森峰からの信頼を得ようとするかもしれない」

 

「それでもいいです。皆が無事解放されれば……」

 

「そーいえば、アンチョビってアンツィオで味方と敵の差別化政策取ってたよね。確か左派の下野市民同盟とか抑圧してたと思うけど」

 

会長さんは干し芋を一枚つまみながら口を挟む。てか、あのペースで食べててまだ残りがあるのか。何袋あるんだい。

 

「はい、会長。我々は確実に差別される側かと。安斎が仲間思いであることが裏目にでるとも考えられます。アンツィオは今年黒森峰から50億円もの資金援助を受けています。相当な恩義を感じているでしょう。それに我々は勝たなければ……」

 

「でも……これが最後のチャンスなんです!プラウダや黒森峰に降伏したら確実に殺されます!でも今ならまだ大丈夫です。なんなら私が直接安斎さんと交渉しに行ってもいいです。皆さんを確実に解放させます。勝つよりも大事なことがあります!皆さんも思っているはずです。"生きて帰りたい"、って!そしてみんなは学園生活を平和に全うして欲しいんです!

私はこの学校に来て、学校も戦車道も大好きになりました。今ならその気持ちが残っています!その気持ちのまま自分の戦車道を終えたいんです!」

 

こんな全力で主張したのは、ここじゃ初めてか。人生で2度も首を切られる覚悟で話す人間は私が最後であって欲しいが。

その場の者は黙り込む。

"生きて帰りたい。"

その思いを持っていない者は誰一人いないに違いない。

またあんこう鍋を作って食べたい。

生徒会の職務を全うしたい。

みんなともっと長く過ごしたい。

歴史資料をもっと見たい。

風紀委員の仲間とまた会いたい。

みんなとゲームしたい。

雨の中車を乗り回したい。

どん底で一杯飲みたい。

そして何より、また戦車道がしたい。

しかしそれらは私が、下手したら死んでまでも生き残る価値のあるものなのか、そんなことわかるはずがないのだろう。

私にも分からない。皆が助かるを免罪符に死のうとしている我儘に過ぎないのだから。

黙り込む中で一人震えていた、河嶋さんはその場で震えていた。

 

「学園生活を全う?……西住、お前は何をいっているんだ!優勝出来なかったら、我が校は……我が校は廃校になるんだぞ!」

 

目線を真っ直ぐ私の方に定め、机を叩き声を張り上げた。

 

「えっ⁉は、廃校!」

 

おいちょっと待て。廃校は想定してたけれど、優勝出来なかったらとは聞いてないぞ!正直軟式でベスト4行けば良いだろうと踏んでいたし、その為の練習を組んできた。

黒森峰、プラウダ、サンダース、聖グロのいずれか一つを倒せるのと、全て倒さなければならないのとでは訳が違う。おまけにこれは硬式戦だ。試合ごとに戦力は減る。

 

「ごめん……騙すつもりはなかったの……」

 

小山さんは肩をすくめ、目線をそらす。

 

「会長さん……」

 

目線はゆっくりと会長さんに向かう。僅かな夢を賭けて。が、返されたのはただ黒い目だった。

 

「河嶋の言う通りだ。この戦車道大会で負けたら、我が校は廃校になる」

 




広報部からの報告

内容
アンツィオ学園の動向

同校からの連絡によると
「西住みほの身柄を条件に降伏を勧告しよう」

「戦車道大会2回戦の行く末」
において選択をしたとのことです
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