ストライクウィッチーズ 鷹の目を持つ少年 作:何処でも行方不明
「あの〜……ディートリヒ中尉?大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃ……ない……コフ」
シャーリー中尉の運転は最初はまともだった。
訂正する。最初だけがまともだった。
ラインが飛び立ち、基地が見えなくなるまでは良かった。そこからだ。
あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!
俺は車の荷台で昼寝をしていたと思っていたら、いつの間にか空を飛んでいた。
何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからない。
アタマがどうにかなった…固有魔法とか超加速だとか、そんなちゃちなもんじゃねえ。
恐ろしいスピード狂の片鱗を味わったぜ……
何を言ってるんだ俺は。
街につく頃にはバッチリ俺は伸びてしまっていた。
悲しきかな、俺とリーネ軍曹は免許を持ってないので帰りもシャーリー中尉が運転するトラックに乗らなければならない。ストライカーユニットを積んで、爆弾を積まなかったからか?もし爆弾をある一定の数積んでおけば抑止力になったのだろうか。
「……とりあえず、トラックを置いてきてくれ……少し、歩いてくる……」
「あちゃー……あれはそうとう堪えているな」
シャーリー中尉の呑気な声を尻目に俺はブリタニアの街の見物に出るとした。
「リーネ、ディーの後についていってくれ。あいつは初めてのブリタニアらしいからな。迷子にでもなると困る」
「わかりました」
said リネット
「ディートリヒ中尉〜どこですか〜?」
私はディートリヒ中尉を探しています。前に1度ディートリヒ中尉のことを『ディーさん』と呼ぼうとしたら突如、後から悪寒を感じたので今はしてません。
今は公園の方を見て回っています。
ディートリヒ中尉のペットのラインが空を旋回していたので恐らくは近くにディートリヒ中尉がいるのでしょう。
「中尉〜?」
公園の中には鳥が固まっていました。その中には見覚えのある金髪が……
もしかして……
「お、お前たち少しは離れろ!」
「ディートリヒ中尉!?」
マグパイやウッドピジョンにブラックバード。様々な鳥がディートリヒ中尉を覆い尽くしていました。
「ライン、早く追い払え!いや、頭はお前の定位置じゃないから!ちょ!イタイイタイ!縄張り争いすんな!まず、俺の頭だかんな!」
はっきりいって頭がどうとかっていう問題じゃないと思います。体中が鳥に包まれる人なんて見たことありません。ディートリヒ中尉は昨日からの仲ですが結構いい人だと思いますが、こんな特異な体質があるなんて……
そう言えばラインが来た時のことを車の中で一部だけ聞きましたが、たしかラインの方から近づいてきたと言ってました。
もしかしてディートリヒ中尉って鳥から餌か何かだと思われてるのですかね。
「中尉……大丈夫ですか?」
「え?誰?リーネ軍曹?鞄の中にラインの餌入ってるからそこら辺に投げてくれないか?」
「わ、わかりました!」
〜しばらくたって〜
「た、助かった……」
左腕に餌掛けをつけラインを留まらせている中尉はため息を付いていました。頭にはどこから来たのかコノハズクが留まって眠っています。
「……街に出るとすぐこれだ……どうにかならないものか……ん、とりあえずお前は『スナッチ』な」
中尉の頭に留まっているコノハズクは中尉の手を嫌がらずに言葉を受け入れたように見えます。
「あの……中尉、もしかして飼うつもりですか?」
「ああ、そのつもりだが?」
「えぇ……」
said out
「で、ディーは新しく鳥を飼うことにしたのか」
「ああ、猛禽類2匹もいるなら他の鳥も近寄ってこないだろう。それにコノハズクの1匹くらいなんてことないさ」
買い物をしながらシャーリー中尉と会話をしていた。リーネ軍曹はライン、スナッチと戯れている。ラインは手懐けたからいいとしてスナッチのやつ……コノハズクの癖に人懐っこいな……
「あいつらの餌を買って、止まり木を用意したら終わりかな」
「ん?そんだけか?他に買わないのか?」
