ペースはともかく、長く続けれるよう、頑張っていきます。
炎に包まれる不死街。
その中央に佇む、炎の異形。
その光景は、私の今までの人生に無い、人ならざるモノのとはじめての開墾だった。
「アルフレッド!隊長に、あの大剣を渡してくれ!」
「OKだ。隊長っていうのは、あいつだな。おらぁ!」
アルフレッドと呼ばれた担がれていた不死者は、グレートソードを地面に刺し、背中に背負っていた大剣をぶん投げた。
…嘘でしょ?と少し思ってしまった。
少なくとも人間とほぼ同じ大きさの鉄塊である大剣を、見上げるぐらいの高さまで投げ、しかもコントロールも素晴らしく、グレイス隊長のほぼ目の前に飛んでくる。
パシッ
…そんな回転して飛んできた大剣を、苦もなく受け取らないで下さいよ隊長。
やっぱりファランの不死隊は化け物ばかりだ。
約1名はまだ、ファランの不死隊ですらないし。
「これはまた……懐かしいものを。」
グレイス隊長は、アドムやフィーアさんと違う構えをする。
腰溜めの状態で大剣を地面と水平になるように構え、見るからにそれは基本的に槍などに見られる『突撃』の構えだ。
よく見ると、その大剣の形状も軽口不死者たちが使うファランの不死隊の特大剣と違い、刀身が細く刺突に適した形状である。
隊長が前方に移動する間に、アドムがグレイス隊長に言った。
「隊長!奴の中央に青黒い炎が見えるか?あれが恐らく本体だ!それ以外は攻撃するだけ無駄だ!」
「分かった。」
隊長は突撃をする前に、何かをしている。
左手に呪術の火を取りだし、火を身体に叩き込むようなような動作をする。予想に反して、隊長の体は燃えず外見上は何も変わってはいない。
「”鉄の体”を使った。私が正面で囮になる。君…アルフレッドくんとアドムは側面から攻撃、フィーアは遊撃と援護を!」
「了解!」「ああ。」「はい!」
3人は指示された通りの位置に着く。
そのとき、私はアドムの呟きを聞き逃さなかった。
「…下で戦ったときみたく、水があると楽なんだが……無いもの言っても仕方ねぇな。」
……水か。
私の中で1つ思い当たるものがあり、不死街の関所の建物に向かう。
もちろん、クトアもついてくる。
私は関所の建物の中にはいると、所構わず木箱を探り始める。まず私が最初に探しているのは”火炎壺”だ。
かなり急いで探したが、4つだけ見つかった。
次に探したのは、外にあるはずの雨水溜めだ。
こちらも森側の建物裏にあり、直ぐに見付かった。
私はそこで火炎壺の封を解き、中の火薬を全て抜いた。
空になった素焼きの壺に、雨水溜めに入っている水を入れて再び封をする。
これで、水入りの壺が4つできた。
…あとは、私の腕次第だ。
入り口付近に戻ると、戦いは白熱していた。
グレイス隊長は、牽制と攻撃を使い分け正面から炎の化物を受け止めている。
軽口不死者のアドムとアルフレッドさんは、炎の化物の攻撃が隊長に行くのを見計い、交互に、または同時に攻撃を行っている。
フィーアさんは、隊長のカバーや回復、時には牽制役にもなっている。
しかし、決定打に欠けている。
問題点は、敵の本体である青黒い炎が小さく、攻撃が当てずらい事だろう。
それなりに攻撃回数をこなしているはずなのだろうが、いまいちダメージが少ないように見える。
このまま長期戦は不利だろうと、予想できる。
私は、アドムの呟きを信じて、前線の端に入る。
フィーアさんの行動範囲よりも後ろのため、ここからでは近接攻撃は不可能だが、弓や魔法、そして投擲物なら攻撃は可能だ。
(投げるときは少しは放物線を描いて飛んでいく。だから角度を上げ……これぐらいか?タイミングは、隊長を攻撃して硬直した一瞬!)
