けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
遠くの方で足音が聞こえてくる。
終わったのか、そう思うと早く会いたくてうずうずする。
そして、ついにその姿を現した。
「……………………」
ツチノコだった。
「ツチノコ、クローは?」
「……………………」
ツチノコはただ黙って近づいてきた。
そしてその後ろにはクローがいた。……ひどく俯いた状態で。
「クロー!?どうしたのよ!」
「……言い訳はしない、オレは、お前の友達を壊しちまった。…………すまん。」
「壊したって…!?ねぇクロー!どうしたのよ!」
私が近づこうとするとクローは怯える目をして光の届かない方へ逃げようとした。
今ここで逃したら…胸騒ぎがして慌てて無理やり腕を掴んで止めた。
「クロー、どうしたのよ?」
「はなして…」
消え入りそうな声、この耳が無ければ聞き取れなかったぐらい小さな声。普段のクローからは想像もつかなかった。
本当に何があったの?
「イヤよ。」
「離してよ。」
「離さない。」
「離せ!」
途端に見えた。
薄暗いこの場所で綺麗な、しかし不気味な黄色い光が。
クローはいつの間にか出していたその爪で、私に向けて爪を振り下ろそうとする。
………………。
「なんで、なんでこうまでして離そうとしない?私はお前を切り捨てようとしてるんだぞ?この爪が見えないのか?」
「見えるわ。ハッキリとね。」
本当は体が震えそうだ。
でも抑えられる。だって、クローはきっとそんな事しないから。
「じゃあ、なんで…!」
「今更何言ってんのよ?………こんな事された程度で、私があんたから逃げるんだったら今頃ここまで来てないでさばんなちほーでゆっくり昼寝でもしてるわよ。」
「カラ、カル」
「それとも、私はその程度の存在って思われてたワケ?……私はあんたを信じてるから今もこうして突っ立ってられるのに。」
こうでも言っておけば折れるでしょう?
「カラカル、ごめん、ごめん…!」
「泣いちゃって、まったくあんたらしくないわね。……ゆっくりでいいから教えて、何があったの?」
目からどんどん涙が溢れていく、顔はとってもくしゃくしゃ、まるでサーバルみたいね。
しばらく頭を撫でて、少し冷えてきたこの場所から守るように抱きついてあっためる。
するとクローは少しずつ口を開き始めた。
「……私は、……あの男たちと一緒にこのパークを……壊したんだ。」
「壊した?」
「あぁ、っ、サンドスターで、私たちの武器や防具は全部動かなくなってて、いっぱい人が死んだから…、見えない敵に対応できて死なないようにするために森を焼いたんだ!」
「みんなの、住処を奪った!空からは飛行機がどんどん爆弾を落として地形が変わるまで爆撃した!」
「もう、パークなんて呼べる状態じゃなかった。破壊し尽くした大地にはもう木や川なんてなかった。きっと多くの動物達の命が失われた…。」
「遂に山頂に辿り着くと、四神というフレンズと、………セーバルと呼ばれていたサーバルに良く似たフレンズが犠牲になって、セルリウムは封印されたよ…」
「フレンズたちは怒ると思ってた、けどそれはしなかった。むしろ感謝をしてた。こんなことをした私たちに。」
「でも私たちは素直に喜べなかったんだ。知っていたんだ。私たちが帰路につく途中彼女たちは膝をついて倒れて泣いてたから…。」
「あの緑の髪をした人は、ガイドさんって呼ばれてた人は、サンドスターがすぐに直してくれると言ってたけど、その前にアレが始まったんだ。」
「それは私たちが合衆国に戻ろうとしていた時だ。突然連絡が入って来たんだ。なんだと聞いたら……核が落とされたって。」
「中国は、最後の攻撃に出たんだ。世界中にミサイルが落ちて、そしてそれはこのパークにも…っ!!うげぇっ!げほっげほっ!!」
クローは突然私から離れて吐いた。何度も何度も、
「ちょっとクロー!?しっかりして!大丈夫?」
「みんな…みんな死んだ!一瞬で炎に包まれて全て灰になったんだ!!!私は、私は…あの後も少しだけ生きていた。周りには焦げた肉の匂い、誰かもわからない真っ黒に焦げた体っ…ぐぅっ、」
「ついさっきまで!ついさっきまで生きてたやつが一瞬で消し飛んだんだ!!!チクショウ!チクショウ!命はこんな簡単に失われていいものかよ!?」
「うっ、うぅ…こんなの、私が言えたことじゃないんだ…。あの場所で、フレンズの笑顔を曇らせた私が言えることじゃないんだ…。」
「………どうだ?ここまで聞いたら、私のことなんて」
「やめてよ、そんなこと言うの。」
私はすぐにクローに抱きついた。小さく震えてまるで産まれたての子猫みたいだった。
……あの日を思い出す。母から産まれたあの日を、あの時、私はクローと同じように震えていた。そんな時母は私を毛づくろいしてくれた。ただそれだけだった、言葉も交わしてないけど、それで十分だった。
私はクローから流れる涙を舐める。何回も何回も。
「カラカル?なにを…」
「毛づくろいよ、落ち着くでしょ?」
「カラカル…」
涙の跡がなくなった後はそのまま壁際に連れて行って寝かせてあげる、そして頭を撫で続けた。
いつの間にかクローはすぅすぅと規則正しい寝息を立てて眠っていた。
「ん……私も眠くなってきたわね…」
「見張りはオレに任せてくれ、こうなった責任はオレにもあるからな。」
「ほんと?ありがとう。でも気にしなくていいわよ。クローが自分でやってこうなったんだから。」
「いや、そう言うわけには…」
もう聞こえなーい。
久々にゆっくり寝ましょう…。