まああれですよ、対戦相手が暗記得意でミスしにくい真島だったのでよりオリ主のダブが際立ってごにょごにょ。そういうことです。こんな感じの言い訳でどうでしょうか。
作者はかるた素人なので、間違ってたらどんどん教えて欲しいです。よろしくお願いします。
□桜沢翠
昨日の団体戦では思っていた以上の収穫があった。
まずは2年生の頼もしさ。江室くんを始めとしてこれからの富士崎を背負っていけるであろう優秀なメンバー。この世代は安泰ね。
それから1年生の注目株・滝野亮の成長。昨日の団体戦では二回戦で勝利した後、スタミナ次第で真太か奏太と変えることも考えていた。
けどまだ余裕がありそうだったし、何より本人が二回戦で気持ちで押す良いかるたをしていた。なのでそのままやらせてみると、準決勝・決勝と立て続けに勝ってしまったのだ。しかも決勝の相手はA級だった。
模倣した技術以外下手くそなのは相変わらずだけど、あの熱意があればまだまだ伸びる。彼が1年生の絶対的エースになってくれそうだ。個人戦でももしかするかもしれない。
◆
A級の会場で勝ち上がった生徒の二回戦を見ていると、亮がやってきて隣に座った。不戦勝になったのかと聞くとけろりとした顔で答えた。
「いえ、一回戦で負けました」
「…相手が強かったの?」
「昨日の決勝の対戦相手の方が強かったんじゃないですかね。あの時はA級が相手でしたし」
ますます分からない。なんで負けたのかもそうだし、そもそもなぜそんなにあっさりとしているのか?
「昨日の負けん気はどうしたの?」
そう聞くと彼はこう答えた。
「うーん、今日はそういうのはなかったですね。先生に期待してるとか勝てとか言われませんでしたし」
言葉がなかった。敗戦の言い訳ではなく、本心からそう思っていることが分かった。
私は彼のかるたに対する姿勢に決定的な問題があることに気づいた。
不純代表みたいな江室くんでさえ、目の前の試合には勝ちにいこうとする情熱がある。けど彼にはそれがない。
私が期待していると言えばその期待に応えようとし、勝てと言えば勝とうとする。それだけだ。そういえば今まで彼が活躍した試合の前には必ず激励したり目標を与えたりしていた。単に扱い易いだけだと思っていたけどそうじゃなかった。
一言で言えば、彼はかるたが好きじゃない。
入部したばかりの彼が言っていた言葉を思い出す。
『俺は先生が好きなんです!!先生に少しでも近づくためにかるた部に入ったんです!!』
もし私がA級になれと言えば彼は必死にA級を目指すだろう。名人になれと言えば本気で名人を目指すだろう。
けどそれではだめだ。それは彼がかるたに熱中していることにはならない。ただ私の指示を達成することに熱中しているだけだ。そんな方法で得た強さを私は受け入れられない。
彼にかるたそのものに対して情熱を持ってもらわねばならない。私ではなく『かるたを』好きになってもらうことを目指さねば。
それがかるた部顧問としての、一人のかるたを愛する者としての義務だ。
□滝野亮
先生どうしたんだろう?俺に質問してからずっと黙り込んだままだ。
何か考えてるのかな。真剣な顔をしている。 そんな表情も魅力的だ。
◆
先生の表情を十分に堪能した後若宮詩暢の試合を見た。俺がさんざん技をパクった相手だ。二試合ほど見たが、特に学べることはなかった。強いて言えば模倣するために見た映像よりちょっとだけ手の軌道が速くて低くなっていたので、それだけ模倣し直したが。
その後はヨロシコに誘われてB級決勝に勝ち進んだ3年生の先輩の応援に行った。対戦相手は昨日俺が戦った瑞沢のイケメンだ。
イケメンも頑張ってるけどうちの先輩が勝ちそうだな。富士崎らしくスタミナがある先輩は、決勝戦でもまだ余裕がある。イケメンはへろへろだ。
結局俺の予想通りの結果で試合は終わり、高校選手権も終わった。
帰りのバスの中でこの二日間のことを思い出す。なかなか充実した時間を過ごせた。頭の中で二日間のハイライトが流れ出す。
大声で部員に移動指示を出す先生。
運営のスタッフさんに声をかける先生。
近江神宮の熱気に汗ばむ先生。
木陰で一息つく先生。
うちわで自分の顔を扇ぐ先生。
自販機で買ったコーラをガブ飲みする先生。
他にも数えきれないほどの先生が俺の記憶に残っている。いやあ、高校選手権って最高だな。
高校選手権終了です。