不死隊の少女   作:NiguraSu

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久々の投稿・・・
だけど、まだ書く、ダクソがあるから。
隻狼は、ゆっくり進めてます。
弦一郎様は楽しかったです。


少女の誓い

ガタンゴトン ガタンゴトン

 

私は今、馬車に揺られて運ばれる。

行き先は、ファランの不死隊の本拠地だ。

馬車の中には3人の人・・・不死人が居る。

一人は黒髪で歴戦の戦士の雰囲気を醸し出すアルフレッドと呼ばれる、30代後半の男性。

もう一人は、私のすぐそばで、私に寄りかかって寝息を立てている、自称私の妹の幼女クトア

最後に私。

 

スンスン・・

 

「・・・やはりな。」

 

「何がですか?」

 

「お前たちの深淵の香り・・・、俺が知ってるモノに近い。ひどく懐かしく、そして啓蒙の高まる香りだ。」

 

「啓蒙?」

 

「いずれ解る。その身に、その香りを宿している限りはな。・・・それまで正気でいられれば良いがな。」

 

「あなたは、いったい・・・」

 

アルフレッドは、鼻で笑うと、話題を打ち切るかのように、外の人たちに呼び掛ける。

 

「おい!アドム!前の話は無しで構わん。俺はこのまま不死隊の入隊試験を受けるぞ。」

 

すると、少し遠めから返事が返ってくる。

 

「旅人は、一ヶ所に留まらず、何処にも所属しないんじゃなかったのか?」

 

「気が変わった。ここに居れば、面白い事が起きそうだ。」

 

「・・・そうか。了解した。」

 

一連のやり取りの後、アルフレッドはこちらへ向き直る。

 

「という事で、これからも宜しく頼むぞ?コロナよ。これからは、同期の同僚だ。」

 

私は、苦虫を噛み潰したような、渋い顔になる。

そうか、もしファランの不死隊に入れたら、アルフレッドさんは、同僚になるのか・・・しかも同期の。

 

そう考えると恐ろしくなる。

これから行く場所は、彼、もしくはそれ以上の猛者が群雄割拠する場所に行くのだ。

いかに自分が場違いかを、再び思い出す。

 

視線を下に落とす。

クトアが寝ている。

この子も、場違いにはかわりない。

 

・・・ファランの不死隊の試験に落ちた場合の事を考える。

私の住む不死街は燃えた。あったとしても、それは他の地方の不死街だ。

地方の不死街でも、旅人や他人を受け入れるとは思えない。

また不死者認定されて、不死院に閉じ込められるのが落ちだ。

ここから近い国は、西の砂漠にあるカーサス。次に北にイルシール。最後に、少し遠くなるが、ロスリック。

いかに近いといっても、最低でも数ヶ月はかかる距離はある。行けたとしても、不死者を歓迎する場所など、そうそう無い。

そもそも、旅に出たとして、何の目的があろうか。

死なず、ただただ放浪する亡者と化すのだろうか。

考えれば考えるほど、ファランの不死隊が、不死者の居場所であること示しているかのようだ。

 

「んぁ・・・んぅ・・・」

 

どうやら、クトアが起きたようだ。

 

「おはよう、クトア。よく眠れた?」

 

「おはよう、コロナお姉ちゃん。・・・お姉ちゃん、どうして泣いてるの?」

 

「え?」

 

顔を手の甲で拭うと、涙が僅かに滲んでいるのがわかる。

 

「何か悲しい事があったの?」

 

悲しい事。

今この状況は、悲しい事なのだろうか?

今の状況を悲観しているのか?

 

「お姉ちゃんをいじめる奴は、私がやっつけるよ?誰?」

 

「・・・うん。大丈夫だよ。悲しくないよ。」

 

そう言って、クトアの頭を撫でる。

クトアは安心したように、私に微笑み、私に身体を預ける。

そう、悲しくはない。

虚勢ではない。

ファランの不死隊に拾われ、化け物に会っても生き延びた。

十分な幸福だ。

 

「そろそろ、ファランの不死隊の本拠地だ。出る準備をしとけよ!」

 

次の幸福を掴むため、私は可能な限り試験へ臨む。

少なくとも、私は心にそう誓った。

 




投稿主「まだまだです、墜ちませんよ、私のモチベーションは!」

なんやかんやで、まだまだ続きます

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