ストライクウィッチーズ 鷹の目を持つ少年   作:何処でも行方不明

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この小説では約四五〇〇文字をベースにしていきたいと思います。


第2話 501での初陣

ストライカーユニットに魔法力を通しエンジンを回す。

千里眼を使い2体のネウロイを見据える。

 

「いつもの形……」

 

姿形はただのネウロイだ。コアがあるかどうかは透視してもわからない。どういう訳か千里眼の透視をネウロイは無効化してくる。

透視を無効化できなければ俺はルッキーニぐらいの歳に前線に配属されていたことだろう。

俺の目は見え過ぎるからな。

 

「目の調子は大丈夫?」

「問題ありません。敵、移動を続行中です」

 

もっと強い力があればミーナをウィッチにせずにできたのか?今でもそう思う。

犠牲の上に人は立つ。それが人間かそうでないかは瑣末な問題だ。

 

「ディートリヒ少尉はトゥルーデの小隊に入ってもらいます。構いませんね?」

「了解」

 

という訳でバルクホルン大尉、ハルトマン中尉と組むことになった。恐らくは共闘経験のある大尉と中尉なら俺の爆撃も活用してくれるとミーナ中佐は考えたのだろう。

 

「ディーと組むのも久しぶりだね〜」

「そうですか?」

 

原隊も違うのでそうかもしれない。ただ……ハルトマン中尉やバルクホルン大尉と組んでも出番がないと思うけど……

 

「バルクホルン隊は右。その他は左の標的を攻撃します」

『『了解!』』

 

爆弾を片手に銃を構える。

 

「ディートリヒ、広範囲に爆撃頼む」

「了解しました」

 

ネウロイの放つビームを全て避ける。未来視で既に弾道が見えている。それに千里眼の動体視力向上によりビームの動きもスローだ。ビームの隙間を縫うように飛ぶ。

 

「3秒後に起爆します」

 

先行し爆弾を五個程投下する。それを全て銃で撃つことで起爆させる。

落ちている爆弾に弾丸を当てるなんて簡単だ。

なにせ止まって見える訳だからな。

 

爆撃制御を用いて爆破の衝撃は全てネウロイに向かっている。これでコアごと抉れればいいのに。と何度思ったことか。

コアが露出した。大型なら苦労するが中型なら爆弾8つ程で全体的にダメージを与えることができる。

ただ、爆煙で見えていない。

俺が見えるのは千里眼の透視があるおかげだ。

 

「コア露出しました!3つ目と4つ目の間、およそ2:3の位置です!」

 

俺はコアがダイレクトに見えているので大尉や少尉に位置を伝える。

ラインメタルFG42の引き金を弾く。

コアに数発あたる。俺が撃つことで大尉たちは正確に位置を把握できる。一斉射撃を受けコアは破壊されネウロイは霧散する。

 

「こちらディートリヒ、ネウロイ撃墜しました」

「ヒュー流石だね」

「それほどのことではありませんよ」

 

もう1つの方は坂本少佐がコアを特定することで早く終わったようだ。

 

『こちら坂本、ネウロイ撃墜』

「ネウロイの撃墜を確認しました。これより基地に帰投します」

 

501としての初陣は上手くいったようだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜数週間後〜

 

「空はこんなにも静かなのに……」

 

今は基地内で1番高い場所で空を見上げていた。こうしていると前世を思い出す。子どもの頃から鳥が好きでテレビでみた鷹匠に一目惚れ。それ以来、鷹匠になることを目標に頑張っていた。

俺の愛鳥である『ハル』は今は何をしているのだろうか。同業者と仲良くできてるのか?

