けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜   作:ガイガーカウンター

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第30話 終わらない戦い

「さて、と…合戦はもう終わったんだよな?それじゃあ私たちもこれで…」

 

「待て、クロー。」

 

旅の続きをしようとしたところ、ヘラジカに呼び止められてしまった。何の用だ?

 

「もしこれから先の戦い、挫けそうになったなら遠慮なく私たちを呼ぶんだぞ!いいな!」

 

「……まぁ一応頼らせてもらうよ、ありがとな!」

 

読んだところで声など届かないのだろうが

そうして私たちは手を振りあって別れた。

 

「それにしても、あんなに強く頭を殴られたのに平気なの?」

 

「え?あぁ、まぁな…」

 

「へぇー、野生解放が上手くできるようになったらパークで一番強くなれるんじゃない?」

 

「さぁ、他にも強いやつは幾らでも居るだろう…」

 

「………、なんか冷たい。」

 

「冷たい?別にそんな物があるとは思えないが…」

 

「そうじゃなくって、クローが」

 

「私が?」

 

「そう。何かあった?って、何かあったわね。」

 

…………、野生解放が何か影響を及ぼしたのか?しかし、一体何を?

わからないな。

とにかく、野生解放、もう使わない方がいいかもしれないな。

 

「まあ、その内元に戻るだろ、さぁ行こう」

 

「……………」

 

「まだ何かあるか?」

 

「いや……」

 

なら私は進む。

気になることも沢山あるしな…

 

「………あ、ねぇクロー。あそこにボスがいるわよ」

 

「そうか」

 

「素っ気ないわね…会いたがってなかったかしら?」

 

「かもな。」

 

私には、それよりも大事な用がある。

ふと、視界を上げれば空は木の葉によって隠されていた。

漏れ出た光が私の顔に射したが無視しよう。

 

「は、速いわクロー。もう少しゆっくり歩かない?」

 

「いや、だが…」

 

………少し自分を優先しすぎたな。ゆっくり歩くか。

 

「はぁ、はぁ、ホントにどうしちゃったの?いつもよりあんたらしくないわよ。」

 

「分からん、だがこの先の図書館には賢い奴が居るんだろ?そこで聞けば何か分かるだろ。」

 

「そうかも知れないけど…」

 

あぁ、なんだ、モヤモヤするな。面倒でもある。

とりあえず目の前にいる博士とやらに聞いてみよう。

 

「おい、なんだかおかしな気分なんだ、何か分からないか?」

 

「………お前、恐らくですがかいりを起こしているのです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ついにここまでやってきた図書館で、私はその言葉を聞いた。

私たちの隣にはセルリアンハンターのヒグマたちが居る。

でもその顔は笑ってなかった。一体何が起きてるの?

 

「かい、り?何それ」

 

聞き慣れない言葉を聞いて、私は聞いてみた。

すると博士はこう答えた。

 

「かいりせいしょうがい。このクローというフレンズには恐らくそれが起きているのです。」

 

「非常に危険な状態なのですよ。」

 

「自分で自分をみうしなっているのです。」

 

「自分がわからなくなって居るのです。」

 

「「推測すれば」」

 

「そいつは造られた殺戮者である自分とフレンズである自分の二人がいるのです。」

 

「そ、それって…!」

 

「救いたければ」

 

「やまへいくのです。」

 

「許可なら既に出した。」

 

「救いたいだろう?いつまでも一緒にいたいだろう?山へ行けばそれは叶う。」

 

「永遠に」

「永遠に」

 

「っ、嫌!、誰!?いや、あんたは…」

 

「お前の親友も、仲間も」

 

「もう一度会いたいだろう?叶わない夢だとわかっていても…」

「しかし、叶う。あいつを、」

 

「クローを山へ連れて行けば叶うのです!」

 

「さぁ!早く行くのです!」

 

クローを、山へ?連れて行く?そうすれば、ずっと一緒に居られるの?サーバルも?■■■■も?■■■■■もみんなも!?…なら…

 

「カラカル?カラカル!」

 

「ぁ……なに?」

 

「なにって、どうしたんだよ、いきなり倒れたりして…」

 

「え…?」

 

周りを見てみればクロー達が心配そうに私を覗き込んでいた。

さっき図書館に行ったはずなのに…どうしてへいげんちほーに?

 

「なぁカラカル!大丈夫か?どこかしんどいところがあるのか?」

 

クローが心配そうに私の肩を持って揺らす。

………………。

 

「大丈夫。ごめん」

 

「………何かあったら言ってくれよ?」

 

「…分かったわ」

 

私はクローの目をまっすぐ見て約束した。

 

 

 

 

 

 










あと少し、悲願は叶う。
今度こそ

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