私は、隊長が攻撃された瞬間を見逃さず、そして硬直するであろう時間に合わせて、全力で壺を投げた。
いくら投擲だからといっても、タイミングを合わせた投擲。
上手く炎の化物の中心部、青黒い炎の部分に当たる。
その直後、炎の化物は怯み青黒い炎の部分は、大きくなった。そんな絶好のチャンスを見逃さず、攻撃を受けたグレイス隊長以外は、ここぞとばかりに攻撃を加える。
炎の化物も堪らなかったのだろうか、後退する。
流石に一回で倒せるとは思ってはいない。
しかし、決定打にはなった。
全員が一瞬だが、さっきの壺が有効打であることを理解し、それを含めた立ち回りに変わっている。
…みなさん、戦い慣れし過ぎではないですか?
当たり前といえば当たり前だけど。
そう言っても、やることは変わらない。
隊長たちが立ち回りに少しの変化を加えたお陰か、2回目3回目の投擲は1回目に比べてとても簡単になっていた。
そのため、2回目3回目共に青黒い炎に投擲は命中した。
…本当、この人たち恐い。
そして4回目も、彼らの洗練された動きや誘導によって、水入りの壺は命中し、炎の化物は怯み、青黒い炎は大きくなる。
この壺が最後なのを、知ってか知らずか全員が一斉に攻撃をする。
それが、炎の化物の止めとなった。
だが、炎の化物は最後の力を振り絞った攻撃なのか、自分を中心とした爆発を起こす。
ドカァン
流石に全員、避けることはできず、各方向に吹き飛ばされる。
アドムとアルフレッドさんは左右に、グレイス隊長とフィーアさんは、私の近くまで吹き飛ばされた。
止めをさした筈だが、全員は気を緩めなかった。
一番近いアドムが、炎の化物の状態を確かめる。
ここからではよく見えないが、しばらくした後にアドムから親指を立てたサインが送られる。
どうやら勝てたようだ。
隊長も流石に疲れたのか、腰を落とす。
フィーアさんも、似たような感じだ。
アルフレッドさんはアドムの所へ行き、遺骸を調べるようだ。
隊長から声がかかる。
「コロナ君、本当に助かった。君の機転がなければ、かなりの苦戦をしいられていただろう。ありがとう。」
隊長から感謝の言葉が送られる。
「隊長、少し無理しすぎです。いくら”鉄の体”でも、純粋な炎とは相性は良くないですって。いま、回復しますので。」
「ああ、すまない。それにしても、本当に何だったのか、あれは。」
隊長は、炎の化物の遺骸の方を向き、呟く。
自然と、フィーアさんの向きも炎の化物の遺骸を向く。
そして、私も遺骸の方を向こうとするが、それは中断された。
クトアが、私の服の裾を引っ張った後、とある方向を指差したのだ。
それは、フィーアさんの左後ろにある、余りにも小さ過ぎる”青黒い炎”だ。
ゆっくりだが、フィーアさんに近づいている。
ものの数秒で、青黒い炎はフィーアさんに接触するだろう。
だから私は、言葉は遅いと脳が判断する前に、体動いた。
私は倒れるように前に飛び、フィーアさんを押し退く。
もちろん、フィーアさんの回復は中断されるが、青黒い炎がフィーアさんに触れる事はなかった。
だが……
「うっ………くっ………あぁ!!」
私の脇腹の部分に、青黒い炎が接触した。
直後、目だけで青黒い炎を見て分かった。
恐らく私を『取り込んで』いる。
脇腹を中心に、青黒い炎が舐めるように、私の体を包み込む。
首元まで炎が来るまで一瞬だった。
痛いわけではない。
熱いわけでもない。
ただただ、怖い。
得体の知れない”何か”が周囲を覆う。
私の意識が、暗転する前の最後の光景。
それは、”赤い”瞳のクトアが何かを言っている光景だ。
何を言っているかは聞こえない。
だが、意識が暗転したあと、その口の動きを反芻する。
結果、彼女が言っていた言葉はこうであろう。
『いってらっしゃい、お姉ちゃん。私の欠片に、よろしくね?』
しかし残念だが、私はこの光景を、言ったであろう台詞を忘れるだろう。
だって、今から意識が闇に呑まれるのだから。
ソウルシリーズ、ブラッドボーン共に、お世話になる壺シリーズ。
実際に、雑魚、ボス、対人に、使い分けは必要ですが非常に有効なアイテム。
雷壺とか、何が入っているのですかね。
3/29
誤字訂正