それが懸念された。たまに鷹を見ると無性に触れたくなる。

できることなら今生でも鷹匠になりたい。

だが昔、ミーナとクルトに『将来の夢はなに?』と聞かれた時に『ウィッチになって、世界に平和をもたらして、二人が音楽に専念できる環境を作る』と答えた。

 

その願いは今でも生きている。ミーナには政治家の前じゃなくてもっと自由に歌を歌って欲しい。

願わくばその歌ははじめに俺に聞かせて欲しい。

使い魔のオオタカも本来は鷹匠としての相方にするつもりだったのだが気が付けば契約してしまい、今はこの身に宿っている。

 

鷹匠となるのはネウロイを全て破壊するか俺の魔法力が無くなって隠居した時にしか無理だろう。一応、野生の隼を手懐けてはおいたが……

しかも魔法力に至っては減る気配が全くない。そもそも少なめの男性は少ない魔法力を生涯持ち続けるのだとか。

つまり、俺は幾つになっても高い水準の魔法力を持ったままということになる。実際に男性がウィッチとして前線に配置された場合は生涯現役であることが大半だ。

俺もその例に漏れず生涯前線になるのだろうか。

 

「ディー、少しいいかしら?」

「何でしょう、ミーナ中佐」

 

後ろのドアが開き、ミーナ中佐が入ってくる。

 

「近々、新人が配属されることになっているの。その教育係にディーを選びたいのだけれど……」

「なんで私なんですか?」

「新しく配属される子は対戦車ライフルを扱うの。それの訓練に付き合えるのは美緒かディーぐらいで、美緒は2週間後に扶桑に渡るのでディーが時期的に適任なのよ。頼めるかしら『中尉』」

「……了解しました」

 

そう、俺は少尉から中尉に昇進した。元々戦果が足りていなかっただけなので501に来てから戦果が追いつき昇進となった。このままのペースでいけば少佐辺りは狙えるだろう。

にしても新人の教育か……人間より鷹の方が教えがいがあるし、教えていて楽しいし。

 

 

そんなこんなで新人が来ました。

 

「……という訳で本日より配属となったリーネさんです」

「り、リネット・ビショップです……階級は軍曹、よろしくお願いします……」

 

既に坂本少佐は扶桑に行ってしまった。つまりは強制的に俺がリネット軍曹の教育係という訳だ。

 

「事前に話した通り、リーネさんの教育係はディートリヒ中尉に一任します」

 

そう言われ、俺は頷く。ミーナ中佐の視線が少し怖いが気のせいだろう。

 

「では解散」

 

それと同時にリネット軍曹の周りに他の隊員が詰め寄る。俺は喧騒が治まるまで待つことにした。途中で様々なことがあったと記しておく。

 

「はじめましてリネット軍曹、自分はディートリヒ・D・クルーガー。階級は中尉だ。ディートリヒでもディーでも好きに呼んでくれ」

「は、はい!」

 

恐らくは男性と接することが少なかったのだろう。少し緊張しているな。それをほぐすためにもまずは基地の案内をしよう。

 

「基地の案内を始める。予定では昼を取った後は訓練だ」

「わ、わかりました!」

 

そして、基地の案内を始めた。

爆弾が山積みになった俺のストライカーが置かれている場所をリネット軍曹が見た時は青ざめていたな。

あんなに大量の爆弾があればそうなるか。

シャーリー中尉は相変わらずユニットと戯れている。ルッキーニ少尉は木の上で睡眠中、バルクホルン大尉とハルトマン中尉は飛行訓練、ペリーヌ中尉は坂本少佐がいないので少し気が立っているのか辺りをウロチョロしてた。ミーナ中佐は恐らく書類と格闘中だろうな。

 

「ここまでで質問は?」

「ありません」

「それでは次は食堂だな」

 

最後のスポットである食堂に案内する。

食堂を最後にしたのは昼時に来れるようにするためだ。

 

「ここでの食事は基本的に係の人が作る。まあ、隊員がお国料理を披露することもある。あとミーナ中佐の料理には気をつけろ。味覚が壊れているから絶対に止めろ」

「は、はい」

 

この顔は信用しきれてないな。残念ながら何度か俺とクルトは何回も被害にあい、ミーナに料理をさせないように自分たちで上手くなったぐらいだ。

普通の味覚の人間が美味しいと思う料理も美味しいと感じるので助かった。エイラ少尉が持ち込んだサルミアッキを美味しいと言った時は流石に困惑したが。

 

そんなことはどうでもいい。ただの死活問題なだけだ。

今は昼食を取り、リネット軍曹に訓練をつけることが優先される。

 

