けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
「え…、私を守りたかった、ですか」
とても驚いたのか、口を開けたまま目を見開くセンちゃん。
オオアルマジロは照れ臭そうに笑いながら話した。
「そう。あの時、大きいセルリアンに会った時私身を守ることしか出来なくて、その守りも完璧じゃなくて…戦いたかったんだ。センちゃんだけに任せたくなかったんだ。だって、…友達じゃん」
「オルマー…」
「だから正面切っての戦いなら負けないって言われてるヘラジカの元についたんだ。あ、ライオンも強いって聞いてたけど実際にヘラジカが突進してる姿を見ちゃったからさ、その迫力に飲まれて思わず付いて行っちゃったんだ。何も言わなくてゴメンね。」
「いえ、私も、早とちりしましたから、お互い様です。」
「そっか……じゃあさ、はい。」
オオアルマジロは立ち上がって手を差し伸べる。
その手は何時でも大切な親友を迎えられるように、しっかりと広げられていた。
「はい。…ありがとうございます。オルマー」
「いいさいいさ!……でも嬉しかったよ。」
「え?」
「だって、センちゃんがここまで私を追いかけてくれたんでしょ?私、とっても嬉しい。」
「!!」
オオアルマジロのその太陽の光の様な、力強くて、純粋な笑顔に、センちゃんは顔を逸らして、その顔を少し赤らめた。
ほほう……。
「そ、そうですか。それなら…よ、良かったです。」
「あれ?なんか顔が赤いよ?どうしたの?も、もしかして病気かな!?大変だよみんな!センちゃんが病気にーー」
「だ、黙ってください!…オルマー。その理由でここまで来たのなら、まだ帰って来る気は無いですね。」
「…うん、やっぱり、まだまだ強くなりたいから。」
「なら待ちます。だから必ず帰って来てください。良いですね?」
「うん!まっかせて!直ぐに強くなって会いに行くからさ!」
「うむ!!しっかりと鍛錬してやるからなオオアルマジロ!」
「へ、ヘラジカ様!?」
何時の間にか、復活していたヘラジカはがっしりとオオアルマジロの肩をつかみ、バンバン叩いた。
「あ、あはは…こんな感じで、とっても頼りになるからさ、きっと直ぐだよ!」
「……ええ、待ってます。オルマー。」
最後に握手。
ガッチリと結ばれた手と手は、離された後もまだ繋がってる様に思えた。
「今回も負けてしまったが、次は絶対に負けん!覚悟していろ!お前たち!!」
「へっ、何時でも相手になってやるよ」
「私たち二人に手こずってるようならダメだね。オオアルマジロ、次会うときは私たちを打ち破ってみせな。」
「当たり前だよ!次こそは必ず勝ってみせる!!」
そして、私たちは互いに手を振り合って、お互いの陣地へと帰って行った。
「センちゃん、この後どうするんだ?」
私は答えがわかっていながらも、尋ねた。
「自分の縄張りに帰ることにします。……ここまで本当にありがとうございます。短い間でしたけど、貴方達は大事な友達です。」
「へへっ、ありがとな。私も、一緒に居て楽しかったよ」
「そうね、砂漠の旅も、とても辛かったけど今となってはいい思い出だわ。またね、センちゃん。」
「はい、いずれまた会いましょう。では…」
そして、センちゃんも自分の住処へ歩いて行った。私たちは見えなくなるまで、手を振り続けた。
「良かったのか?何か言わなくて」
「別れの挨拶なんていらないさ、だって…」
オオアルマジロは今はもう姿が見えないセンちゃんが歩いて行った方を目を細めて眺め、言った。
「私たち、何時でも一緒だからね!!!」
自信にありふれた大きな声、その声はきっと、彼方にいるセンちゃんにも届いただろう。
「なに!?勝ったのか!?」
「は、はぁ…なにかおかしな事でも?」
「いやだって…ゲフンゲフン。ヘラジカ軍にはカラカルが居たのだろう?この城にいる間、騒ぎは聞こえなかった。それはつまりまたお前達二人で倒したって事なのだろう?」
「そうなりますが…」
馬鹿な、カラカルが居たというのにまた何も考えずに突っ走って来たのか!?カラカルはかなり頭がいい奴だった筈だが…きっと何かあったのだろうそうに違いない。とはいえ…
「まだ続くのか…」
「「え?」」
「報告ご苦労、退がれ。」
「「は!」」
アラビアオリックス、オーロックスの二人は丁寧に襖を閉め、何処かへ行った。
「……のんびりしたいなぁ」
切実な願いは、部屋に虚しく響いた。