けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜   作:ガイガーカウンター

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………ここはどこだ?
周りは真っ黒で何にも見えない。声を出しても消えていくだけだった。
そういえば私はトンネルの中に入ったのだったな、という事はここは…
その時、私の脳裏に映像が浮かぶ。
決して消せない戦争が生み出した深き傷の。

「あ、うわああああああ!?」

気づけばそこは炎の中だった。
地面は真っ黒になり、そこにあったはずの建物が無い。
何も無い。人の影も、太陽の光も、何もかも。

天には粉塵が舞い、ここには私の身を焦がす炎の光しかなかった。

「………………」

体に熱はない。
炎を熱いとは思わない。
体も動かない。いや、動かせないと言った方が正しいか?

……私の左足、右足の感覚がない。
何があったかはわからない。
見たくはない。見たらそこに何があるのかは既にわかっていたから。

「私の声が、聞こえますか…?」

声がした方に頭を向けようとして、やめた。
そっちに向ければ足の状態も見えてしまうから。

「聞こえているようですね、良かった。……一つ頼みがあります。貴方にこれを探して欲しいのです。」

その声の主は私の頭のすぐ近くまで来ていて、私の目の前に何かをぶら下げた。
それは錆びた銀色の輪っか、その中にガラス。そしてそのガラスには六つの光があった。

「これは本来あの方が持つべきもの。しかし……あの人はもう。っ、これがあれば、これさえあればまだなんとかなるはずです。セルリウムを犠牲無くして封印し、そしてこの世界を破滅から守る…!」

「外から来たあなたにこんな事を頼むのは最低な事だと分かっております。 しかし、もうこれしか方法が…、お願いします。強制はしません。これは願いです。」

「どうか、どうかこれを使って…………………」

「……………助けて、」

ドサリと、誰かが崩れ落ちる音がした。

後に声や足音が聞こえることはもう無く、パチパチと燃え盛る炎の音しか聞こえなかった。
私はただただ、この身を焼かれ続けた。






その時私は思った。

もし、もしこんな事が起きない世界だったら、いつまでも仲間と戦いのない世界を生き、この地を焼くような事が無ければ

戦争なんて、起こらなければいいのに…。

私の意識はそこで消えた。








第16話 悪夢、そして添い寝

誰かの声が聞こえる。

聞けばとても落ち着く声、頼りになる声、これは…

 

「か、ラカル…」

 

「目が覚めたのね、大丈夫?けっこううなされてたようだけど…。」

 

………………

 

「ごめん、全然無理。」

 

気がつけば涙は溢れていた。

まさかあの恐ろしい物をまた見るとは思っていなかった。

 

蘇る死への恐怖、脳が壊れてしまいそうな痛み、炎の中だというのに凍りつくような寒さ、誰一人としてそこで生きていた者が居ないという恐ろしさ。

 

怖い、どうしようもなく怖い。

息を吸うのが難しい、口はがくがくと音を立てる。

 

そんな時、暖かな感触を感じる。

おぼろげな視界の向こうに映るのはカラカルの姿。

 

「ほんと、世話が焼けるわね、あんたは。」

 

優しい声が聞こえてくる。

頭に手が置かれ、ゆっくりとそれは動き出す。

頭の痛みは引いた。

 

それでもまだ、震えは止まらない。

 

「……安心して、私は、私はここにいるから。」

 

全身に温もりを感じる。

抱きしめられる。

カラカルの心臓が動く音が聞こえる…。

 

恐怖、悪寒、孤独

全てが消えた。

 

震えは止まった。

 

……………………。

 

「もう大丈夫そうね。」

 

「ぁ、……」

 

「ほら、甘えてないで早く立ちなさい。いつものあんたはどこへ行ったのよ。」

 

それもそうか

 

立ち上がろうとすると、ある事が閃いた。

 

「………えいっ」

 

「え?」

 

ドサリ、音を立ててその場にカラカルを巻き込んで倒れた。

 

「これは…、どういうつもり?」

 

「すごく心地良かったからさ、その……、もう少しこのままで居てくれないか?」

 

顔が火がついたように熱くなる。喉がカラカラだ。

しばらくしていると、カラカルは不思議そうな顔を微笑みへと変えて

 

「まったく、ほんとうに甘えん坊さんね。もう十分寝たけどもうちょっと付き合ってあげるわ。」

 

カラカルが抱きついてきた。

今度は私からも抱きつく。

すぐそばにカラカルの顔がある。息をする音も耳元に。

更に顔は熱くなったが、しかし、安心できた。

 

私はもう一度眠りにつこうとする。

 

また悪夢を見たらどうしよう。

 

また痛みを感じたらどうしよう。

 

不安は重くのしかかるがカラカルがすぐそばにいる事でそれはすぐに消え去った。

 

……………そういえば、

 

あの女の声はなんだったんだろう…?

 

あの時見せられた物はなんだろう……?

 

助けてって言われても、どうすれば……?

 

 

 

 

でも、やらなきゃいけない。

誰かが助けを求めてるなら、助けなきゃいけない。

これは決して強制されて思ってるわけではない。

フレンズだから助けなきゃとかじゃない。

 

私の……、クローの意思だ。

 

 

自分の存在が強くなった気がする。

もう二度とあの悪夢を見ないような気がする。

 

やけに聞こえるようになった風の音をぼんやりと聞き

 

少し遠くなった気がするカラカルの温もりを感じて

 

 

 

意識を手放した。

 

 

 







「…………お前らまた寝るのか」

木の箱に腰を下ろしたツチノコは呆れたように首を振ると、そのままぼんやりと見張りを続けた。
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