けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
(なんだ…、かなり暑いぞ、一体何がどうなってる。)
私はすぐに立ち上がるとすぐに周囲を見回した。
………敵は近くにいなさそうだ。
(とりあえず、水が飲みたい。)
本能のままに足を進めると偶然にも大きな湖に辿り着いた。
(よし、これで喉を潤せる。)
すぐに湖に頭を突っ込んでがぶ飲みする。
口の中に水が大量に入り込んできてとても心地いい。
このままずっとしていたかったが、息が出来ないので大人しく頭を水の中から出した。
(美味い水だ。)
私は濡れた顔を拭こうとして腕を動かすと奇妙なことに気づく。
こんなに私は器用だったか?
自分の手を見るとそこにあるはずの私の自慢の爪が無くなっていた。
「……なっ、そ、そんなバカな!?」
何が、何が起きている!私の爪は一体どこに行ったんだ!?
自分の体を手でボディチェックをするように探ってみたが、どこにもなかった。いや、そもそも手以外にあるはずがない!
「クソッ!どこだ!どこにあるんだ!」
私が辺りを見回しているとある事に気がつく。さっき私が湖に頭を突っ込んでいたが、まさかその時に爪が取れたのでは…。
「っ!」
すぐに湖を探そうと思い水面に顔を向ける。
そこには自分の顔ではなく、女の顔があった。
「………!?」
まさか水中に敵か!
急いでその場をバックステップで離れる。爪のない今の状態では攻撃が出来ず、防御しか出来なくなる。それに一瞬で、更に痛みも感じさせずに私の爪を奪ったヤツだ。とんでもない強さに違いない!
「チクショウめ!さっきからなにがどうなってる!?」
かなり走って先ほどの湖を離れた。
太陽が真上にあって炎々とこの地と私の体を焼き尽くす。
すぐに木の陰に隠れた。
「なんでだ、なんでこんなに暑いんだ?」
私は炎の中に居たとしても暑さは感じなかった。
こんなに耐えられないぐらい暑いなんて思った事など生まれてこの方一度もない。
一体なにが起きてるんだ…?まるで私がすごく弱くなったような。
ここでまたもやある事に気がついた。
なぜか私は人間の体をしていて、なぜか私は人間の言葉を使っているのだ。
「は、はは…(これはきっと悪い夢だ。大丈夫、起きればまた敵と楽しい戦いができる。)」
そんな事を思いながら私は木に向かって倒れこんだ。
しばらくぼーっとして流れる雲を見つめることにした。
思い出すのは……いや、なにも思い出せなかった。
まあ、どうでもいいや、それより早く戦いたい。
戦いたいなぁ…
………。
……
…
……………?
…………遠くで音が聞こえる。草を掻き分け歩く敵の音がする。
私はすぐに立ち上がり、敵の場所へ駆けて行く。
「え?あ、狩りごっこか、よーし!トムソンガゼルが魅せてやる!」
「ククク、はっはっはははは!!!まて!私がすぐにこの爪でお前を引き裂いてやる!」
と言ったものの私には爪なんてものは今のところ存在しない。
しかしせっかく人間の体になったのだ。人間らしく拳でボコボコに殴って首を絞めて仕留めればいい。
「面白くなってきた!それじゃあ全力で走っちゃおう!」
「!?、なにぃ、速い!」
ヤツはペースを上げたのか、凄まじい速さで走って行く。
それに今の私は人の姿になったせいで足が遅い上にスタミナもない。どんどん引き離されてしまった。
「くっ、クソッ!逃したか…。」
ついに敵の姿を見失ってしまった私は次の敵を探して歩き回る事にした。
しかし、この体は不便すぎるぞ。
じれったさを感じながらも歩いていると、突然後ろから笑い声が聞こえた。
「わーい!あはははは、いひひひひ!狩りごっこだね!負けないんだからー!」
「なにっ!私としたことが背後を取られるなど…!」
慌てて走って逃げる!こんな変な笑い声をしながら追いかけて来るやつだ。狂気に侵された人間に違いない!そんなやつは大概戦場帰りだ、それも過酷な戦場からの!捕まったら何をされるかわからない!
生まれて初めて感じる恐怖に私は身を震わせながら必死で走った。
幸いな事にここは先ほどの湖があった場所の近くだ。
水の中から覗いていた敵がまだいるかも知れないが、まずはこいつから逃げるのが先決だ!
「はっ、はっ、はっ、クソッ!」
かつては敵を次々と引き裂いていき、恐れられていたはずの私がこんな…、屈辱だッ!
「き、貴様ッ!覚えてろよ!力が戻ったら必ずバラバラにしてやる!」
「え、えー!そんな怖いこと言わないでよ!」
ようやく湖が見えてきた、あと少し!
100m、50m、あと数歩!
背後をチラリと見ればそこには私に手を伸ばす女。
捕まる前に飛び込む!
私はその勢いのままジャンプすると、湖に飛び込んだ。
直前、水面に再びあの顔が映るのに気づく。
必死で水中でもがきながら、対岸の方へ泳いだ。
「ぶぁはっ!はぁ、はぁ、に、逃げ切った。」
って安心してる暇はない!すぐに湖から這い上がるとすぐに泳いで来るヤツに向かって蹴りをいれる準備をする。
見た瞬間には既にヤツは水面に映っていて、私は全力でそれに向かって蹴りを出す!
バシャン!と音を立てて飛び散る水。
しかし手応えは感じなかった。
水面にはまだあの顔が映っている!なんだこいつは!
そう思ったが、ある事に気がつく。
これってもしかして私の顔なんじゃないかと
「……………はぁ。はっ!」
急いで私は姿を隠した。そういえば先ほどまで追いかけられていたのだった。
しかし、幸いな事にアレは泳ぐことができなかったらしく、とぼとぼと帰っていく後ろ姿を遠くに見た。
「それにしても、腹が減ったな…。」
何を食べようか、いや、こんなに弱くて何か食べられるのだろうかと考えながら私は歩いてその場を立ち去った。
ブクブク…
バッシャーン!
「だ〜れ〜?ってあら、誰も居ないわね。」