ストライクウィッチーズ 鷹の目を持つ少年 作:何処でも行方不明
あと、クルトさんは存在が抹消されたのではありません。
サブタイはやはり難しいです。
ドガァァァンと演習場に爆音が響く。
「やっぱり迫撃砲の方が威力はでるな……でも俺の筋力じゃ少し厳しいな……飛べるか?」
俺が履いているユニット『Do335V2』は積載可能重量は多めらしい。迫撃砲は固有魔法と相性がいいので是非とも積んでみたいが、38cm sLdgWは弾がかさばるので爆弾で手数を増やした方がいい。
ただ、プロトタイプなので一抹の不安が拭えない。
「せいが出るわねディー」
「ミーナ中佐……」
「ミーナでもいいのよ?」
「公私混同はダメですよ。中佐」
迫撃砲を元の位置に戻し、ミーナ中佐に向き直る。
カールスラントがネウロイに侵略される前、つまりは俺が魔法に目覚める前は恋人として同棲していたが、今は俺もミーナ中佐もカールスラント空軍の軍人だ。
といっても俺は原隊こそカールスラント空軍第3戦闘航空団になっているが未だにネウロイとの戦闘は数える程しか経験してない。ついでにいうと士官教育は完了しているが実績不足で階級は『少尉』だ。ミーナ中佐に階級で追いつくには大尉になってから二階級特進したら追いつくがミーナ中佐を残してこの世を去る気はない。
「爆破の規模が大きければ大きい程、爆撃制御で収束した時の破壊力は高くなるが……」
「また考え事?」
「生き残るためには必須です」
ミーナ中佐と基地の廊下を歩く。
「今日から配属になるのに先に訓練に行くなんて……ディーらしいけどね」
「これだけが自分の取り柄ですので」
「はあ……変わらないわね」
歩いて行くと前には黒板と教壇がありいくつかの席がある教室のような部屋に着いた。
ここが第501統合戦闘航空団のブリーフィングルームだ。
俺はミーナ中佐に手招きされ部屋に入る。
「今日からこの第501統合戦闘航空団に新しく配属されることになるメンバーを紹介するわ。ディートリヒ少尉前へ」
「本日より第501統合戦闘航空団に配属されることになりました。カールスラント空軍第3戦闘航空団所属、ディートリヒ・D・クルーガーです」
俺は敬礼しながら挨拶する。見慣れた顔のバルクホルン大尉やハルトマン中尉。だが他のウィッチの顔は猜疑心に溢れていた。
「ミーナ中佐。そいつは本当に戦えるのか?」
「ええ、もちろん。詳しくは本人に聞いてもらった方が早いでしょう」
そう言ってミーナ中佐は表情を引き締めた。
「では、解散!」
宣言した瞬間に全員が立ち上がる。それを確認したミーナ中佐は歩き始めた。
さて、未来視ではこの辺りで……
「よっと」
「わぁぁ!!」
ツインテールの少女が後ろから飛びついて来るのが見えていたので避ける。余計なトラブルはゴメンだ。
「よお、あんたやるな!ルッキーニのアレを躱すやつなんて初めて見たよ!」
オレンジ色の髪を持つグラマーな少女がいた。確か名前はシャーロット・イェーガー。階級は中尉。
ここに来るまでに部隊に配属されている全員の名前と顔は覚えた。
「大丈夫か?ルッキーニ?」
「イタタ……」
先程飛びついて来た少女のはフランチェスカ・ルッキーニ。階級は俺と同じ少尉のはずだ。
「既に知ってると思うけど私はシャーロット・イェーガー。中尉だ。気軽にシャーリーと呼んでくれ」
「私はフランチェスカ・ルッキーニ。少尉だよ!」
どうやら避けたことは不服に思っていないようだ。助かった。
「宜しく。自分のことはディートリヒでもディーとでも好きに呼んでくれ」
握手をし、そう返す。そして、後ろからよく知る気配を感じた。
「や、久しぶりディー」
同じカールスラント空軍所属のエーリカ・ハルトマン中尉だ。その横にはゲルトルート・バルクホルン大尉がいた。
「ディートリヒもここに配属か……頑張れよ」
バルクホルン大尉はそれだけ言って部屋を出ていった。
「ありゃりゃ……じゃあねディー」
「あ……はい」
何か大尉に嫌われることでもしたかな?
