けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
「ウチだけやったら怖いわ…合戦ちゅうのもいつ始まるか分からんし、周り誰もおらへんし…」
「はよ見つけな…」
クロヒョウは少し顔に冷や汗をかいて、慌てて探し出そうとしたところ、声をかけてくる人物がいた。
「あら?そこで何をしているんですの?」
「え?妹探しとるんよ。ヒョウっていうんやけどなんか知らへん?」
「残念ながら知りませんわ…それにもうこの辺りにフレンズはいないと思いますわ。」
「そか…、そういやあんた名前はなんていうんや?」
「わたくしはシロサイと申しますわ!」
「し、シロサイ!?へ、ヘラジカ軍やんか!……あーえと、用事思い出したからちょっとはよ帰らせてもらうわ。ほな!」
「ちょっと待ってくださいですの!…正直貴方はそれなりに怪しいですわ。我々の拠点の近くで、この辺りをしきりに歩き続けて、人探しをしているならもっと別のところも探しますわよね?」
「(げ…、見られてたんか。ただ、不安から目逸らそう思て適当に歩いてただけやのにな…)あ、あははは。ほ、ホンマに探しとったんよ?妹を」
「どんな事情があるかは分かりませんが時間を無駄にしているようなら問題はないでしょう。すみませんがここに居てください。……少なくともここで闘いをするよりは遥かにマシだと思いますわ。」
シロサイはその目を鋭くさせると武器である槍を構え、この場で静止するよう命じた。
「(あぁあぁあぁ…!ヒョウがどっか行くからこんなけったいな事になってもうたやんか!どうしよ…)……どうしても信じてくれん?」
「………………いや、一応少し信じてはいますがコレは合戦なので仕方がないですわ。大人しくここにいてくださいまし。」
シロサイは表情を和らげ、少し笑顔を作るとその槍を下段に下げた
(そしっ!これで隙ができたで!タイミング見て一気に走ろ。)
「……そういや合戦ってなんでやっとんの?」
「それはヘラジカ様があの城を欲しているからですわ。…本当はもっと別の理由があると思いますけど…」
シロサイはクスリと口に手を当てて少し笑うとそう言った。
「別の理由…?」
「ヘラジカ様は強いフレンズと戦うのが好きなのです。ですからヘラジカ様はただ単純に、あの城に居るライオン様と戦いたいんですわ。…あくまで予想ですけれど」
「へー、……ん?あそこにあんのなんや?」
クロヒョウはシロサイの背後の空に向けて指差す。
「え?」
シロサイは何があるのか確認するため後ろを向いた。
そして…
「……堪忍してなっ!ヒョウ探さなあかんねん!」
「あ!ちょっと!待つですの!」
こうして追いかけっこは始まった。
「おーい!クロヒョーウ!でてこーい!!!」
「叫んでも無駄だと思うわよ?辺りに隠れられそうなところもないし、目視する方が早いわよ。」
「それもそっか…、はぁ、クロヒョウおらな本調子でえへんなあ」
「やっぱり、姉妹だとそんなもんなのか?」
「せやな…と言ってもホンマの姉妹とちゃうんやけどな」
「えぇ!?」
「ははっ!嘘や嘘。心配せんともクロヒョウとは同じ母ちゃんから産まれとる。」
「……そっか、カラカルにも居るのか?」
「まぁね、母親がいなきゃここには居ないから。」
「………そうだな。」
「?」
やっぱり、そうだよな。
みんな母親は居るもんだよな。
って事は、私にも……いるよな?
………私の母親ってどんなヤツだったんだろう。
……………本当に居るのか?
「クロー?どうしたの?」
「ホンマやどうしたんや?えらい暗なっとるで?」
「え…?あ、いや、なんでもない。ははっ、なんでもないさ…」
なんだろう、まだ思い出してないことがある気がする。
それは私の母親に関する…そんな気がする。
……へっ、まったく、考えるのは苦手だっていうのに、すぐこうなる。シャキッとしろ!私。
「よしっ!行くか!ほらほら早く行くぞ!アンタの姉が待ってるだろ?」
「…ホンマにいけるんか?」
「大丈夫だ!ほら、早く」
私はズンズンと足を大きく動かす。
こうしたら、余計な事は考えれずにいられる。
「……ーい」
「あれ?今の声は…」
カラカルが耳をピクリと動かすとある方向を見た。
そこからは…
「た、助けてーっ!お、追ってきてるー!」
「クロヒョウ!やっと見つけたで!」
あのフレンズがクロヒョウか…それじゃあ背後にいるのは?
「お待ちなサーイ!」
「まてぇぇぇぇい!!!」
かなり疲れた様子で走る白い鎧を着たフレンズとめちゃくちゃ早いスピード走ってくるヤツがいる!なんだあれは!?
「クロヒョウ!どこいって…うわっ!ヘラジカやんけ!なんでヘラジカ軍の大将がここにおるんやー!?」
「そ、そんなん知らんよー!いつの間にか来とったんやーっ!」
「に、逃げろ逃げろぉぉ!!」
見ただけで分かる!アイツには勝てない!
「ちょ、ちょっと待ってや!クロヒョウが…」
「うっ…しかし…」
「うおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」
………
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
っ…………………!
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「ヒィィ!!!む、無理だーっ!」
「そ、そんな…!」
クロヒョウは息を切らして必死で走ってくるがもうじきヘラジカに追いつかれそうだ…!
「クロー、あんたがどうするかは分かってるわよ。」
カラカルはウィンクをして私を見た。
……あぁそうさ、やることなんて一つだ!
「戦うぞぉぉぉ!!!!」
久々に!戦いたくなってきたああああああ!!!
「い、いきなりどおしたんや!?」
「クローはさっきまであまりの気迫に怯えてたけど本当は戦い好きなのよ。」
「そうなんか…」
「えぇ、でもねクローやめときなさい。」
よしっ!突っ込むぞ!うおおおおおおお!!!!
「く、クロー!?ダメよ!怪我するわよ!!」
なんにも聞こえん!
途中でクロヒョウが通り過ぎる
「ちょっ!?ヘラジカ相手に正面から挑むなんて無茶やて!」
「そんなの知らねぇなぁ!!!」
「お?なかなか面白いやつが出てきたなぁ!よーしっ!来いっっ!!!」
「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」
「あーあ…だから無理やて言うたのに…。」
クロヒョウが見るところにはヘラジカが居た。
そして、クローは空から落ちてきた。
「く、クロー!?大丈夫!?」
「安心しろ!軽めにしといてやった。じきに目を覚ます。」
「そ、そうなの…、はぁ、どうしてこんなに興奮したのかしら…さすがにここまで冷静さを失うことなんて今までなかったのに。」
「うーん、暴れる時ってなんかあるか…?」
「ふーむ、私はなんにも気にせずに暴れるぞ!」
「確かに、暴れたら何も気にせえへんなるから何か無理やり忘れるためにやったりするけどな。」
「っ!」
カラカルは静かに倒れたクローを見る。
「なにか…あったの?」
心配気に見つめるカラカルの目は、その時はクローに届かなかった。