「別に必要ないからな。欲しいものとかないし。これでもミーナ中佐は怒るんだろうな」
実際にラインを飼う時にミーナは反論してきた。一度、許可を取った時に2匹までなら許可されている。
なのでスナッチは許可される。それでもミーナは怒るだろうがな。
「はあ……にしても、鳥が増えるのか……ルッキーニに近づけるなよ。多分、嫌がるだろうから。鳥が」
「わかってるよ。ラインはあれっきりルッキーニ少尉のことを敵と認識してるからな」
その時に未来視が起動した。
「すまない、ちょっと任せる」
「お、おいディー!」
俺は未来視で見たことを阻止するために行動を起こした。
「ピィィィィ!!」
「キィキィ!」
ラインを笛で呼ぶ。いつも、首から下げているものだ。
1回だけ長く鳴らすと音源に集合、という合図だ。
「さすがは隼だな。早いぞ」
「キィ!」
ラインは餌掛けに素早く止まる。見た映像は……リーネ軍曹が泣いた子どもの前でアタフタしている映像だ。
子どもが上を向いていたことから恐らくは紙飛行機か何かをどこかに引っ掛けたのだろう。
「……とあれだな。いけ!」
ラインを飛ばして紙飛行機を取りに行かせる。それにしても俺が見た時は既に屋根の向こう側、かなり折るのが上手いと見た。
飛んでいる対象ならラインの十八番だ。
案の定、ラインはその嘴に紙飛行機を咥えていた。
「よしよし、いい子だ」
ラインにウエストポーチに入れてある餌をやる。
御恩と奉公だ。鷹匠は基本的に餌付けで鳥を手懐ける。満腹にさせると飼い主のところに戻ってこないため、注意が必要だ。
「さて、あの子どもはどこだ?恐らくはリーネ軍曹の近くにいるんだろうが……」
「ディートリヒ中尉!」
探す手間が省けた。リーネ軍曹からこっちに来たみたいだ。
「いきなりラインが……って、中尉が呼んだのですか」
「ああ、この笛でな」
リーネ軍曹に首にかけている笛を見せる。俺が肌身離さず持ち歩いているものだ。
「綺麗な笛ですね」
「そりゃあ、いつも磨いているからな」
この笛は始めてリーネとクルトから貰ったプレゼントだ。銀細工の名工が作ったものらしく、何年経っても音色は変わらない。
このプレゼントを送られた時はあまりの嬉しさに泣いてしまったな。まあ、その後1年分のお小遣いを貯めてプレゼントされたと聞いたら驚いたが。
「さて、この紙飛行機を飛ばし過ぎた子どもはどこか分かるか?」
「え?」
……まずいな。多分、未来が変わってリーネ軍曹は子どもに泣きつかれなかったのだろう。ラインを呼んだことでリーネ軍曹が子どもと接触する前に移動してしまったのだな。
千里眼による未来視の欠点は俺が未来で見ることになる光景で、変わる可能性が充分にある。ということだ。
例えば、ドッヂボールなんかで球が投げられる前に、球が俺にあたる未来を見た場合はすぐに避けると球は避けた先の俺に狙いを定められ球が当たる。投げられてから躱すのが正解だ。
「はあ……子どもを探しといてくれ」
リーネ軍曹に紙飛行機を渡す。早くシャーリー中尉の所に戻らなければ小言を言われるだろうからな。
〜しばらくたって(2回目)〜
「ありがとうお姉ちゃん」
「あんまり遠くに飛ばしちゃダメだよ?」
「はーい!」
リーネ軍曹は無事に子どもを見つけられたようだ。
「うまくいったようでなによりだ」
「また、トラブルに首を突っ込んでたのか?こりないなぁ」
「いいだろ別に」
「はいはい、さっさと運んでくれ。男手のディートリヒ中尉」
シャーリー中尉の言われるがままにトラックに向かい荷物を乗せる。スナッチは鳥籠にいれてリーネ軍曹に持ってもらうとしよう。ラインはまた自力で飛んでもらうとして……うむ、俺は箱の上にでも乗るとするか。
「よっと……これで終わりか?」
「ああ、そうだな。速く帰って飯にするか〜」
シャーリー中尉が運転席に乗り込み、エンジンを蒸す。俺はスナッチを鳥籠にいれリーネ軍曹に渡す。
「スナッチを任せる。なに、暴れたりはしないだろう」
俺はそういいながら荷台に飛び乗る。木箱をロープで固定、準備ができ声をかけ出発する。
「帰りは安全運転で頼むぞ……本当に……」
「おう、任せとけ!」
あ、これはダメだな
リーネのヒロイン感が凄い……
サブヒロインにでもしようかな……