コツコツコツコツ
5人と担がれた1人、合計6人で縦に並び階段を上がる。
今は地下1階なのだが、既に熱気がすごい。
まるで焼き釜だ。
「やべぇ、熱い。最近の遠征先は寒いところばかりだったから、熱いのは久しぶりでたまったものじゃないな。」
「私のときの遠征先はデーモンの遺跡だったので、逆に熱かったですね。」
「というか、フィーア。相当な燃料を積んだな。俺もびっくりだ。」
「違いますよ!少し多かったかもしれませんが、少なくともこの建物周辺には置いてません。」
「…でも少し多かったんだな。」
「………」
あ、フィーアさん、少しいじけた。
心なしか、フィーアさんの不死隊のフード、主に頬の部分が膨らんでいるような気がする。
かわいい。
ギュゥ
服の裾が握られる。
例の子供クトア…彼女からしたら私は姉らしいが。
その妹君の様子は…
嫉妬していらっしゃった。
かわいい。
改めて見ると、不死街基準だと珍しい顔立ちだ。
かなり整ってるし、髪は一見黒いが、どちらかと言うと赤毛に近い。身長も子供らしく、私の腰ぐらいの高さだ。
目は碧眼で、私の事以外無頓着なのか、さっきみたいな事以外は表情が全然変わらず、まるで人形みたいだ。
先頭のフィーアさんが、なにか反応する。
「残念ですが、上には出れそうに無いです。」
地上部分の部屋が崩れたのか、地下の部屋の中間部分で大きく崩れ、先に進めない。
「…あの、本当に申し訳ありません。私のせいで……。」
「いや、謝る必要は無さそうだ。」
軽口不死者が崩れてできた壁の右端に手を突っ込んだ。
すると何かを引っ張っている。
出てきたのは、服の切れ端だった。
どうやら僅かに刺繍があり、何かの模様にも見える。
「ちっ、上にも積まれてるか。…この布なんだが、さっき説明した深みの聖堂の信徒のものだ。恐らくこの状況、仕組まれたものだ。」
「…ほう、情報が漏れてた?どちらにしろ、この状況を打破する必要があるな。このまま、消し炭になるのは困る。」
「あるとしたら、ガキの牢屋に隠し扉があるかぐらいか。おそらく、あるとは思うが……」
「ありますよ。」
私は、はっきり答えた。
軽口不死者の目が少し細くなった。
「そろそろ、お前の素性が本当に気になってきた。…で?根拠はなんだ?」
周りが燃えているからか、脱出が優先なのか、今は追及するつもりは無いらしい。
どうせ、聞かれるし、吐かされるだろうから隠しても無駄だろう。
「どこかは分からないけど、この建物の地下の最奥と不死街の入り口の関所が、繋がってるそうなの。ただ、関所から入って帰ってこれた者はいない。挑戦する元同業者は多かったけど。」
「へぇ?元同業者ってのは?」
「盗人。私はもう足を洗った。」
「ふぅん。成る程ねぇ。」
軽口不死者は顎に指当て、考える仕草をしたあと、答えた。
「情報の信憑性が上がったな。よし、行こうか。」
「そうだな。」「そうですね。」
そのまま何も返さずに、階段を降りていく。
「いいの?」
「何がだ?」
一番最後尾の隊長が答える。
「私は盗人。」
「元だろう?ファランの不死隊に、素性はあまり関係ない。何なら、更に大変な素性の奴もいる。」
「?」
「奴だよ。」
隊長の指を指したのは、軽口不死者だ。
…更に大変な素性?
「あいつは、『ロンドールのアドム』。本人曰く、騎士で処刑人の大罪人の裏切り者らしい。」
「処刑人で大罪人?矛盾してる。嘘?」
「全部本当らしい。どうやら、騎士と処刑人を兼業してたらしく、ある時、自身の主を裏切って、そのまま国に追わたそうだ。」
「よく、ファランの不死隊に採用しましたね。」
「はは…本当にそうだな。だが私は、あいつが本当にそんな事をしたのか疑問に感じる事がある。長い付き合いだが、本質は良い奴だ。人を煽るのはいただけないがな。」
フフッと隊長は、軽く笑う。
その笑いの裏には、絶対の信頼が感じ取れる。
「そういえば、隊長は?」
「ん?自己紹介してなかったか。『アストラのグレイス』だ。」
「アストラ?確かその国は…。」
「ああ、亡国、無くなった国だ。」
隊長さんは、それなりに長い時を過ごしているようだ。
「さて、お喋りは終わりだ。置いていかれないようにしないとな。」
私が、同意し地下の最奥に着く頃には、私の素性の事など小さく思えた。
アストラの人って、いい人が多い気がする。
人によっては、アストラに嫁&婿もいますし。
私は素性:盗人は作ったこと無いですねー。
いつも、騎士か魔術師か持たざるです。
処刑人の大剣「敵倒すとFP回復するよ!」
↓(持ち主が変わり、とても使い込まれると…)
ゲールの大剣「狼騎士並みアクロバティック!」