けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
草原にまた一つ、何かを殴るような音が響いた。
「っ!?」
何があった?
私はすぐにその方向へ目を向ける。
そこには驚いた顔をしているセンちゃんと吹き飛ばされるオオアルマジロがいた。
「なっ!どうしたんだ!?」
返事はない。
その異様な空気に私たちは黙ってしまう。
そして、センちゃんはその口を少し開けた。
「……どうして、」
顔が俯いて見えない。
その声は震えていて肩はプルプルと震えている。
手はギュッと握り締められ、そして、勢い良く顔を上げて大声を出した。
「どうして防御をしなかったんですか!」
私は初めてセンちゃんが起こっていることに気づいた。
このままだとまずい。すぐに止めないと…
一歩前に踏み出して、肩に手を置かれた。
「よせ、あの子たちの戦いは誰も手を出しちゃダメだ。」
「何言ってんだ?止めなきゃマズいだろ!」
「クロー、キミは大切な人と大切な喧嘩をしてる時、他の誰かに割り込まれたいか?」
大切な人と大切な喧嘩だと?
…………
何が心に突っかかったのかは分からないが、私はその足を引っ込めてしまった。
「……そんなに、そんなに私の事が気に入らないんですか?そんなに私の事を……っ、忘れたいんですかっ!」
「センちゃん…?何を言って…」
「正直に言ってください。でなければ、もう手加減はしません。なぜ、あなたは私から離れた」
「……ごめんよ、やっぱり言えない。」
「なぜ言えないのですか」
「……………」
「…………そうですか。であれば方針は変わりません。」
センちゃんは身構えて、言い放った。
「強引にでも、口を割らせます。……覚悟してください。」
そして、地を蹴ってオオアルマジロに尻尾で殴りかかった。
「くっ…!」
咄嗟に腕についている防具で防御するのかと思えば、オオアルマジロは自分から飛び込んで行った。
「また…!」
センちゃんはその顔を大きく歪ませると遂にその尻尾を振り抜く。
攻撃しようとしていたオオアルマジロはその攻撃が届く事なく、ただ一方的に吹き飛ばされた。
「うわっ!!……ぐっ、まだまだ!」
しかし、先ほどとは違い今度は怯まずにセンちゃんへ突撃をかける。
予想外の展開だったのか、センちゃんは驚愕し、その体を固まらせてしまった。故に、それを回避することはできず、肩を掴まれてしまった。
「しまっ…!?」
「まだ終わってないよ!ほらほら!」
そのまま足を引っ掛け地面に倒そうとしたオオアルマジロだが、すぐに対応したセンちゃんによって再び吹き飛ばされた。
「………本当に、防御をしないで勝つつもりなんですね。私たちが二人で練習した防御を…」
「!、まさか、センちゃん…!違う!それは誤解だよセンちゃん!」
「何が誤解ですか、やはり、あなたは私が嫌いになったのですね。……どうして、どうして!!」
今まで激昂していたセンちゃんは、膝をつき、顔を手で押さえる。その隙間には涙の光がキラリと見えた。
「センちゃん!私は…」
「もう結構です…。どうせこれで終わりなら…」
センちゃんは涙を拭って顔を上げる。
その目は光っている。
野生解放だ!
「未練が残らないよう徹底的に潰します。」
「センちゃん!話を聞いてよ!私がセンちゃんを嫌いになるわけないじゃん!その、離れたのはちょっとした事情があって、とにかく嫌いになったわけじゃないってば!むしろ、好きだから離れたんだ!」
「出鱈目を!許しません!」
「本当なんだって!」
「問答無用!」
「うぅ……よし、こうなったら…!」
向かってくるセンちゃんにオオアルマジロは飛び込んだ。
「っ!?この!」
「てええええい!!!」
そして、センちゃんにそのまま抱きつくと地面に押し倒した。
「!、な、なにを…」
「これなら話ができる。さ、ちゃんと聞いてもらうよ。………秘密にしてたことも話すからさ。」
こうして、戦闘は中断された。