けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
「それでさ、その本にはどんなことが書いてあったんだ?」
目の前を歩くツチノコに聞いてみた。
とりあえず事前の情報は聞いておいたほうが良さそうだ。
私は文字が読めるかどうか分からんからな。
「恐らくあれは日記だと思う。読める人物名と思われるものはサーバル、ガイドさん、デスクロー、そしてカラカルだった。」
「私の名前が…?」
「ああ、他にもいるがな。それで内容についてだが…あれは恐らく“例の異変”についての物だ。」
「“例の異変”?なんだそれ」
「……おい、デスクロー。お前、フレンズが好きか?」
「何をいきなり…まぁ、好きさ。」
あれ、なんだろう、顔が熱くなってきた。
「だったら見るな。きっとお前が見たら酷いショックを受けるだろうからな。」
そう言うと突然ツチノコは踵を返して帰ろうとし始めた!な、なんでだ!?
「ちょ、ちょっと待ってくれ!約束が違うぞ!」
「オレも“例の異変”について少しでも分かることがあるならお前に見せてやってもいいと思ってた。だが…オレは誰かが傷つく顔を見てまで何かを知りたいとは思わない。」
「……そんなに酷い内容なのか?」
「ああ、……あの日記を書いたやつは恐らく深い悲しみと絶望を味わったやつだ。たとえお前じゃなかったとしても、純粋な心を持つフレンズは見るべきじゃない。」
ツチノコはまっすぐこちらの目を見てそう言った。
……………………
それでも私は…
「それでも、私は見たい。自分が何者なのか、自分の記憶にいるあいつらを、もっと思い出したいんだ。」
「後悔するぞ?」
「頼む。」
「………カラカルって言ったな?お前はここに残ってろ。」
「え、そういうわけには…」
「私からも頼む、カラカル。」
「………胸騒ぎがするのよ。あんたがあの時みたいにおかしくなっちゃう気がして…、絶対あんたのままで戻ってくるならここで待つわ。」
「…わかった、ありがとう。」
私は再びツチノコの案内を受けた。今度はカラカル無しで、だ。
一体どんなことが書いてあるのだろう。
書いたやつはどれほどの苦しみを背負ったのだろう。
…それはもしかして、私が関係してるんじゃないか?
進んで行くたびに不安は積もる。しかしそんな時はカラカルとの楽しい思い出を思い出して、なんとか気を取り直した。
そして……
「ついたぞ、入れ。」
そこは廊下だった。右側には大きな穴が空いていて、その辺りには……確かコンピューターと言われたものが転がっている。机もひっくり返っていて、とても荒らされていた。
そしてツチノコは左側のドアを開けると私に先に入るよう促してきた。
私がドアの先に入ると、そこには整理された部屋があった。
「ここはオレの保管室だ。珍しいものは大体ここに集めてる。もちろん日記もな…。」
ツチノコは私に椅子に座れと言うとそのまま近くに置いてあった棚から一冊の本を持ってきた。
その本の表紙はハートなどが書いてあって、とても今の雰囲気には似合わなかった。
「ところで、文字は読めるのか?」
「試してみないと分からない。もしかしたら読めるように教えられていたのかもしれないし、戦いに文字はいらないって教えられてないかもしれない。」
「ま、読めないほうがいいさ。……ページをめくってみろ。」
私は目の前の机に置かれた日記帳をペラリと一枚めくった。
よく分からないうねうねしたものがある。
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『君かね?人間と共存出来ている唯一のデスクローというのは?』
『君の評価は君の隊長からよく聞いているよ。素晴らしい頭脳を持っているとね、さらには洗脳装置が無くても人間に協力するほど友好的だとか…。』
『更には言葉を理解している節もあるんだって?本当に君が戦闘用に造られた存在かどうか疑うよ。』
『さて、本題に入ろう。』
『私としては君のその頭脳をただただ戦闘のみに使うのは非常にもったい無いと思う。そこでだ、テストも兼ねて君に言語が分かる装置を作ってみた。その机に置かれてるのがそうだ。』
『……おい博士、ほんとにそれ大丈夫なのか?』
『いや全く、下手すれば死ぬ。」
『おい!なんて事させようとしてるんだ!今すぐやめ…』
『私は君に聞いてるんじゃない!今私の目の前にいる彼女に聞いているんだ!……いいか?これをつければ英語、現場の日本語、そして敵国である中国の言語を強制的に脳に理解させることが出来る。』
『人間であればまだ可能だが脳が小さい他の動物では間違いなく死ぬ。しかし君だけは別だ。』
『以前君の脳を調べさせてもらったよ。非常に発達している。人に近づくと言われているフレンズ化もしていないのにだ。』
『君ならば、可能かもしれない。もしこれが成功すれば君はもっと彼らに貢献できるだろう。』
『さて、わかるように言うぞ?死んでもいいからこの男の役に立ちたいなら冠れ。』
『……私は君に期待しているんだ。正直な話そこらへんの兵士より君の方がずっと役に立つ。もし言葉をもっと知り、複雑な命令も実行できるようになったなら君は正に無敵となるだろう。』
『中国に有効な打撃を与えたり情報を抜き取ったりしたならば君の仲間の全員が勲章を受け取り、合衆国に銅像が建てられるだろう。』
『これはチャンスだ。』
『博士、どうしてそこまでこいつにこだわるんですか?』
『分かっているだろう?こいつは今の状況で最も欲しい理想の兵士だからだよ。」
『あの山が噴火してサンドスターを撒き散らしたせいで核技術を使った物は全て停止。今では我々は何世代も前の装備でここにいる。死傷者は一気に増加。そこで上はこれ以上無駄に人を失いたくないとゴネた。そこで注目されたのがこのデスクローさ。』
『こいつはパワーアーマーには劣るがそれでも圧倒的な防御力と何もかも切り裂く爪を持っている。核技術を使っていないのにだ。』
『こいつに人間並みの頭脳をつけたら正に無敵の兵士の出来上がりって訳だ。』
『……そいつは建前だろ?』
『ご名答。流石だな?そうさ、こんなのは建前に過ぎない。私は気になるのだよ、デスクローの可能性が。』
『もしこれが成功したら我々はそのデータを元にデスクローの品種改良を行う。コストも低い、核を必要としない最強の兵士を量産するのさ。素晴らしいだろう?』
『こいつらがどこまで行けるのか見てみたい。だからこの計画に乗った。』
『……おい、こんな事はよせ。お前が死ぬんだぞ?俺はお前を失いたくはない。』
『……おや?どうやら冠るみたいだ、面白い。そこまで私の話を理解できていたのならきっと成功するだろう。』
『よし、では起動するぞ?……よく見ておけ、君の隊員が、これから合衆国に未来を与える兵士となるのだ。』
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思い出した。これで、この日記も読めるはずだ。
ページを見てみるとこれが変なうねうねではなく、文字に見えた。日本語だ。
私はさっそく読み始めた。
〜サーバルの日記〜