ガスコイン神父と同じ臭いを感じる。
そう共感してしまった読者は1/1D6のSANチェックです。
あと、『小さなオルゴール』と『真っ赤なブローチ』を贈呈します。
大きな衝撃から少し経ち、人の悲鳴も少しずつ減ってきた。
目の前の彼も、衝撃のときを境に口数が少なくなった。
そして…
ギイィ
この建物の扉が開けられた。
普段は看守か、物好きしか来ないのだが…
コツ…コツ…コツ…
靴の音が近づくにつれて、その姿が見えてきた。
その人物は、恐らくは騎士と表現できる。
しかし、その鎧には甲冑が無く、あえて言うならば、騎士と狩人を無理矢理合わせたようなものだ。
革のブーツとグローブだが、特別左の腕だけは鉄の小手だ。
胴体部分の大半を占める真っ赤なマント。
そして、特徴的すぎるその兜。
まるで、とんがり帽子のような形状をしており、顔は目以外をスカーフで覆われている。
そして、あまりにも大きな剣。
人間が振るうには大きすぎる特大の剣。
あんな剣を受ければ、ひとたまりもないだろう。
私はこの人物、いや、この特徴をした集団を知っている。
「ファランの不死隊……」
深淵の兆候さえあれば、一国すら滅ぼす集団。
私には、人の膿が深淵に関係している程度しか分からないが、その不死隊がここに現れたということは、そういう事なのだろう。
開けられた扉の方を見ると炎がちらついてるのが分かる。
どうやら街が燃えているようだ。
特に思い入れはないが、やったのは恐らくファランの不死隊だろう。
コツ…コツ…コツ…
こっちの牢屋に近づいてきた。
「ずいぶん遅かったじゃないか。それとも、トイレでも詰まってたか?」
…目の前の人物が、挑発している場面を目撃してしまった。
そっと目を背けたい。
しかも、不死者は排泄しないのに、何を言ってるのだろうか。
反応したのか、ファランの不死隊の隊員が彼に向かい
「なんですか、もう亡者化してしまいましたか。惜しい……かは微妙ですが、残念です。」
「あ?おい”フィーア”、亡者は無いだろ。」
どうやら目の前の二人は知り合いらしい。
仲は悪そうだが。
そして、目の前のファランの不死隊の隊員は、フィーアという名前らしい。
声の高さからして、女性だろう。
すると、また別の、それも男性の声が何処からともなく聞こえた。
「亡者か。ならば始末せねばならないな。」
「ん?隊長も来てるのか?というか、何処だ?」
「ここだ。」
その瞬間、私の目の前の壁が壊れた。
正確には、軽口不死者の背にしていた壁だ。
そして、そこから剣が生えた。
見事に軽口不死者を背中から貫いている。
また、フィーアという女性の剣と同じらしく、巨大な剣なためか、鎖骨から胸部の下の方まで深々と刺さっている。
「グフッ、おい、洒落になってねーぞ。」
「五月蝿い。お前が連絡を送らないのが悪い。」
「……剣草、送ってなかったけ?」
「お前の心に聞いてみろ。そうすれば、よく分かるはずだ」
「………分かった分かった。俺が悪かった。だからその剣を抜いてくれ、そして傷を塞いでく………ださい。」
あ、フィーアに睨まれて、言い方を正した。
グシャァ
軽口不死者から特大剣が引き抜かれ、盛大に血が溢れる。
目の前のフィーアがため息をつきながらも、腰の麻袋から布…、いや恐らくタリスマンを出した。
そして、片膝をつき祈るような形をとる。
すると、彼女を中心に淡い光が溢れる。
軽口不死者の大きな傷口が塞がる。
「…ん、ありがと。」
「そう思うなら、行動で示してください。で、使えそうなのは何人ですか?貴方が剣草を送らなかったせいで、まだ城塞で試験の準備も終わってませんのに。」
「げ、そこまで響いてたのか……。ああ、分かってるから呪術の火を出すのは止めてくれ。代わりに試験の方は俺でやるからよ。」
隊長と呼ばれていた人物が、特大剣を地面に刺し、代わりに空いた右手から朱色の炎が見える。
魔法の類いのようだ。
軽口不死者は、呪術と言っていたが。
「言質はとった。試験役は頼むぞ、一応お前も上位陣の一角なのだからな。で、肝心の新人予定者は?」
「2人……いや、3人だ。ただ、1人は望み薄だ。」
なんの事か分からないが、思わず自分を指差してみる。
「2人のうち1人はお前だ。で、望み薄のやつだが、ここの地下にいる。隊長は付いてきてくれ、フィーアは、そこの奴を頼む。」
「了解した。」「分かった。」
隊長と、軽口不死者が奥の暗闇に消えて見えなくなっていく。
代わりに、フィーア…さんが近づいてきた。
「お見苦しいものをお見せしました。申し訳ありません。私はフィーア、”薄暮の国のフィーア”です。貴方は?」
薄暮の国…普段なら絶対に聞かない地名だが、一応知っている。確か、遠い東の国で正統騎士の鎧が、不死街で高値で売れた記憶がある。
「…私は”不死街のコロナ”。少し前に不死者になった。」
「それは…気の毒に。亡者にならないよう、気をつけて下さい。それから…」
ドゴォ……パチパチパチ
外から大きな爆発音が聞こえた。
それに加えて、炎の音が聞こえる程に大きく燃えている。
…火薬の樽にでも引火したのかな?
「あら?仕掛けた火薬樽がもう引火したのかしら?早くあの2人と、他2人を集めて脱出しないといけませんね。」
どうやら犯人は目の前の人のようだ。
……先行きが不安しかない。
不死街の火炎壺モブ&火薬樽と、下男亡者のコンボは凶悪だった。少なくとも、初見は死んだ。そして、攻略見るまで下の篝火には気づかなかった。
火炎壺モブ「一方的ですぞw」
灰「やめろぉ!(クロスボウに切り替えつつ)」
下男亡者「追撃の壺アタック!」
灰「反撃ぃ!…あ(右手のクロスボウを見て)」
グシャァ
灰「YOU DIED」