けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
まずい…本当に腹が減った。
獲物を探してはいるのだが大概捕まえれずに終わりだ。
人間のように工夫して捕まえようとも思ったがやり方を思いつけなかったためそれも出来なかった。
「うぅ…、このままだと本当にまずい…。」
前も見ずに歩いているとボニョっと奇妙な音を立て弾き返された。
て、敵か!?
すぐに後ろに飛び跳ねて距離を離した。
前を見るとそこには青くて4本の触手みたいなのを生やしたナニカが居た。
「なんだ…?コイツ。」
見た所全く脅威を感じない。
可愛らしい形をしている。戦場には不釣り合いだ。
動きも遅そうだ。
自分よりもデカイが…やれる!
「へへっ、ここで私の餌となれっ!」
まずはダメージを与えるため木からへし折った頑丈な木の棒を使ってやつをフルスイングでぶん殴る。
しかし、ぽにょーんと変な音を出しながら弾き返された。
「ちっ!ならば…!」
この木の棒はかなり苦労して先端を尖らせておいた。
小さく動きが早い小動物相手には役に立たなかったが、動きがトロくてデカいコイツなら…!
「くたばれっ!」
両手で、更に体の体重を使うようにして思いっきり突き刺してやった。今度はぽにょーんとは言わずどんどん突き刺さっていく!
「はっ!終わりだ!」
このまま体重をかけようと思ったが、嫌な予感がする。
咄嗟にその場を退こうとしたがいつの間にか手がヤツの体内に入り込んでいる…!
「な、何が起きている!?私の手が、喰われてる…?」
必死でそこから手を抜こうとしたが全く抜けない。それどころかどんどん体内へと吸い込まれていく…!
まずい、このままだと喰うどころか逆に喰われる!
くそッ、完全に相手を舐めていた!戦場で油断をするなと教えられてきたのに!
嫌だ…!私もアイツのように死ぬなんて嫌だ!
……アイツって誰だ?
「う、うわああああああ!!!やめろ!私を喰うなあああ!」
「屈んで!早く!」
突然聞こえてきた声に疑いながらも焦っていた私は素直にその言葉通りに動いた。
瞬間、青いヤツは後ろからきた誰かに引き裂かれ、私の腕を喰っていた場所に大きな穴を開けた。
「よし!」
誰かはそのまま私の襟を掴んで後ろへ投げた。
「ぐっ、だ、誰なんだ?」
「私はカラカルよ。あとの自己紹介はセルリアンを倒した後!」
カラカル…?セルリアン…?
なんだ、頭がごちゃごちゃだ。訳がわからない。
「っ、てあれ?石が見当たらない…、どこにあるのかしら。」
石?石ってなんだ。突然頭の中に声が響く。
『いいか、お前は闇雲にあいつらを切ってるようじゃまだまだダメだ。あいつらセルリアンには必ず弱点のコアがある。そこを探して重点的に切るんだ。』
必ず…ある。
じゃあどこに?
すぐに立ち上がってセルリアンの体を隅々まで探して見る。
正面にはない。……なら背後は?
「カラカル…だっけ?なんでもいい!多分コアはセルリアンの背後にある!」
「ちゃんと覚えてよ!でも、背後にあるのね?分かったわ!」
カラカルは突然止まった。
セルリアンはまっすぐそこに一本の触手を突き刺した。
しかし、突き刺さった場所に既にカラカルは居ない。
カラカルは地面に深くめり込んだ触手に飛び乗り、そのまま走り出す。セルリアンは残りの触手で叩き落とそうと振り回すが、それらを全てカラカルは避けていく。そして、至近距離まで近づいた瞬間大きくジャンプした。
カラカルはセルリアンの頭上を飛び越え、背後に着く、そして。
「これで、終わりよ!」
コアに深く爪を立てたのか、セルリアンはパッカーンと音を立て砕け散った。
「これでよしっと。」
「…………なんで」
「え?」
「なんで見ず知らずの私を助けた?怪しくて、役立たずのヤツをよく助ける気になれたな。」
「………。」
「私だったら絶対に助けない。助けても、何の価値もない奴はな。」
「……そう。でも私は助けるわ。」
「どうして?」
「だって、助け合うのは当たり前じゃない。」
カラカルはにっこりと笑ってそう言い切った。
「そんなのは綺麗事だ。殺るか殺られるかの世界じゃそんなのあり得ない。」
「殺るか殺られるかって…そんな物騒な場所じゃないわよここは。」
「じゃあ、なんだ?食い物は殺さないと手に入らないんだぞ?どうやって殺さずに済むのさ。」
「あ、もしかしてあなたまだフレンズになったばかりなのね?」
「…?フレンズって」
「はい、どーぞ!」
突然カラカルに何かを渡された。
「………これは?」
「ジャパリまんよ、食べてみて。」
「こいつは…食いもんなのか?」
「いいから早く!」
なんだかとても怪しそうだが…しかし、腹が減ってるのは事実。
大人しく食べてみた。
すると口の中がなんだかとっても変な感触に包まれて、なんだろう、これは。
美味い、美味いけど、なんて言ったらいいんだろう?
「どう?甘いでしょ。」
あま、い。
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『おい!さっきは良くやったな!セルリアンとはいえ戦車をマジで切っちまうとはな!それに、俺が言ったようにコアを見つけ出して攻撃してたし、お前は脳筋だと思ってたけどかなり有能だ。』
『隊長、せっかくですしコイツに何かご褒美をやりましょうぜ』
『褒美?そんなもんこの戦場にあると思ってんのか?』
『何言ってんですか、いつも持ってるじゃないですか。」
『ん?……あー、あれか。ほらよ、チョコレートだ。これからも頑張ってくれよ?お前には期待してんだからな。』
『どうだ?甘いだろ?』
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あ、あぁ…
「甘い、とっても、甘いよ。」
「えっ!ちょっ、どうして泣いてんのよ!」
思い出した。
これが甘いなんだ。
私は味わいながらそれを食べた。
とっても、とっても甘くて美味しかった。
「………落ち着いたかしら?」
「あ、あぁ、その…、なんていうか、…………ありがとう。」
「ふふっ、どういたしまして!」
なんだろう、顔が熱い。
まぁしかし、気にしないでおこう。
それよりも、頭の中で響いたあの声とビジョン。
あそこに映っていたのは、誰だ?
忘れちゃいけないような、そんなあいつは誰だったっけ?
思い、出せないな。
まぁいいさ。
そのうちまた思い出すだろう。