けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
月は既に隠れ、空は青みを帯びてきている。
夜が明けようとしていた。
「さて、ちょっと爪とぎでも、って…」
カラカルは起き上がろうとしたがクローに抱きつかれている事を思い出す。
クローはカラカルに顔を埋め、時折ギュッと力を強めたり、緩めたりを繰り返していた。
「……ほら、クロー。起きて、起きなさい。」
「……ん?」
クローは顔を上げ、とろんとした瞳でカラカルを見る。
「起きたわね、ほら、もうすぐ夜明けよ、みんなも起きてきてるし私たちも早く…」
「イヤ」
その一言でカラカルは言葉を詰まらせてしまう。
「もっと寝たい。もっと温めて」
「あぁ!ちょっと!起きないと夜襲が出来ないでしょ!」
「だって…」
「なに子供っぽい事言ってるのよ!早く起きて!さあさあ」
「むぅ…」
しぶしぶと言った様子でクローはカラカルから離れるとその場で座り、ボーッとして…
「………さっきのは忘れてくれ」
「…ふふ、簡単に忘れると思う?」
「くっ、そんなに私をからかおうとしたら後悔することになるぞ?」
「出来るもんならやってみなさい。」
「いつかその余裕を取っ払ってやる。」
クローは立ち上がった。
「皆、揃ったな?」
ヘラジカの側には七人の仲間達が立つ。
目は研ぎ澄まされた鋭さを持ち、今にも走り出さんとしている。
そして…
「征くぞ、突撃だ!!!」
おおおおおっ!!!叫び、走り出す。目標はライオンの城、ただ一つ!
今日は追い風、間違いなく勝利は我らの元にある!
「うおおおおおおおお!!!」
大勢の仲間と共に走る、どこか懐かしい感覚がして、そしてとても楽しいものだ!
私も大きく声を出して走った。
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「来たか。」
しかし、ヘラジカ達が走る道の上には既に三人のフレンズが立っていた!
「随分と早いね」
「あぁ、連中は仲間を増やしている。だがそれはこちらも同じだ。怯まずいつも通り行くぞ。」
頑丈そうな太い角を持つフレンズ、オーロックスと呼ばれる彼女はチラリと隣のフレンズを見た。
そこには金色の髪を持ち、ウロコの帽子、スカートを履いたフレンズが居た。
名を、オオセンザンコウ。
彼女はなにも言わずに離れて行った彼女を追うためにここまで来た。
(なんとしてでもオルマーを見つけます…!)
へいげんちほーに居ると話を聞き、そして探すためにライオン軍に一時的に入ったセンザンコウ、そんな彼女を相手するのは…
「!?、クロー!敵がいるぞ!」
「ぷあああ!?お、オーロックスとアラビアオリックスでござる!」
「待ってくださいですの!もう一人いますわ!」
「構わん!突っ込め!我々はもう止まらない!一度動き出した時計の針の如く!決して止まらず、そして強大な力によって目の前を進むのだ!いくぞぉぉぉ!!!」
【おおおおおっ!!!!!】
私たちは一度崩れそうになったがそれを耐え、突撃を続ける!
決して止まらずに強引に突き進めば必ず道は拓ける!
「止まる気配、無いな。」
「あぁ、ま、いつものことだ。さっさと終わらせよう。」
「………っ!?あれは、オルマ!?」
「!?、センちゃん…!」
二人は想像し得なかった場所で再開し、嬉しさよりも困惑が押し寄せる。そして…
「!、アルマジロ!隊列を崩すな!」
「でも、センちゃんが…」
「なに!?」
一人が止まったことによりまた一人、一人と徐々に脱落者は増えていった。当然の話で、ここまで来るのにかなりの距離がある。
逆に今まで休まず走って来たのがおかしかったのだ。
「くぅっ!、残ったのは私とカラカル、ヘラジカだけか!」
「クロー!これ以上は無理よ!一度撤退を…」
「いかん!ここで撤退したところで何も変わらん!突撃だ!」
「ヘラジカ!無茶よ!」
「大丈夫だ、私たちならやれる!いくぞぉぉぉ!!!」
「あぁ、もう!」
「おっしゃああ!!突撃だあああああ!!!」
「クローまで一緒になって!」
「おい、センザンコウ。大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。戦えますが…」
センザンコウの目にはあの三人が映る。
かつて共に暮らしていたオルマー、共に旅をして友達になったカラカルとクロー。
センザンコウは戦うには精神に大きすぎる揺らぎがあった。
「仕方ねぇ、お前はここで休んでろ。あとは私たちでやる。」
「しかし…」
ぽんっと音を立てて頭に手を置かれたセンザンコウ。
オーロックスはニカリと笑い、前へ出た。
「大丈夫さ、別に本気で戦うわけじゃないしね。」
「…………」
「…ま、落ち着いたら来なよ。時には友達と戦ってみるってのもいいと思うよ。」
オーロックスに続き、アラビアオリックスも前へ歩き出した。
「おおおおおおおおおおおっ!!!」
「行けぇ!ヘラジカァ!!!カラカル、私たちも続くぞおおお!!!」
「はぁ、はぁ、ぐっ、さすがに…」
ヘラジカが二人のフレンズに向かって猛突進をする!
