幕間1~深淵の炎戦~
「やらせはしねぇよ。」
バァン
俺は、膝を縮めた後、全身を引き延ばし隊長の方へ突進する。火玉は、俺の突き出した特大剣に遮られ、消滅する。
しかし……
「ちっ!」
完全に消滅した訳でもないらしく、残り火が邪魔したらしい。敵の炎の塊も、次の攻撃準備に入っている。
隊長が下手に落ちたやつを助けると、また火玉に邪魔される可能性がある。
なら…
「こいつの面倒もこっちで持つ!だから、早めに援軍を頼むぞ!」
非戦闘員が一人なら問題はない。
無理に運ぶ必要はない。
とりあえず、落ちた不死者のこいつに関しては無視だ。
あの女の不死者は、襲撃直前に入ってきたから分からないが。
こいつは、予め居たから調べてはある。
問題はないだろう。
俺とフィーアが、敵の火の玉に向かうと、後ろから声が妙によく聞こえた。
「匂い立つなぁ。」
後ろから立ち上がるような、水の音が聞こえる。
流石に、敵の目の前では振り向けないが。
恐らく、さっきの落ちた不死者が起きたのだろう。
なら……
「これは、そうだ、あそこだ。たしか、ロンドールの時の匂いだ。深淵の香りだ。血の香りだも堪らないが、こっちもなかなか…。しかも、コクが深いときた。」
「おい”アルフレッド”!手を貸せ!お前もアレに消し炭にされるぞ!」
「おお!アドムじゃないか。君との仲だ、助力は惜しまないが、武器が無いことにはどうしよいもない。」
「そりゃ、そうだが……おっと!」
敵に向きながらとはいえ、会話中に火の玉を飛ばして攻撃してきた。
俺は避けながらも距離を詰めていく。
フィーアの奴も同じように詰めていく。
だが、途中で移動が中断される。
移動中に何が足に引っ掛かったらしい。
元々動きにくい水中だったが、何が水没してるらしい。
形状からして………剣か。
俺は、その水中に七色石を落としてから、後ろのアルフレッドに言い捨てる。
「アルフレッド!ここに剣が落ちてる。好きに使え!」
「ほう?」
俺が若干遅れたため、フィーアが先に敵の火の化物にたどり着く。
ファランの大剣で攻撃するが、すり抜けているように見える
炎の化物はこちら側に移動してくる。
すかさず俺は、ファランの大剣を炎の化物の中心を切るように攻撃する。
先ほどよりは、効いたのか炎の揺らめきが大きく揺らめいた。
しかし、決定打にならない。
少し右後ろから、声が聞こえた。
「うっしょっと。グレードソードか。しかもボロボロの鈍(なまくら)かよ、最高だな。で?こっちが、よく分からんが大剣だな。剣帯もあるし、予備で持っとくか。」
アルフレッドが剣を見つけたらしく、戦闘に参加する。
それを見たフィーアが少しこちらに近づき質問してくる。
「彼は大丈夫なのですか?戦闘はできそうですが、相手が異形ですよ?」
「大丈夫だろう。あいつは、各地を放浪する旅人で、何よりも戦闘を好んでいたらしい。旅先で、何度かは異形とも戦ったことがあるらしい。」
「それはまた、珍しい人物ですね。」
「ああ、それは俺も思った。」
ちょっとした情報交換をしていると、またもや炎の化物が攻撃してくる。
俺とフィーアは避ける。
「そういえば、私が攻撃するとき、あいつの中央に青黒い炎が見えたのですよ。もしかして…。」
「その予想で合ってると思うぞ。本体か弱点だろうな。」
「問題は、その青黒い炎が小さすぎる所でしょうか。」
その通りであり、俺が今悩んでいる点でもある。
さて、どうしたものか。
……ん?
「おらぁ!」
アルフレッドがグレードソードを使い、回転切りをする。
すると、一瞬だけ、青黒い炎が大きくなった。
その一瞬を、フィーアがすかさず攻撃する。
かなり大きく炎が揺らめいた。
これは有効打だ。
俺も攻撃に加わる。
その後、俺は観察を重視しながら炎の化物と戦闘を続ける。
しかし、なぜアルフレッドの攻撃の後に青黒い炎が大きくなった?
あの後から俺たちの攻撃でも、同じような現象が起きた。
武器は関係ないのだろう。
では何だ?
フィーアの下から上への攻撃が炸裂するが、一歩届かず空を切る。
しかし、何故か青黒い炎は大きくなった。
何故だ?
攻撃の方法か?
今のは下から上への攻撃だ。
さっきまでの戦闘を、頭の中から掘り起こす。
確かに、下からの攻撃が多い。
下には何がある?
……気づいた瞬間、少しアホらしくなった。
なぜ今まで、こんな簡単な事に分からなかった自分にだ。
俺は露骨に炎の化物に近づく。
炎の化物はこちらに気づき、近づいてくる。
俺はそのタイミングに合わせて、ファランの大剣で切り上げる。
そう、“まるで、地面の水を炎の化物にかけるかのように“。
水しぶきを受けた炎の化物は、予想通り大きく揺らめき、青黒い炎は大きくなった。
すかさず、アルフレッドがグレードソードで攻撃する。
2人は、露骨な俺の攻撃の仕方から察したのか、切り上げ攻撃の頻度が上がり、青黒い炎は常に大きいままのようなものだった。
このまま押しきそれそうだ。
そう思い始めたとき、炎の化物は爆発した。
彼らは火の無い灰ではないので、大変ですね。
だって……
エストなし
SLがある程度固定。
武器固定
防具固定
篝火なし
これだけでも結構キツイと思いますよ。