……身に覚えが全くない。ということはアレが自然体なんだろう。
「で、お前は戦えるのカ?」
変に片言の声が聞こえた。その声の主の横には眠っている少女がいた。恐らくはエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉とサーニャ・V・リトヴャク中尉だろう。リトヴャク中尉はナイトウィッチなので今は疲れから寝ているのだろう。
「もちろんだとも」
「坂本少佐」
リバウの三羽烏の一人、坂本美緒少佐。どうやら俺を擁護するためにこれまでの話を聞いていたのだろう。
「ディートリヒは固有魔法を三つ保持してる」
「えっ!3つ!?」
まあ、原則として固有魔法は1人1つだ。俺も原則に漏れず固有魔法は1つだが俺には転生特典として固有スキル『千里眼A+』がある。
さて、ここでFateの千里眼の説明だ。
視力の良さ、遠方の標的の補足、動体視力の向上。ランクA+となると魔眼レベルであり透視や未来視までも可能になる。また+が付いているので瞬間的な向上も行える。
ちなみにランクEXは未来だけでなく過去も見えるらしい。
未来視は文字の如く未来を視ることができる。集中せずとも銃を構えたりするだけで未来が見える。偏差射撃には持ってこいだ。
動体視力もかなり上がるので敵が止まって見えることも多々ある。そんなこんなで未だに撃ち漏らしと被弾が一度もない。シールドのお世話になったこともない。
しかも千里眼は固有スキルなので魔法力の消費はないと来た。
「ディートリヒ少尉、あなたははどんな固有魔法を有しているのかしら?」
そう話しかけてくるのはペリーヌ・クロステルマン中尉だ。まあ、気になるだろう。
「話してもいいのですか?」
「ああ、今後の連携のために是非とも頼む」
坂本少佐の許可も出たので話すとしよう。
「自分の固有魔法は『爆撃制御』『千里眼』『未来視』です」
「本当ですの?」
「なんなら演習で証明しましょうか?」
「そんなことをせずとも戦場で証明すればいい。それに『千里眼』と『未来視』は演習で証明できても『爆撃制御』は危険だろう?」
そういう訳で演習はなしになった。
「さて、ディートリヒ少尉。基地を案内するわ」
「わかりました中佐」
そういったミーナ中佐の案内で俺は基地を回ることになった。
基地の案内と同時に部隊での規則を教えられた。一部に質問をし理解を深める。それをくり返すうちに昼時となった。
「そろそろ、昼ね。食堂に行くわよディー」
「了解」
ミーナ中佐に同行し食堂に行く。
食堂
「……ミーナ中佐、敵だ。現在は東グリット113を飛行中」
突如、千里眼が起動した。俺の目には敵が見えている。
敵の速度から計算した座標をミーナ中佐に伝える。
「そう……敵の数は?」
「中型が2機」
千里眼を活かすために何度も何度も航空力学等を勉強してきた。その成果がこれだ。もっと早く会得できたら……そしたら……
「ディートリヒ少尉も参加してもらいます。いいですね?」
「了解しました」
昔のことより目先の敵だ。さっさと準備をしよう。
「……って、ディーの武装ってほとんど爆弾かよ」
「固有魔法の都合上な……」
今思えば爆弾の数量を減らせば迫撃砲を積めるんじゃ……いや危ないからいいか。
「……ディートリヒ・D・クルーガー出撃する」
祖国を取り戻すために……ミーナが歌える世界を取り戻すために。
この目を使うと決めた。