「そう言えば、クルーガー中尉は男性なのに実戦レベルの魔法力を有しているんですね」

「世界でも数える程しか存在していないらしいな。固有魔法をいくつも持っている例はさらに少ないが」

「へ?」

 

やはり知らないのか、俺が書類上は固有魔法三つ持ちであることは。

まあ、一応機密情報扱いらしいからな。存在自体がブラックボックスらしい。厳密には違うが。

 

「あとクルーガー中尉はやめてくれ。はじめに言ったと思うがディートリヒかディーで頼む」

「わかりましたディートリヒ中尉」

「できれば中尉もやめて欲しいが……まあ、私が階級をつけて呼んでる時点で無理か……」

 

そこからは黙々と食事をとる。前世の学校でも何回か経験した特に仲の良くないクラスメイトと班活動をしている時の昼時のように静かだった。

 

午後からは訓練だ。飛行訓練、狙撃訓練、爆撃……はなしでいいな。どうせ爆弾は俺以外使う機会がないだろうからな。

ユニットを履き、飛行訓練から行うことにした。

 

「これから飛行訓練を行う。私の後についてくれ」

 

そう言い、魔導エンジンを蒸す。今回は武装は最低限のもので行う。もし激突でもしたら爆弾で二人して吹き飛んでしまう。そんな危険性を訓練で犯す必要は全くない。

リーネ軍曹の飛行は若干力んでいるものの賞賛して然るべきものだ。新人としては飛行に安定性がある。

 

「少し力んでいるな。肩の力を抜いてみろ楽に飛べるはずだ」

「は、はい!」

 

と言ってみるもののすぐに改ざんされる訳ではない。

それができれば人間苦労はしないだろうな。

 

「では射撃訓練といこう。たしかリーネ軍曹の固有魔法は『射撃弾道安定』だったな」

 

という訳で標的を約1キロ先に置く。

 

「あの……ディートリヒ中尉は見えてるのですか?」

「もちろんだ。千里眼はその名の通り千里先でも見通せる目だ。遠慮なく撃ってくれ」

「わかりました……」

 

リーネ軍曹がトリガーに指をかける。そこから数秒が経ち弾丸が放たれた。

 

「……少し上に逸れたな。次は風を読んで撃ってみろ」

「了解」

 

次の1射で標的は撃ち抜かれた。かなりの命中精度だ。固有魔法のサポートがあるからといってこれはそもそものセンスが高いと見た。

 

「ふむ、ではもう少しレベルを上げるとするか」

 

そう言いながら俺は爆弾を数個持ってきた。

 

「え……っと何をするんですか?」

「精密射撃は十分だ。次は速射だ爆弾を上空に投げるからそれを撃ち抜いてくれ」

 

そう言って爆弾を投げる。

結果は凄かったと言っておこう。1回目は正直に精密射撃の構えで撃とうとしていたが、爆弾の落下速度は結構早い。それを瞬時に理解し銃を引いて撃ったのだ。

 

「さすがはトップエースの娘と言ったところか……」

 

坂本少佐が帰って来るまでは俺がリーネ軍曹の教育係になる。いや、もしかしたらその後も教育係にされるかも知れないがな。

 

 

〜翌日〜

 

「次回の補給が遅れるとの連絡がありました。なので臨時補給を行います。この辺りの土地勘があるのはリーネさんかペリーヌさんね。そのどちらかと大型トラックの運転ができるシャーリーさん。それと男手のディートリヒ中尉に行って貰います」

 

と、昨日は言われた。なので今は、トラックの荷台に乗っている。ミーナ中佐は手早くリーネ軍曹と隊員との仲を良くしたいようだ。

 

「安全性第一だ。あと隼を連れて行っていいか?たまには外を見せたい」

「ん?構わないよ。でも鳥籠で連れてくのか?」

「いいや?放す」

 

という訳で俺の頭の上には隼のラインが乗っている。車が走り出したら恐らくは並列して飛ぶだろう。

 

 

 

俺はこの時、シャーリー中尉の運転技術に安心しきっていた。

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