とても奴らでは防げまい!
そして、間も無くヘラジカは前へ吹っ飛んだ。
…………………え?
「え、ええええええ!?」
驚きのあまり足を止めてしまった!
しかし、何が起きた!?
「突進が強すぎるっていうのも考えもんだね?」
「こうやって足に槍を引っ掛ければすぐにこけちまうからな。」
目の前の頑丈そうな角をもったフレンズはクイっと槍を引っ掛けるような動作をした。
くっ…!作戦は失敗か!
「さ、あんたらの大将はこのザマだし、もう合戦は…」
「まだだ!まだ終わってない!我々は最後の一人が散るまで決して止まらない!行くぞカラカル!」
「私をしれっと巻き込まないでよ!」
まだ勝機はある!ここは攻撃をすべきだ!
「おい!?合戦はもう終わった…」
「やぁカラカル。元気かい?」
「ラビラビ!…何かようかしら?」
「おや、ツンツンしてるね。合戦はみんなピリピリするから困るよ。それで、ルルは元気かい?」
「ええ、毎日楽しそうに走ってるわ。」
「そうか…それは良かったよ。それじゃ、」
ブンブンと槍を振り回し、そして構えるアラビアオリックス。
その動きはとても洗練されており、歴戦の戦士を感じさせた。
「やるか。」
「はぁ…こうなった以上やるしかないか。」
カラカルも、手から光り輝く爪を出す。
そして、両者共に目を光らせ、激突した!
「あっちはもうやってるみたいだな。」
「そうだな、そんじゃ、やるか?」
「おう、黙らせなきゃ終わんねぇんだろ?」
目の前のフレンズは…って
「あー、すまん。先に名前を教えてくれるか?」
「ん?あぁ、俺の名前はオーロックス。覚えときな、今からお前を叩き潰すこの槍もな。」
随分な自信だな、いや、舐められてるのか?
どっちにしろ、ムカつく反応だ…!
「へっ、……怪我すんなよ?」
「こっちのセリフだ。」
私は木の棒を構え、一気に走り寄る!
「おらあぁぁぁ!!!」
パキンっ!そんな衝撃音を立てて二つの得物はぶつかり合う。
「ふっ!オラァッ!」
「………………」
ちっ!どんだけ殴りかかっても全部防がれちまう!このままじゃ…
「………あのよ、お前、降参しろ。」
「なにを!?」
「このまま続けたらお前大怪我するぞ。俺もそんな事はしたくない、やめだやめ。」
そして、奴は私に背を向けた。
……………
「おい」
「あ?」
「なんで私が大怪我するって思った?」
「簡単な話だ。お前は弱すぎる。その力だとセルリアンの相手もやっとだろ?」
「………私は、弱くない!」
ブチっと音がした気がする。
奴の表情は大きく変わり、それは驚愕だった。
「おまえ…ツノが!?」
「だからテメェはテメェの身を心配しやがれ。」
私は野生解放をした。
「ひゃあー、今回でやっと終わるかー、楽しみだなぁ」
ライオンはウキウキとヘラジカ達がこの部屋に来るのを待った。
もとよりライオンはゆっくりとのんびりしたい性格だ。
合戦のせいで他のフレンズの前では気を緩めることが出来ず、のんびり昼寝もできない今の現状に嫌気が差していた。
「ほんと、あのままじゃ絶対大きな怪我人が出そうだしー、仲が悪くなりそうだしー、嫌なことだらけだよ。あー、早く来ないかなー。」
ライオンは足をパタパタさせながら終わった後なにをするかをのんびり考えていた。