けものフレンズ 〜ふぉーるあうと!〜 作:ガイガーカウンター
『隊長ほんとにそいつがお気に入りですね、ま、確かに賢いやつではありますけどそれもこれも全部洗脳装置のおか………』
『こいつは賢いなんてもんじゃねぇよ、俺たちのことを仲間だと認めてるんだ。きっとこれには洗脳装置とか関係ねぇはずだぜ。』
『た、隊長!すぐにそいつから離れてください!』
『おいおい、なに言って、おい。その銃を今すぐ降ろせ、命令だ。』
『ダメです隊長!そいつの洗脳装置、壊れてやがる!』
男はゆっくりとこちらを見る。
男はしばらくあんぐりと口を開けていたが、やがてそれは笑顔になった。
『恐らくさっきの戦闘でやられちまったんだ、早く別の装置を…!』
『はっ、はははははは!サイコーだよお前は!本当にな。』
『そんな事言ってる場合ですか!早く離れて…』
『おい、冷静になれよほら深呼吸だ。』
『いやだから』
『良いから深呼吸だ早くしろ。』
『……スーッ、ハーッ、これで良いですか?』
『おうよ、よく考えろよ。始めこいつが来た時洗脳装置が無かったらなにをするって言ってた?』
『手当たり次第に周りのやつを引き裂くって…』
『そうさ、どうだ?俺たちは今上半身と下半身が泣き別れしてるか?してないだろ。つまりはそういう事だ。』
『しかし…!』
『それに!あとひとつ言っておくことがある。』
男はすぐに銃を取り上げるとその場で帽子を被った男を一回転させ地面に叩きつけた。
『二度と!……仲間を裏切るようなマネはするな。』
『ぅ、ぐぅ…わかりましたよ。』
『分かったか?じゃあほら、立て。』
男は手を差し伸べて立ち上がらせると帽子を頭に乗せた。
『ありがとうございます。』
男は何度か頷くと、そのまま何処かへ行った。
代わりに帽子を被った男がこちらへ近づいて来た。
『……そのよ、悪かったな。』
帽子を被った男はこちらへ手を差し出す。
何度か同じ光景を見たことがある。
人は手を差し伸ばされるとそのまま掴んで上下に振る。
私もその手を、ほんの少しの力で、手を切らないように爪をできる限り当たらないようにして掴んで、上下に振った。
『……驚いな、まさかこんな…。へへっ、よろしくな。』
帽子を被った男は笑顔になってバンバン私の体を叩き、そのまま何処かへ行った。
「ぅん…うぅ、」
なんかやたらと鳥が鳴いている。
あぁ…そういえば昨日はじゃんぐるちほーに来たんだったか…。
それでカラカルと一緒に橋を渡って、それから…
瞬間私の体はプルプルと震えだす。
認めたくない現実に打ちのめされる。
記憶に間違いがないか必死で探すがそんなものは見当たらない。
私は………カラカルを、ジャガーを…殺そうとしたのか?
すぐに起き上がって周りを見た。
すると目の前にカラカルとジャガーが座って話をしているのが見えた。
「あら、随分と遅かったわね?お寝坊さん。」
「ジャパリまんでも食べる?」
「……………いや、とても、そんなことは出来ない。」
「だって私は、お前達を、殺そうとしたんだ!……今更仲良くなんて、出来るはずないだろ?」
「………クロー、よく聞いて、あなたは何も悪くないわ。」
「そうそう、むしろその逆さ、橋を守ろうとしてくれて私たちを助けてくれたじゃん。」
「でも、その後私は…」
「クロー、別にあんなこと気にしなくていいわよ。それにしても良かったわ、何ともなさそうで。」
「え?」
「なんかもうすごかったわよ?頭からツノが生えてきてたわ。」
「つ、ツノ?」
「そう、それで動物みたいにグルルルって唸ってて…もう戻ってこない気がしたの」
…………。
「クロー、約束して……、絶対に居なくなったりしないで。」
「ゆるして…くれるのか?」
「あなたが約束を守ってくれるなら」
カラカルは静かにそう答えた。
「さ、湿っぽい話はここまでにして、旅を続けましょ?」
「そうそう、さっき向こうに連れていけそうな木の板があったんだ、それで送っていくよ。」
「ほんと?ありがとう。」
「……クロー、私はクローの友達だ。友達はね、許しあえる存在なんだ、だからもう気にしなくて良いよ!」
果たして本当に私は許されて良いのだろうか。
でも、カラカルもジャガーも、私を信じてくれている。
あの時の男達のように、私を仲間だと信じてる。
その信頼には、応えなきゃいけない。
この足も、爪も、尻尾もウロコも、何もかも全部。
守るために使う。
誰かを切るためじゃない、守るために!
「あぁ、ありがとう!」
「よしっ!それじゃさっそく向こうまで送ってくよ!」
私たちは今はすっかり穏やかになった川のそばに近づくと、ジャガーはちょっと待っててと言うと川に飛び込んだ。
そしてそのまま橋の一部だったものを持つと、こちらへ泳いできた。
「はい、どーぞ。乗って乗ってー!」
「だ、大丈夫なのか?」
「へーきへーき!まっかせてー!」
頼れるジャガーの言葉に従い橋に乗ると、ジャガーは泳ぎ始めた。
「すごいわね、私たちが乗ってても泳げるなんて…。」
「泳ぎと力には自信があるからねー!さすがに昨日のような川は無理だけど」
ジャガーは足をバタバタ動かして木の板を動かしていた。
『おい!早く船を持ってこい!』
「……船?」
「え?なにそのふねって」
「分からないけど、これは船っていう乗り物な気がする。」
「へー、分からんけど船っていい響きだね!気に入ったよ!っと、着いたよー!」
そんな話をしているといつの間にか対岸に辿り着いていたようだ。
「ありがとう、ジャガー!助かったわ。」
「ありがとな!」
「また乗りたくなったら声をかけてねー!それじゃあ、気をつけてなー!」
「おう!またなー!」
私たちは歩き始めた。
後ろからはいつまでもジャガーが手を振っていた。
「結局、橋は何ともできなかったけどジャガーを助けれて良かったわね。……助けられもしたけど。」
「そうだな、よーっし、この先はどんなやつらがいるんだろう。楽しみだなー!」
この時私たちはまだ知らなかった。
この先には灼熱の大地、砂漠が待ち受けている事を…。
「ふーっ、さて、ちょっとこのまま見回りしてみるかな。」
「おーい!そこでなにやってるのー?」
「川を渡りたいフレンズを渡してるんだ、この船で!」
「たのしそー!私も乗せて乗せてー!」
「いいよー!」
さて、それじゃあ泳ぐかな!